HANNAのファンタジー気分

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October 28, 2007
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『妖精国の騎士Ballad』 は、 54巻でついに完結した本編 の後日談です。9月に発売されていたのに、ちょっと忘れていたら、某ネット本屋さんで在庫が売り切れたらしく、今月初めごろにはプレミア価格(定価の倍以上!)がついていました。
 ようやく再入荷したのか価格が定価に戻ったので、購入しました。本編だけでもとっても場所を取るのですが、20年前の連載開始からずっと追いかけてきた物語だけに、外伝1冊たりとも買いのがしてはいかん!というわけです。

 本編ではかなり前からヒロインのローゼリイがアーサーとの恋を成就させ、最終巻で悪の大国グラーンを倒して平和をもたらすと、二人して旅に出て終わりました。それはすっかり予測済みの終幕で、長編がようやく終わった時も、ああやっと・・・ という感慨はあったものの、驚くべき結末ではありませんでした。
 本編でついに語られず、気になっていたといえば、ローゼリイの兄で新王となるローラントが、いったい誰と結婚するのかということですが、これが後日談でやっと明らかにされます。

 といっても、彼を愛する3人の王女たちの中で予想通り、ロリマーのわがまま姫シェンドラでした。シェンドラはずっと足が悪かったし、彼女の父母は主人公たちの“親の敵”だし、性格的にも問題ありでしたが、そういう女性とあえて結婚させることで、物語的には、新しい王ローラントの器の大きさというか、懐の深さを示す効果がある、ともいえます。
 そもそも主人公たちが子供だった物語の初めから、彼らの父母たちの、

  「門の所で/王子に会ったが/大きくなられたな/美しくすこやかな少年だ

  「シェンドラ姫の/足はいかが?」
  「立たん!/このままだと/まったく歩けんということだ」
  「そうか…」             ――中山星香 『妖精国の騎士』 1巻

というやりとりがあって、これが実は一種の予言(伏線)になっていたのですね。シェンドラの父はやがて親友だったローラントの父を殺すことになりますが、そんな悲劇こんな悲劇の紆余曲折の末に、シェンドラの足は治り、ローラントは彼女を選んでめでたく結婚することになります。

 『Ballad』で語られるいちばんの驚きは、何と言ってもローゼリイとローラントの異父弟が登場すること。のちに白魔法使いとなるロビンですが、本編最後の方でちらっとローゼリイの夢(幻視)の中に、登場予告!みたいに出てきます。
 中山星香のファンタジーシリーズで、すでにおなじみの魔法使いアーサー・ロビン君と名前が似ているあたり、この二人の血縁関係が想像されたりして(時代からいってロビンの子孫がアーサー・ロビン?)、未来の作品での再登場が楽しみです。

 『Ballad』の最終話で、長い長いローゼリイの物語は、ようやく25年前の作者の本格ファンタジー処女作である 『はるかなる光の国へ』 につながります。玉ねぎ村の少女アルダとローゼリイとの時を越えた出会いのシーンは二つの物語に共通で、セリフもまったく同じです。見比べてみると、新旧の絵のタッチの違いはもとより、その間に横たわる長い年月と長い物語を感じることができて、感慨深いものがありました。





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Last updated  October 28, 2007 10:22:41 PM
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