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リンロン88

リンロン88

2005.11.08
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カテゴリ: 読書
今読んでいる本、「精神世界のゆくえ」(島薗進著、東京堂出版)が面白い。

発行は少々古く1990年代半ばなので、最新の状況は反映していないかもしれないけれど、1970年代ぐらいから90年代初頭にかけての「精神世界」の流れとそれを基にした「知」のゆくえについての考察をまとめた本である。

著者は当時40台前半の宗教学関連の大学教授だけあって、書き方がいかにも堅い。

可能な限り言葉を厳密に使おうと言う気配りが随所にあるため、それぞれの「定義」をしっかりとかみ締めていかないと訳がわからなくなる、そんな本ではある。

しかし、いい加減な定義で言葉を使いながら中途半端な結論をだす軽い本とは違って、読んでいると随所に考えさせられることが書かれている。


この著者の最新の著作があるかどうか知らないが、もしあったら今度日本に帰ったときにでもまた購入して、この本を書いて以降の10数年の間の日本の精神史の変遷を、この著者がどう受け止め、どう分析しているかをみてみたい気がする。


この本の面白いところ、それは客観性と主観性がせめぎあっているところにもある。

かなり分析的に、客観的な視点を維持しようとしているにも関わらず、主題のためもあって、その調査方法からしても、著者がその流れに身を投じて「体験する」ということも行われている。

そういった調査方法そのものの長所と限界をわきまえながらも、できるだけ対象に囚われることなく、その対象を考察しようと努力しているところが諸所に感じられる。




そういった観点で、こういった本を読むと、自分の考えを「言葉」を使ってまとめる上で、当然のことながら「言葉」そのものへの知識が、その深さ、正確さを左右すると言っても過言ではない。


古くは、明治時代までの「漢語」の世界の知識に基づく語彙。

今、私が読んでもほとんどちんぷんかんぷんのこれらの語彙を縦横に使って考えを表す人も居れば、明治以降の西洋志向から来た「外来語」をふんだんに使ってまとめる人も居る。

それらは知っている人にとっては言葉の定義がはっきりしている限りは、単刀直入に分かりやすいのかもしれないが、その定義そのものが書く人間と読む人間で共通になっているのか、という点でははなはだ疑わしい。


そういった観点で、この「精神世界のゆくえ」を読むと、著者自身がそれぞれの言葉の意味をわざわざ「定義」した上で、その後の説明を書いていく形になっているとことが多く(「多く」であって、そうでないところもたくさんあるが)、勉強も兼ねて自分の理解と知識の向上に繋がって行く気がする。


明治以前の「修養」から、明治・大正・昭和の「教養」へ、そして昭和の中ごろから現在まで続く、「教養主義」から「自己実現」「自己変容」への変遷といった観点でこの本を読むと、自分の考え方がいかにこういった世の中の流れに、知らず知らずに影響されているか、ということを認識できる。

そのことだけでも読む甲斐のある本であった。





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Last updated  2005.11.08 23:34:03
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ミネルヴァ@ Re:アメリカに長く居すぎた、と思うとき(01/15) 明後日アメリカに向かいます。 参考になり…
リンロン88 @ Re[1]:「いただきます」と「ごちそうさま」(03/29) プチプチ大家さん >リンロンさん、もう楽…
プチプチ大家@ Re:「いただきます」と「ごちそうさま」(03/29) リンロンさん、もう楽天ブログは止められ…
リンロン88 @ Re[3]:存在そのものの「罪」(03/19) なみがしらMさん > 私が,言っているの…
なみがしらM @ Re[2]:存在そのものの「罪」(03/19) リンロン88さん >なみがしらMさん >…

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