「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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飛鳥京香/SF小説工房(山田企画事務所)
聖水紀■3
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://w3.poporo.ne.jp/~manga/pages/
(3)
静かな海の上を、人の力で走っている奴隷船が進んでいた。一人のこぎ人、通常、流体と呼ばれているのだが、船倉からあがってくる。彼の自由時間である。その男はきょろきょろしていた。誰かを探しているようだ。年令はそれほど若くはない。いや、むしろ、老人の部類にはいる。が、さすがに奴隷船の流体だけある。彼の筋肉は、とぎすまされて、太陽の光りを照り返していた。
若い女が、いままさに、船橋から降りてくるところだった。その男にきずく。女もその男を探していた。
「ねえ、シマ。あなたはいるなぜ、そんなにいつも悲しいそうな顔をしているぉ」女は高いブレッジから男に呼び掛ける。
シマは考え深げな目で、上にいるベラに答えた。
「私にも分かりはしない。ただ」
「ただ、何なの」ベラは14、15才だろう。この船の歌姫であり、皆のアイドルであった。奴隷船には必ず歌姫が乗っている。そして、流体には歌姫が必要なのだった。歌姫は、歌がうたえる。が歌姫のソングは特別だった。彼ら流体の体の細胞に訴えかける歌なのだ。その歌のおかげで、流体たちは船を漕ぐ筋肉が効率よく動かすことができる。歌姫の声は、筋肉に対するある種の栄養剤であった。歌姫はこの地球には、数すくない。が通常の交通機関が消え去ったこの時代、奴隷船は有用な交通機関だった。
「私はいつも思うのだ。私は、この地球に対して、とてつもなく大きな責任をもっているってね」こう深刻そうに答えたシマに、ベラは大笑いを返す。
「シマったら、そんな大ボラがふけるわねえ。じゃなに、この地球はあなたが作ったとでもいうの。今は奴隷船のこぎ人、流体にすぎないあなたがね」
「ベラ、笑うのももっともだ。今の私は、この船の流体にすぎない。でも、昔はそうだったような気がするのだ」
「シマ、シマ。そんな深刻な顔をするあなたが大好きよ。あなたといると逆に楽しくなるわ」
「私も同じだ。君がいればこそだ。この奴隷船くらしも気にならない」
この時、二人の側をきらびやかな装甲服に身を包んだ男がとうりかかる。
ベラが大きな声で叫び、シマの注意をうながす。「あっ見て、見て、シマ。聖水騎士団よ」
「わかるよ、ベラ。私にも目というものがある。でも、彼らは権力の犬にすぎないのだよ。か弱いものだよ」
突然、その騎士が、ベラのま後ろに立っていた。彼は二人の話を聞いていた。
「これはお美しいレディ」その騎士は、ベラの右手をとり、キスをする。
「何か、こぎ人が、レディに対して失礼なことでも」
ベラはあまのじゃくである。つい、口をすべらす。満身、笑みをたたえて騎士にいう。「ええ、いいましたとも。あなたがた、聖水騎士団が権力の犬にすぎないって」
男としては、もったいないほどの美貌をもつ彼の顔色が急変する。「なにですと。権力の犬。すばらしい言葉ですね。で、その言葉をこぎ人がいってくれたわけですね。聖水騎士団も甘くみられたものですね」
「お若いお方。お許しください。年寄りのたわごと。どうぞ、お許しください。おみのがしください」シマはこの騎士に深々と頭を下げる。
「そんなこと、する必要があるの。シマ、あなたいつも、聖水騎士団の悪口を言っているのじゃない」おしゃべりのベラが口をはさむ。騎士の顔色がもっと赤くなる。
