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CAFE APRES-MIDI ベスト10


【 ポップ偏差値 69

DEE EDWARDS / MR.MIRACLE MAN '80 「Two Hearts Are Better Than One」



60年代からシングルを残していたアラバマ生まれの女性ソウル歌手ディー・エドワーズの80年のアルバム「Two Hearts Are Better Than One」収録曲。作曲はWillie Hutch、プロデュースはソウル名曲の 「Elusions / I'd Like To Say I Love You」 を77年に手がけているMichael Zagerという豪華な組み合わせ。

曲は溌剌とした雰囲気のミディアムテンポの軽快なソウル。全体を通して明るい雰囲気が好印象で、メロディも最初から最後までどこをとっても良質。アレンジもポップで実に聴きやすい。ソウルでタイトルにミラクルとつく曲には良曲が多いけど、これもその代表曲の一つと言えるでしょう。

「YOU TUBE」 で聴けます。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(高揚感) ポップ偏差値合計
8
8 8 7 7 9 8 9 5 69


GROVER MITCHELL / CRY '69



1951年の女性歌手Little Donna Hightowerによるヒット曲のソウルカバー。 Roy Orbison LYNN ANDERSON Willie Nelson Tammy Wynette など主にカントリー系の歌手中心にカバーされているようです。オリジナルやそれらのカバーはゆったりとした流れの甘いバラードという感じですが、このGROVER MITCHELL版はスピードアップさせたグルーヴィーな内容。歯切れのよい軽快なリズムに溌剌としたヴォーカルが甘酸っぱいキャッチーなメロディを爽快に歌い上げます。乾いた空気感に適度に黒いグルーヴ。1969年の作品だけど、その後の70年代フィリーソウルの興隆を予感させるような華やかなサウンドも素晴らしい。オリジナルの持つ良さを活かしながらもソウルの醍醐味を十分堪能できる画期的変換を遂げたナイスカバーと言えるでしょう。

「YOU TUBE」 で聴けます。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(洗練グルーヴ) ポップ偏差値合計
7
7 9 9 8 9 8 7 5 69


CURTIS / HOW CAN I TELL HER (CHARM CITY 81853)'79



79年作の軽快なモダン・ダンサー。派手さ控えめの単調なメロディが特徴的で、抑制の効いた冷ややかなコーラスの繰り返しによる冷却効果も抜群。手拍子入りのディスコなリズムはグルーヴィーだけど、かなり洗練された雰囲気を感じさせます。細やかなギターのカッティングも切れ味鋭くカッコイイですねー。ヴォーカルは熱めだけど、曲全体が発する冷ややかさとメロディの単調さに中和されて暑苦しいとまでは行かずいい塩梅に。これだけ単調な内容で更に7分超えの長い曲だけど全く飽きさせない所が素晴らしいですね。

そして随所に散りばめられた電子ドラムやエレキ・ベースのテクノ音が良い意味でモダン臭を発し、いいアクセントになっています。こんな軽めの洗練された内容ならフリーソウル・ファンにも楽しめそうですね。

「YOU TUBE」 で聴けます。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(洗練グルーヴ) ポップ偏差値合計
7
7 8 8 10 8 9 7 5 69


MARVA KING / ISLE OF CASTAWAYS '81 「FEELS RIGHT」収録

FEELS RIGHT.jpgHYOKKORI.jpg

タイトルの意味は「漂流者たちの島」って感じでしょうか。その割には悲壮感など微塵も感じさせない、暖かくまぶしい太陽の光で一杯の多幸感に満ちた南国の小島を彷彿させます。ゆったりとしたトラックをベースに、ふわふわっとした浮遊感一杯のトラックは、あるいは「ひょっこりひょうたん島」よろしく漂流している島そのものをイメージしてるんじゃないかとも思わせますね。

ヴォーカルはソウルフルというよりはむしろアニソン・声優ソング的で、過剰なまでに可愛らしい女性を演出しています。快活な子猫のようにいたづらっぽく、ツンやデレを適度にまぶしながら表情豊な女の子をチャーミングに表現していますね。甘い声質そのものの魅力も相まって実に萌えるヴォーカルですなー。甘酸っぱく爽やかなメロディも秀逸ですが、こういうのは甘茶ソウルとは言わないんでしょうかねえ。

「YOU TUBE」 で聴けます。

PETE ESCOVEDO / CABO FRIO '97 「FLYING SOUTH (CONCORD 4684)」収録

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シーラE(シーラ・イーストンじゃないよ)の父親であるラテン・ジャズ・パーカッショニストのピート・エスコベド。その彼の97年と比較的新しいコンコード(CAFE APRES-MIDIシリーズも出ている)からのアルバム収録曲。

曲はスマートでクールで熱いラテン・ジャズで時折女性コーラスが入るインスト・スタイル。「パララ、パーラリラ」いう明るく快活で引き締まった女性コーラスが全体をリードし、その明るく乾いたムードは70年代的でさえあり好印象。基本リズムはスピード感のあるラテン・ジャズで時折カーニバル・サンバ的なノリを織り込み情熱のグルーヴを感じさせるものの、同時に緻密に計算し尽くされたかのような冷静さも兼ね備えている。

