ザ・スーパー・ポップ宣言

私の好きな甘茶8

私の好きな甘茶ソウル(8)
MY FAVORITE SWEET SOUL (8)



スウィート・ソウル・ベスト10 集計一覧

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湯村輝彦 GANGSTA LUV

山下達郎 サンデー・ソングブック

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甘茶ソウル入門の部屋

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マニアック甘茶ソウル@YOU TUBE



【 甘茶偏差値 65

ELEMENTS OF LOVE / FADE AWAY 12"(FUTURE SOUND RECORDS & TAPES 0009)'85

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甘茶ソウル百科事典P.20掲載。70年代に「Love And Understanding」と「Let's Try Making Love」を出していたグループと同一みたいですね。曲の方はゆったりとしたファルセット・リードの甘茶ソウル。可愛らしいファルセットがナルシスティックに身悶えするかのように過剰に歌いまくるのが70年代を彷彿させてなかなかイイ感じ。途中で語りも入ったりと7分超えの大作ですがちょっと冗長かな、後半は少しだれる感じ。85年製作ということで大部現代風なアレンジのサウンドで特にドラムのバシャバシャ言う機械臭のキツさが鼻につきます。この頃はこうした目新しい音が新鮮で思わず使っちゃったって感じですかねえ。

ESCORTS / HEART OF GOLD LP(KNOCKOUT 1500)'81

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ジョージ・カーに見いだされたエスコーツのあまり話題にならない81年のサードアルバム収録曲。私が初めて彼らの名前を耳にしたのは、いまや伝説となった山下達郎のNHK-FMサウンドストリート 「Sweet Soul 特集(1984.05.17)」 でのオンエア。デルフォニックスやモーメンツと並んで紹介されたエスコーツという洒落たグループ名の響きには、曲の内容ともども胸がときめいたものです。もっともエスコーツという意味は「淑女を紳士的に大切に付き添い、守る」という意味ではなく「囚人達」という意味だったんですけど。

ソウルの全盛も過ぎ81年になって出されたアルバム収録のこの曲は、大仰で緊迫感のある初期ヒット曲とは趣が異なりクールダウンした甘茶ソウル。ゆったりと静かな曲調に透明感のある冷やかで爽やかなコーラス。避暑地に流れる涼しい風のようですね。面と向かって聴くというよりはバーなどでBGMとして流れているといい感じの曲かな。

「YOU TUBE」 で聴けます。

ESCORTS / LET LOVE WALK INTO YOUR HEART LP(KNOCKOUT 1500)'81

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囚人グループとして有名なエスコーツの代表曲と言ったら、野太いバリトン・リードによる 「LOOK OVER YOUR SHOULDER」 「I'LL BE SWEETER TOMORROW」 のような大仰で緊迫感のある曲を思い浮かべられる方が多いと思います。しかし、さほど話題に上らない1981年のサードアルバム収録のこの曲は、ファーストアルバムの名曲群と比べていい意味で緊張感が抜けていて和める内容。

厳しい刑務所生活とか荒んだ囚人人生とかを全く感じさせない、実に穏やかで幸せなムードを感じさせるバックに可愛らしいコーラス。リードも丸みを帯びた甘みのあるファルセットで、全体としてか弱い女性らしさを感じさせますね。うーん、もしかして長い刑務所生活の中で当初屈強だったメンバー達もか弱い「お姫様」に仕立てられ、多くの男性に愛され続けた結果なのかしらん。

「YOU TUBE」 で聴けます。

ETHICS / THINK ABOUT TOMORROW (VENT 1001)

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甘茶ソウル百科事典P.19掲載のエシックスの68年頃の作品。後にLOVE COMMITTEE、TEMPTATIONSで活躍するRONALD TYSON PRESSON (ロンタイソン)のいたグループとしても知られています。山下達郎もオンエアしました。(ディスコグラフィーは こちら )

曲はほのぼのとしたムードの可愛らしい甘茶小唄。キャラメルのように柔らかで滑らかで甘ーいファルセットが、まるでDELFONICSのWILLIAM HARTみたいでいいのです。このリードがロンタイソンでしょうか、若いだけあって実に瑞々しい魅力溢れる声質ですねえ。体をくねんくねんとくねらせ、恋人に擦り寄るかのような甘えん坊な歌いまわしが、抱きしめたくなる程きゅわゆぃーん!

