「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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若松コロニーとシュネル(3
若松コロニーとシュネルSERIES_No.3,幕末_WITH_LOVE(若松コロニーとシュネル特集),死の商人と伝わるシュネルの素顔,カトリックと隣人愛,会津藩士のカリフォルニア,幕末,戊辰戦争,箱館戦争,WAKAMATSU COLONY&Jhon Henry Schnell_No.3
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幕末_WITH_LOVE玄関
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シュネルと若松コロニーSERIES_目次(Schnell&WAKAMATSU COLONY)
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No.0:このシリーズ目次
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No.1
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No.2
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No.3
現在頁<
No.4
シュネルと若松コロニーSERIES詳細編_No.3
青い目の騎士道!Schnellに導かれて・・会津人の大渡航:悲しみを乗り越えて
Sec.1
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Sec.2
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Sec.3(現在頁)
<
Sec.4
・・・
The Wakamatsu Colony: Gold Hill
18_会津藩士とシュネル一行の大渡航
この前の部分
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、
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http://plaza.rakuten.co.jp/wawanko/057037
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まずは、大脱走の様子。脱走は最低でも3つのグループ。そのうち、第一と第三のルートは同じ。
第2かどうかは特定できないが、別途別日、横浜発チームもあったようだ。
サンフランシスコに到着した期日は
1869年5月27日
そこから、川船に乗り換え、ゴールドヒルに到着したのは、
1869年6月9日
▲上記二点の記録はあるが、日本側の出発日は明確でなく、4月とされている。
また、シュネルは、第一のグループをまず送り出して、第三グループと共に日本を発った様子。
メンバーの誰かによる手記の断片があるようだ。
とにかく、詳しい事は不明ながら、全文に至ると、一人の人物による文章でない要素が感じられる。
量的には前半の人物が多いが、後半突如、別の男性ではないかと思える文面に移動する。
但し、それは全体的に見ると、最も重要な特徴ではない。最も驚く点は、文章の終結直前、
主語の主が入れ替わっている。全体的には『私』とは、或る男性。(人物については後日専用頁予定してます。)
ところが、終結直前の『私』とは、いつの間にか、女性である『おけい』に入れ替わる。
悲劇の少女の気持ちを、象徴的に描き出している。
結びの文章▼
そして、今、私は、本望叶って、念願のこの丘に葬られた。
衝撃的ラストで、文章はぴたりと止む。それまで、冷静に読んでいた人物も、
突如、息の根が止まりそう。
思想も主義も、男の意地も、藩士のプライドも・・・全部関係ない。ただの少女。
運命に弄ばれて、異郷に埋もれたごく普通の少女。それが「OKEI」さん。皆の涙を誘った。
