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2021.01.29
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カテゴリ:
十も年下のおまえが
わたしの言うことならなんでも聞くのを知ったとき
わたしの中で華ひらいた残虐な愛がある

縊死した父の遺体を見た夜から
どうしても埋まらなかった深い井戸の底から
透明な湧き水がせりあがって
とうとう井桁からあふれだしたのだ

化粧室から出てきたわたしを
おまえはドアの外でハンカチを手に待っている


飲み終えて店を出るときには
会計をすませてから急いで靴箱に回り
ハイヒールをそろえてひざまずく
あたりまえのように足を差し出すわたし

三回に二回は
わたしはおまえを迎え入れない
今日はダメよ このまま玄関へ送りなさいというと
運転席のおまえは
せつない表情でわたしを見つめ
苦しげな声をあげて悶絶する

わたしはわたしで

翌朝自分の車をそうじするとき
おまえは再び恍惚にむせび泣くことだろう

わたしに会った瞬間からおまえは
いやわたしの呼び出しラインを着信した瞬間からおまえは
amehurasiを硬直させたまま


おまえがわたしの想いのままということの
神の与えた悦楽は
わたしの途方もない欠落を埋め
女神の飛翔によって
青い星は遥か足下でピンヒールに蹂躙される

さあ おいで
そんなおまえが かわいいから
今夜はわたしの無毛地帯の沼へと
どっぷりと沈めてやろう
溺れるがいい
どこまでも深く
息もつがずに 死ぬがいい

体の芯にうずくのは
失禁したまま
命脈を尽きていた
見るにたえない遺体

生きていることと死んでしまうことの間の
見えない高い壁が崩れる音は
あの二十歳の夜の父の寝室と
わたしの支配の海で窒息死するおまえの欲情の中でだけ
とめどなく響き渡る

崩れていく
人々が越えられないと信じている壁が
悲しみとか
喪失だとか
弔いだとか
冥福だとか
たくさんの飾り物のベールで
覆いかくしている壁が

わたしが聞いているのは
世界が崩落していく音
存在が砕け散る滝の
耳をつんざく静寂
この無音を聴いている時にだけ
わたしの中心で
すべての愛と音楽の核が爆発する





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Last updated  2021.01.29 15:02:47
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