更にパーカッショニストの作品ということで、ドラムとパーカッションの織り成すワイドで奥行きのある色彩豊かなサウンドは聴き応え十分で、大型スピーカーで重低音を楽しみたい時などにモッテコイです。都会的、否、近未来的とさえ言える高度に洗練された雰囲気も大きな特徴で、ラテン味にいまひとつ馴染めない人にも自信をもってお薦め出来る作品です。 こちら で試聴出来ます。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(洗練グルーヴ) ポップ偏差値合計
8
8 8 8 9 7 9 7 5 69


JUPITER PROJECT / MY MISTAKE (WAS TO LOVE YOU) 「THE VINTAGE WORKS」'93 (東芝EMI TOCP-7750)収録

JUPITER VINTAGE.jpg

60年代R&B、70年代SOULというアメリカ黒人音楽の生音の持つ魅力が大好きな者としては、80年代以降のR&Bで聴ける、いわゆる打ち込み系の音は大嫌いな訳ですが、この93年の日本産ハウス/クラブ系サウンドは例外的に好きです。モンチ田中という人のプロジェクトのようなんだけど、このアルバムは下記の通り全曲がソウル系ヒット曲のカバー集となっています。馴染みの曲だから聴きやすいというのもあるかも知れないけど、もうかれこれ10年ほど愛聴してきたことを考えるとある程度普遍的な魅力がここにはあったと言えるでしょうね。特に1,2,7,8で聴けるミディアム/アップテンポなものに魅力があります。どれも甲乙付け難いナイスカバーで、全てにオリジナルを凌駕する魅力があるので何れ全曲紹介したいと思ってます。

今回はその中のDIANA ROSS & MARVIN GAYEによるデュエット曲のカバー。オリジナルとはかなりアレンジを変えた大胆なハウスミックスで一言で言えばスーパーポップ!無機質な機械的ドラムサウンドはタイト、パーカッシブな添え物も美味。ベースの重量感とエレピの連打が実に心地よく響く。陽性な男性ヴォーカルが乾いた空気感を醸し出し、サウンドのスピード感にもうまくマッチ。もちろん元のメロディの出来がいいということもありますが、ソウル好きにはほとんど話題にのぼらない曲。そんな曲をここまでのグレイドに引き上げたアイデア、力量は素晴らしく、はっきり言って世界に誇れる傑作カバーです。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(ポップなハウス解釈) ポップ偏差値合計
8
8 8 9 8 7 8 8 5 69


1.YOU DON'T HAVE TO BE A STAR (MARILYN MCCOO & BILLY DAVIS JR.) (ポップ偏差値64)
2.COULD IT BE I'M FALLING IN LOVE (SPINNERS) (ポップ偏差値69)
3.REUNITED (Peaches&Herb)
4.LOVE ON A TWO WAY STREET (MOMENTS)
5.TELL ME IF YOU STILL CARE (S.O.S. BAND)
6.BETWEEN THE SHEETS (ISLEY BROTHERS)
7.ROCK YOUR BABY (GEORGE MCCRAE) (ポップ偏差値65)
8.MY MISTAKE (WAS TO LOVE YOU) (DIANA ROSS & MARVIN GAYE) (ポップ偏差値69)
9.YOU ARE EVERYTHING (STYLISTICS)
10.BECAUSE I LOVE YOU (THE POSTMAN SONG) (Stevie B)

* ( )内はオリジナルアーチスト名。甘茶ソウルカバーは流石にどれも駄作。

JUPITER PROJECT / COULD IT BE I'M FALLING IN LOVE 「THE VINTAGE WORKS」'93 (東芝EMI TOCP-7750)収録

JUPITER VINTAGE.jpg

当ブログで既に 「MY MISTAKE (WAS TO LOVE YOU)」 「SILENT EVE」 の2曲も取り上げている日本のクラブ/ハウス系ユニットのジュピター・プロジェクト。洋楽中心に歴史的・世界的名曲ばかりを取り上げている当ブログにおいて日本人のユニットで(これで)3曲も取り上げるというのは極めて異例なわけで、その意味でもリーダーのモンチ田中という方のセンスは素晴らしいなと思います。

既に取り上げたアルバム 「THE VINTAGE WORKS」 収録のこの曲は70年代ソウルグループ、 SPINNERS のヒット曲カバー。原曲よりも少しスピードアップ、ノリノリでグルーヴィーなリズムにのせ、現代風なハウス/クラブ系サウンドで仕上げています。ヴォーカルはKALEB JAMESという黒人歌手で乾いた、陽性な声質で伸びやかな歌を聴かせてくれます。その歌声は躍動感のあるトラックによく馴染んでおり、原曲よりもより高揚感の増した仕上がりが素晴らしいですね。原曲のメロディの良さもあいまって、ハウス/クラブ系サウンドが苦手なフリーソウル・ファンなんかにも受けるんじゃないかなと思います。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(高揚感) ポップ偏差値合計
8
8 9 8 8 8 7 8 5 69