■興味深い事柄として、描写表現の中、登場する言語の内、日本人でなければ解らない固有名詞や、
古典知識&思想などが解る部分について、できる限り、マークを入れました。
・・・印の例:(
【注】_登場した古典分野その1
)
■現在頁:
Sec.3
については、物語風に書かず、手記風の文面を多く入れてあるため、
少々ぎくしゃくして、読み難いかもしれませんが、
まずは、情報量が多い第三グループの脱走状況を下記に示します。
後半頁に資料編があります。
いきなり資料では解り難いと思いますから、
現在頁本文からお読みいただくことをおすすめします。
1_後年『あの頃』の回想=経緯と総感的な事柄
(或る人物の手記らしきものから)
人物の性別は恐らく男性。年齢は脱走時18歳未満の様子。身分は士分ではない様子。しかし学が有る。
憶測としては、
増水国之助
ではないかと感じられるが、これはあくまで憶測の領域。
■著者の男性は、かなり正直な性格。男に生まれながら、みっともなく!泣いてしまった自分も、
物の怪を恐れて脅えていた自分も隠していない。知識不足で、恋人から貰った漢詩を知らなかった
自分も素直に恋人に露見させている。
■
この人物は、恋人と涙の別れ
。恋人とは武士の娘。彼は士分ではない。本来なら許されぬ恋。
ところが、その娘さんは、涙の見送りに来てくれている。愛を訴えている。
戦争さえなければ、知識を見込まれ、偉人の配慮による養子手続きも可能なラインだったのだろうか。
従来、そうしたケースの場合、あらかじめ、婚姻前に、身分を糺す為に1回または2回位養子手続き
を偉い人が組んでくれる。順番を経て身分に衣がついてなんとか体裁が整った段階で、
やっと結婚できることも稀にある。
身分は低いが賢い人物を婿に入れる為には、偉い人がそれを必要と考えた場合に限り、
こうしためんどうな手続きをこの時代やっていた。
追憶!恐怖の官軍!侵略の時概要・・・(後年回想部分と思われる)
「アメリカの人に解るように、簡略化した内容に絞り、英文で書かれた文章」からご案内します。
(青い文字が、手記らしき文章中心に書いた部分です。)
賢いシュネルは、時代の気風を察し、地元トラブル防止効果を加味。到着後、一団到来目的を新聞に表示
ある日、ついに、官軍の大群が猪苗代湖周辺から一気に襲い来た。
彼らは、たちまち、我らの誇り、藩主様の鶴ヶ城を落とし、何もかも焼き払った。
美しい城下町。それらは全て、我らにとって、とても大切な古来よりの文化。全て炎に消えた。
ありとあらゆる商家も皆我らの誇り、伝統だった。素晴らしい歴史的建造物、そして、
織物屋さん、酒屋さん、工芸品屋さん、これらも皆、400年来の会津の伝統だったのに・・・。
(解説)この人物は、失った会津に対する意識が、徳川260余年ではなくて、約400年の伝統を
失ったと感じている。400年前とすると、会津は葦名氏時代(日本全体では室町時代)
伝統文化と生の営み
を剥奪されて、瞬時に焼き捨てられて、
美しい古都を皆無にされた悔しさが滲んでいる。
誰かが、こう語った。これは、いうなれば、第二の「関が原の合戦」。
(解説)
明治維新とは即ち、世直しを謳いつつ、実のところ、その昔、
徳川政権成立の際に敗れた側の者達による怨念、報復にすぎない
・・・の意味。
確かに、薩長を始め外様に屈した雄藩が先頭に立ち、また、民の中からも志願して官軍に
加わった者には、国学を学び、徳川を倒し、皇国設立を願望する者も多い。有無を言わせず強制的に
徴兵された哀れな農民と異なり、このように自ら志願して入隊した民の正体は、やはり同様に
先祖時代に於ける過去の怨念。彼らの先祖は、徳川によって、『単なる民』に位置付けられた
ものの、遠い過去、なんらかの地位を持っていた者達なのだ。その為、こうして子孫の代で
報復血祭り!復讐劇発生。
皆の目は荒れまくりの幕末江戸&京都に集中しており、つい見落としがちながら、地方に
派遣されていた幕臣達程悲惨な立場の者はない。四面楚歌。少数人数。
鳥羽伏見(tobafushimi)事件以前に、徳川天領の代官が、帝崇拝派によって、真っ先に暗殺されて、
血祭りの生贄にされた例がいくつもある。暴徒化した帝崇拝派の彼らは、哀れ生贄となった代官の
