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晩秋の実家の庭に むべの実がたわわになってきた毎年 赤紫色に熟し アケビに似た実を小鳥たちが 賑やかについばみにくる見事なほど中実を綺麗に食べて 丸い穴が開き 渇いてカラカラになった皮だけが 幾つもぶら下がっているけれど 今年は空になった実が 庭に幾つも転がっている明らかに小鳥の食べた後ではない不思議に思っていたが今朝それが野生のリスの食べた後とわかった廊下にいた次男が 口に指を当てて 私を手招きしした指さした先に目をやるとリスがむべの木の入り組んだ枝に腰掛け両手で抱えてかじっていたリスの顔と同じくらいのその実を夢中にかじる様に愛らしく見惚れたが野生のリスの被害も耳にする昨今どうしたものかと思案した最近 里山近い実家の辺りでも住宅が増え続け 里山が小さくなっている自然の声が姿が見聞きできなくなるのはとても寂しい
2016年11月20日
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昨夜の雨は今朝の庭で一枚の絵画のようだった 射すような朝日は庭の草花に付いた露を光らせていたそれはまるで透明な水晶のように 無数の水晶の輝きはきらきらと眩しく揺れて思わず掌に乗せたくなる感情が沸く この水晶が蒸発しない前にと庭に降りて手を触れるとただの水滴当たり前の現実に苦笑した 朝露のような湿り気を持った雀が私の行動を見ていたのか笑うように鳴くのを聞いた
2016年10月18日
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先日 伊勢湾オープンヨットレース大会に参加しました私がこのような大会に出られる事は自分でも驚きです 私が乗ったのはハンザクラスと云う障害がある人やお年寄りでも乗れる小さなヨットですこのような遠征は初めてです江ノ島と云う湘南の海では 湾の中で乗って練習ですがレースは伊勢湾で外洋と繋がっていますスタート地点までが遥か遠くそこまで ヨットを進められるのかしらうまく風を捉えられるのかしら潮に流されたらどうしようかしら不安でドキドキのスタートでした風もなく 潮の流れのある海多くのヨットがリタイアする中で同乗したクルーとゴールの歓びを分かち合いました年を重ねてから始めたヨットはこれからの人生をより楽しくしてくれそうな気がします
2015年08月06日
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藤沢宿・遊行の盆という公演に参加した日本3大盆踊りと言われる西馬音内盆踊り 郡上おどり 越中おわら 起源・活動・保存などを聞き 盆踊りの奥深さを学んだ郡上おどりと越中おわらは 今までにも多く見聞きしていたが西馬音内盆踊りはほとんど知識がなかったひこさ頭巾呼ばれる目だけを出し 黒い頭巾や編み笠をかぶり 先祖伝来の美しい端縫いという衣装を身に纏い賑やかなお囃子に反して 哀調ある甚句 節回しに漂いながら妖しい雰囲気で静かに踊る顔を黒い布で覆い隠す事で 亡者おどりとも呼ばれるが歌舞伎の黒子から思いついたとも言われているそう思って見ると 手の甲の反り返り 指先の仕草もどきっとする美しさがあり 歌舞伎のしなやかな舞いと似ていた何百年も豊年祈願して受け継がれた重要無形民族文化財がこの騒がしい世の中で廃れることのないように浴衣が汗でにじむほど まだ暑い宵の口藍色に染まるの空に願った * 秋田県雄勝郡羽後町西馬音内(にしもない)*
2015年07月28日
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先日 母の着物箪笥の整理をしました桐の引き出しにはしつけ糸がついたまま 畳紙に包まれた地味な色合いの着物が数枚あり着物好きだった母の姿を忍びましたその引き出しの一番底で綺麗な布が目にとまり広げてみると大きな揚羽蝶が描かれた絹布で帯を解いたものと分かりました母がこの派手な模様の帯を解いてまで大切にしていたのはなぜでしょう 何に作り替えようとしたのでしょう今となっては知る由もありませんがふと小さな頃の記憶が蘇りましたそれは綺麗なすべすべした布を使った掛ふとんです幼心にその華やいだふとんの美しかったこと押入れから寝具をだすのが楽しかったこと綺麗なおふとんで寝ると いい夢られるよと祖母が教えてくれたことこんな記憶を辿りながら私もこの布を形にしようと思いたち久しぶりに針を持ち何とも簡単な掛ふとんならぬ夏用のベットカバーを作りましたベッドの上で揚羽蝶が舞っていますさて今夜からいい夢が見られるのでしょうか
2015年07月13日
