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2006.10.28
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カテゴリ: カテゴリ未分類

ついこの間までは、日本生まれの英国人作家 カズオ・イシグロの作品を集中的に読んでいた。

彼の作品は、登場人物同志が出会って織りなす物語というよりは、自身の記憶や感情の中で結実してしまった不確かな記憶の積み重なった物語といった感じだ。

はじめに読んだ「私たちが孤児だったころ」は、時代設定も時間の推移も曖昧で、あまりにも思い込みが激しすぎる感じでなじめなかった。

しかし考えてみれば私たちの人生も主観的で、自分に都合良く積み重ねていくものだ。年おいて、思い出す昔の記憶は、輝かしかったり、哀しかったり、その時の感情に応じて都合良く思い出される。

老執事の回想を描いた『日の名残り』は、執事という仕事を全うするため、私の感情をいかに無くすかということに腐心されている。父の死にも取り乱さず、恋愛にも興味を示さず、主人に従順に仕えることが、執事としてのプロフェッショナルであると信じる主人公。皮肉なことにその主人は、政治舞台の「アマチュア」と卑下され、親ナチスの貴族として戦後失脚する。それでも主人への尊敬は消えることがない。

奇しくも昨日映画でやっていて後半から鑑賞した。チャンネルを回していてたまたま見つけたのにこの映画であるとすぐ気づいた。原作を忠実に描いていてなかなか見応えがあった。

『わたしを離さないで』 

 「第二次世界大戦以後の世界が核開発競争にむかわず、制御不能なクローン技術や遺伝子研究に向かったらと想像してみて下さい。この本では科学と未来について警告しようという気はありませんでした。まったく新しい視角から、人間の本質とは、何かを描きたかったのです。生きる時間がわずかしかないと知っていたら。何が重要か。愛か、友情か。死とどう向き合うか」と作者は、述べている。

自分の生きている意味があらかじめ設定されている特異な状況の中では、未来に希望を持てるわけでもなく、少年少女期への追憶のみが一層重要視されている。型に嵌められた人生の中で唯一許される甘美な思い出。大切な「私を離さないで」というテープを探してくれた同級生に抱く淡い気持ち。

死とどう向き合うか。そしてどう生きていくのか。その答えには、たどり着けそうにないけど、誰かのぬくもりが欲しい、誰かに想っていて欲しいという強い思いが『私を離さないで』という曲には、詰まっていたのではないか。

 この日本人の外見ではありながら、英語で全てを書く作家には深い興味を感じる。彼が手がけた「上海の伯爵夫人」という映画も見てみたい。






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最終更新日  2006.10.28 18:26:30
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もっと読みたい  
クリス さん
monaさん、今日は~♪

「私たちが孤児だったころ」は今イチなのでしょうか…? 映画化されるとのことなので、ぜひ読みたいです。処女作「遠い山なみの光」は長崎生まれの女性が主人公だそうで、5歳まで長崎に住んでいたイシグロの原風景なのでしょうか。
それよりも興味があるのが「充たされざる者」。ちょっとカフカ的な不思議な話だそうで、従来のイシグロ色ではないとのことでとても楽しみ。ただ手に入れるのが難しそうで…。

「日の名残り」TVで放映してましたか。私も見たのはかなり前なので、もう一度見ようと行きつけのビデオ屋に行ったところ、今はもう置いてなくてガッカリ。

イシグロとは逆の立場の(厳密にはちょっと違うけど)リービ英雄さんの作品も興味あります。万葉集などの翻訳家としても活躍しているリービ氏は、母国語の英語ではなく日本語で小説を書いてます。近いうちに読みたいと思ってます。

面白そうな本があればまた教えてくださいね。
(2006.10.28 23:38:07)

Re:もっと読みたい(10/28)  
もな3554  さん
クリスさん♪こんにちは


>「私たちが孤児だったころ」は今イチなのでしょうか…? 

