5 おん えらんど  4 ちゃいるど

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April 7, 2005
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カテゴリ: TRPG
 路地裏のゴミ箱からがさごそと食料を漁っていた空邪の背中に声がかけられた。

感情をまったく感じさせない無機質な声だ。

「千早 空邪だな」

空邪の口元から不機嫌そうな唸り声が漏れた。

理由は二つ。食料集めを邪魔されたことと無機質な声が癇に障ったこと。

そして空邪の野生の勘は、この男が敵だと告げる。

空邪は、振り向くなり一気に声の主に向かって虎のように駆ける。

声の主は、黒いサングラスに黒いスーツに黒髪の黒ずくめの男。

空邪は、まったく躊躇せず一気にその喉元に噛みつきスファルトへと押し倒す。



無茶苦茶に何度も拳を振り下ろす。

男のサングラスが割れ、鼻骨が砕け、歯が折れる感触が拳に伝わってくる。

とどめとばかりに空邪は、男の喉の肉を噛み千切る。

立ち上がりぺっと噛み千切った肉を吐き出す。

湿った音をたてて噛み千切られた肉の塊がアスファルトに落ちた。

男が完全に息絶えていている。

空邪は、男の死体をそのまま放置し路地を出る。

空邪の住むスラム街では、死体が一つ落ちているくらいでは
何の騒ぎにもならない。

むしろ一時間後には身包みを全て剥がれ使える臓器を取るため死体も無くなっているだろう。

スラム街とは、そういう街なのだ。



空邪が不振そうに周りを見渡す。そして喉の奥から唸り声を上げた。

黒いサングラスに黒いスーツの男達が辺りを埋め尽くし拍手していた。

黒山の人だかりという表現がぴったりくる光景だった。

「おめでとう。まさか私がこうも簡単に負けるとは」

空邪の目の前にいる男が口を開き大仰な身振りで他の男達を指し示す。



続いて右隣にいた男が口を開いた。

「自己紹介が遅れてしまった。空邪君。私の名はクサナギ。

こう言えば察しがつくと思う」

クサナギ。確かにその名は、義兄や義姉から聞かされていた。

空邪の義兄や義姉の何人かを殺した正体不明の工作員。

そのことを思い出し怒りが空邪の心を支配する。

唸り声が咆哮に変わる。

空邪は、猛然とクサナギの群れへと突進していった。


 モニタースクリーンに空邪とクサナギの戦う姿が写っていた。

空邪は、クサナギの喉を噛み千切り或いは、目に指を突っ込みアスファルトに叩きつける。

まさに人の形をした猛獣のように暴れていた。

モニターを見つめる男の口が歪む。

「素晴らしい・・・」

漏れたのはため息にも似た感嘆の声だ。

男は、懐から携帯用連絡端末ポケットロンを取り出すと番号を押した。

2コールの後、相手が出る。

「ああ、私だ。天津和代だ。征司君。

今、クサナギが相手にしている22本の牙を私にくれないか? 