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昨日からの雨が既に永く降っています雨足が白く光って冷たげですふとベランダのジャカランダに目をやるとその柔らかく繊細な葉に幾つも幾つもの雫がお行儀良く並んでいますキラキラと輝きそれは小さなガラス玉のようです次から次へとできては落ちていくのです音もなく 色もなく 匂いもない儚い雫庭に落ち形をなくした雫は雨水となってどこまで行くのでしょうか川から大海に戻ってまた何時か めぐり会えるのでしょうか憂っとうしい梅雨の季節ですが楽しい想像が膨らむ日でした
2015年07月03日
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雨の午後 本の整理をしていると分厚い本の間から うす紙のような 小さな押し花がすっと落ちたそれは 透き通って 時の流れを語るようだった急に また新しい押し花を作ろうと思い立ち鎌倉の寺に紫陽花を見に出かけた西洋アジサイは 明るい空の色に似た色彩豊満なたっぷりとした咲き方に優しさが満ちているガクアジサイは楚々としてどこか詫び寂びの世界に引き込まれるようけれど どちらも梅雨の閉ざされがちな心に和みと潤いを纏わせてくれたこの変幻する花に魅せられる人人人その 心の中に何を想うのでしょうか鎌倉を歩くと自生しているガクアジサイが目に付く鎌倉の風土 潮風にも耐える強権な紫陽花が多いと聞くふと 祖母や母の凛とした姿を重ねていた私にも そんな強さが備わっていたら うれしいと好きな白いガクアジサイ買いましたう
2015年06月09日
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四月半ばと言うのに今日も朝から冷たい雨の音がしています花冷えと言うのでしょうか庭に咲きだした花たちにも幾筋もの雫模様が付いて花首が垂れていますこの花壇は夫の好きな色の青と白を主に植えていますなので 雨が降ったりすると少し寂しい感じになりますけれど 陽を浴びた時競うように咲き誇る様は元気が湧いて心も明るく豊かになりますそしてそれが風に微かに揺れたりするとふと語りかけられたようで過ぎた日の楽しい思い出が蘇ります机の上の写真が笑っています早く温かくなるといいねって
2015年04月13日
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小さな旅にでよう久しく持たない皮のカバン出して好きな本なんか入れてちょっと春色さがしの旅に出よう磯を歩けばムッとする匂いの海草波に削られ奇妙な形の小石手にとってみよう季節の変わり目の緑青色の海原に蝶なんか飛んでるはずもないけど桜の花びらが寄せてくるわけでもないけどうららかな水かげろうの彩もないけどそんな幻想のような光景にもしかしたら会えるかも旅に出よう小さな旅に
2015年03月21日
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春間近な陽光の中 今年も3組のお雛様を出しました一番古いのは 祖母が母に授けて私の誕生で母から私へとすでに100年はゆうに過ぎている稚児雛です祖母が飾っていた頃は3人官女も5人囃子も揃っていたそうですが戦時中だったり引越しのために母が受け継いだ時にはお顔に少し傷のあるこのお内裏様だけでとても小さく可愛らしい木目込みです次の古いのが叔母の持っていたもの叔母が高齢になり幾年もの年月 眠らせておくのも気になると私のところに持ってきた裸の御所人形のお内裏様 桐箱のふたには平安雛と記されとても気品のあるお顔をしています一番新しいのは父が還暦を迎えた母に贈った立雛です両親亡き後 ここに連れてきましたお顔はかなり現代的ですが地味なお召し物を纏って母の好みの着物の色が伺えますこの3組のお内裏様これからも毎年お飾りしたいと思いますが何やらざわざわした世の中日本の良い風習はずっと続くのでしょうかふと 考える時があります
2015年02月19日
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如月の空に凍てつくように立つ木々裸木はなんの虚飾もなく一本一本の枝それぞれが独立してこの季節を耐えているその姿のいじらしく 雄々しいことけれど日没の始まった淡く悲しい光陰を受けつかの間の美しい姿には乙女の頬にほのぼのさす化粧の色に似て儚さもただようさらさらと浅い春を待つ 如月の木です
2015年02月12日