首を高らかに揚げて、シュプレヒコールを叫んだ。「いざ!倒幕の時来たり!」
地方派遣職員とは、いつの時代も同じ。従順勤勉大人しい下っ端。骨折り損のくたびれ儲けなら
まだしも、生首にされて曝されたのではたまらない。地方派遣されている代官の地は、
もともと兵もいなければ、スタッフ人数も少ない。防備手薄。当然狙われた。
それが何であれ、これで、400年に及ぶ我らの文明は終わりを告げた。
武士社会だけじゃない。我らはそれ以前からずっとこの地を愛して、伝統を守り続けた民だったのに。
『手工芸も農業も』
全て素晴らしい独自の伝統だったのに・・・。
我々は、荒波に攫われて、あたかも伊勢の漂流民のごとくの運命を背負った。我らは陸の漂流民。
為すすべはない。生きる術は万事剥奪された。
(解説)上記の
『手工芸も農業も』
に係る補足
恐らく、
日本ならではの上質の絹にスポット
して、アメリカの人に解り易く訴えたと思います。
■農業は:養蚕技術全般、桑の栽培、品種改良、蚕の飼育等、全部知識と経験が必要
■手工芸とは:他にも別分野で竹細工などもあるが、この場合、
絹にスポットすれば、美しい錦を織る
『機織機』と『技術』
以下文面に堂々と産業革命を引き合いに出していることから、「優れた工業化」に匹敵
する分野としては、独自に開発され続けてきた性能の良い『機織機』も印象付けたかった
ように思える。
(解説)アメリカの人が解り易いように、比喩を二つ使っています。
1■
『産業革命以前』の表現有り。
産業革命:主に18世紀から19世紀。
会津の工業がどれ程優れており、消失するにはあまりにも惜しい存在であったかを
「産業革命」の言語を用いてアメリカの人が解りやすいように、強く訴えている。
私達のその文明は、18世紀どころか、もっともっとずっと前だったんですよ!と強調してる。
独自の製法、独自のシステムや道具をもって効率的に稼動させて、地を豊かに潤す貴重な
文明だったのに・・・というかんじ。
2■
『伊勢で漂流してしまった漁師のように』の表現有り。
日本では伊勢の漂流民といえば、
大黒屋幸太夫
を指すことが多く、
彼はアメリカでなくロシアに保護されたのだが、有名な事件につきアメリカ人にも浸透
していた為なのか、別件なのか、そのへんは不明ながら。
■文章は、アメリカ国内で読まれることから、施された文脈の配慮
本来は、いくら彼が士分でなかったとしても、一番悔しいのは、本当は
尊敬する「我藩主、松平容保」が賊の汚名を蒙り、会津全体が犯罪者の扱いになった
こと・・・であるのは明確。全て焼き払うは、この地の人間を全面否定されたも同然の怒り。
しかし、それは、アメリカ国民には解り難いし、共感してもらえるのは極僅か。
剥奪された「生の営み」と、「大切な文明」を焼き捨てるは、あまりにも愚かな仕打ち
だったことを前面に押し出している。
また、建築知識を集積した人物である様子も感じられることから、歴史的建造物消失は、別の怒りが
篭められていたかもしれないが、さらりと流して文章上強調していない。
※現在頁上側記載のとおり、この文章の主は不明。私的に
増水国之助
、もしくは、彼+一部、
桜井松之助
では
ないかと感じているだけながら、仮にこの憶測が偶然正解だった場合に限り、以下▼
ちなみに、
増水国之助
は一般に大工と伝わりますが、複数の資料から、どう考えても、彼は、高度の建築知識を
集積した人物の臭いが漂う。建築技術士。設計技師のような分野ではないかと思う。会津時代から武士と共に
行動している点も、一般大工とは異なる立場の様子。
1_悪夢!落城の時・・・(後年回想部分と思われる)
美しい古都会津は見る影も無い。
巨大な火柱が立ち上り、町は赤々と燃えた。
あたかも、町全体が巨大な釜戸になったがごとく。
めらめらと燃える炎は、嘲笑うがごとく、
火柱は踊り狂い、真っ暗闇にもかかわらず、
不気味なほどに空を明るく照らし、
それは満月のごとく眩しく、恐ろしい光を放っていた。
城下町は壊滅。城と、美しい景観の侍屋敷も、
伝統の商家の立ち並ぶ中心街も、
なにもかも、もはや絶望。
私は、会津の町から少し離れた場所(丘の上)に
泣く泣く、難民のごとく。仮住まいの身となった。