【 ポップ偏差値 68

Cal Tjader / Mambo Mindoro 「La Onda Va Bien」'80



ジャズのアメリカ人ヴィブラフォン奏者カル・ジェイダーが晩年に残したアルバム「La Onda Va Bien」に収録のマンボ曲。マンボはキューバの音楽形態であるので、そういう意味では異種音楽への挑戦であった訳だけど、見事に消化したうえで完全にカル・ジェイダー独自のクールなマンボ・ワールドを実現したという感じですね。フィリピンの島名であるミンドロ島のマンボと名付けられたこの曲で、彼がミンドロ島にどんなイメージを感じて作ったのかいまいちよく分からないけど、曲の印象として第一に感じられるのは情熱と冷静さが混在する大人の知的で洗練されたラテン音楽という感じ。まるで良質なSF小説でも読んで異世界に放り込まれたよう。激しくPONCHO SANCHEZのコンガが鳴り響き独創的でグルーヴィなパーカッション、ドラムとの織り成すリズムが特徴的で、その想像力と創造力の素晴らしさには感服。因みにイントロのこのリズムパターンは、日本のジャズバンドUnited Future Organizationの名曲 Loud Minority に引用されてる感じですね。スピード感のあるリズムと激しい音の洪水の中、クールに鳴り響くジェイダーのヴァイブの奏でるメロディもキャッチーで魅力的。

「YOU TUBE」 で聴けます。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(創造力) ポップ偏差値合計
7
8 8 9 8 7 9 7 5 68


Holger Czukay / Persian Love '78「MOVIES」



ドイツの前衛的ロックバンド「CAN」の主要メンバーだったホルガー・シューカイがバンド解散後に発表した1978年のソロアルバム「MOVIES」収録曲。「CAN」というといかにも難解そうで敬遠しがちだけど、このペルシアン・ラブはかなりポピュラーな雰囲気。後に 「サントリーウイスキー 角瓶のCM」 に起用された程で、他にもスネークマンショーのアルバムにも抜粋されたり。フリーソウル的には純正コンピ収録ではありませんが、P-VINEからのコンピ「GROOVY SUMMER OF LOVE」に収録されています。

曲はタイトルにペルシアンとあるように中東ペルシア語圏の雰囲気を醸すエキゾチック・ポップ。ペルシャ風の男性ヴォーカル(コーラン?)や女性の声を随所に挿入、更にペルシャ風の器楽も取り入れられている感じで異国情緒満点。然しながらミディアムテンポのリズムは軽やかで清涼感のあるギターが鳴り響きかなり和める内容。メロディも分かりやすく全体的にポップでお洒落な雰囲気が素晴らしいですね。なお、最近でた12インチ盤には別バージョンが収録されているようです。

「YOU TUBE」 で聴けます。

EUGENE SMILEY AND THE ESSENCE OF LOVE / YES IT'S YOU (K-CITY IRDA 481)'78

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ユージン・スマイリーはCarl Davisのもと、シカゴのVisitorsのメンバーだったアーチスト。その後カンサスに移り彼名義ではおそらく78年のこのシングル1枚のみしか残さなかった模様。附随するコーラス・グループの「ESSENCE OF LOVE」って名前もイカしてるね。明るく軽快に始まるイントロに爽やかなコーラスが乗り、ボーカルが吠えて盛り上げていき、バックも激しく畳みかける・・・歌が始まるまでのこの流れが情報量も多く実に私好み。その後の展開も基本スマートなリズムに爽やかなコーラスということで、所謂モダンソウルにカテゴライズされる作品。ひたすら明るくポップな曲調に軽快なグルーヴや途中転調する妙味などなかなかのセンス。もっとこんな作品を残して欲しかったですねえ。

「YOU TUBE」 で聴けます。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(情報量) ポップ偏差値合計
8
8 8 7 8 8 8 8 5 68


BROADWAY / YOU TO ME ARE EVERYTHING '76 (GRANITE 540)

broadway.jpg

甘茶ソウル百科事典BILLY'S SELLECT 008。 「FREE SOUL WING」にも収録されたイギリスの黒人グループ、REAL THINGのカバー曲。そのライナーにも触れられてますが、こちらはアメリカのソウルグループによるカバーでプロデュースはTony Sylvester、アレンジがパトリック・アダムス。切ない泣きのメロディに爽快で高揚感あるメロディが素晴らしい曲。高空を駆け抜けるストリングスの清々しさって言ったら無いネ。

ヴォーカル・ワーク、サウンドともに高度に洗練されたREAL THING版と比べ、このBROADWAY版はいまいち垢抜けない感じ。然しながらヴォーカルは荒削りで緊迫感があり、情感もより深く、なかなかソウルフルで味わいは深く濃い。ソウル好きならやはりこちらも聞き逃せません。

同じくソウルグループのREVELATIONによるカバーは、アレンジが少し独自解釈されており、適度に力の抜けたモダンソウルといった感じ。まあ元歌がいいからどういじっても美味しい曲という感じですね。

wikipediaに この曲の項目 があり、それによると、Frankie Valli、Sonia、Tiny Tim、Marina Reiなどのカバーがあるとのことです。更に調べてみると他にも、OHIO PLAYERS、SANDRA PIRES、MATT'N'PHATTなどもあるようです。(その後、Raymond Lauchengco、Samona Cookeによるカバーがあると情報をお寄せ頂きました。記事は こちら です。)
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(清々しさ) ポップ偏差値合計
7
8 9 7 7 8 8 9 5 68


MOSES DILLARD & MARTHA STARR / CHEATING,TEASING AND MISLEADING '72(SHOUT 248)