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ある冬の日 小鳥たちがベランダの餌箱のところで この家のご主人が 輪切りにしたみかんをを啄んでいました。そこに 音もたてずに のっそりと野良猫がベランダにあがってきました。すると小鳥の一羽が「みんな注意していつもの猫がきたわ、食べられないようにしましょう」と 飛んで行ってしまいました。猫はその声に「何だお前たち、オレは小さい時からここに来ているんだ。お前たちは冬の間だだけじゃないか、オレはここのご主人と仲良しなんだ、時々美味しい餌も貰えるんだぞ、お前たちを食べなくても生きていられるのさ」と紫色の綺麗な花の前でゴロンと寝そべりました。それを花梨の小枝で聞いていた一羽の小鳥が「なーんだあの猫は私たちを食べたりしないんだわ」「いつも光った目でじっと見ているから怖いと思っていたの」すると、もう一羽の小鳥が、「そうね この間 ここのご主人があの猫と話ているのを聞いたわ、「あんた小鳥を狙っちゃだめよ、だいたいあんたに小鳥を捕まえることなんて出来ないよって、あの猫ご主人の言葉がわかるのかしら」それを聞いていたうたた寝の猫は薄目を開けて「もちろんさ、オレは人の言葉がわかるさ、だから、お前たちを捕まえていないだろ、だけど、こんなに気持ちの良い昼寝の時間を邪魔したら、いつか飛びかかるぞ」と言いました。その話を窓越しに聞いていた ここのご主人が「まぁまぁ小鳥さんも野良ちゃんも仲良くしなさい、どちらも私の大切なお友達なんだから、それに小鳥さんは、もうすぐ春が来ればお山に帰っていくんでしょ」と言いました。その言葉に小鳥はちょっと寂しそうにチッチッッチとさえずり野良猫も大きなあくびをしながら満足そうにニャオ~ンと鳴きご主人は、温かい春 早く来ないかなぁ~~て言いながら部屋に入って行きました。
2015年01月26日
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もう10年も前の この月あの人との出会いは 八幡宮の朱い鳥居の下私はコートのフードを頭からすっぽりかぶり参拝者の雑踏と 冷たい風を避け立っていた時間が流れ 流れても まだ来ないあの人固い約束の 胸のときめきは いつしか 落ち着かないざわめきに連絡の手段を持たないあの人に 何が起きたのだろう 不安で苦しくなるもう帰ろう もう帰るわ その時遠くから 私の名を呼び手を大きく振り人の波に逆らい 走ってくるあの人ごめん ごめん ごめん日本の正月が こんなに込んでいるなんて 想像もできなかったと いきなり人前で ハグしたあの日髪を振り乱し 額に 鼻の頭に 大汗かいて走ってきた人の眼差し 息遣い 胸の音 手の温もり どれも これも 幾年過ぎても忘れないそれが私の供養 思い出すことが 水仙を愛でた あの人への想いいつか 空の上で 逢えるまで
2015年01月14日
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今年も実家の庭に蝋梅が咲きました花芯が深紅の この蝋梅は和蝋梅と言われていますその可憐な姿はまるで 追い羽根のようで正月の庭に 馥郁とした香を漂わせていますこの梅が咲くと 思い出す歌がありますうめ いちりん いちりんづつの あたたかさ(嵐雪)春を待ち焦がれる昔の人の心ってなんて素敵なんでしょうね
2015年01月09日
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年の瀬の澄んだ空に一条の飛行機雲が浮かんでいる私は飛行機雲を見ているのが好きですまっ白な絵の具で描かれたような一直線の雲夕日に飛び込んで行くようなオレンジ色に輝く雲やがて 風の悪戯か様々な姿になり時には 大きな龍のようにうねり時には 花びらのようにやがて大空に吸い込まれるように溶けていってしまう飛行機と言う硬い物体が描く手には届かない儚い自然の美しさが今日も心を動かさせます
2014年12月30日
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ヨットの仲間たちと横浜山手を散策しましたイギリス フランス イタリア等の優れた西洋館が当時の面影を残し庭や建物 そして お部屋を開放していました季節柄 クリスマスシーズンに合わせたのでしょう伝統を重んじたお部屋の飾りやテーブルセッテングに 鳳仙花の実が熟れて弾ける時のよう気持ちでしたそれは 西洋の文化の中で有田焼の鮮やかな色彩 九谷焼の深い落ち着きの色がクリスマスの優雅な雰囲気を盛り立て見事に染め合っていたのですその昔 この横浜の丘から祖国を離れ遠い地で 日本の工芸品を愛でクリスマスを過ごした人たち聖夜に何を祈っていたのでしょう北風にコートの襟を立てながら心の中はとても温かい師走の一日でした
2014年12月20日
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朝夕の気温が下がり木々は紅葉も過ぎ花壇の周りに吹き寄せられた落ち葉は色さまざまな帽子をかぶった小人のようです風が吹くたび みんな大騒ぎあっちに行ったり こっちに来たりぶつかりあったり 手をつないだり遊戯してる可愛い声まで聞こえそうなんて楽しい庭なんだろう手のひらに乗せると暖かくもなく冷たくもない落ち葉にふと語りかけたくなりそうになる私いつか童話が書けたらいいなと思いながら温かな陽射しの中で佇んでいた
2014年12月08日