ただし、当然のことながら歌っているのは成人黒人男性です。超可愛い系ロリータポップを歌う声優や電波シンガーの実写版を興味本位で見るのが愚かな自殺行為であるのと同様、こんな可愛らしい甘茶ソウルもそっとレコードで聴くだけに留めておくのが賢明でしょうね。 「YOU TUBE」 で聴けます。

EUGENE RECORD / LOVE DON'T LIVE BY SEX ALONE (WARNER BROS 8322)'77

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CHI-LITESのリード、ユージン・レコードのソロ第一作「THE EUGENE RECORD(WARNER BROS 3018)'77」収録曲。タイトルは「愛は性交だけでは成り立たない」ってことかな。チャイライツ絡みでSEXなんて歌詞に出てくると意外な取り合わせにドキッとしてしまいますが、曲の方は卑猥さなど全く感じさせないいつもの爽やかなチャイライツ節。作曲センスの素晴らしさを再認識させるキャッチーで美しいメロディに、落ち着いた物静かなトラックとシカゴの冷たい風を思わせる品の有るストリングス。弦だけでなくコーラスまでもが冷ややかで爽やかな空気を演出しています。そのコーラスも独創性、ヴァリエイションに富んでいて感動を呼ぶだけでなく感心もさせられますね。それらが一体となって唯一無比のチャイライツ・サウンドが展開されている訳ですが、スウィートというよりも爽やかソウルといった趣の優良曲ですね。

「YOU TUBE」 で聴けます。

EUGENE RECORD / PUTTING IT DOWN (TO THE WAY I FEEL ABOUT YOU,GIRL) LP(WARNER BROS 3018)'77

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CHI-LITESのリードシンガーEUGENE RECORDの77年のファーストアルバム収録曲。ソウル・ヒット「Delegation / Oh Honey」や「REAL THING / YOU TO ME ARE EVERYTHING」等で知られるイギリスの音楽プロデューサーKen Gold作品のカバー曲。オリジナルは75年のイギリスのハーモニー歌手のAl Southern (Alan Carvell)。Ken Goldの作曲能力がフルに発揮された傑作曲でAメロ、Bメロ、サビと全編通して美しく心に沁みるメロディが素晴らしいですね。他にも下記のアーチストによるカバーがありますが、抑制の効いた美声のユージン・レコードのファルセット・ヴォイスは甘茶者には格別の味わいが有りますね。彼にはもっとこうした隠れた名曲のカバーを沢山作って欲しかった。

「YOU TUBE」 で聴けます。

Al Southern (Alan Carvell) / Puttin' It Down (To The Way I Feel About You Girl) (オリジナル)

REALISTICS / PUTTING IT DOWN(TO THE WAY I FEEL ABOUT YOU,GIRL)'75 (古い記事)

Jackie Moore / Puttin' It Down To You

ハイ・ファイ・セット / まぶしい貴方

Jimmy Helms / Puttin' It Down

tuesday breakheartさんの記事 を参考にさせて頂きました。


EVERLIFE / YOU ARE MY LUCKY STAR LP(JIBARO 10-4401)'81

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デトロイト辺りのローカル・ファンクグループの81年のアルバム「EVERLIFE #1」収録曲。どうやら自主制作ものらしいですが、音の作り自体はしっかりしています。近年CDで再発されている模様。この「YOU ARE MY LUCKY STAR」は甘いソウルなんだけど、検索してみるとどうも甘茶ファンにはあまり評判は良くないようですね。

