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うさぎ仙人

うさぎ仙人

2006年01月03日
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・・・おだやかな明るい陽がふりそそいでいる。風は冷たい。

 地球も広いようで、日本列島が厳寒の地になっているさなか別の場所では海水浴としゃれ込んでいる所もある。陰陽、白黒、左右、上下、肯定、否定と、地球と同じように人間の意識と行動は真逆の言動を繰り返しつつ生きている。

 そのときには真剣に考え真摯な態度で接し信頼を裏切らないように必死で持てる力を発揮しようと苦しくても己を鼓舞しつつ何事かに取り組む。が、残念ながらそれがその通りになるとは限らないことのほうが多い。

 パラドックスの塊といえる矛盾人間は、でも、それでよいのだろう。

 近代文明を手に入れた人類は、はたして何を得て何を失ったのだろうか?

 我々は日々たくさんのものを手に入れ嬉々としているが、一方、砂が掴んだ指のあいだから滑り落ちてゆくように、知らず知らずにたくさんの大切なものを失っている現実を忘れまじ。

 何かを得れば、何かを失う、という鉄則があるけれど、イッタイ文明人の失ったものは何だろうか、この先行きはどうなるのだろうか、などと想い描いていたらば、やはり、考えている人はいるもので『パパラギ』の中でマーク・トウェインは言っていた。

 知ることによって『初発の感動』を失っている。

 と言っている。要約すると。




 それと同時にあらゆるものが自動化され機械化された現代文明の中で、手が何のためにあるのかさえ知らない、忘れてしまったかのようだ。この文明の行き先はいったいどこなのだろうか。数千年前に孔子さんは既に警告を発している。

 『バクチでもいいから、手を使え』と。


 『貴腐』という単語がある。「プーリチュール・ノーブル」というフランス語では、白ブドウ酒に起こる現象のことだ。起こる年もあれば、起こらない年もある。特殊なブドウ菌がついていつもの年のブドウよりも手の込んだ味を創り出してくれるそうで『貴い腐敗』とも呼ばれている。

 貴腐の段階を通過したぶどう酒は、底の入った一段階も二段階も上等の含みの深い味になる。

 また、ブドウ酒以外でも『腐敗』の段階を通過したものは同じように底深い味を醸しだす。たとえば酒、チーズ、くさや、塩辛、うるか、などはもっぱら大人が酒の肴にするが、これらはすべて腐敗の段階を通過している。

 醤油も味噌もピータンもそうだ。が、腐敗といってもそれは発酵なのであって、本当に腐っているわけじゃない。が、この段階を通過したものは含み深い味を獲得するのです。

 食べものでさえ味を飛躍させ得る『貴腐』『発酵』という段階を通過し他力本願ながらも変身できる。人間も、この段階を通過したほうがいいが、それが何によってもたらされるのかは、人によって様々だろう。

 同じ経験をしても、貴腐をできる人とできない人がある。やってみなければわからないことだ。だから何によってスイッチが入るかどうか、なるべく沢山の人や、イロイロな事物にぶつかって体験を積むしかないのだろう。

 そのときに一番必要なことと言えば、めんどうなこと、いやなこと、うっとうしいことを避けて通らないことだろう。むしろこれを歓迎することだ。

 文明人の失ったものを、もう一度取り戻すには手を使うしかないのだろうが、人類はあえて無意識に遠回りしていることも有得る。すべてを経験するために。

 永井荷風がなにかの中で『一度くずれると、二度とよくなることはないですからね・・・』と記している。が、気迫と気力、ウェルカム・トラブルの心を忘れ去った人の負け犬根性を痛罵しているもので、気力が萎えてない人には関係ないはずだ。



 近代文明を手に入れたわれわれは、対価として人間本来失ってはならない『感動』という大切なものを希釈にさせてしまった。

 『虹』を見たときの子供のときの感動を蘇えらせる策はないのだろうか。


 『感動蘇生』の術かまたは機器を発明して施してもらいたいものだネ。 


 欲望と喪失、パラドックスの罠をいつ抜け出す事が出来るのだろうか?





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最終更新日  2006年01月03日 10時12分01秒
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