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初冬の日差しが柔らかにベランダの花たちにふりそそいでいます昨年は夫の他界で一人になった不安に花に言葉をかける余裕もなくもの哀しく暮らしていましたそれは花たちにも伝わるのでしょうか咲き方も彩も思わしくなく小さかったり蕾のまま終わったりしていました今年は 春も夏も秋も 花たちはそろって咲きました「明くる元気に暮らしなさい」 と言って逝った夫の好きな ラベンダーも仄かに香を放っていますその花たちを見て 心がふわぁ~としてきましたすると 思い出も今日のきらきらした陽射しのようでした冬の扉は 温かくゆるやかに開いていきそうです
2014年11月18日
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僕は果物が好きな犬ですいちごも スイカも りんごも・・・・僕の居る家には 大きな柿の木があります今日はお姉さんが長い植木鋏を使って 柿を採っていましたそれが 地面に落ちて ころころ転がってきますでも 僕は自分でもよく分からないけど落ちてる柿はけっして食べません僕がキュ~ンキュ~ンって足踏みして催促するとお姉さんが持って来てくれましたそれを 両手で支えてかじっているとお姉さんが 変な犬ね~だけど もっと綺麗に食べなさいよって笑います今年も美味しい柿が食べられて僕は幸せな気分ですあ~~満足!満足!
2014年10月30日
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晩秋の夜空を彩る湘南江ノ島の花火は人気があります 私も叔母とバスに乗ってで出かけましたが途中の渋滞にはまり花火があがる音が耳に届く近くにいながらバスはのろのろとして動きません 花火の終わる前に着くかしら半分諦めながら音のする暗い空を見ていると突然 大きな花火が鮮やかに広がりました うわぁ~なんて事でしょう映画のスクリーンのようにバスの前の窓いっぱいに広がった花火思わず叔母と手を叩いて大喜びしました 花火が上がっている間に着かないと渋滞を恨めしく思っていましたが渋滞が素敵な時間と特等席を用意してくれたのでした バスを降りると見終わった人人人ですそのうごめく人達に逆らい歩き沿岸に渋滞している車の赤い灯は花火と同じように美しく見えました この景色それぞれ どんな思いを抱いて見ていたのでしょうね
2014年10月21日
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先の台風18号は思いもしないほど鎌倉にも大雨をどっさり降らせました 私のアルバイト先の植物園も雨が降り出してから たった2,3時間で湖と化し 蓮池の周りを囲む1メートルもあるフェンスも一時水没ここにいる数十匹の大きな鯉達も驚いたのでしょうそれぞれが自由遊泳して水のひいた後に大勢の職員さんが探し歩いていました 腰の高さまでの水は花木即売所内にも流れ込み私たちの参考書やエプロンをしまう棚もすっかり水に浸かりましたが幸いにも机の上にあったコンピューターやレジスターは無事だったのはほっとしました 後片付けのため臨時休園になった無残な園内のあちこちに花鉢が転がり鉄製のベンチが花木を乗せる棚の上にあったり思わずあの東北の津波を思い出させるほど水の威力の恐ろしさを痛感しました 売り物の花木の葉っぱを一枚一枚を綺麗な水で洗い流しながらここ湘南地方は穏やかな所ですが自然の驚異は場所を選ばない事を学びました次の台風がこんな悲惨な姿を残さないように祈るばかりです写真は翌日の朝カワセミがあのフェンスにいました
2014年10月11日
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久しぶりに実家で朝を迎えた障子を明け 硝子戸を開けると金木犀の仄かな匂いが 部屋に流れてきた しばらく手入れをしていない木々はすっかり伸びて 庭を狭くしていた中で 山吹色の小さな花を溢れるばかりにつけた金木犀 ふと この香りに懐かしさを覚えたそれは いつの頃だったか母が桐箪笥を開け着物をだしていた時の匂いに似ていた 幾年も開けていない桐箪笥を開くと真新しいたとうに包まれた着物黄銅色した訪問着と 銀糸の入った帯 まだ仕付け糸も解いていない 母は この着物でどこに出かけて行くつもりだったのだろう箪笥の中で寝ていた着物の 柔らかで冷たい重みに ちょっと胸がつまる思いだった
2014年10月02日
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いつの間にか爽やかな うす雲が空に絵を描き秋の日が 萩の折り重なる幹を遮るように差しこんでいる この夏の異常気象は各地で最高気温の記録更新や風雨の災害で多くの人が心を痛めたなんて暑い なんて残酷な夏だったのだろう 夏を振り返り異常な出来事がこれ以上起きないように小さなこの花に 大きな祈りこめた夫の好きだった萩の花 病衣の白さと 花の白さを重ねていた一年前なんと時のうつろいの早いことそして 今年この白い花が凛として眩しく見えるのは 何故だろう