藩主様は亡くなった!不吉な噂が流れた。
我らもいよいよ切腹の時だろうか・・・。
皆の口から、なんとこんな話も出てきた。かつて藩主様は、「深夜に郭公鳥が鳴く夢」を
みられたそうだ。不吉な夢。これは死の予兆に他なるまい。
【注】_登場した古典分野その2
)・・・深夜に鳥鳴く不吉
古今和歌集などで、夜鳴く鳥は不吉とされている。郭公鳥でなくて、ほととぎすとする説も。
現代の世、あんまり通常使わないからピンときませんが、どうやら、ここに由来。
現代なれば、せいぜい「烏鳴き悪い≒不吉」の言葉くらいでしょうね。
シュネル家の人々も藩主様絶望の悪い予感を掻き消すことができず、一晩中泣いていた。
突如、使者によって重要な文が齎された。
我々は即時、荷造りを急ぎ、運命はそのまま旅立つことに。
【解説】上記、
使者によって重要な文
について:
この使者を派遣した人物こそ重要なキーマンながら現代今だ謎。シュネルの築いた若松コロニー興亡に関して、
猛烈に重要なキーマン。なぜならば、この頃、主たる藩士は皆謹慎。身動きできない。憶測は多々あれど、
混迷に繋がる為、こればかりは書けません。これが解れば、専門家達も困らない。それ程謎だらけ。
19_物の怪(もののけ)の闇と、草枕
2_脱!会津&夜更けの脱走道中
後ろ髪引かれながらも、会津の町を抜け出して、
港へ向う道中&山中一泊。
道中、暗闇。ひたすら駆け抜けた。私はまだ18歳にも満たない
年齢だった為、物の怪(もののけ、悪霊)を信じており、
不気味で、とても恐ろしかった。
悪霊の祟りで、道に迷い目的地に到着できぬかもしれぬ。
一寸先すら見えぬ、山の真っ暗闇。恐怖と不安。
山越え、谷越え、東へ逃げて、或る農家へ辿り付いた。
信頼できる人物のようだ。我々は彼らに匿われた。
夜は地べたに筵を曳いて睡眠をとった。
暗闇を利用して、再び夜の移動開始となった。
荷の側面を筵で覆い隠して、網代車(あじろくるま)を曳いて移動した。
(
▼【注】:網代車_登場した日本特有の固有名詞1
)
(解説):本来、網代車とは別名、牛車。しかし、この場合、
牛は居なかったと思う。人の力で動かしたのだろう。
一種運搬車ではないか。・・・と思う。
20_秘密の隠れ家と、海の要塞?_隠れ港
2_脱走場面3_やっと越後(この場合、現代の新潟)へ到着
延々歩いて、やっと海が見える丘に着いた。ここがどこであるか、私は解らなかった。
他の人物が教えてくれた。ここは越後だと。藩主様の縁の地だそうだ。縁者があるそうだ。
こうして、丘の上から見下ろすと、なんとも奇妙な港。とても港とは言い難い。
川に面した起伏の多い地形。そこに僅かな停泊可能なスペースが見える。
(解説)船旅経験豊かなシュネルの知恵か、地に詳しい誰かの配慮と思われる。
誰にも気付かれずに密かに乗船する為の秘密のスペースらしき。
かつてシュネルが有していた自分の港そのものとは異なる様子。
その後、やっと我々は、私達の到着をひたすら待っていてくれた優しいシュネルに会うことができた。
そして我々は、一軒の葺屋に収容された。
この建物はかつて、シュネルの縁者のものだったらしい。
メンバーは合計26人。この中に、我々チームが
引き連れてきた子供2人と、女性6人が含まれている。
運命の朝の到来だ。旅立ちの朝。
現在地から、上記の海辺の乗船スペースへ向うには、
地形上、川舟に乗らねば行けない。
26人は小さい川舟、2艘に分割乗船して、向った。
(解説)上記の小さい川舟乗船の時、他にシュネル一行を
護衛する別途、侍仲間の舟もあった様子。
誰か、危険承知の上、密かに応援の他藩士か?
無事、川舟は、乗船スペースに到着。入り組んだ奇岩に囲まれて、
密かに停泊して待っていた黒い舟が見えた。
(この舟で日本を去ることになる。)
21_愛する人と『永久の別れ』
いよいよ、運命の別れ。実は愛する人が居た。
永久の別れの時、許されぬ恋。実らぬ恋。
あたかも己は、裏切り者のごとく。自責の念。
どれほど運命を憎んだことだろうか。
為す術なく、これほど愛してやまぬ人を置き去りにせねばならない。守ってあげられない愚かな自分。
彼女は侍の娘。私は士分ではない。
許されぬ恋
。
されど、現状、士族の娘達がどれほど辛い状況にあるか、一番知っているのは己ではないか!
