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2006/09/11
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カテゴリ: 恋愛小説(連載)
【「きっと、二人なら…」を最初から読む】 【目次を見る】

「どう? 相田さん、俺の眼鏡、似合うかしら?」
 わざとおねえ言葉で言って、尚吾はふふーんと笑って見せた。
「え、はぁ…何とも…古風なお眼鏡で」
 少し困ったような顔をしながらも、貴子もいつものお笑い口調で言葉を返す。すると得意げに
「でしょ? このレトロな感じが素敵なのよ」と尚吾が続けた。
「だから何でさっきっから、おねえ言葉なんだよ!」
けれど、すかさず純から突っ込まれ、「あら、細かいこと気にする人ねぇ」と何故か相変わらずのおねえ言葉で返す尚吾なのだった。
 そこへ

それから「後はもう私がやるから、お父さんは上で休んでてくれていいよ」と父へと言う。
「あぁ、後は頼んだよ」
彼女の父親は穏やかに笑ってそう言うと、店の奥へと入って行った。
「でもさ三坂君、その眼鏡かけるとなんかすごくおもしろ顔に見える」
 そう言ってクスクス笑いながら、由里も貴子の隣に腰を下ろした。
「ところでさぁ、なんで今日は眼鏡な訳?」
「よくぞ聞いてくれました、早川君! 聞くも涙、語るも涙の理由(わけ)があるのですよ!」
 いかにも聞いてちょうだい! と言わんばかりの尚吾の口調に、他の四人が一気に苦々しい笑みを浮かべる。
「実はね」
皆の苦笑など余所に、尚吾がおもむろに語り始める。
「今朝、朝飯を食いに出かけたんだけど、横断歩道渡ってる最中に強い風が吹いてきて、目にゴミが入った訳よ。

「いや、どうよ? って問われても…」
 声を揃えて言う四人。そのこめかみからは明らかに汗が伝っている。
「でさ、一生懸命ゴミ取ってたら…!」
ズルリ、と何故かストローは使わずにアイスティーをすする。
「なんでストロー使わないんだよ!!」

「やぁねぇ、早川君も細かいんだからぁ」
「だから、なんでおねえなんだよ!!」
最後には四人全員から突っ込みを入れられる始末。
「で? ゴミ取ってて結局どうなった訳?」
 由里が促すと、再び尚吾が話し出した。
「ゴミは取れたんだけど、それと一緒にコンタクトまで外れて、その上風に飛ばされて落ちたところをおばはんに踏んずけられた」
 哀れだ! なんて哀れな男、三坂尚吾。。
あまりにも気の毒すぎて、返す言葉さえ見つからない。
「で、でも…さ。片方だけで…良かった…よ、ね?」
何とか秋がフォローしたけれど、そのぎこちない途切れ途切れの言葉が、余計に尚吾の哀愁を濃くしたことなど当の彼自身は全く気づく由もない。
「で? わざわざ俺らを呼び出した理由って何?」
 相変わらずクールな純が、あっさりと話題を変えるべく尚吾に尋ねると
「えぇ? ひどいよ、桜井君ったらぁ! 少しくらい慰めてくれたっていいのにぃ!」と尚吾が甘えたように言った。
「いや、だからもういいですから、おねえは。。早く本題いってくんないかな?」
思いっきり苦笑しながら純が言うと、「はう、桜井って冷たい。きっと血液が氷水でできてるんだ」とだだっ子よろしく顔をしかめて見せる尚吾。
「あはは…」
 他の皆一同に薄ら笑いを浮かべる。
「病院の飯ってすんげぇ不味いらしいんだよ。そこで今宮さんに、俺らみんなで美味いもんでも食わせてやれないもんかと思ってね」
--いきなり真面目モードかよ!!
 そんな風に、他の四人が心で突っ込みを入れていることなど全く気づく由もなく。尚吾の表情は真剣そのものだった。
「確かに、病院のご飯は美味しくないよね。私もお父さんが入院してる時、一度一口だけ食べさせてもらったことあるんだけど、すんごい味薄かった!」
 話している途中でその時の味を思い出したのか、由里は苦虫を噛み潰したような顔をした。
「そうよねぇ。どこの病院も似たような味だって聞いたことあるし」
貴子も由里の話にうなづきながら言う。
「そこで、俺に良い考えがあるんだが」
 真剣な顔で言うと、尚吾は声を潜めて皆に耳打ちするかのように話し出す。
既に閉店していることさえ忘れて、小さな喫茶店の片隅、頭を寄せ合いひそひそと作戦会議さながら話し合う五人は、端から見れば明らかに怪しい。
そして何やら話が纏まったらしく、五人一斉に椅子から立ち上がる。けれど勢い余って、尚吾の椅子だけがガタンッ!! と派手な音を立てて倒れた。
「では君達、明日は作戦通りに頼んだよ!」
「イエス! ボス!!」
 びし!! と尚吾に向かって敬礼する四人。全く乗りやすい学生達である。
 その後、由里以外の四人は彼女に「また明日」と手を振ってから店を後にした。
~To be continued~




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最終更新日  2006/09/11 10:09:28 PM コメントを書く


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