MOSES DILLARD  MARTHA STARR  CHEATING.jpg

男女の言い争いで始まる70年代初期の明るいソウル・ダンサー。その後もモーゼス・ディラードとマーサ・スターが交互に元気一杯に歌いあっていきます。ヴォーカルは両者とも若くピチピチと弾けた感じで全体としてヤングソウルといった言葉が似合う感じ。アップテンポなリズムは全編にタンバリンが入り、とても快活な感じ。60年代のモータウンとかそんな感じネ。

メロディもきれいなラインで高揚感があり、暗さの翳りも無い70年代初期の明るい空気が充満していて素敵です。それととても特徴的なのが全編に入るエレキ・シタールで、ビヨンビヨーンと自在に宙を舞う様が実に楽しい。元気で景気のいい厚めのホーンなどと混ざりあって、かなり明るく楽しい雰囲気が出ていてパーティーとかでかけると相当盛り上がりそうですねー。SHOUT盤が有名ですが、「AWAKE AK101」がオリジナルのようです。バックはTHE TEX-TOWN DISPLAY。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(エレキシタール) ポップ偏差値合計
8
8 8 7 8 8 8 8 5 68


FREDDIE MCGREGOR / THAT GIRL (GROOVY SITUATION)12" '87 (「FREE SOUL 2001」P.75掲載)

THAT GIRL

87年というとBUBBLIN' DUBが西麻布から幡ヶ谷に引っ越してしまい変わりにCLUB JAMAICAが西麻布に出来た頃だ。この曲を初めて聴いたのはそのCLUB JAMAICAで、その日の一番最初にプレイされたものだった。その週のうちにこのお皿を買いに走ったんだけど、すぐに市場から消えてしまっていた記憶がある。右側のお皿も当時もの。珍しいかもしれないが内容はつまらない。

GENE CHANDLER / GROOVY SITUATION (MERCURY 73083) '70 のカヴァー曲でもって、「Young-holt Unlimited / SOULFUL STRUT '68」,「Barbara Acklin / AM I THE SAME GIRL」ネタでもあるこの曲はMAXI PRIESTのポップで洗練されたタッチのレゲエに触発されて作られたものであろう。二つのシカゴソウルをブレンドさせるという着眼が素晴らしく、(おそらくは)「SOULFUL STRUT」ネタの始祖曲となった。

フリーソウルシーンでも人気曲のようで橋本徹氏のポリドール盤コンピにも入れたかったけど入れられなかった旨書かれている。(雑誌RELAX 2001年7月号に掲載された橋本徹氏の「FREE SOUL 2001」にも当然取り上げられている。)山下達郎も「SOULFUL STRUT」,「AM I THE SAME GIRL」をオンエアしてる。私のこのブログのどこでも書き込めそうな便利な曲だ。

明るさと高揚感をちりばめたこの曲はFREDDIE MCGREGORの代表曲だ。あまり歌声に強烈な個性が無い彼だけにポピュラリティを持たせることが出来たのは幸運だった。出だしの煌びやかなホーンはあまりにも有名。レゲエ色は薄いがラヴァーズロックということで問題はないだろう。
明るく元気 テンション 高揚感 乾燥感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(着眼点) ポップ偏差値合計
8
9 8 8 8 7 8 7 5 68


BEE GEES / MORE THAN A WOMAN '78 OST「Saturday Night Fever」収録

Saturday Night Fever.jpg

この曲を始めて聴いたのは10年ぐらい前のラジオで藤原ヒロシがフリーソウル人気曲「RUNAWAY / SALSOUL ORCHESTRA FEATURING LOLEATA HOLLOWAY」と繋げてオンエアした時。もう最初に聴いた時は「RUNAWAY」とのつながり具合の絶妙さに衝撃が走りましたよ。じっくり聴けばテンポやムードが同じなんですよね。

「MORE THAN A WOMAN」は全編に渡ってヴァイブが甘く心地よく転がって、ストリングスも空高く鳴り響いてて、ウォーキングテンポなリズムにファルセットヴォーカル&コーラスで全体を優しく柔らかく包んだ様が絶妙なミディアムダンサー。白人だからこその軽いグルーヴがとっても和めます。

かたやクラブでは絶大な人気を誇る「RUNAWAY」だけど、こちらはフィリーの正統な流れを汲んでいるので当然「MORE THAN A WOMAN」同様ストリングスやヴァイブが心地よくフィーチャーされている。ヴォーカルが黒いからあまり「MORE THAN A WOMAN」との相似に気づかなかったけどそこに着目できた藤原ヒロシは偉大だね。是非皆さんもこの2曲をつなげて聴いてみて下さい。大ヒット映画のサントラ「Saturday Night Fever」収録。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(軽いグルーヴ) ポップ偏差値合計
5
6 9 7 10 10 9 7 5 68


PAUL YOUNG WITH THE Q-TIPS / YOU ARE THE LIFE INSIDE OF ME '82「LIVE (HALLMARK SHM 3175)」

PAUL YOUNG LIVE.jpg

古い言い方をすればブルーアイドソウル、イギリスの白人シンガー、ポールヤングのカッコイイダンサー。だいぶ昔の山下達郎のオンエアで知りました。試聴してみると元々のスタジオ録音版はバラードのようなのですが、ここではライブ向けにアップテンポでノリノリにやってます。出だしのオルガンの音色がスタイルカウンシルっぽく、とってもクールにヒップにグルーヴィーに響きわたり、これがかなりグっときます。タイトなドラム、小刻みにスピード感を出し盛り上げていくリズムギター、きれのいいホーンなどの疾走感も素晴らしい。元々バラード曲だっただけあって、メロディは甘くきれいな旋律で美味。ポールヤングの歌がソウルフルかというと、そういう訳ではないのですが、リズムの軽やかさと相まって、これはこれで十分楽しめると思います。NAPSTERでスタジオ版、ライブ版(2テイク)がそれぞれ30秒ほど試聴出来ます。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(軽やかな疾走感) ポップ偏差値合計
7
8 8 9 8 8 8 7 5 68


