四方山話に夜が更ける

四方山話に夜が更ける

June 20, 2009
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  前世から時空を越えてつながっている人たちのことをソウルメイトというのだそうだ。

 ひとりの人間のソウルメイトは何人もいて、たとえばそれは大きな樹の葉が枝に連なって

 ひとつの樹木をつくりだすように人もひとつのグループのまま生まれ変わりを繰り返す。

 ある時代ではその人は私の夫だったり、ある時代ではその人は私の息子だったりし

 ながら何度も何度も再会を繰り返して、愛し合い助け合って人生を学ぶ。

  しかし、運命は時にひどく辛い試練を与えたりもする。ある時代に殺しあった敵同士が

 ある時代では夫婦となってお互いを責め、苦しめる状況を作り出したりもする。それを

 ソウルメイトと呼ぶのだろうかと考えもするが、それはまた苦しみの中から人生を学ぶ

 ための宿命でもあるというのだ。

  私は読んでいた本を閉じてコーヒーに手を伸ばし、コーヒーカップの中はとうに空に

 なってカップの底に茶色い輪を作っていることに気がついた。

  ふと思い出して、バッグから携帯を取り出して昨日見つけた着信記録を確認した。

 それは圭子からの着信記録だった。一年も経っているのに、私は圭子の携帯アドレスも

 電話番号も抹消していない。それは私の中で圭子は未だ生き続けているような気がして

 いるからだ。昨夜、圭子からの着信記録を見つけた時は驚いたが、もしかしたら賢二も

 私と同様に圭子の携帯を解約できないでいるのかもしれないなどと思って圭子の携帯に

 電話をかけてみたが、携帯のむこうで機械的な声が圭子の携帯はすでに解約されて

 いることを告げた。それでは昨晩の着信記録はいったいなんだったのだろう。

  私は通話記録をもう一度確認して、ひとりで小さく笑ってしまった。その電話は圭子の

 携帯からの着信記録ではなく、自宅からかけられたものだった。賢二だ。賢二が自宅

 から私の携帯に電話をかけてきただけのことだったのだ。私は迷わず賢二に電話を

 かけた。呼び出し音がしばらく続いた後、懐かしい声が聞こえた。

 「はい、八神です」

 「もしもし、田之上です。昨日電話もらったみたいだから」

 「ああ、あゆみちゃん。ええ、昨日電話しました。圭子の一周忌がとり行われるので・・・」

  そうか、あれからもう1年も経ってしまったのか。

 「あの日、電話をもらって以来だね。元気にしてる?」

 「ええ、まあなんとか・・・」

  賢二が言葉を濁した。とても元気とはいえそうな感じではない。妻を亡くした夫が、そう

 簡単に心穏やかな日々を過ごせるようになるものではない。賢二の心にまだ圭子が

 生きているといっても過言ではないだろう。

 「賢ちゃんに聞きたいことあったんだ。法要には喜んで出席させていただきます。圭子の

 お墓の場所も知りたかったし・・・」

 「そうですね。ぼくもお会いするのを楽しみにしています」

                                                  つづく

              *このお話のストーリーはフィクションです。






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Last updated  June 20, 2009 07:22:22 AM コメント(2) | コメントを書く
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