朝露が煌く高原の朝を思わせるような爽やかなイントロ。冷ややかで澄んだ空気感はシカゴソウルに通じるものを感じさせます。男女が代わる代わるとるリードも、ファルセット・コーラスも共に透明感がありますが、悪く言えばあっさりし過ぎているかな。穏やかでなだらかなメロディラインは気品に満ちたものですが、全体として派手さの無い淡白な曲調は聞く人を選んでしまうのかも知れませんね。80年代初頭の作品だけど、いい意味で80年代ソウルの洗練さを感じさせてくれる良曲だと思います。

FAMILY CIRCLE / TOGETHER WE CAN MAKE IT LP(STRAWBERRY 6002)'77

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出だしで高らかなホーンやグロッケンと共にコーラスが劇的に盛り上げる曲。この大仰さが70年代甘茶ソウルの醍醐味ですネ。そのサビともなる出だし部分の派手で華美な盛り上がりと対比して、Aメロ、Bメロはいまひとつ魅力不足。ストリングスが入ったりと優雅な雰囲気もいいんだけど、全体としてサウンドにもう少し厚みがあるとより豪華で良かったでしょう。ファルセットも混じえて盛り上がるテナーリードもいまひとつ魅力に欠けるけど終盤の陶酔ぶりはなかなかのものです。なお「SOUL TO SOUL」誌 #57(BEST GROUP ALBUMS #1)によると、1STの「FAMILY CIRCLE (SKY DISC 301)'73」には、この2ND「LOVE BOUND」と4曲が同じテイクで収録されているとのことです。

FIESTAS / I CAN'T SHAKE YOUR LOVE (CAN'T SHAKE YOU LOOSE) (RESPECT 2509)'75

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甘茶ソウル百科事典P.80掲載。古くはDOO-WOPの時代から活躍していたU.S.BDG#346のFIESTAの改名前のシングル。STAX傘下のレーベルからのシングルのようで、如何にも南部的雰囲気の漂う曲です。波の音や小鳥の囀りといったおおらかな自然を感じさせる擬音を散りばめ、のんびりと平和で牧歌的な曲調で進行。なだらかで美しい曲線を描くメロディラインに、リードの歌声も無理なく伸び伸びとあくまで自然体ですね。前半の曲調だけだと自然讃歌かと聴き間違いそうな内容だけれど、サビの盛り上がりに仄かな愛の切なさを感じさせるのです。

「YOU TUBE」 で聴けます。

FLASHLIGHT / EVERY LITTLE BEAT OF MY HEART LP(PHILLY GROOVE 8000)'78

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U.S.BDG #274、甘茶ソウル百科事典P.83掲載グループのアルバム収録曲ですが、双方ともこの曲に関する記載は有りません。後期フィリーのバラードなのでストリングスを絡めた華麗で品のあるサウンドは甘茶ソウル的には最上質のもの。男女のツイン・リードってのも華やかでイイですね。サビのメロディは切なげで心に染み入ります。

また特筆すべきはそのコーラス・アレンジで、ただでさえ大仰なタイトルの曲を劇的に盛り上げまくります。宝塚歌劇団のグランデ・フィナーレとかそんな感じ(笑)。特に3分20秒辺りが圧巻!です。如何にも70年代ソウルの世界という感じですが、ここまで派手な内容は珍しいんじゃないですかねえ。こういうクドい世界を楽しめるかどうかで、そのリスナーの甘茶度が分かろうかというものですが、先述の専門ガイドでもネットを検索してみてもほとんど評判になっていないんですよね、、、。如何にもB級感漂うジャケのアルバムだけど、甘茶ソウルとしてA級の作品であることは声を大にして言っておきたい。