士族達の大半は、皆生まれ育った家を失い、多くの侍が死んで、生き残りの者とて、
その『生の営み』は剥奪された。生存者は、絶望の焼け野原。生ききながらにして亡霊のごとく
取り残されたも同然。
それだというのに、私は、それと知りつつ、その彼女を置き去りにせねばならぬ。
((解説)藩命もしくは使命故、抗うことができぬ立場。)
■彼女から手渡された漢詩
・・・(
【注】_登場した古典分野その2
)
私は、我を忘れ、思わず泣き崩れてしまった。なぜならば、為す術がない。
そんな私に、ふと、彼女は震える手で、なにかを手渡してきた。
封を開いて目を通すなり、それは一首の詩だった。それは、彼女が作った詩ではなくて、
きっと有名な詩なのだろうとは感じたものの、正直なところ、私はその詩を知らなかった。
しかし、私を責めている意だけは、痛い程に胸に突き刺さってきた。
何故行くの?私を置いて・・・何故?・・・あまりの苦しさに、私は言葉さえ見つからなかった。
ところが、彼女が言うには、これは古い漢詩なのだそうだ。
【解説】恋人がくれた詩とは:待つ身の辛さを謳った漢詩:『蟲のこゑ』
白居易の『蟲のこゑ_霜草蒼蒼蟲切切、衰燈絡緯啼寒素』
▲多分、このあたりではないかと思われる。今にも、消え入りそうな秋虫の声。
漢詩では、寒々と啼く虫の声。灯はまさに消えようとしている。そんな状況下。まさに今の会津。
英文だと味気なく、「草の中で虫が鳴くうんぬん」のみが目立ちピンと来ない文章ですが、
多分上記漢詩ではないかと思われる。彼女はこの詩に喩えて、愛を訴えたと思われる。
【解説】直接的な意味に置き換えると:
私は、一体何をたよりに、一体いつまで待てばいいのでしょう。
それでも貴方は行くとおっしゃるのでしょうか。
いつ明けるとも解らぬ遠い夜明け。
【解説】待つ身。女の切なさ。さりとて武士の娘。直接言わず、漢詩に全てを託して。
彼女は駄々をこねて困らせてるのではなく、気丈に振舞いつつ、愛を訴えている。
そもそも、「直ちに仕度をして旅立ちの用意をせよ。」と伝えてきたのは彼女。
心は▼
「責めているんじゃないのよ。愛しています。人がなんと言おうと、私の愛は本物です。
このまま永久の別れはいやです。せめて、今の私に何か言葉を下さい・・・。」
【解説】
彼女の友達も、二人を応援。この女性からも、別の漢詩を手渡された。
こちらも、武士の娘:結構厳しいようでいて、彼女も彼も双方応援している。
いつまでも、めそめそせずに、しっかりなさいよ。・・・そんなふうにも聞こえてくる。
意味的には▼
誓いなさい!必ずと!
永久の別れではないのだと、
しっかと、今この場で、申すのじゃ!
この世に、二度と、明けぬ夜など、
ありませぬ!!
そして、船は港を去り行く!
【解説】余計なお世話ながら、なんとなく年上のようなニュアンス。二人は純愛。
22_洋上の彼方、おぼろに消え行く故郷の丘
私の生まれ育った故郷の輝く丘。しだいに小さく、小さくなってゆく。
やがて、地平線の彼方、ついに消えてしまった!
もう、すでに見えもしないのに、私は、あたかも今だ見えているかのように、いつまでも、
その方向を見つめていた。
ここで暮らした長い歳月、それらが地平線の彼方、貧弱な豆粒に化して、ついに消え去った。
あたかも死の島へ旅立つがごとくに思えてしかたなかった。
私は船上、すっかり思い悩み、落ち込んで、不眠症状。その上、終いに胃痛が襲ってきた。
延々、船は群青の海を行く。どっちを見ても、小さな陸の破片とて、なんら見えない。
どっちもこっちも群青一色。
遠くに何かが、ぼんやりと見える。否、これぞ錯覚か?
僕は大丈夫なのか?ふと不安にもなってくる。
23_不吉!美彌良久の島の幻影
(
【注】_登場した古典分野その3_美彌良久(Mimiraku)
)
しかし、確かに何か見える。・・・だが、それは、むしろ不吉な錯覚に繋がった。
虚ろな意識の中、あたかも、
美彌良久(Mimiraku)
の島の幻影に見えてしかたなくて、胸騒ぎ。
美彌良久
とは、それは死の島。伝説では、遠くに、既に死んだはずの人々が
見えるというではないか。死者に遭遇する島とは、まさに不吉!