「私の名は聖水騎士団のレオン=フガン。私に対する侮辱なら、許してさしあげたかもしれない。が、我々聖水騎士団の侮辱、ひいては、聖水にたいする侮辱は見過ごすわけにはいきません。こぎ人。そこにひざまずきなさい。私達、聖水騎士団がゆるされている聖水剣の威力をお目にかけましょう。そうすれば、あなたのその曲がった根性もよくなるかもしれませんねえ」
フガンは背中に装着されている聖水剣を、目にもとまらぬ早業で引き抜き、手にしていた。
「お願いだ。フガンさま。この年寄りに無体なことをなされますな」「こぎ人シマ、許すわけにはいきません。私は聖なる水から、役目を与えられているわけですから。私の役目なのですよ。悪く思わないでください」
「そうよ。やってしまって」どういう意味からなのか、ベラが、フガンをけしかけている。シマはベラの方をみる。いったいどういうことなのだ。この歌姫はどちらの味方なのだ。
ベラは一瞬思う。これではっきりするだろう。シマの正体が。ようやくわかる。さぐりをいれてもう3カ月。もうそろそろ。
フガンの手にする聖水剣がひと振りされる。その先から、わずかな液体がシマにむけ放たれる。人々を溶かす聖水が。
「シマ。あきらめなさい。聖水の元に身を捧げなさい。そして人類のおろかさをしりなさい」
発射された聖水は、広がり、薄い粘膜の膜となり、シマの体を包む。
当然、シマの体は消えてしまうはずだった。聖水が、この男には反応しない。
「あなた、まさか、ロボットではないでしょうね」フガンは叫ぶ。機械文明の象徴であるロボット、コンピュウーターは、この時期作ることが許されていない。
「お若いおかた。どうぞ、もう、おやめください。このこぎ人のじじいでございます。これ以上。もういじめないでください」
「そうはいきません。聖水に反応しない人間など見たことがない。あなた、まさかご禁制のヒューマノイドではないでしょう」
「おやめください」シマは、フガンののばさせた手をふりはらう。「あなた、さからっちゃいけません。やはりヒューマノイドなのですか」
ベラは様子を見ている。やはり、シマは普通の人間ではなかった。私のにらんだとうりだ。じゃ、このシマを組織につれていこう。可能性はある。
「おやめ。みっとないよ。聖水騎士ともあろうものがうろたえるのじゃないよ」ベラはフガンにむかって罵声を浴びせる。
「あなた、いったいどちらの味方なの、はっきりしてください」
シマもベラの発言にいささか驚いている。「私は誰の味方でもないよ。私は私の味方さ。私の思うとおりに生きているわけさ」
「あなたも、この人と一緒に捕まえて調べなければなりませんねぇ」「いやだよ。なぜ、あんたのいう事など、聞く耳をもたないさ。あんたの相手をする。私はそれほど、ひまじゃないよ」
「レディ、いわせておけば、私にも我慢の限界があることをおわすれなく」フガンはベラを捕まえようとした。
が、突然ベラは歌を歌い始める。どうしたのだ。シマは思った。フガンの手をのがれながら、船の上を走り、歌えを歌う。その歌詞をフガンは理解できない。異国の言葉、あるいは何かの記号のように思える。ベラは船の外、つまり海にむかって受かっている感じなのだ。船の動きがおかしい。海水が急に、甲板に撥ねあがってきた。その海水が徐々に、形になっていく。やがて、姿が決まる。出現したのは水鳥である。この鳥のむこう側は不完全だが、透いて見える。
「面妖な事。レディもこの男の仲間と見えますね」フガンが叫んでいた。
「ほほっ、聖水騎士ならそんな事くらい自分で考えなよ」ベラはフガンにあかんべーをする。かえす顔でシマにどなる。
「ほら、シマ、ばやぼやするんじゃないよ。はやく、この鳥にのるんだよ」
「し、しかし、ベラ、私は」
「早く、あーたら、こーうたら言ってるひまはないよ」ベラにせかされ、シマは、不承不承、鳥の背に乗る。シマは今にもこの鳥の水で溺れるのではないかとヒヤヒヤする。
