あま野球日記@大学野球

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2017.12.10
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カテゴリ: 近鉄バファローズ
いま『大下弘 虹の生涯』(辺見じゅん著、新潮文庫)を読んでいます。終戦直後に彗星の如く登場し、廃墟の空に虹のようなアーチを架け続けた大下弘。その弾道の美しさは類まれだったとか。かの大和球士さんをして「虹のホームラン」と言わしめたほど。

「五尺七寸、すらりとした好男子ながら、手首の強靭さは希れに見るところで、打球は大きく高く、大空から右翼スタンドに虹の橋を架けわたした。虹のホームランであった」

​その弾道の美しさを夢想するうち、ボクがこれまで見たホームランの中で、どれが一番美しかったろか想像を巡らせました。そして出た結論は2001年9月29日、ロッテー近鉄(千葉マリン)で見た近鉄・ 礒部公一

この礒部のホームランを説明する前に、2001年9月29日の試合は近鉄にとってどんな日だったか説明が必要です。実は、近鉄はその前の試合(9月26日、大阪ドーム)に北川博敏のプロ野球史上初となる代打逆転サヨナラ満塁本塁打が飛び出し、優勝を決めました。

ボクはテレビ観戦していました。北川の本塁打に嬉しさもありましたが、多少がっかりしたのも事実でした。なぜなら近鉄にとって次の試合、9月29日対ロッテ戦の優勝決定を期待して、すでにバックネット裏のチケットを買っていたのですから。

9月29日は一転して消化試合になりました。観客まばらなデーゲーム。でも試合は一定の緊張感を保ちつつ進行し、9回表、礒部のこの日2本目のホームランで近鉄が競り勝ちました。このホームランこそが、ボクが見た最も美しいホームランです。

ライトポールからホームベースに向かってひかれた白線の延長線上に、ボクの座席がありました。従い、左打席に立つ礒部の打球が白線にそって高く宙に舞い、ライトポール際のスタンドに吸い込まれる様子がよ~く見えました。日頃プロ野球をネット裏から見る経験はなく、ホームランとなる打球を真後ろから見たのはたぶん初めてでした。

打球は止まったように見えて、そして打球との距離感を掴めないまま、気づくとスタンドに吸い込まれていました。ほんの数秒間のことでしたが、まるでスローモーションのよう。ちょうど空には夕陽が差し、打球は赤茶色に染まって見えました。もし前の試合で優勝を決めていなければ、この礒部のホームランが優勝を決める値千金のホームランだったでしょう。

優勝を間近で見られなかったファンへのせめてもの償いというか、礒部の配慮にも思えて・・・。ありがたさ、ほろ苦さがないまぜになった、夕陽の映えた礒部のホームランは最も美しい、忘れることのできない一打となりました。



DSCN6100.JPG

(写真)2001年9月26日、北川の





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Last updated  2018.01.13 05:30:56
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