それは、もしも近づくなれば、突如消えるというではないか!もはや絶望の時、ついに到来だろうか。
船よ!どうか、これ以上、あの島に近寄るな!
MEMO_本当の『美彌良久の島』について
【注】_登場した古典分野その3_美彌良久の島とは
『美彌良久の島』については、文献が非常に多い。
多くは、彷徨う漂流船の宿命的幻影の喩え。死の予兆、不吉と絶望感、末期状態
の代名詞的に使われることが圧倒的に多い。(発端はそうじゃなかったのですが、後述)
上記比喩から、実際その状況下に至った人々(漂流した人々)は、その伝説を恐れた。
例えば、こんなシチュエーション。
延々、船は流れ流され、群青の海を彷徨う。どっちもこっちも群青一色。
陸の破片どころか、豆粒程度の無人島すら、見えない。もう、我らは一貫の終わりか・・・。
そんな時、ふと幻影が。
「おい、みんな見るがいい!助かったぞ!やっと陸が見えたぞ!小さい島。
だけど陸には違いないぞ。もう大丈夫だぞ!」
喜び勇んで、もしも、近寄るなれば、なんと突如、消えうせるという。
やっと見つけたはずの陸は、所詮夢幻。再び洋上を果てしなく流され続ける。
もしも、ふっ!と消えず終いだとしたら、その時はまさに一貫の終わり。
死!以外のなにものでもない!・・・怖い話。
ところが、発端は、べつに上記のようなオカルト地味た話でなく、実在する地名に由来。
■長崎県、五島列島の福江島、西北端の『三井楽町』 に当たる。
『万葉集』、及び、『肥前風土記』の時代は、ごく普通に地名として、遣唐使が立ち寄った地として
表記されるだけの普通の話。
■ところが、時代と共に、なんか偏ってきた。『美彌良久の島』に行けば、死んだ人に会えるところ
だよ。・・・といった話が出てくる時代到来。しかし、これもけっして不気味な話でなくて、
浪漫だった。上記、『美彌良久』から、対馬方面に航海中に海難事故で死亡した人物が居た。
哀れな妻子の為に、詩が詠まれた。きっと会えるよ。彼は勇敢な男だったからね。
『美彌良久』へ行ったら、きっと、ずっと遠くにご主人の姿が微かに見えるよ。
立派なご主人だったからね、きっと貴女の心の中、微笑んで貴女を守ってくださっているよ。
ざっとこんな意味の詩。詠み人は定かでないが、一般的には山上憶良とされることが多い。
亡くなった人物は「海人荒雄」
大君の 遣はさなくに さかしらに 行きし荒雄ら 沖に袖振る
ここで、「死んだ人が、袖振って待ってる」の語句が確かに登場したけれど、浪漫だったのだけど。
■だんだん時代は、『美彌良久の島』に係るニュアンスを変貌させてゆく。
死んだ人に、嘘でもいいから、一目会いたくて、『美彌良久』伝説。とはいえ、これも、
そんなに変な意味でない。いつか行きたい。一度でいいから会いたい。一種憧れ。そんなニュアンス。
五島の人ならすぐ行ける(※)が、江戸や大和、及び京の人達は、当時のこと、そう簡単に行けない。
夢のように遠いところ。その為、憧れ浪漫。見えないけれど、そこには亡き人がちゃんと居る。
残された者達の心の気休め。
【解説】五島の人はすぐ近くだけど、上記のとおり、単なる地名『三井楽町』。都の貴族が言う『美彌良久の島』
伝説は、なんのことやら、関係ない!大昔の海難事故は知っているが、不気味で妙な伝説とは無縁。
ところが、だんだんエスカレート。終いに、五島も何も関係なく、どこの海域だろうが、
突如洋上に出現する恐ろしい島のニュアンスに化けて行く。
彷徨う漂流船の宿命的幻影の喩え。死の予兆、不吉と絶望感、末期状態
・・となった。
裏を返して言うなれば、それほど当時の船旅は過酷な世界だった。
【三途の川の対岸】
■現代の感覚に置き換えると、「三途の川の対岸」みたいなかんじ。
病気で末期、生死を彷徨う時に見るといわれる夢。ご先祖さん達が対岸で、来るな!来るな!と
追い払ってくれる。すると、ふと目が覚めるという・・・。
■『美彌良久の島』にせよ、『三途の川の対岸』にせよ、いずれも、ここに出現する死者達とは、
かつて親しかった良い人ばかりで、けっして恐ろしい悪霊のような存在でないのが共通点。