2014年09月09日
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以前 我が家に野良の猫が出入りしていた名前はチャーと言った 性格の良い猫で 私たちはすっかり飼い猫のように可愛がっていたがある朝 瀕死の状態で我が家に来て フロアーの真ん中で息を引き取った こんなことがあってもう動物はけっして飼わないと 強く心に決めていたのだがこの頃 しっぽの長いスマートな野良猫がベランダにくる私の姿を見ても逃げる様子もなく 賢そうな丸い目で見上げる仕草に負けとうとうミルクをやり ついにオナガ君と名づけてしまったそして 来るのを待っては他愛もない話をしている実はこの猫は夫が入院中に時々姿をみせていたけれど 夫が他界した後しばらく姿を消していた数ヶ月前から再びベランダに来るようになったオナガ君が何を考えているかわからないが昔からそこにいたように落ち着いている姿は以前のチャーのようで可愛らしくなってきた一人になってからどこか緊張し続けていた私の気持ちが緩やかにほぐれるような気分でこの猫を見ている
2014年08月12日
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暑い日が続くなか妖精のような姿した青色の花が涼を運んでいる 数年前に花色の美しさと翼をつけたような形の花に魅せられて衝動買いで求めた花 昨年は花をつけることもなくかろうじて枯れた茎だけがその花の存在でベランダの隅に放置したままだった 求めてから3年目 今年の春 枯れた茎の脇から小さな芽をたった一つのばしていたなんと強い生命力 あっという間に大きくなりベランダの手すりを超え目の前で青色の花が大きく風に揺れてる 花言葉は 大きな希望 なんて素晴らしいんだろう小さな植物から受けた感動誰かに話したい
2014年07月29日
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梅雨の晴れ間近くの森の中にある小さな田んぼに蛍を見に行ったそこは田植えの終わった小さな田んぼそれを挟んだあぜ道には竹筒をくり抜いた中に蝋燭の灯りが暗くなるのを促していたやがて暗闇の中に仄かな柔らかい光を放つ蛍がゆらりゆらりと飛び交う優雅な動きに周りから歓声が上がった闇に浮かぶ蛍に亡き人の姿を思い浮かべそっと手を出してみるが熱を伴わない光はふわりと遠ざかった帰り際立待月が映る田んぼで蛙の合唱をが始まった自然って何と素晴らしいのだろう
2014年06月14日
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雨で新緑が 一層輝やかしい日 しばらく手にしていない分厚い本を開くと 本の間から 押花の花弁がはらりと落ちた 手のひらに乗せると 匂いもなく壊れそうな薄さ 本の頁には 黒ずみかかった桃色の跡 幾年じっと息を潜めていたのだろう この古い 奥ゆかしささえ覚える花弁を 大切な思い出をしまうようにそっと元に戻した 今 近くの植物園では 芍薬が清々しい香りを放っている 明日 新しい押し花を作ってみようか
2014年05月21日
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久しぶりに里山に囲まれた実家で朝を迎えた蒲団の中の温々さと眠気に離れられずぐずぐずとしているとと突然 鶯のひと鳴きがしたそれは如月のまだ寒い頃にさえずる初音とは違い清亮でなめらかな高音で静かな朝の空気をいっそう引き締めた今までに こんな近くで 耳にしたことがあっただろうか周りの里山が崩され 居場所を失い木々の多い庭に来るようになったのだろうかあの地味な羽色の姿からは想像もできないほどすっきりと整った さえずりなんて美しいんだろう木から木へ枝移りしながら鳴き立てる流鶯春たけなわも すぐそこに来ているうっとりと聞き入った朝体の中も冬から春に季節が流れていた
2014年03月22日
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数日前 ある方のブログに「青春とは」の文字を見付けた時思い出した幾年前かのこと この本を読んでくれと差し出したのは第二の人生を共に歩もうとしていた人で既に病を抱えていた 長い間の孤独な寂しさ感動のない世界からの脱出はけっして一人では叶わない 今を素晴らしく生きるには子供のような好奇心と一歩を踏み出す勇気と周りに左右されない強い意思だと この言葉にずっと躊躇していた気持ちが吹っ切れて年を重ねた二人の新しい人生に飛び込み青春のような日々を楽しく過ごした 今 その人は空の上けれど 私の心の中は美しい夕焼けのような残照があるこれからも素晴らしく生きようこの本のように
