空 くう

空 くう

下弦の月



下弦の月



吐き捨てるように
突きつけられた
あなたの
最後の言葉に

みじろぐ事さえ
できず
立ちすくんだ

思わず伏せた目
足元の水溜まりに
映り込む
青白い月の顔

幾度も私に触れた
その唇で
"愛している"
なんて
他の女(ヒト)を
語るのは やめて

信じない
(愛してる)
許さない
(まだ愛してる)

けれど
無造作に
月を散らし
振り返りもせず
立ち去る背中

声にならない声は
あなたには
もう
届かないのね

終わりにするなら
いっそ
凍えるこの心ごと
あやめてくれれば
良かったのに

崩れ落ちる私を
あざ笑うかの
ように

悲しい程美しい
下弦の月が
ただ 静かに
見おろしている



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