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^-^◆ 「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群[6]
「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群[5]
【文化的な価値について<下>】
「先輩、前回は、沖ノ島で古代から永きにわたって
行われてきた数々の祭祀の変遷の中から、
最も古い『岩上祭祀』と『岩陰祭祀』について、
説明いただきました。
その続編についてお願いしてもよろしいですか?」
「分かった、祭祀の形は時代の変遷とともに、
半岩陰・半露天祭祀(七世紀後半~八世紀前半)
露天祭祀(八世紀~九世紀)と、
変遷してきた事が調査によって分かっています。
岩陰祭祀から露天祭祀に変化していく過程に、
その過渡期的な祭祀の形が存在します。
これを、
『半岩陰・半露天祭祀』(七世紀後半~八世紀前半)
といいます。
この時代になると、奉献品に明確な変化がみられます。
従来みられたような古墳の副葬品と共通しない、
金銅製の紡織具や人形、琴、祭祀用の土器など、
祭祀の為に作られた奉献品が目立つようになります。
雛 型 五 弦 琴
唐 三 彩 長 頸 瓶 片
この時期、中国大陸は、隋から唐へ。
そして朝鮮半島の百済が唐・新羅に滅ぼされ。
ヤマト王権は、唐・新羅軍に大敗後……、
中央集権国家の確立に力を傾けていく時代です。
沖ノ島の祭祀は、それらの激動の東アジア情勢と、
国家の改革の中で変化を遂げたと考えられています。
この時期の祭祀の形が、
現在まで続く日本固有の信仰祭祀の基礎となりました。
紡織具や琴などは現代も用いられている伊勢神宮の
神宝と共通するのです」
「なるほど、伊勢神宮と……ですか……。
祭祀の形や奉献品でその時代の背景や、
変遷が分かってくるんですね。
文化的な価値は高いなー」
伊 勢 神 宮
「そして……、8世紀になると、巨岩群からやや離れた
露天の平坦地に祭祀の場が移ることになります。これを。
『露天祭祀』(八世紀~九世紀)
といいます」
「だんだと現代の様な祭祀の形態に移行してくるんですね。
その方が、参加者の数や奉納行事などもやり易くなりますね」
「祭壇の様な、大きな石を中心とした遺構の周辺には、
おびただしい数の奉献品が残されていました。
この時代の露天祭祀から出土した物は、祭祀用の土器を含む
多種多彩な土師器・須恵器や、人形・馬形・舟形などの
滑石製形代等が中心です」
人形 舟形(ふながた)
(ひとがた) 馬形(うまがた)
奈 良 三 彩 小 壺
これらの奉献品は新たな時代の祭祀の特色を
持つだけではなく、宗像地域独特の形状や、材質で
製作されている事を考えると、古代国家の
新たな体制の下で、地域の伝統を残した祭祀が
行われていたのだと推測されます」
「うーん、凄い歴史的な資料ですね。これらの発掘物は……。
『海の正倉院』といわれるわけだ……うーーん凄い!」
「これらの遺産の文化的な価値を理解して頂けた様なので、
この章はこの辺りにしましょうかね」
「はい、ありがとうございます。先輩。
次章の展開を楽しみにしています」
「次章では、世界遺産に登録されたこれらの遺産が、
他の国内世界遺産との比較で際立つポイントについて、
話を進める事にします。(^。^)」
<続く>
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