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ワリエワは昨年12月のロシア選手権時の検体から、禁止物質のトリメタジジン(総称名:バスタレル)、ハイポキセン、L-カルニチンという3種類の物質が検出されたという。トリメタジジンは、2018年平昌五輪でOAR(ロシアからの五輪選手)のボブスレー女子選手が使用し、失格となっている。ROCのフィギュアのチームドクターは、08年北京夏季五輪で不正輸血を行い、資格停止処分となっていた医師のフィリップ・シュベツキー氏であることも“組織的犯行”説の根拠になっている。 トリメタジジンは米国では使用が禁止されているというが、澤井氏は、15歳の少女であるワリエワがこの薬を摂取することで、重大な副作用を引き起こす可能性を指摘する。 「頭痛、ふらつき、食欲不振などの副作用を引き起こす恐れがあります。ワリエワ選手が心臓疾患を抱えていないと仮定、正常な人がこの薬を摂取すると低血圧症になる可能性がある。冠状動脈を拡張すると、脳など他の血管も拡張され、血流の勢いが落ちるからです。低血圧を長く繰り返すと血液の循環が悪くなり、逆に狭心症や心筋梗塞などの心臓疾患による重篤状態を引き起こしかねません。ワリエワ選手は15歳。成長期の子どもの方が薬に影響されやすく、副作用のリスクは高い。彼女は16歳未満の『要保護者』という理由で出場が許可されましたが、ドーピングは体が頑丈な大人より、成長期の子どもに深刻な被害を及ぼす恐れがある。ドーピングに関しては要保護者だからと『守る』のではなく、徹底的に規制をしないといけないと考えます」 心筋梗塞による死亡率は高いし、低血圧はときにショック症を誘発し、臓器不全や場合によっては死に至るともいわれる。何かが起きてからでは遅いのだ。