フガンは再び聖水剣を手ににじりよっていた。「ほら、飛び立つよ」一瞬、フガンの聖水剣から、聖水がベラに向けられて発射される。「レディ、おかえしですよ」聖なる水がベラの肩を撫でる。
「やられた。シマ、後を頼むよ」「そんなこと、いったってベラ、どうすれば」シマはおろおろする。がベラはすでに気を失っていた。「おーい、ベラ、起きてくれ」が、水鳥は、シマの都合など無視して、晴れ上がった蒼弓の空へと舞い上がっていく。
船には、空を見上げるフガンがつぶやいていた。
「あのレディは海水を動かしましたねぇ。ひょっとして伝説の『みしるし』かもしれません」 フガンは自分の装甲服についている連絡機器のスイッチをいれる。聖水騎士団長アマノに今の一部始終を告げ、言葉をついだ。
「少しばかり、私は今のシマ老人と歌姫ベラを調べたいのですが」 しばらくの沈黙のあと、アマノは答えた。「よし、フガン、その奴隷船の船長を締め上げてみろ。何か、手掛かりがあるかもしれん」「わかりました」
「『みしるし』であることがわかれば、まあ、よい、気をつけろ。君は、おもわぬくじをひいたのかもしれん」
フガンは早速、奴隷船船長にあっていた。事情を説明し、船長の協力を得ようとした。「流体のひとりのシマでしょう。あいつについては奴隷市場では、まったくデータがついていなかったのです」船長はこういう。
「彼はロボットだったのでは」「いや、それはないでしょう。生体チェックをクリアーしていますから」
「聖水以前は何をどこで何をやっていたのか、わからないのですか」「いや、はっきりとはわかりません。ただ」
「ただ、何ですか。言ってください」
「ある流体がシマと歌姫ベラとがしゃべっているのを聞いていたらしいのです」
「ほほっ、それは興味深いですね」
「この流体はベラにほれていましたから、あまり、ベラがシマと仲がよいのでじゃまをしょうとしたらしいのですが」フガンは話しを遮る。
「前おきはいいのです。どんな事をしゃべっていたのですか」
「シマは自分の出自をベラにしゃべっていたのです」
「どんな内容ですか。話してみてください」
内容は以下のようだった。
しがない奴隷船のこぎ人にすぎないシマ。彼は聖水以前の出来事の記憶がないのだ。その時、歌姫ベラが尋ねていたらしい。
「シマ、全然、記憶がないの。本当なの。おかしいわよ。私だって私のお母さんがデパートの売り子だってこと覚えているわ。あなたはどんな職業だったかも覚えていないの」
「残念だが、ベラ。私はある船にひろわれたらしい」
「海から生まれたとでもいうの」
「海からひろわれた後も、長い間、収容施設の病院にいたようだ。聖水によって地球の社会機構が変わった時に、その病院からほうり出された」
「それで、奴隷市場に出て、奴隷船の流体となったわけ」
「そうだ。ところで、ベラ。君はなぜ、歌姫なんかに」
「一言でいえば、才能ね」ベラは鼻をピクピクさせて言う。
「才能。ベラ、それは大きくでたものだね」
「だって、私には、その人を歌に出来るもの」
「どういう意味だね」
「どんな人でも旋律をもっているのよ、生まれながらの旋律が体に組み込まれているの。それが、私には分かるの」
「だからこそ、マハンにある歌姫養成アカデミーに入ったわけだね」「おまけに優等生でね」
フガンが船長から聞き出したのは、このような内容だった。フガンはアマノに連絡した。「わかった。それでは、フガンくん、彼らを追ってくれるかね」
「わかりました」フガンは、船長から話しを聞く間に、奴隷船の上空に自分の飛翔機を呼び寄せていた。
(4)