WORKING WEEK / VENCEREMOS - WE WILL WIN (Jazz Dance Special 12" Edition) '84

WORKING WEEK  VENCEREMOS  WE WILL WIN.jpgWORKING WEEK PAY CHECK.jpg

元WeekendのSimon Boothらが結成したイギリスのジャズ系グループ。EVERYTHING BUT THE GIRLのTRACY THORNがメインヴォーカルのようでROBERT WYATTもゲスト参加しています。パーカッシブで高速なジャズにその両者のクールな歌声が乗る滅茶苦茶格好いいジャズ・ダンサー。この12インチのバージョン(当時即ジャケ買い)は、10分11秒と長く、様々な熱くてクールなインストゥルメンタル・ジャズ演奏が堪能できるのがイイ。

当時「イギリスの若者向けクラブでは、ジャズで踊るのが流行ってます」みたいな口調でテレビのミュージックビデオでも紹介されたりしてました。「YOU TUBE」には この曲のスタジオライブの映像 がアップされてますが、実際にこの曲でクラブで踊るシーンが映るミュージッククリップが存在したのですが、現時点では「YOU TUBE」にはアップされていないようです。

アルバム「Working Nights」収録の4分41秒のものはこの曲の魅力を堪能するには短すぎで、ベスト盤の「PAY CHECK」にもこのジャズダンス版が収録されていますので、容易に聴くことが出来ます。FREE SOUL系クラブの定番曲なのでは?という気もしますが、何故かコンピには未収録。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(高速ジャズ) ポップ偏差値合計
6
7 7 10 10 7 10 6 5 68


ERIC MERCURY / TAKE ME GIRL I'M READY (COLUMBIA 3-10729)'78

ERIC MERCURY TAKE ME GIRL.jpg

LEON WARE,JOHHNY BRISTOLらによる作品でJr. Walker & The All Starsによるソウル・ヒットのカバー。サックスの鳴り響くゆったりとした原曲?とはかなり趣きが異なり、洗練された華やかなアレンジが素晴らしい。力強いヴォーカルにスピード感のある引き締まったグルーヴ、華やかなコーラスと高揚感ある爽やかなストリングス。全体から感じられる洗練性が、原曲のいまいちヌルいイメージを払拭した華麗なるモダン・ダンサー。画像の12インチ版(COLUMBIA ASD 484)は5分20秒と長い「SPECIAL DISCO VERSION」。

こちら のページの下のプログラム(33分20秒から)で7インチ版が試聴できます。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(洗練&華麗) ポップ偏差値合計
7
7 8 7 10 8 8 8 5 68


【 ポップ偏差値 67

沢田駿吾クインテット+2 / ドライビング・ラブ '67 「Driving Bossa Nova - 爆走 - 」収録



67年のレース映画「爆走」のサントラシングル収録曲で日本産スキャット入りボサノバ。スキャットは浜口庫之助と伊集加代子が、演奏を沢田駿吾クインテットが行っている。曲中で一番際立っているのが伊集加代子による高音高速スキャットで、その瑞々しさと歯切れの良さが素晴らしい。空間的拡がりのあるバックの演奏も洗練された内容で心地よい。全体として感じられる乾燥感と瑞々しさ、スピード感はとても67年の日本産とは思えない出来映え。こういうスキャット曲をもっと知りたいですね。

「YOU TUBE」 で聴けます。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(洗練グルーヴ) ポップ偏差値合計
7
8 8 8 7 7 9 8 5 67


FRANKIE GOES TO HOLLYWOOD / TWO TRIBES (ANNIHILATION MIX)'84

FRANKIE GOES TO HOLLYWOOD TWO TRIBES.jpgFRANKIE GOES TO HOLLYWOOD  TWO TRIBES.jpg

イギリスのポップバンド、フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドの84年の2NDシングルの約9分ものロング・ミックス。プロデュースはTrevor Horn。右側の画像のCDSにはこの「全滅」ミックスの他、「被爆者」ミックスなど合計6つものミックスが収録されていてお徳な内容。

冷戦時代に2大国が戦争したら人類は全滅しちゃうよという内容の曲で、東西冷戦の緊張感の高かった当時の世相を反映させたかのように緊張感のある曲調。ただしトラック自体は非常にダンサブルなもので白人ポップスとしてはかなり黒いグルーヴを感じさせる秀逸なもの。このミックスは短いバージョンと異なり、大半がインスト・パートながら、ステレオ感のあるパーカッションやエコーの効いたベースなどサウンドの空間的拡がりが十二分に配慮された実に聴き応えのある内容。是非爆音で楽しんで頂きたい。

「YOU TUBE」 で聴けます。ナレーションなどを加えた PV も流行りましたね。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(空間的拡がり) ポップ偏差値合計
7
8 6 8 9 7 10 7 5 67