「YOU TUBE」 で聴けます。

FLETCHER WALKER III(3RD) / GUESS I'LL NEVER UNDERSTAND (THE WORKINGS OF YOUR MIND) (PARAMOUNT 0065)'70



当ブログでは既に 意表を突くアップテンポ FLETCHER WALKER III(3RD) / DIDN'T WE を取り上げているRONNIE WALKERがフレッチャー・ウォーカー三世の変名で出したシングル曲。VINCE MONTANAとの共作でアレンジもヴィンス・モンタナ。彼はフィラデルフィアで多くの甘茶ソウルに関わっただけでなく、後にサルソウルの重鎮として多くのディスコ・ヒットにも関わるなどソウル界の偉人と言って良さそうですね。この曲でも品の良いストリングスを配したトラックがロニー・ウォーカーの甘い歌声にマッチして切ない優良甘茶を作り上げています。アップテンポな DIDN'T WE の裏面になりますので所謂ダブルサイダーということになりますが、スロウもアップも変幻自在に甘茶を作り出し、ロニー・ウォーカーの魅力をひき出したヴィンス・モンタナの才能には感心するばかりです。

「YOU TUBE」 で聴けます。


FLOATERS / FLOAT ON LP(ABC AB-1030)'77

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77年の世界的大ヒット曲。ゆったりとしたリズムに甘い雰囲気の曲調でLPバージョンは約12分にも及ぶ。語りやコーラス中心で歌があまり無いのが特徴的な甘茶ソウル。個人的にソウルの入門の最初期に聴き慣れ親しんだ曲で、その分かりやすい内容からかすぐに飽きてしまいましたが、数年に一度ぐらい聴くとその甘いムードに思わず聴き入ってしまう。

たしか2006、7年ぐらいだったと思うがビルボード誌か何かのアンケートで「最も(歌詞が)馬鹿馬鹿しい曲」というニュアンスのアンケートの第一位になったはず。確かに歌詞は「星座名と名前などの自己紹介をして女の子の好みを語る」というもの。個人的には甘茶ソウルの歌詞に中身など全く求めていないけど、これは確かにあまりにも内容が無さ過ぎるかも。これを王様よろしく直訳ソウルで演られたら恥ずかしくて聴いていられないでしょうねえ。ただ幸いにも私は日本人で英語が素で頭に入ってくるワケではないので、全く気恥ずかしくなくこの曲を楽しむことが出来ます。ああ、日本人で良かった。

FLOAT ON の歌詞

FLOAT ON の映像

FREDERICK KNIGHT / I BETCHA DIDN'T KNOW THAT LP(JUANA 200000)'77



南部で活躍したシンガーソングライター、フレドリック・ナイトのアルバム「KNIGHT KAP」収録曲。なのでジャンル的にはサザンソウルということになりますが、ファルセットで甘く優しく歌い上げる内容から甘茶ソウルと言っても問題ないでしょう。この曲はSAM DEESとの共作でもあり、そのメロディラインは絶妙な美しさ。特に後半でタイトル部分を繰り返す箇所は、憂いを帯びた雰囲気のなかにも仄かに希望の光が指してくる感じが胸を締め付けます。更に甘くしっぽりとしたサウンドをバックに悲しげな遠吠えで終わっていくエンディングの演出も見事。

「YOU TUBE」 で聴けます。なお、シングル・バージョンやKC and the Sunshine Bandによるカバーもありますが、出来が悪いのでスルー推奨です。

FROSTY / I NEED LLOVE NOW 12"(TOMMY BOY 906)'87

FROSTY

LL COOL J / I NEED LOVE のカバーです。いきなり冒頭のシンセ?による演奏にじんわりと温かみがあり、しっとり感があり、季節感(窓の外ではシンシンと雪が降ってます)があり、甘みがある。音程も微妙に変えてあって、その効果も非常に大きい。可愛らしい語りから入るのがこれまた溜まりません。その後のラップの舌足らずで可愛いこと!そのお声とバックの音がしっとりと溶け合って、何とも言えない、ある意味少女趣味的なロマンチック&ドリーミーな世界を展開しております。