シマはようやく目ざめた。鳥はシマと、意識を失っていたベラの体をどこかに運んだようだ。シマは飛行中に疲労で寝てしまったようだ。しかし、いまだに信じられなかった。自分はあのフガンとかいう聖水騎士団の男に聖水をかけられた、が消滅しなかった。おまけに単なる歌姫だと思っていたベラが、海水を鳥に変化させた。自分はその鳥に乗ったのだ。脅えが今ごろ、シマの体を震わせていた。それにしてもここは。雨音が急にシマの耳に飛び込んで来る。シマは何かの建物の一階にいた。バラック状の簡素な建物で、シマの目前にドアがあった。窓からは激しい雨足が見えている。ドアを開けてズブヌレの男が入ってきた。男の顔はレインパーカのフードのせいではっきり見えない。不安がシマの体を震えさせた。不安は人を多弁にする。
「あなたはどなたですか。それにここは」
「我々はレインツリーだ」その男はフードをあげながら、言った。シマが思ったより若い男だった。
レインツリー、対『聖水』組織。聖水紀以前の地球社会に復帰さることを目的とする組織だった。おまけに、呪術者集団。
「安心しろ、シマ、我々は味方だ」
「ここは、どこなんですか。それにベラは大丈夫なのでしょうか」「レインツリーの基地のひとつだ。ここは多雨地域。聖水騎士団もなかなかちかずけまい。ベラのことは、直接本人から聞け」
建物に今度は小さな人間が入ってくる。フードをはずす。元気なおなじみの顔があった。「シマ、大丈夫だった」ベラの第1声だった。
「君こそ、大丈夫なのか。たしか聖水を体に浴びたはずだ」わずかに、安堵感がシマの体に広がっていく。
「わずかよ。それにこのレインツリーの基地で手当してもらったの。私の体は特別製なの」傍らの男を見てベラはしゃべった。最後の言葉に意味があるかのように。
「シマにはもうしゃべったの、ロイド」
ロイドと呼ばれた男は首を振る。
「いや、まだだ。君の口からいってもらったほうがいいと思ってね」 ベラはすこしの間、考えていたようだが、やがて決心したようにシマの目をみつめながらしゃべった。
「シマ、あなたはシマではない」
シマはとまどう。悪い冗談かとも思った。が、ベラの表情は、船の上の歌姫の冗長なベラのそれとは別物だった。
「どういう事なのかな。君は私を探っていたのか。疑っていたのか。だから、船の上の君は演技だったのか」シマはわけののわからない怒りで、自分がつき動かされているのを感じた。ベラは顔を赤らめて絶句する。ロイドがその場を救おうとした。
「それはベラから答えにくいだろう。私が船にいる君を発見し、確認のためにベラを歌姫として潜入させたのだ」
シマは考える。この私がシマでないとすれば、一体私はだれなのだ。ベラは私が誰だかわかっていて私に質問をしていたという。このレインツリーの人間は、本来の私が何者なのか知っているわけか。シマは怖かった。自分が誰か聞くことが。シマの心はちじに乱れ、叫んでいた。
「頼む。教えてくれ。私は誰なのだ」
「本当に知らないようだな」男は静かに言った。「君はウェーゲナー・タンツ宇宙連邦軍大佐だ。聖水が地球防衛圏を突破するのに手をかした男だ。君のために地球は聖水に汚染されたのだ」ロイドの目には憎しみの炎が燃えている。
ロイドの言葉はシマの心に深々とつき刺さる。俺がウェーゲナー・タンツだと。地球最大の裏切り者。急に過去の記憶が戻ってきて、タンツの心と胸を一杯にした。犯罪者。震えがタンツの体を襲った。たっていられない。両手両ひざをついた。タンツの体は小刻みにふるえる。汗が体じゅうから吹き出る。
ロイドがひざまずき、タンツに被いかぶさるように、タンツの顔をのぞきこむ。「タンツ宇宙連邦軍大佐。君に教えて欲しい。宇宙連邦軍の秘密要塞の位置を。君しか生き残っていない。宇宙連邦軍で、君しかね」タンツの脳裏には、連邦軍の潰滅シーンが想起された。
「ねえ、タンツ、お願い。教えて。覚えているはずよ。宇宙要塞ウェガの位置と要塞侵入のパスワードを」