是非、この手であの野生にさらに磨きをかけてみたいのだ。

ああ、そうだ。生かしたままここまで連れてきて欲しい。

腕や足の一本くらいなら欠けても構わないよ。

それぐらいこっちでもっといいものに付け替えるさ。それでは、よろしく頼むよ」

ポケットロンを切り懐にしまい天津和代は、再びモニターに見入る。

その目には、狂気に満ちた喜びの輝きが宿っていた。

オーサカM○●Nにある企業、BIOSの社長、天津和代。

彼の喜びは、人の遺伝子を組み替え究極の生命体を作り出すことである。

空邪は、まさにその目的にぴったりの研究材料となりえる。

科学万能のこのニューロエイジにあって失われたと言っても
過言ではない野生を持っている。

天津 和代にとって空邪という素材は、ダイヤモンドを見つけたに等しい。

天津 和代の脳裏には今から空邪の体をどういじるか、そのことばかりを考えていた。

 がばっと毛布をはねのけ空邪が跳ね起きた。体中が汗でべっとりだ。

そのおかげで体中べとついて気持ち悪い。クサナギに負けた夢のせいだ。

20人を越えたところから何人倒したかは、覚えていない。

クサナギのことを思い出し自然と唸り声が漏れた。

クサナギに捕まり天津和代に体をいじられた悔しさが空邪に唸り声を上げさせた。

天津 和代の手から逃れN◎VAに戻ってきたのもまだクサナギがN◎VAにいると聞いたからだ。

まずは、クサナギの首を噛み千切りその次は、天津 和代の首を噛み千切る。

それが空邪がN◎VAへと戻ってきた理由だ。

だが未だにクサナギの姿を捉えることはできない。

ぴたりと空邪が唸り声を上げるのを止めた。

代わりにひくひくと鼻を動かす。

鋭い嗅覚が肉の焼けるいい匂いを嗅ぎつけた。

空邪の腹が大きな声で鳴いた。

昨日、あれだけ動いたのだ。腹が減って当然だ。

肉の焼けるいい匂いは、クサナギのことをとりあえず忘れさせた。

空邪は、きょろきょろと辺りを見回す。

「ここ、どこだ?」

ようやく空邪は、自分がまったく見知らぬ部屋にいることに気がついた。

空邪が寝ていたのは、ソファの上で床には、毛布が落ちている。

恐らく空邪にかけられていたものであろう。

ソファの前には、ガラス製のテーブルがある。

そして部屋の片隅には、なぜかサンドバックが吊るしてある。

サンドバックの周りにはベンチプレスや鉄アレイなどの
トレーニング機器も置いてある。

空邪は、くんくんと鼻を鳴らして匂いがどこから漂ってきているか探す。

匂いは、この部屋からではなく正面の扉の向こうから漂ってきているようだ。

匂いに引き寄せられるように空邪が扉へと向かう。

その時、ちょうど扉が開いた。空邪は、驚きでびくっと肩を上げた。

扉の影から巨漢がぬっと姿を現した。

「よう。坊主、起きたか」

フレッドは、気安げに空邪に声をかけた。

空邪が噛んだ喉の辺りには包帯が巻かれている。

フレッドの右肩から胴にかけても包帯が巻かれているのが服を着ていてもわかる。

空邪が右鎖骨を噛んだのと背中に爪を突きたてた傷のせいだろう。

「とりあえず腹、減ったろう。食うか?」

フレッドがどんと両手に持っていた二枚のステーキ皿とボールを置く。

皿の上には草鞋のような大きさのステーキが載っていた。

ボールの中には、山盛りの野菜サラダが入っていた。

それを見た空邪は、嬉しそうに目を輝かせ唾を飲み込む。

「食う!食う!」

もう我慢ならないと言うように元気よく答えた。

「よし。ちょっと待ってな」

フレッドはそういうと再び扉の向こうに戻ってきた。

そして今度は、両手に大ジョッキを持って戻ってきた。

中身は、空邪の見たこともない白い液体だ。

フレッドが大ジョッキの一つを空邪の目の前に置く。

「これ、なんだ?」

「プロテインのミルク割りだ。体にいいんだぜ」

「ふーん」

空邪が大ジョッキの中に指を突っ込みペロリとなめる。

味はミルクで割ってあるせいか甘くて美味しかった。

「じゃ、乾杯だ」

フレッドがジョッキを掲げる。

「乾杯?」

「戦った記念にだ」

空邪が上を向いて何かを思い出そうと考え込む。

頭を何度も打ちつけられたせいか記憶がおぼろげだ。

しばらくしてようやく記憶がはっきりしてきた。

「オレ、お前と戦った!」

「その通り。そして俺が勝った」

にやりとフレッドが笑う。