FUTURES / LOVE IS HERE (GAMBLE 2502)'72

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グループ名が単純だけど格好良いフィラデルフィアのグループ、フューチャーズのシングル曲。72年と彼らの最初期のシングルでギャンブル=ハフのプロデュース。将にフィリーど真ん中という感じだけど、残念ながらこの曲の後いったん彼らはブッダに移ってしまう。しかし、そのブッダでも 「NO ONE COULD COMPARE」 「WE GOT EACH OTHER」 といった優良甘茶を出したりするのだから、彼らが単なる子飼いでなく真の実力を持ったグループだったことが分かります。

曲はバスドラムの入らないアカペラ風のゆったりとしたスウィートソウル。彼らのバランスの取れた美しいハーモニーが十二分に生かされてます。物悲しくも甘いメロディもいいけど、品の良さを感じさせるストリングスや煌びやかなグロッケンなど華やかなフィリーサウンドも素晴らしい。それにしてもブッダに移ることなくギャンブル=ハフの元で活動を続けていたら、一体どんな曲を発表していたのでしょうねえ。

「YOU TUBE」 で聴けます。

FUTURES / NO ONE COULD COMPARE (BUDDAH 417)'74

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山下達郎が1984年にFMで スウィートソウル特集 をやった時、その音楽と共に魅了されたのがスウィートソウルのグループ名。モーメンツ、ファーストクラス、エスコーツと、どれも甘く高級感漂う素敵な名前にうっとりしたものです。そして更にスウィートなグループの名前として、このフューチャーズという名前を目にした時の胸のトキメキといったら(笑)。語感の良さもあるけど、単純明快ながらもSFチックで未来志向を感じさせるワクワク感が半端じゃなかったですね。聴くことも困難でなかなか出会えなかったことで期待感も上昇するばかり。その後出会うことの出来た彼等の優良甘茶ソウルの数々はその期待を裏切らない素晴らしいものばかりでした。

74年製でシングル・オンリー*だったこの曲はファルセット・リード中心の王道甘茶ソウル。SF小説やSF映画などSF文化が盛んだった70年代初頭に人類が持っていた21世紀以降の未来に対する濃厚な期待感や明るい展望、淡い憧憬などは結局は幻想でしかありませんでした。同じようにこの当時の若者が「愛」に対して持っていた幻想も、それが幻想ゆえに美しく魅力的だったとこの曲をはじめ70年代のスウィートソウルを聴く時に感じるのです。この辺りが80年代以降のR&Bやブラコンと言われる音楽との決定的な違いの一つですね。

* 2004年にVIVIDから再発されたCD「Castles In The Sky」にボーナストラックとして収録されているようです。

「YOU TUBE」 で聴けます。

GENE DUNLAP FEATURING THE RIDGEWAYS / BEFORE YOU BREAK MY HEART LP(CAPITOL ST-12130)'81

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ジーン・ダンラップの1STアルバム「It's Just The Way I Feel」収録曲で橋本徹氏監修のコンピ「FREE SOUL NOTES」にも収録。U.S.BDGや甘百に未掲載なので、往年のソウルファンよりは若いフリーソウルファンの方に有名かも知れませんね。 彼自身 は男性(ドラマー)で、ここで歌っているのは女性グループの Ridgeway Sisters です。曲は非常にソフィスティケイトされたサウンドが際立つセミ・スウィート。透明感溢れるヴォーカル/コーラスワークは冷んやり爽やかで清涼感たっぷり。

メロディは淡白ながら甘味と旨みをしっかりと保持した品の有るもの。こういうのは女性受け抜群だろうなあ。ソウルというよりはジャズやフュージョンに近いであろうサウンドは各々の楽器の持ち味をうまく活かし、なんとも心地よく響き、耳あたりがいい。小音量で軽く流していても心地よいし、真剣に向かい合って大音量で聴いても十分楽しめる素晴らしいサウンドですね。全体的に感じられるパステルカラーな雰囲気から、何度聴いても飽きが来ない耐用年数の高い作品。