「宇宙要塞ウェガが我々の切り札なんだ」タンツは無言で震え続ける。
「だめよ。ロイド、タンツは堅く自分の殻に閉じこもっている。病院でも、自分がタンツだと、結局最後まで認めなかったというわ。今でもショック状態よ。我々の機械で治療しましょう」
「ベラ、時間が惜しい気がする。こんな奴に時間を与えるのがねえ」 あたりが急に騒がしくなった。ロイドは建物から飛び出る。男が走ってくる。
「どうした、何があったのだ」「大変です、チーフ」息を切らせてその男は叫ぶ。雨がその男の顔といわず、頭といわず激しく降り注ぐ。
「騎士団員です、騎士団員がここに」
「なぜ、ここがわかったのだ」ロイドの手の中で男は崩れる。「聖水がかかっていたのか」ロイドの方へ、雨足のけぶる中、また誰かがちかずいてくる。「誰だ。ハーマンか」ロイドは仲間の名前を呼ぶ。
「残念ながら、ハーマンではありません」やさしい声がかえってくる。
「誰だ、きさま」ロイドはいぶかって相手をみようとした。ぬっと新手の男が登場する。大音声で名乗りをあげる。
「初めて、お目にかかります。聖水騎士団員、レオン=フガンといいます。以後、お見知りおきを。歌姫ベラ、さらにこぎ人シマをいただきにまいりました。おとなしく渡していただきましょう。もし、だめとあらば、この私の聖水剣の舞いをご覧にいれましょう」
「きさま。ひとりでここへ」
「そうです。失礼にあたらねばよろしいのですが」
「いい度胸だ。が、どうしてここが、」
「職業上の秘密ですといいたいところです。、まあ、サービスしましょう。聖水が彼女にかかったのですよ。その聖水がこの場所を教えてくれたのです」
「あの少量の聖水が」
「そうです。ああ、それについでに申しあげておきましょう。その聖水は私が先刻、研究所からいただきました。私に所有権はありますものですからね」
「聖水を返してもらおう」
「わからない人だなあ。私たちに所有権はあるといったでしょう。それより、ベラとシマを渡してください。あなたがたレインツリーを滅ぼすのは時間の問題なのですよ」フガンはあたまりまえのように言う。
「フガンとやら、我々が簡単にベラとシマを返すとおもったか。この基地で、きさまから聖水を奪い取ってくれる」
「お手並み拝見しましょう」フガンはニヤリと笑う。聖水剣を引き抜いていた。建物からベラが飛びだしてきた。
「ロイド、無謀よ。彼は聖水剣をもっているのよ」
「これはレディ、またお目にかかりましたね。聖水騎士団レオン=フガン。聖水の命により、あなたを貰い受けにまいりました。すぐさま、聖水のみもとに」フガンはベラの方に手をさしだしていた。「笑わせてくれるわね。フガン」ベラはフガンの手を打ちすえる。「私のお願いを受け取っていただけない。寂しい限りです。わかりました。それでは力ずくで、あなたをさらつていきましょう」
「フガン、いい度胸だ、まわりを見ろ」ロイドが叫んでいた。フガンのまわりをレインツリーのメンバーがとりかんでいた。
「これは、これは怖そうなおにいさんがただ」「フガン、へらず口をたたくのもこれまでだ。我々の包囲陣、やぶれるか」
「何」フガンは聖水剣をむけた。が、聖水が彼らにとどかない。
「ここれは」
「フガン、我々が何故、このような多雨地帯にいるのか、わかるか」「さては」
「きさまの想像どうりだ」水にたいして水を使う。地球の水がレインツリーの呪術師の念力によりバリアーとなっている。分がわるいとフガンは判断する。彼は臨機応変フガンは一瞬飛び上がり、ベラの真後ろに着地した。
SF小説■聖水紀■(1990年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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