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水木志朗さん
アノマーツ出版代表
――まず、お子さんが算数障害だと分かるまでの経緯についてお聞かせいただけますか。
子どもが不登校になったのが始まりです。小学校、中学校を通して2回の不登校になりました。
高校生になってから医療機関で発達検査を受け、
ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)
があることが分かりました。
その時に「算数障害もあるみたいですね」と言われたんです。
算数障害というものをそもそも知らなくて、かなりの衝撃でした。
ただ、振り返ってみると、思い当たることはいろいろありました。
例えば、小2~3になっても指を使って計算していたんです。当時は「いつまで指でやっているの!」
なんて怒ったりもしていました。
お金の価値を理解するのも難しいようです。
1万円札も千円札も、同じ「紙切れ」に見えてしまう。
1万円が千円札10枚分なので、
マンガなら10冊以上買えるよ、
と自分の好きなものに置き換えて教えていました。
数字の「3」という言葉、文字、
そして具体的なモノが3つあるという状態が、
頭の中でイコールで結びつかない。
「序数性」と「基数性」の問題と言われます。
私も「序数性」と「基数性」
などという言葉は全然知りませんでした。
数の量的なイメージがバラバラなんです。
だから、1万円札という「紙」が持つ価値の大きさが、
量として見えていないのかなと。
バスで小銭を払うのも、ものすごいストレスだったようです。
例えば160円を払う時、私たちは100円玉と50円玉と10円玉、
といったように瞬時に組み合わせを考えますよね。
でも、その計算が難しい。
だから、いつも千円札のような大きなお札で払って、
お釣りで小銭がどんどん増えていく、という状態でした。
――言われてみると、私たちは無意識に高度な計算をしているのですね。
ほかにも、「3割引き」や「70%オフ」
といった割合の計算が分からなかったり、アナログ時計が理解できなかったり、
ということもあります。
今回の本の解説をお願いした算数障害研究の第一人者、
熊谷恵子先生(筑波大学名誉教授)によると、
時間という概念自体が分かりにくいという特性もあるそうです。
だから円になっている時計はさらに難しい。
円を一本の線に開いて、
「全体が60分で、半分が30分」
というように量として見せると分かりやすいそうなのですが、
学校の授業はどんどん先に進んでしまいますから。
――当事者の方自身も、できないことを説明するのは難しいのでしょうか。
算数障害というものがあること自体がまだあまり知られていないので、
それに困っていることが分からない。
他の人が頭の中でどのように考えているかは分からないので、
他の人と違うということに気づかない。
何に困っているのかが分からないので、
親も先生も気づきにくい、ということがあるのだと思います。
――算数の成績はどうだったのでしょうか。
実は、それも発見を遅らせた一因でした。
うちの子は記憶力が良かったので、
ドリルの問題を丸暗記して対応していたんです。
だからテストの点数も10点、20点ということはなく、
60点とか70点とか。
これくらいなら、まあ苦手なのかな、
くらいにしか思えませんでした。
だから、最初の不登校から数えて
算数障害が分かるまでに約5年がかかりました。
困り事に早く気づいてあげられなかった
という後悔の思いはあります。
親御さんによっては
「努力不足なんじゃないか」「ちゃんと勉強してないんじゃないか」
というようなことを言ってしまうかもしれない。
そうなると子どもは自信をなくして、
勉強が嫌いになってしまいますよね。
しかも、本人は何が分からないのかを周りに伝えられないので、
一人で悩んでしまいます。
下は9月12日配信予定です)
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