FUZZBOX / BARBARELLA 12" '89(WEA) (「FREE SOUL 2001」P.83掲載)

FUZZBOX

BOB CREWEが手掛けたSF映画サントラ"BARBARELLA"のタイトル曲のカヴァー。元歌聴いたことないんだけど、このカバーいいですねえ。出だしの真空感いっぱいでスペイシーなシンセ。続いて歌が始まるまでのリズム&ギターはちょっとボサノバ風か。ここまでのイントロがたっぷりと長く堪能できるのが良い。その後のヴォーカルも澄んでいて宇宙感たっぷりだね。高揚感のあるメロディも良い。でも「EARLY IN THE MORNING / 誰でしたっけ?」にちょっと似てるな(笑)。

追記: 元曲 が「YOU TUBE」にアップされていました。男性ヴォーカルとは意外でした。このレトロタッチなSF映画、いい雰囲気でてますねえ。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(宇宙感) ポップ偏差値合計
7
8 9 8 8 8 7 8 4 67


MIGHTY VIKINGS / DO RE MI (ドレミの歌) 「Trojan Calypso Box Set」収録

mighty vikings doremi.jpgTrojan Calypso Box Set.jpgMIGHTY VIKINGS ANOTHER LP.jpg

みんなご存知「ドレミの歌」のカリプソ/スカ版。このMIGHTY VIKINGSというのはおそらくジャマイカの60年代のスカバンドなのでカリプソと言ってもかなりスカよりな内容。全体の曲調が明るいのは当然ですが、ここでは基本はインストでたまに「ド!」、「レ!」とか景気良い掛け声が入り、カリプソの陽気なリズムと相まって能天気さに拍車をかけている。バックの音も大人数編成のバンドのようでかなり厚めの音でまさにカーニバル調。また決して子供向けの幼稚な内容ではなく、時折チープでキャッチーなオルガンが切れ込んできたりと、大人が楽しみ、踊れるものとなっている。既にどこかのクラブのフロアでは、ドレミの大合唱になって大盛り上がりを見せているかも知れないね。女の子にも大受けしそうだヨ。 こちら で試聴出来ますが、もっと美味しい部分が試聴できるところもあるかもしれません。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(軽快なカリプソ) ポップ偏差値合計
9
8 8 8 8 6 8 7 5 67


【 ポップ偏差値 66

Hilton Felton / A Man For All Reasons '80 「A Man For All Reasons」



レアグルーヴ界隈で人気のジャズのピアノ/オルガン奏者ヒルトン・フェルトンの1980年のアルバム「A Man For All Reasons」収録曲。ジャズファンク的要素から持て囃されているようだけど、アルバムタイトルでもある本曲は軽やかなソウル風味のインスト曲でフィリーソウルやフリーソウル的側面が強い。タイトなドラムに小刻みに鳴り響くパーカッションをベースにエレピが気持ちよさそうに奏でられていきます。乾いた心地よい風が吹く平和でのどかな草原がイメージできるような多幸感に満ちた雰囲気が延々続く様は、例えるのならBARRY WHITE / LOVE'S THEMEやTRAMMPS / TRAMMPS DISCO THEME等のソウルインスト名曲を彷彿させます。明るく爽快でポップで高揚感に優れている点は共通で、キャッチーさは幾分足りないけどスマートで実に和める内容。特にグロッケンの綺麗で可愛らしい響きがいいアクセントになっています。個人的に主旋律はどこか懐かしい古き良き純朴な時代を思い起こさせてくれていいんです。

因みに17年ほど前に当ブログで取り上げたブルースインターアクションズ/P-VINE音源の GROOVE-DIGGERS 特典 VOL.1 (DISC UNION特典CD) の内容が良かったので、ずっとGROOVE-DIGGERSシリーズが気になっていたのですが、今般シリーズ全作を一気聴きした上での数少ない収穫の一つです。レアグルーヴものはその性質上良曲に巡り合える可能性はかなり小さい訳ですが、稀にこうした至極の名曲にバッタリ出会えるので侮れませんね。

「YOU TUBE」 で聴けます。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ 楽器 瑞々しさ ボーナス(ソウル風味) ポップ偏差値合計
8
6 8 7 8 8 8 8 5 66


9TH CREATION / WHY NOT TODAY '76 (PRELUDE 71085)

9TH CREATION  WHY NOT TODAY.jpg

ソウルファンの間でもあまり話題に上ることがないヴォーカル・インスト/ファンク系グループの軽快なソウル。77年の2ndアルバム「Reaching For The Top」収録。コンピで「OLD SCHOOL HARMONY VOLUME 1 '95(DEEPBEATS DGPCD 726)」にも収録されています。曲はグループの背景からは想像し難いような明るく爽やかなもの。フリーソウル系としてジョニー・ブリストル辺りに通じるものがありますね。イントロの高揚感のある爽やかなストリングスが秀逸で、70年代の純粋で素朴な青少年の持っていた未来への明るい期待感を感じさせてくれます。また女性の歌うコーラス部分のメロディも魅力的で、憂いを帯びながらも決して悲観的にならず、前向きで肯定的なムードに好印象。それを抑制の効いた歌声で聞かせるところが憎いネ。この曲の持つ爽やかさや高揚感は70年代ソウルの持つ重要で良質なエッセンスだと思うんだけど、ほとんど脚光を浴びることが無いのが残念でならない。誰かこんな感じの素敵な曲をいろいろ教えてくれませんか?