2014年03月13日
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大雪に耐え咲いた花花の庭を見つめているとふと誰かが私を呼んだような何かが私の目の中ですれ違った やわらかな陽光の向こうをいぶかるように目を凝らすと俯いた花達の前で猫がじっとうずくまりをこちらを見ていたそれは まだ小さく縫いぐるみのようでベランダを駆け回りミルクを飲む可愛らしい子猫その姿にほのぼのとしていた私たちの前から昨年の春 ぷつりと姿が見えなくなっていたチャトラ模様の特徴のある目と尻尾に間違いなく あの時の子猫だ思わず「チビチャー」と呼んでみた その声に独特な走り方でとことことベランダに走り寄ってきた猫生きてたんだわそう思うと嬉しさがこみ上げてきた この厳しかった冬をどこで どのようにしていたのでしょうか 猫の記憶力がどのようなものなのでしょうか 私にはわかりませんなぜかふと揺らぐ陽炎のなかにいるような気分でした
2014年03月05日
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*写真はRob Ryan 2014 Wall Calendarより*雪の降った翌朝 急に雲が流れ 青空が広がった 真っ白に覆われた眩しい庭に 陽射しが大きな樹の影を黒く浮き上がらせていた 時折 風が吹くと その影の中で 沢山の葉がヒラヒラと小刻みに揺れて まるで たくさんの小鳥たちが枝に集まり ピィピィと賑やかに囀り合っているようでした そして 冷たく張り詰める空気の中で おとぎ話の絵本をめくった時のような ほのぼのとした気持ちを起こさせてくれた朝でした
2014年02月15日
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静かな静かな昼下がり珍しくここ湘南地方にも雪が降りました 降り始めは羽毛のようにふわ~りふわ~りと手のひらで受けようとするとす~と逃げていった あわてて掬いあげると匂いもない優しい冷たさはあっと言う間に消えて手の中で涙のようになった この雪どんな結晶をしてどんな思いで大気を押し分けて降ってきたのだろうふとさまざまな想いが浮かびあがってきた如月に降る雪は春を運ぶ手紙ですたくさんたくさん降って真っ白に冷えていく大地の中で眠っている花たちを揺り起こす便り 驚いた花たちはゆっくり聞こえる春の音に大きなあくびをしているかもしれない
2014年02月09日
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北風が少し緩んだ日カメラを抱えて冬の近郊を散歩すると枯れかけた細い葉に隠れるように蒲萄色と翡翠色の実が目にとまったすでに朽ち落ちているものもあるがまるで宝石のようだった冬の色彩乏しい中で何と綺麗な色なんだろう何と可愛いらしいんだろう思わずしゃがみこんでシャッターをきったやがてこの実が落ちて新しい芽をだし小さな花をつける春が来るのだと気の早い空想をしていたそういえば母にもらった翡翠の指輪ずっと箱の中で眠っている久しぶりに手を飾ってみようか
2014年01月22日
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寒中の朝 庭に出てみた 花壇は薄化粧したように凍てついている足元の土を下駄の先でそっと踏むと霜柱がシャリと儚い音をたてて崩れた 硝子の破片のような霜柱をつまんで手のひらに乗せるとそれは朝日を浴びてまるで幼子の瞳のようキラキラ光った 霜柱は瞬く間に溶けて小さな水たまりになったひんやりした感覚の中にふと不思議な温もりを感じた この温もりは私を春へ誘うようだった過ぎた日の悲しみは厚いコートを脱ぎさるころには消えて行くのかもしれない
2014年01月13日
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ひさかたの 光のどけき 今の日は ただ朗らかに 活きてぞ楽し*静かな年を迎えました 本年もどうぞよろしくお願い致します*
2014年01月03日
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今年も冬の夜空に双子座流星群が現れた澄み切った夜空に輝く星たち寒いのをグッと我慢してしばらく空を見上げていると流れ星がすぅ~と発光して零れていった昨年は幾ら待っても見られなかったが風邪ひくといけないもう部屋に入りなさいと熱い紅茶を入れて冷たい手を温めてくれた今年 夫は空の上寂しく空を見上げる私の上に光りながら降りてこないかしらと叶わぬことを祈っていたそして 夫が航海中に暗い海の果から果までキラキラと輝く星空の話をしてくれたことを昨日のように思い出した
2013年12月15日
