★アカネのアノネα

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March 6, 2004
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 東電OL殺人事件。

 社会学者の上野千鶴子も、精神科医の香山リカも…多くの識者がこの事件を取り上げ、そして誰もが明確な答えを出せないままでいる。

 事件があったのは1997年3月19日。
 今から7年前の事件なのに、いまだになぜ、どうして・・・と。
 K大出の一流企業役職の年収1千万のエリート女性(当時39)が何故昼と夜の顔をもっていたのか。
 どうして彼女は連日、渋谷円山町の街角に娼婦として立ったのか。

『グロテスク』はこの事件をモチーフとした小説である。「この作品はフィクションであり実在する個人とは・・・」の断り書きが表記されている。
 しかし、小説であっても私は作家桐野夏生の手によって初めてこの事件の謎の一端が解けた気がし、納得させられた。


 この女子高は今も抜群に高い偏差値で知られる。
 優秀で美人でアバウトを嫌い、自立と高い自尊心を持つ女の子がいっぱいの特殊といえばいえるような世界。
 そういうディテールの取材がしっかりとしているから、そこに登場する佐藤和恵の言動も「さもありなん」と納得させられるのだ。
 読んでいてこれは小説の形を借りたドキュメンタリーではないかと思えるほどである。

 なぜ、この事件の深層が明確にされないかは、事件後被害者の家族、学校、企業の3者が堅く口を閉ざし一言も喋らないからで、それは見事といって良いほどだった。
 事件関連の出版物は多々あるが代表されるのは次の4冊。

「東電OL殺人事件」佐野眞一著
「禁断の25時」酒井あゆみ著
「ダブルフェイス」久間十義著
「グロテスク」桐野夏生著

 佐野、酒井両氏の本がノンフィクションで、あとの2冊が小説である。

 前にも触れたように肝心の身近な3者は何も語らない。
 喋るのはコンビニ店員とその周辺ばかり。
 容疑者とされたネパール人が真犯人かどうか。
 佐野氏はネパール現地まで飛んで取材をしたように思う(大分前に読んだので記憶曖昧)。
 しかし、多くの読者が知りたいのは真犯人ではない。

 単なる客だった男の現地の親族が「あの男は人を殺すような男じゃない」と言っても、その言葉に何の説得力もないと思うのだが。
 その点、酒井あゆみ氏は、被害者とも面識がある元風俗嬢作家でかなり読み応えはあったが、風俗の世界のルポとしておもしろかった。

 やはり彼女は壊れていた。
 世の中全般に復讐しようとしていた。
 勝ちたい、一番になりたい、尊敬されたい、40歳までに1億円貯めたい。
 そう頑張って学歴も名誉もすべてを手に入れた彼女は、たった一つ「愛」だけには一度も触れずに生涯を終えた。

 昼はOL、夜は娼婦とふたつの顔を区別し、そのことは本人以外誰もが知らないと思っていたがそうではなかった。
 彼女は自分の出身大学や勤務先の名刺を見せながら夜の仕事をしていた。
 そして毎夜の肉体労働に疲れ、会社では寝ていたのである。
 几帳面な彼女が日記をつけなかったはずは無い。
 日記の手法を借りた告白が胸に迫って、なぜか多くの女性から共感を呼んでいる。
 泉鏡花文学賞を受賞した長編、やっと読了しました。





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Last updated  March 6, 2004 03:41:49 PM
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り_ょ_う @ Re:★『生存者ゼロ』安生 正/著(07/18) こんにちは 昔、ブログでお世話になった …
り_ょ_う @ Re:★『生存者ゼロ』安生 正/著(07/18) こんにちは 昔、ブログでお世話になった …
キラキラ星@ Re:★『微笑む人』貫井徳郎/著(03/14) ノンフィクション専門で読んでます。が、この中途…
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