「YOU TUBE」 で聴けます。(途中で変な声が挿入されていますのでご注意を)
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(爽快ストリングス) ポップ偏差値合計
7
7 9 7 7 8 8 8 5 66


MAD PROFESSOR / BERBICE MADHOUSE '85 「A CARIBBEAN TASTE OF TECHNOLOGY」

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80/90年代のイギリスで数多くの傑作ラヴァーズロックをプロデュースしてきたマッド・プロフェッサーのソロアルバム「A CARIBBEAN TASTE OF TECHNOLOGY」収録曲。このアルバムは「COUNTRY LIVING」のダブバージョンである 「FRESH AND CLEAN」 等明るくポップな曲が多く、彼の他の「DUB ME CRAZY」シリーズとは趣が異なり大部聴き易い内容なのでお勧め。その「FRESH AND CLEAN」タイプのこの曲は、やはりスティールパンのきれいな音色が実に心地良い曲。

明るく乾いた空気の中、軽やかで爽やかなメロディをスティールパンが奏じます。そのポップで冷ややかな音色は清涼感たっぷり。将にカリブのリゾート地での一服の清涼剤にうってつけの内容。実際私もこのアルバムの発売以降、何度もリゾートでのBGMとして愛聴してきました。勿論マッド教授の曲ですから単なるインストで終わる曲ではなく、随所に効果的にエコーを効かせたダブ・ミックスは大音量で聴いてこそ真価を発揮します。特にベースが抜けて歯切れよくキーボードが鳴り渡る瞬間の開放感など饒舌に尽くしがたい。

歌ものではないのでラヴァーズと呼ぶには微妙だけど、いわゆる埃臭い土着的なジャマイカのレゲエとは対照的な洗練された内容なので、レゲエが苦手なフリーソウル・ファン、特に女の子なんかに喜ばれそうな曲なんじゃないかなと思います。清涼飲料水のコマーシャル・ソングにも適してそうですネ。
明るく元気 テンション 高揚感 乾燥感 グルーヴ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(清涼感) ラヴァーズ偏差値合計
8
6 8 8 6 7 8 10 5 66


ONE WAY / WHO'S FOOLING WHO LP(MCA 5729)'82
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AL HUDSON & THE SOUL PARTNERSの改名後のバンド、ワンウェイのアルバム(U.S.BDG #518)タイトル曲。 「AL HUDSON & THE SOUL PARTNERS / MY NUMBER ONE NEED (ATCO 7011)'75」 とどこか共通項を感じさせるミディアム甘茶ソウル。アル・ハドソンのしゃがれた味のある声と肯定感に満ちた、ひた向きな唱法に好感が持てます。お涙頂戴的に切なく迫るコーラスは反則ギリギリの荒技で、どちらかと言えば情感的には淡白に歌っているリードにも物悲しい雰囲気を分け与えている感じです。ウォーキング・テンポでド・ド・ド・ドと調子を付けるベースラインも特徴的で、べっちょりと甘く悲しいだけに終わりがちな曲にメリハリをつけていてイイ感じ。踊れる曲ばかりかかっているクラブでこんな曲がかかったら新鮮で面白いかもね。

【 ポップ偏差値 65

LABI SIFFRE / CANNOCK CHASE '72 「Crying, Laughing, Loving, Lying」



イギリスの黒人シンガーソングライター、ラビ・シフレの1972年のアルバム「Crying, Laughing, Loving, Lying」収録曲。曲名のカノックチェイスというのはイギリスにある自然が豊富な森林・田園地帯のことで、このアルバムの収録曲が書かれた場所でもある。曲は哀愁を感じさせるギター中心のフォークソング。カノックチェイスの豊かで美しい自然美を歌ったものと推測できるけど、その物悲しくも仄かな甘さを感じさせる熟成されたメロディは内省的で人生の酸いも甘いも知り尽くしたかのような思慮深さを感じさせて良い。サウンドはベースやドラムの入らない簡素なものながらも万華鏡のように煌めくアコースティック・ギターの音色が魅力的。それはあたかも決して抜けられない深い樹海を彷徨うかのような異世界感がありますね。後半に入る上品な弦の音色や情緒的で胸を打つスキャットなどシンプルな中にも聴きどころは多い。フリーソウルコンピには彼の「THE VULTURE」が収録されているけど、個人的にはこっちの方がお勧めです。

「YOU TUBE」 で聴けます。

ISLEY BROTHERS / LOVE MERRY-GO-ROUND '81「INSIDE YOU」



アイズレー・ブラザーズの81年のアルバム「INSIDE YOU」収録曲。 「メリー・ゴー・ラウンド」 は甘茶ソウルの大事なキーワード。この曲も速度的には行進曲タイプですがタイトルからも十二分なほどの甘さが伝わってきますね。華やかなイントロ後に迎えるAメロは胸をキュンとさせる甘さと品の良さ、メロディ・ラインの美しさを感じさせます。加えてアイズレーは超一流グループが醸し出すキャッチーさも兼ね揃えているところが、他のマイナー甘茶グループとは一線を画すところですね。ストリングスを交えたサウンドも洗練さと甘さ、そして軽やかなグルーヴが共存した素晴らしいもの。