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初冬の歩道を街路樹の落ち葉が カラカラと笑い転がるように風と戯れていくのを見ていた あ~もうこんな季節なのねと見上げると葉の落ちた樹樹は すっかり裸木になって寒そうに見えた今年の夏の夕暮れどき この街路樹にはどこからか 小鳥たちが群れをなして集まり やかましいほど囀り合い寝ぐらにしていた あの小鳥たち今は何処に行ったのだろうか里山に帰って むつまじく賑やかにしているのだろうか明日 里山の方を散歩してみようか あの小鳥たちの楽しい声を耳にすることが出来るかもしれない こんなことを考えていたら寒そうにしていた樹樹は あっと言う間に まばゆいばかりの夕陽の衣を纏い暖かそうにしていた ふと胸の中に熱いものがこみ上げてきた
2013年12月08日
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僕はいつも明るくよく笑う君が好き一緒に遊んで一緒に食べてそれだけで嬉しく幸せだったずっと一緒にいられると思った 僕はありのままの君が好き一緒に泣いて一緒に怒ってそれだけで嬉しく幸せだったずっと一緒にいられると思った 僕は白いセールのヨットと君が好き一緒に風を受け一緒に揺れたそれだけで嬉しく幸せだったずっと一緒にいられると思った 今日の湘南の海は穏やかでまぶたの裏の君はいつものように明るく笑った僕は心の中でいつも君と一緒にいるあの夕陽を見た日と同じに
2013年11月27日
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穏やかな小春日和の今日あなたの四十九日忌を迎えました 何気なくあなたの机の引き出しを開けると海とヨットを愛したあなたの手作りの名刺が目にとまりました 大好きな海の色の中に小さな白いヨットが描かれて下の半分には英語の詩が綴られています この小さな文字の誌が気になり読んでいるうちにあなたの海への強い憧れと再び航海に出て行きたいという想いがひしひしと伝わってきました それは英国の詩人の海 フィーバーと言う誌です3章のうちの最後の一章ですがあくなき海への想いが綴られています あなたは私に一緒に航海がしたかったと言い残しましたがこの誌を読んであなたが病に倒れたことがとても悲しく残念に想います 春になったら穏やかでキラキラ輝く波間にあなたをお連れしますきっと手をたたいて声を上げて喜んでくれるでしょういつかの航海のように
2013年11月16日
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夫が他界して もうひと月が過ぎました昨夜 夫の蔵書の中から良寛禅師と貞心尼の歌集本を手にとりました夫がはじめて私に送ってくれた手紙はきみにかくあひ見ることのうれしさもまださめやらぬゆめかとぞおもふ貞心尼の歌を草書した小さな半紙でした 偶然にも この歌に出会いましたまだまだ深い思い出の中を彷徨していますけれど 心の中には明日に向かって 小さな芽も育っています
2013年11月02日
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あなたの入院生活は春を過ごし夏を乗り越え秋の気配の158日間今 その悲しみが一挙に襲ってきて耐えられず海を見に行きました哀しみの心を吐き出すように海原に叫ぶが声にならないあなたに届いたでしょうか乾いた砂浜に座りあふれ落ちる涙はひと握ぎりの砂では消しきれません夫 9月30日に永眠
2013年10月13日
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今朝ちょっと不思議な光景を見た台風の前の空を見上げるとミルク色した雲の間から青い空がのぞいていたそれなのに目の前では霧のような細かい雨が銀色のカーテンのように輝いていたもしかしたら虹がかかっているのかなと青空の彼方を見たがどこにも出ていなかった振り返るとあのカーテンは消えてコスモスがゆらりと揺れていただけだった
2013年09月26日
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自然の猛威が各地を襲った台風が大暴れしてまさかと言う無残な姿に人たちはなすすべも無くたたずむ 私は幼い頃にいつもは膝より浅い川が大雨で氾濫し 家が浸水した経験がありその恐ろしさは未だに記憶の底にある だから 刻々と伝わる甚大な被害のニュースに心が締め付けられそうになってくる大切にしていた物は飼われていた動物たちはどうしたのだろうと 大きな災害も日が経てば次から次に起きる出来事でニュースがニュースの上塗りをして忘れられていく けれど被害にあわれた人々は決して忘れられないのだ心が崩れていくあの瞬間を哀しさを 台風一過の紅色の空をながめふと思い出していた様々な記憶
