ELEMENTS OF LOVE / FADE AWAY 12"(FUTURE SOUND RECORDS & TAPES 0009)'85
甘茶ソウル百科事典P.20掲載。70年代に「Love And Understanding」と「Let's Try Making Love」を出していたグループと同一みたいですね。曲の方はゆったりとしたファルセット・リードの甘茶ソウル。可愛らしいファルセットがナルシスティックに身悶えするかのように過剰に歌いまくるのが70年代を彷彿させてなかなかイイ感じ。途中で語りも入ったりと7分超えの大作ですがちょっと冗長かな、後半は少しだれる感じ。85年製作ということで大部現代風なアレンジのサウンドで特にドラムのバシャバシャ言う機械臭のキツさが鼻につきます。この頃はこうした目新しい音が新鮮で思わず使っちゃったって感じですかねえ。
EUGENE RECORD / PUTTING IT DOWN (TO THE WAY I FEEL ABOUT YOU,GIRL) LP(WARNER BROS 3018)'77
CHI-LITESのリードシンガーEUGENE RECORDの77年のファーストアルバム収録曲。ソウル・ヒット「Delegation / Oh Honey」や「REAL THING / YOU TO ME ARE EVERYTHING」等で知られるイギリスの音楽プロデューサーKen Gold作品のカバー曲。オリジナルは75年のイギリスのハーモニー歌手のAl Southern (Alan Carvell)。Ken Goldの作曲能力がフルに発揮された傑作曲でAメロ、Bメロ、サビと全編通して美しく心に沁みるメロディが素晴らしいですね。他にも下記のアーチストによるカバーがありますが、抑制の効いた美声のユージン・レコードのファルセット・ヴォイスは甘茶者には格別の味わいが有りますね。彼にはもっとこうした隠れた名曲のカバーを沢山作って欲しかった。
EVERLIFE / YOU ARE MY LUCKY STAR LP(JIBARO 10-4401)'81
デトロイト辺りのローカル・ファンクグループの81年のアルバム「EVERLIFE #1」収録曲。どうやら自主制作ものらしいですが、音の作り自体はしっかりしています。近年CDで再発されている模様。この「YOU ARE MY LUCKY STAR」は甘いソウルなんだけど、検索してみるとどうも甘茶ファンにはあまり評判は良くないようですね。
FAMILY CIRCLE / TOGETHER WE CAN MAKE IT LP(STRAWBERRY 6002)'77
出だしで高らかなホーンやグロッケンと共にコーラスが劇的に盛り上げる曲。この大仰さが70年代甘茶ソウルの醍醐味ですネ。そのサビともなる出だし部分の派手で華美な盛り上がりと対比して、Aメロ、Bメロはいまひとつ魅力不足。ストリングスが入ったりと優雅な雰囲気もいいんだけど、全体としてサウンドにもう少し厚みがあるとより豪華で良かったでしょう。ファルセットも混じえて盛り上がるテナーリードもいまひとつ魅力に欠けるけど終盤の陶酔ぶりはなかなかのものです。なお「SOUL TO SOUL」誌 #57(BEST GROUP ALBUMS #1)によると、1STの「FAMILY CIRCLE (SKY DISC 301)'73」には、この2ND「LOVE BOUND」と4曲が同じテイクで収録されているとのことです。
FIESTAS / I CAN'T SHAKE YOUR LOVE (CAN'T SHAKE YOU LOOSE) (RESPECT 2509)'75
「YOU TUBE」
で聴けます。なお、シングル・バージョンやKC and the Sunshine Bandによるカバーもありますが、出来が悪いのでスルー推奨です。
FROSTY / I NEED LLOVE NOW 12"(TOMMY BOY 906)'87
LL COOL J / I NEED LOVE のカバーです。いきなり冒頭のシンセ?による演奏にじんわりと温かみがあり、しっとり感があり、季節感(窓の外ではシンシンと雪が降ってます)があり、甘みがある。音程も微妙に変えてあって、その効果も非常に大きい。可愛らしい語りから入るのがこれまた溜まりません。その後のラップの舌足らずで可愛いこと!そのお声とバックの音がしっとりと溶け合って、何とも言えない、ある意味少女趣味的なロマンチック&ドリーミーな世界を展開しております。
FUTURES / LOVE IS HERE (GAMBLE 2502)'72
グループ名が単純だけど格好良いフィラデルフィアのグループ、フューチャーズのシングル曲。72年と彼らの最初期のシングルでギャンブル=ハフのプロデュース。将にフィリーど真ん中という感じだけど、残念ながらこの曲の後いったん彼らはブッダに移ってしまう。しかし、そのブッダでも 「NO ONE COULD COMPARE」
や 「WE GOT EACH OTHER」
といった優良甘茶を出したりするのだから、彼らが単なる子飼いでなく真の実力を持ったグループだったことが分かります。
GENE DUNLAP FEATURING THE RIDGEWAYS / BEFORE YOU BREAK MY HEART LP(CAPITOL ST-12130)'81
ジーン・ダンラップの1STアルバム「It's Just The Way I Feel」収録曲で橋本徹氏監修のコンピ「FREE SOUL NOTES」にも収録。U.S.BDGや甘百に未掲載なので、往年のソウルファンよりは若いフリーソウルファンの方に有名かも知れませんね。 彼自身
は男性(ドラマー)で、ここで歌っているのは女性グループの Ridgeway Sisters
です。曲は非常にソフィスティケイトされたサウンドが際立つセミ・スウィート。透明感溢れるヴォーカル/コーラスワークは冷んやり爽やかで清涼感たっぷり。
HARRY RAY / YOU AIN'T BEEN LOVED LP(SUGAR HILL 269)'82
モーメンツのハリー・レイの82年のソロアルバム「It's Good To Be Home」収録曲。既に取り上げた同アルバム収録のシルヴィアとのデュエット 「SWEET BABY」
も優良甘茶ソウルですがこの曲もかなり良い出来。どちらも当時山下達郎がオンエアしました。曲はゆったりとリラックスしたムードのミディアム・スウィートソウル。やはり暖かく明るい陽射しの射す幸福感に満ちた雰囲気が良い。ハリーレイの甘く柔らかいファルセットも素晴らしいがメロディの出来も秀逸で全てのパートが魅力的。ヒリヒリした甘茶もいいけど、こういう和み系もいいよね。関係ないけど初めてハリーレイって名前を聴いた時、なんて洒落た言葉の響きを持った名前なんだろうと感心しました。
HOLLYGROVE ! / IT'S ALL IN THE WAY LP(HOME BREW)'82
かなり知名度の低いヴォーカルグループの82年のミニアルバム「New Orleans' Best Kept Secret」収録曲。然しながら録音はフィラデルフィアでクレジットにはフィリーの重鎮が名を連ね、しっかりとした作り。アルバムは実質4曲のみだけど、ファルセットも入る 「Who Has The Answers」
など全て質は高い。個人的にお勧めなのは「IT'S ALL IN THE WAY」で、派手さは無いけれどサビ部分の品のある甘い雰囲気が素晴らしい。1982年ものということで悪い意味で洗練され過ぎてる嫌いもあるけど、肩の力の抜けた大人のセミスウィートという風情で好感が持てます。