イシグロ氏の世界にはじめて触れて、とまどってしまったのだと思います。彼の作品を読み進めていくうち、彼のスタイルに慣れてきました。強く主張しないけど、心に澱のように溜まっていく感じというか。もう一度この機会に再読すれば、また違った印象を受ける気がするので、映画を見る前にでも読みか返してみようかしら。


>それよりも興味があるのが「充たされざる者」。ちょっとカフカ的な不思議な話だそうで、従来のイシグロ色ではないとのことでとても楽しみ。ただ手に入れるのが難しそうで…。

「充たされざる者」私も読んでみたいです。

>「日の名残り」TVで放映してましたか。私も見たのはかなり前なので、もう一度見ようと行きつけのビデオ屋に行ったところ、今はもう置いてなくてガッカリ。

うちは、ケーブルテレビなので、ムービープラスというチャンネルで見ました。

>イシグロとは逆の立場の(厳密にはちょっと違うけど)リービ英雄さんの作品も興味あります。万葉集などの翻訳家としても活躍しているリービ氏は、母国語の英語ではなく日本語で小説を書いてます。近いうちに読みたいと思ってます。

外国語を習得するだけでも至難の業だというのに、小説まで書いてしまうとは・・・。


クリスさんには、いつもいろいろなご本をお薦めいただき、私の偏った読書癖に新たなページを加えていただきありがたく思っています。

私は、エッセーなども大好きで最近では、茶道の事をかいた森下典子という方の「日々是好日」という本を何度も読んでいます。 (2006.10.29 07:09:58)

Happy Halloween!  
ミュア さん
今日はハロウィンです!先週はアンドリュー主催のパーティに行ってきました。今年こそはセーラー服をと思いましたが それこそ調達するのが至難の業そうなので 魔女になりました)お元気ですか?

秋の夜長の為、私も鑑賞したばかりの映画父親達の星条旗の原作本、(本も又、素晴らしいんです)補習校の古本市で桐野夏生さんの2冊山本文緒さんの一冊 衝動買いしました。

いつも、なかなか 読み応えのありそうなセレクションですね。monaさんは いつも どう読む本を選んでいますか? 今 何のドラマを見ていますか?
  (2006.11.01 02:13:23)

Re:Happy Halloween!(10/28)  
もな3554  さん
ミュアさん♪こんにちは。

元気にしています。ありがとうございます。
そちらは、やはり生活を楽しむ事がお上手ですよね。いろいろなイベントが根付いて。
セーラー服ですか。そちらでは、日本におけるセーラー服的な感覚とは違った受け止め方なんでしょうか。ホントの水兵さんみたいな????
こちらでは、女子高生の価値もすでに暴落しているようですが。
魔女といえば、最近BSで「奥様は魔女」をやっていますが、サマンサはホントにチャーミングですね。子供の頃は、インテリアとかファッションとかに憧れてました。


>秋の夜長の為補習校の古本市で桐野夏生さんの2冊山本文緒さんの一冊 衝動買いしました。

私もどうしても女性作家が好きで読んでしまいます。山田詠美さんの「僕は勉強ができない」とか瀬尾まい子さんの「幸福な食卓」角田光代さんの「空中庭園」岩井志麻子さんの「永遠の朝の暗闇」など最近読みました。
山本文緒さんも微妙な女心を描く作家ですね。
>いつも、なかなか 読み応えのありそうなセレクションですね。monaさんは いつも どう読む本を選んでいますか? 今 何のドラマを見ていますか?

一人の作家が気に入るとその人の本を集中的に読む方です。クリスさんのお薦めで、翻訳物にも少しずつ挑戦しています。山田詠美さんは、デビュー当時の官能的なものは、苦手でしたが、学校を舞台にした小説はとても好きです。 
子猫殺しで有名になった板東真砂子さんの小説も映画化もされた「死国」「狗神」をはじめとして土俗的な感じに惹かれますし。

ドラマは、「のだめカンタービレ」・「僕の歩く道」を見ています。のだめは、ストーリーというよりも音楽の楽しさを描いていて、クラッシックが全編流れているところが好きかも。
「僕の歩く道」は、草薙君が自閉症の青年を演じていて、色々考えさせられるドラマです。
(2006.11.01 16:09:09)

イキガミ  
クリス さん
monaさん、今日は~♪

「わたしを離さないで」に若干似たような設定のマンガ「イキガミ」なかなか面白そうです。

近未来の日本。全国民が小学校入学時にある予防接種を受ける。1000人に一人の割合で一種の時限爆弾のようなものが注入されていて、25歳までのある日がきたら、それが作動して死ぬ。その時、24時間前の段階で本人に通知がくる。それが「逝紙」。それをもらってしまった人々の行動は…。

わずか24時間で自分の命が終わってしまうという現実に人はどのように向き合うのか。「離さないで」の方は、かなり前から自分の運命は知らされているので(その次期については触れられてませんが)、それまでの猶予期間というか、熟成期間みたいなものがあって、その点はかなり違いますが。

マンガの方は、現在連載中で、まだ2巻しか出てないそうですが、読んでみたいです。 (2006.11.04 10:45:57)

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