GEORGE KERR / SEEING IS BELIEVING (SHOUT 258)'73

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甘茶ソウルの重鎮ジョージカーの自作曲。ソフトタッチを始め通好みの良曲を連発したマイナーレーベルSHOUTからのシングル曲。曲は歌って良しプロデュースして良し作って良し、と彼の才能が如何なく発揮された甘茶ソウル。ゆったりとした淡いムードの曲でタイトルを繰り返すファルセットコーラスが幻想的な特徴を持つ。ジョージの歌い回しも情感豊かにねっとりとしていて、そのヌメリ気が癖になりそう。ストリングスを始めとした品の有る甘いサウンドで全体として優雅な音空間が拡がります。

「YOU TUBE」 で聴けます。

GHETTO CHILDREN / I JUST GOTTA FIND SOMEONE TO LOVE ME (COLUMBIA 4-45771)'73

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ゲットーの子供達という名前の、どうやらフィリーのグループの73年の曲。グループ名に似合わず、明るく穏やかで平和な空気が流れる曲。ほのかに甘い雰囲気も漂わせていますね。そして、この曲の特徴は何と言ってもリード・ヴォーカルの陽性で乾いた声質。壮大な唱法に伸びやかで張りのある艶やかな声には大いに魅せられます。アレンジをVINCE MONTANAが担当していて、ストリングスやヴァイブなど音も華やか。間奏で鳴り響くエレキシタールもいいね。特別甘い曲という訳ではないけど、70年代ソウルの素晴らしさを実感させてくれる優良曲です。 「YOU TUBE」 で聴けます。

HARRY RAY / YOU AIN'T BEEN LOVED LP(SUGAR HILL 269)'82

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モーメンツのハリー・レイの82年のソロアルバム「It's Good To Be Home」収録曲。既に取り上げた同アルバム収録のシルヴィアとのデュエット 「SWEET BABY」 も優良甘茶ソウルですがこの曲もかなり良い出来。どちらも当時山下達郎がオンエアしました。曲はゆったりとリラックスしたムードのミディアム・スウィートソウル。やはり暖かく明るい陽射しの射す幸福感に満ちた雰囲気が良い。ハリーレイの甘く柔らかいファルセットも素晴らしいがメロディの出来も秀逸で全てのパートが魅力的。ヒリヒリした甘茶もいいけど、こういう和み系もいいよね。関係ないけど初めてハリーレイって名前を聴いた時、なんて洒落た言葉の響きを持った名前なんだろうと感心しました。

「YOU TUBE」 で聴けます。

よりゆったりとした TOMMY KEITH版 もどうぞ。

HOLLYGROVE ! / IT'S ALL IN THE WAY LP(HOME BREW)'82



かなり知名度の低いヴォーカルグループの82年のミニアルバム「New Orleans' Best Kept Secret」収録曲。然しながら録音はフィラデルフィアでクレジットにはフィリーの重鎮が名を連ね、しっかりとした作り。アルバムは実質4曲のみだけど、ファルセットも入る 「Who Has The Answers」 など全て質は高い。個人的にお勧めなのは「IT'S ALL IN THE WAY」で、派手さは無いけれどサビ部分の品のある甘い雰囲気が素晴らしい。1982年ものということで悪い意味で洗練され過ぎてる嫌いもあるけど、肩の力の抜けた大人のセミスウィートという風情で好感が持てます。

「YOU TUBE」 で聴けます。


HYPNOTICS / MUSIC TO MAKE LOVE TO (CHEAPO 001)'81
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美しく上品できれいなピアノの調べからスムーズに甘いムードへと移っていくイントロが美味しい。その後しばらくのリードのヴォーカル部分はどうにも煮え切らないんだけど、コーラス部分の醸すムードは大甘で最高。グループ名は「催眠術にかかりやすい人達?」で、ホント催眠術でもかけられてそうな感覚に陥る、そんな眠たくなりそうな子守唄的要素もある。ちょっとバランスの悪い曲だけど甘いムードだけは超一流で大好きな曲。

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