Angel RISA

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2011年09月17日
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今までいろんなことがありました。特に小学校の時の通学は大変でした。りさは通学を嫌がって歩こうとしません。最初のうちは、父や母が車で送り迎えしていました。でも、両親に負担があると思って、私はりさをおんぶして毎日小学校に通いました。「ちゃんと歩いてるよ」、嘘をついていました。嘘をついて毎日りさをおんぶして学校に通っていました。集団登校でしたが誰も何も言いません。私は自分のランドセルを片手に持って、りさをおんぶして歩いて歩いて歩きました。そのまま、養護クラスまで連れて行きます。
養護クラスでも先生に気付かれないように学校の手前でおろして歩かせました。そんな通学生活を一年くらい続けたころでしょうか。たまたま庭掃除をしていた校長先生におんぶしているところを見られてしまいました。「怪我したの?」そう問われて、「はい今日だけ」。そう答えました。でも校長先生は見ていたんですよね。毎日、学校の近くで妹をおんぶしている姿を。でも校長先生は両親には告げずに黙っていてくれました。後で仰いました。「子供のことは子供に任せる。それが信条ですから」。
そんな生活に終わりが来たのは、なんでもないことがきっかけでした。学校で使う笛をりさが忘れてきたのです。おんぶしてる途中で笛を持った母が来ました。「何してるの?」。「りさが足が痛いって言うからおんぶしてるの」。また嘘をつきました。「うそつき!」母が言いました。「毎日おんぶしてるの!?」。言葉が出ませんでした。りさは泣きました。私の背中が濡れて温かくなるくらい泣きました。りさは降りようとしませんでした。なぜ歩きたがらないか分かりません。私は正直に言いました。「毎日おんぶしてる」。母はその場にうずくまってしまいました。こんな親不孝があるものか。私は深く反省しました。りさが重い口をあけて言いました。「みんな歩くの速いんだもん!」。それか、原因は。私は納得しました。今まで頑なに拒んでいた理由を言ってくれました。その日は、母と私がりさと手をつないで三人並んでゆっくり登校しました。遅刻しましたが、校長先生は笑って出迎えてくれました。「今日は遅いから心配しましたよ」。そう言いながら庭掃除を続けてらっしゃいました。
それから、しばらくは母と私が手をつないでゆっくり登校することにしました。三人並んで色々おしゃべりしました。勉強のこと、友達のこと、運動会のこと、りさが色々考えてるんだなぁ、と思い知らされました。りさはりさなりに努力しているんだ!、そう感じました。
りさが自分一人で歩くようになったのは、私が小学校を卒業してからです。それでもしばらくは母がおんぶしていましたが、父が言ったんです。「りさ、みんなと同じようにできなくて悔しくないか?親孝行しなさい」。りさは何も答えませんでした。意味分かったのかな?、という疑問もありましたが、次の日からりさは歩き出しました。自分一人で歩いたのです。母は手をつないで登校しました。みんなと同じ速さで、りさにとってはまるで競歩のように。母は帰ってきて泣いたそうです。「りさが歩いたよ。自分で歩いたよ」。父も満足げでした。明くる日、「もうお母さん来なくていい。一人で歩いて学校行く」。りさが言った言葉です。家族全員泣きました。力強かったです。その強い意思を感じ、誰も何も言えませんでした。りさは集団登校し、校長先生に言ったそうです。「これが親孝行ですか?」。校長先生はゆっくりと口を開きました。「そうだよ。最高の親孝行だよ」。





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Last updated  2011年09月17日 08時37分31秒
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