「違う、オレ、負けてない。ちょっと疲れたから寝ただけ」

空邪は、怒ったように言い返す。その様子から自分が負けたとはまったく思ってな
いようだ。

フレッドが面白そうに笑う。

「じゃ、引き分けだな。また今度、戦ろうぜ。とりあえずいい戦いに乾杯だ」

「それならいい」

空邪も大ジョッキを持つ。そしてフレッドのジョッキと合わせる。

ガラスとガラスが触れ合い澄んだ音が響いた。

フレッドは、大ジョッキの中身を一気に半分くらいまで飲み干した。

空邪は、一口、口をつけると早速、手づかみでステーキにかじりついていた

奪われないようにしっかりとステーキを持ちながらたまにボールに
顔を突っ込むようにしてサラダを食べる。

フレッドも大きめにステーキをナイフで切り次々に自分の口へと運んでいく。

あっという間にステーキとサラダが無くなっていく。

食べ終わると空邪は、満足そうに腹を撫でた。

「坊主、お前、これからどうする?」

大ジョッキを片手にフレッドが尋ねた。

中身は、プロテインからビールに変わっている。

「行く所がなきゃしばらく俺のところにいてもいいぜ」

フレッドは、浮浪児にしか見えない空邪を気遣っているのだろう。

昨日、あれだけの激戦を繰り広げた仲だ。

二人の間には友情のようなものが芽生えていた。

生死を賭けた戦いは、時に幾多の言葉を重ねるよりはるかに簡単に
互いのことを理解しあう。

空邪が腕を組んで考える。

確かにしばらくここでフレッドの世話になるのも魅力的だ。

なにより食料に困らない。しばらく考えて空邪は、答えた。

「にーちゃんとねーちゃんに会いに行って来る」

空邪は、クサナギの夢を見た時から義兄と義姉のことが気になっていた。

天津和代の手から逃れて以来、義兄や義姉に会っていない。

クサナギを探すのに夢中で会いに行くのが後回しになっていたのを
ちょうど思い出したのだ。

「ほう。兄弟がいるのか」

フレッドが興味深そうに言った。

ちょっと想像してしてみるがこの野生児の兄弟というのは想像もできない。

「どんな奴だ?」

「にーちゃんは、大人しそうにみえるけど実は、おっかないんだ。

ねーちゃんは、すごく頭がいい」

空邪は、うれしそうに兄弟のことを話した。

「ほう?」

この野生児の兄弟とは思えぬ人物のようだ。

「じゃ、会いに行って来る」

空邪は、そう言うとソファから猫のようにぴょんと扉まで飛んだ。

「道、わかるか?」

心配そうにフレッドが空邪に声をかける。

「大丈夫。ねーちゃんなら仕事場に行けば会える。

にーちゃんは仕事でよくどっかに行ってるからわからないけど」

空邪ががちゃりと扉を開け玄関に向かう。

「仕事場か?いったい何処で働いてるんだ」

フレッドが大声で玄関にいる空邪に尋ねた。

「ブラックハウンド」

空邪は、事も無げにそう言うと玄関から出て走っていってしまった。

「ブラックハウンドね。確かにそりゃわかりやすい。・・・ブラックハウンド?」

フレッドいぶかしげに空邪の言った言葉を繰り返した。

特務警察ブラックハウンド。

トーキョーN◎VAの治安を担う唯一の公的警察機関。

民間警察では手に負えないテロや重犯罪を担当する上級警察。

犯罪者という獲物を追いかける黄金の猟犬。

それがブラックハウンドだ。

間違っても空邪のような浮浪児が行くような場所ではない。

そんなことは一切気にせず空邪は、ブラックハウンドへと向かっていた。

―続く―
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Last updated  April 21, 2005 01:06:21 AM


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玄盲斎@ スポーツの試合アクト  子供の言ってるアクトか判らんけど、ス…
玄盲斎@ ゾロ 確かに気になるな、この映画w 見たいね…
MERU@ テニヌwww 心当たりが1人しかいません、本当にあり…
子供の御使い @ Re:TV版アストロ・・・(12/01) >ちゃん様さん キミの言葉によって彼が…
MERU@ すごいアクトですね ゲラッゲラ笑わせてもらいましたw そ…

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