されど、いかにそうだと言われても、できればお世話になりたくない世界だから、
だんだん、『不吉』の象徴に変貌したのかもしれませんね。
24_金門海峡_無事通過後、やっと一行はサンフランシスコ上陸
船が狭い海峡にに入った。この時、皆には、
やっと安堵感が得られたようだ。
誰かが、歓喜して、叫んだ。
「我らは彷徨ってなどいない!ようやく、ここまで辿り付いた。
間違いなく正確な進路。無事進んでいる証拠だ!」
皆の者、見るがよい!ここはまさに、 金門海峡だ!」
甲板に皆がどっと駆け寄って、興奮して何やら口々に叫ぶ。
「もうひといきだ!皆、負けるな!もうじき到着だ!皆ねばるんだ!」
それらの雑踏の中、私は一人取り残された。俯いてうなだれていた。
・・・私には、それを見入る気力さえ残されていなかった。
手には、あの文を握り締めたまま、涙も乾き、全身に脱力感。遠い故郷、見る影もない焼け野原。
私はあの人を、絶望の地に置き去りにした男・・・。罪の男。私は悪魔。
我々は、海上の長旅を経て、どうにかサンフランシスコに到着した。
到着期日は
1869年5月27日
。
されど、そこから再び遠いという。
巨大な大地。アメリカ。耳に入る言語、
私にとって、皆の容姿、見るもの聞くもの、
なにからなにまで、全て「異様」以外の
なにものでもなかった。
やっと到着したというのに、心の不安は深まるばかり。
サンフランシスコから、川船に乗り換えて、
内陸を遡った。ゴールドヒルに、到着。
それは、
1869年6月9日
のことでした。
No.0:このシリーズ目次
<
No.1
<
No.2
<
No.3
現在頁<
No.4
■25_邁進!皆の手で、若松コロニーを「夢の理想郷」に!
■そして、魔の干ばつ!農場危機!
文章解説(c)by rankten_@piyo、
写真等、素材については頁下表示
現在頁の初めに記載しましたとおり、この手記の主は厳密には謎。私的に、
増水国之助
、もしくは、
彼+
もう一人(※)
ではないかと感じているだけです。ただ、仮にこの憶測が偶然正解だった場合、
上記文章から、増水国之助とは、いかに少年だったとはいえ、泣き虫弱虫に見えてしまう
のですが、実際は度重なる荒波のアメリカ社会の中、
不吉な裏事情、黄色い人種
(こちらも関連:
『日本人排斥』の恐怖の実態
)を潜り抜けて、
力強く生き抜いた人物です。彼は強く逞しく、そして真の隣人愛に徹した人生を貫きます。
桜井松之助
についてもシリーズ内、後側頁にレイアウトをご案内します。
もう一人(※)とは?=「西川友喜(西川三平)」
が怪しい!と推定しています。
アメリカの国勢調査古資料に18歳:NISHIKAWA「高身分」有り。手記内容から年齢的&身分。
賊軍として息を潜め、明治を忍び暮らした彼本人は一切語ってませんが、
▼
:これ複雑な話ですが、こちらの資料編からどうぞ。
■Sec.11;資料編の3
_
■情報が若干残るメンバーについて、■手記を残した人物の推測
(項No.77~)
▼
・(表示先頁の
「38_西川友喜:情報不足ながら、実は非常に重要と思える人物」
の行と下項目をご参照。
幕末から明治にかけての時期、
「開墾の精神と理想郷とキリスト教」がワンセットで動く事象
が
複数散見されます。以下バナーの内、ガルトネルについては、今日、政治絡みの情報以外、全く不明。
ガルトネル個人の思想は不明。しかし、もしかすると、彼にも宗教観念上、伝道普及の願望もあったかも?
七重の地は、それよりずっと古い時代から、不思議なキリスト教の痕跡が残されています。
密かに教えが一部の者の心の中、引き継がれていたのではと思える事象も多々。
毛色異なりますが、戦争に苛まれた精神。悲劇のアーティスト。夢に屈した人。
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薫風館
:黒地の草葉,
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