2013年09月18日
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今年の夏の暑さはじっとしていても身体中が熱気でもうもうとしていたがこのところ秋の気配がする 入院中の夫にクラッシックのCDを聴かせたその美しい旋律が透明な振動が微妙に心身に響いたのか夫の顔に笑が浮かぶ この4ヶ月めまぐるしく変わる容態の変化に一喜一憂したがその響きは自然治癒力をも揺り動かしたようだ まだまだ 決して油断は出来ない状態だが季節の果物のようにほんの少し甘い気持ちを呼び覚まされたようです 庭には夫の好きな白い萩が静かに揺れている
2013年09月09日
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入院4ヶ月一時は三途の川を覗いてきたと言う夫の見舞いに行くと笑いながら話しかけてきた良いことあったのって聞くとうんって・・・あのさ 隣のオヤジが悔しがってるんだよどうして?マラソンしたら俺が勝ったえっ~~?なになに もしかして それ夢の話?すると ニヤッとしてそう~と言う負けなくて良かったね~勝ったんだ~!と言うとうんって・・・こんな会話でも凄く嬉しくなりました*現在4人部屋で療養中*
2013年08月30日
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病院の帰り道猛暑で風も無く光化学スモックの出た西の空に卵の赤みがかった黄身に似た朱い色した太陽が浮いていた それは街路樹の並ぶ道に出ると深い茂みの中に差し込み時折 葉と葉の間から踊るように光っている この美しい光景が明日はもっと素敵に生きようと私の気持ちを覗くように射しかけてくるそして 心も足も軽くなった
2013年08月13日
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今年は母の新盆まだ他界してから1年過ぎていないつい昨日のようです 母の部屋に入れば愛用していた 藤の椅子がベットがタンスがそのまま母の姿はないけれどふら~と隣の部屋から出てきそうな気さえする 庭に降りれば色あせた鼻緒の庭下駄をつっかけた母が片手に花鋏を持って小さな花を手に現れそうな気がする 数日前に心の友から供養にと有難いお品物が届いた母の好物が詰められたそれに思わず目頭が熱くなる 新盆用の白い提灯を軒先に下げお迎え日を炊く日母と一緒にいただきますさぁ~明日からまたファイト!
2013年08月07日
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夕闇の国道1号線を病院の窓から眺めている赤いテールランプを点滅させる車の列はまるで帯のようにゆっくりと流れていくその帯の続く道は森らしき樹木の中に消えていくあの車の中にも今の私と同じように病人を見舞う人が乗っているのかも知れない車の流れが止まるたびに早く走れと願うずっとずっと昔ハイウェイを車で走った時建ち並ぶ高層建築の窓からの灯にどんな暮らしがあるのだろうと思ったことがあった今と反対の立場で足にあの赤いテールランプのようなぺディキュアをしていた頃
2013年07月15日
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今年も色々なことがありあと数日を残すのみとなりました中でも母の他界は余りにも急なことでしたあの日 出かける私が今日も頑張ってねと云うとあなたも頑張りなさいよと云う返事まさか その言葉が最後になろうとは・・・救急車で運ばれた時は既に心肺停止状態でした数分後には 眠るように旅立ちました母の残した和歌には息子二人に先立たれた時の悲しみや認知症になって逝った父への想いが・・・秘めた強さと気高さを感じ昔気質を貫き気位の高かった母その顔には美しささえ漂っていました母 93歳季節が移ろうように自然で静かな死するべきことはしたと自負する私この一年に悔いはありません
2012年12月26日
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ヘブンリーブルーという空色の朝顔が夏の間我が家の小さなベランダを賑わしてくれた 初秋の嵐ですっかり葉が枯れ落ち弦だけがうねうねと広がってそれでも毎朝 しっかりと大輪の花をつけていた 霜月を迎えるとしだいに花の勢いも衰えどこか寂しさを漂わせる朝顔思いっ切り根元から取り除いた 手にとって見ると弦の先に幼い蕾がふたつ付いているそれを短く手折って小さな花瓶に挿しておいた 今朝 窓辺に置いた花瓶にあの空色の朝顔が誇らしげに胸を張るように咲いていた あァ~ 昨日 捨てなくて良かった~!爽やかな喜びが朝の光の中に弾けた
2012年11月03日
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