フリーソウル橋本徹氏監修の2枚のベストアルバム 「GROOVY ISLEY」 , 「MELLOW ISLEY」 のどちらにも収録されていないことも、彼らの奥深さや長い経歴とその偉大さの証左と言えるかもしれません。

「YOU TUBE」 で聴けます。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(品の良さ) ポップ偏差値合計
7
7 8 7 7 9 8 7 5 65

参照: 洗練されたスウィートソウル ISLEY BROTHERS / I ONCE HAD YOUR LOVE 「GRAND SLAM」

HUMAN BEINZ / NOBODY BUT ME '68

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アメリカの白人バンド「ヒューマン・ベインズ」による68年のR&Bカバー。オリジナルは63年の ISLEY BROTHERS によるR&Bで、これにサイケ色を加えたうえ、よりダンサブルに仕上げています。当時日本でもヒットしたようですね。GOLDMINEのノーザン・コンピ「OUT ON THE FLOOR」に収録されていることからも、今でも所謂フロア・キラーなノーザン・ダンサーとして親しまれていることが分かります。最近 「KILL BILL」 という映画にも使用されたようで、お若い方にも知名度はあるようです。まるでベースラインのような「ノー・ノー・ノー」という特徴的なフレーズに手拍子や溌剌とした掛け声なんかが加わり、かなり躍動感がありますね。 「YOU TUBE」 で聴けます。

更に2010年11月になって、ぬわんとこの曲のPilooskiによるeditバージョンを使用したアイドルマスターMAD動画 「アイドルマスター nobody but me」 が制作/アップされました。 「週刊アイドルマスターランキング 10年11月第4週」 では、初登場22位となかなかの出だし。アート色の強い作品でサイケ調に加工されたアイマス動画もなかなか新鮮ですが、驚くべきはその加工技術、踊りと音楽とのシンクロ率の高さなど。これまで「男の曲」というイメージの強かったこの曲を、可愛らしい(但し律子は除く)アイドルによる踊りと合わせることにより、新たな魅力を引き出した素晴らしい作品と言えるでしょう。その着眼力、選曲のセンスも光るし、作者の「ソ´┴`ノ …」さんの今後の作品には期待大ですね。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(アイマスMAD) ポップ偏差値合計
7
7 7 7 10 7 8 7 5 65


7TH WONDER(SEVENTH WONDER) / PEOPLE IN LOVE LP(PARACHUTE 9004)'78

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U.S.BDG #173で「第7の不思議」というヴォーカル&インスト・グループの78年の1STアルバム「Words Don't Say Enough」収録曲。南部のアラバマ出身というだけあって、どこかのんびりとした牧歌的な雰囲気が漂っています。おどけた調子のホーンから始まるこの曲は、気負いや気取ったところを感じさせず自然体な姿勢に好感が持てますね。そんな軽快で小気味いいトラックに載せてハイテナー・リードにファルセット・コーラスが楽しそうに歌います。更に「ラララー」というフレーズが爽やかこの上なく、柑橘系の甘酸っぱさを感じさせるのです。この明るく快活なメロディに瑞々しいボーカルワークというのは「PRESIDENTS」に通じる新鮮さを感じさせますネ。70年代ソウルにはちょっと珍しいタイプのフレッシュさと軽やかさを兼ね揃えたこの曲は、フリーソウル・ファンにも受け入れ易そう。

NOT ON LPで希少で人気の曲ばかりが収録された海賊盤 「SOUL FROM THE VAULT RARE SWEET DYNAMITE VOL.7」 に、不思議にもポツンと収録されていました。(しかし、この選者とは嗜好が合い過ぎるな。) こちら さんのブログで Patti Austin によるカバーと併せて聴くことが出来ます。

FLETCHER WALKER III(3RD) / DIDN'T WE (PARAMOUNT 0065)'70?

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1967年にJames Darrenがオリジナルを歌い、他にも Thelma Houston , Astrud Gilberto , Chairmen of the Board , Eddie Kendricks など多くのカバーを持つポピュラーヒット曲の甘茶シンガーによるカバー。作者は「By the Time I Get to Phoenix」,「Wichita Lineman」など美しいメロディを書くことで知られるJimmy Webbで、ここでも流石のラインが形成されています。ただ、 Eddie Kendricksのカバー 等を聴くと如何にも白人の作ったポピュラー向けバラードという感じで、いまひとつソウルとは馴染みにくい曲と言えるかも知れません。

ところが、優良甘茶ソウルを幾つか持つRONNIE WALKERがフレッチャー・ウォーカー三世の変名で出したこのカバーは、意表を突くアップテンポ曲。明るく滑らかで温かみのあるメロディと歯切れの良いリズムは実に相性が良く、この曲の持つ旨味を十二分に引き出した好カバーと言えますネ。ところで、このメロディをこのテンポで聴くと、意外にも 「Stevie Wonder - For Once in my Life」 とよく似ていることが分かります。その意味で、きっとフリーソウル・ファンに受け入れられる内容ではないかと思います。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(意表を突くテンポ) ポップ偏差値合計
7
7 8 7 7 8 8 8 5 65

【豆知識】こうしたオリジナル曲とそのカバー曲を調べるのには、 Second Hand Songs が便利ですヨ。








フリーソウルコンピ未収録推薦曲(3)

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