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最初から読みたい時は『未恋堂』第1話へ「・・・さん お客さん!着きましたよ」「え・・・あ・・・すいません。」気が付くとそこはタクシーの中。たいした時間でもないのに・・・何だかとても長い夢を見ていたような気がした。「お疲れですか?ダメですよ!そんなお腹で無理しちゃ」「ですよね。でも貧乏暇なしで☆」私はそう言って笑った。平凡な人生だけど 私は今 自分の人生にとても満足している』「やれやれ」店主はそう言うと その古びた本をパタリと閉じた。「完了・・・じゃな」同じ感じのもう1つの方は青い炎の中に消えた。「さてと!仕事はまだまだ山積みだ」店主の前には何層にも重なった本達がドッカリと腰を据えている。「さて お次は誰かな?」店主はそう言うと ゆっくりと扉の方へ目をやった。そしてまた『未恋堂』の扉は開かれる。 『未恋堂』 おわり
2006年12月02日
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最初から読みたい時は『未恋堂』第1話へいつしか時は流れ「今時記念受験くらい普通だよ!」とか何とか言って受験したまでは良かった。29歳(今)の私なら 他の大学は全部白紙で出して ソコしか受からなかったから行かせてくれ!くらいの悪知恵も働いただろうに 当時の私は馬鹿正直に都内の大学2つも受かっちゃって・・・。で この有様。「塔子行かなくても俺行くから」「うん」「うんじゃなくて!塔子はどうしたいの?」滅多に怒ったりしない温厚な優太が 明らかにイラついていた。昔 親に冗談で大学生になったら一人暮らししたいと言って 真剣に怒られた事があった。うちの両親は晩婚だった為 既に還暦近い。そんな彼らに対し私は いつも良い子でいる事を選んでいた。あの時も・・・。優太は近くのベンチにゆっくりと腰をおろした。寒そうに背中を丸め さっき買った缶コーヒーで両手を暖めている。やはりあの時と同じだ。そして私も優太の横に腰を掛けて言ったんだ・・・あの時「やっぱ行けない」ってね。私はまた あの店主の言葉を思い出していた。「君の思うようにすれば良いんだ」「私の思うように」私はそう呟くと 優太の隣に腰をおろした。 最終話へ つづく『未恋堂』最終話へ
2006年11月29日
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最初から読みたい時は『未恋堂』第1話へ私は さっきの店主の言葉を思い出していた。「行って来なさい」だとすると私は『人生の書』を1つに戻す為にココに送られた。変な話だけど 今私の頭の中にはさっきまでの記憶とこの時代の記憶とがハッキリと存在している。今日の時間割りもHRの内容もお弁当の中身も全て鮮明に思い出せちゃう自分がそこにはいた。ココはそう 忘れもしない 11年前のあの日・・・私は確信していた。「で どうすんの?」そう 私はこの時ある選択を迫られていた。優太は当時私が付き合っていた彼氏で 今までの人生で・・・これは29歳の私から見てもだけど一番気の合う大好きな人だった。「塔子!聞いてる?俺今 凄い大事な質問してんだけど」「うん」あの時と同じだ。やっぱり間違いない。私はあの・・・18歳のあの日に来てるんだ。そっか 私の『人生の書』この日を境に2つに分かれちゃったんだね・・・。全ての始まりは 優太が見付けて来た1冊の学校案内パンフレットだった。整えられた環境 明るい雰囲気 何もかもがキラキラ輝いていてとても魅力的だった。「な!いいだろ?」「うんうん。凄くいい!」「ここなら俺の行きたい学部も塔子の行きたい学部も両方あるし 学力的にも・・・な」そう言って笑った優太の顔 私は今でも忘れた事はなかった。当時の私は 優太と一緒の大学に行けたら最高だと思うのと同時にその大学にすこぶる魅力を感じていた。しかし ただ1つ問題があった。その大学は地方の都市にあり 1人っ子の私としてはなかなか親に言い出せずにいた。 第7話へ つづく『未恋堂』第7話へ
2006年11月28日
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最初から読みたい時は『未恋堂』第1話へ煙が体に巻き付き 少し気が遠くなるのを感じた。このまま気絶してしまうのかと思ったが 私はその足でしっかりと地面に立っていた。見慣れた風景だった。一瞬では思い出せなかったけど 私は間違いなくココがどこかを知っていた。遠くで学校のチャイムらしき音。「あ」私は声になるかならないかくらいの小さな声を上げた。「ここ・・・」そうだ ココは私の出た高校のすぐそばにある公園だ。でも・・・何で?アレ?何だろうこのスースー具合。「ん?スカート・・・しかも短い!」って 「え~制服?」それは紛れもなく高校の制服だった。そういえば コレも学校通ってた時使ってたバックだし「どうなってんの?」私は自分の顔に手をやった。そして髪・・・。「え~~~っ」まさかだよね?私はガサゴソと鞄の中を探ると「確かこの辺に・・・」 と呟きながら鏡を1枚取り出した。最初は胸に当て せ~の!のタイミングをはかる。「せ~の」と言いかけた時「つ~か聞いてる?」と聞き覚えのある声がした。この声って・・・。私は自分の耳を疑った。とりあえず落ち着こうと思い目を閉じて深呼吸。それから恐る恐る目線だけをゆっくりとそちらに動かした。私の目に映ったのは 最初は紺色のズボンの裾で そこからゆっくりと視線を上げてゆき紺のブレザー そして緑のネクタイ・・・。もう間違いない。「・・・優太」 第6話へ つづく『未恋堂』第7話へ
2006年11月27日
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最初から読みたい時は『未恋堂』第1話へ「君は呼ばれたんだよ…私にね」店主はそう言うと 今度は机の上に積まれた本の中からもう一冊似たようなのを取り出した。そして私が持っている本を指差し「ソレとコレは同じ物だ…但し 途中までだがね」そう言うと意味ありげな笑みを浮かべ それを私の方へと差し出した。私が手を伸ばすと 店主はスッとそれを引っ込め 小さく首を横に振った。「いいかい 人生は一つしか選べないんだ」言いながら今度は私が持っていた本を自分の方へよこすよう促し 2つの本を綺麗に横に並べ話し始めた。「人は誰でも1つ『人生の書』を持っている。まぁ それを目にする事はまずないし お前さん同様 その存在すら知らずにいるのが普通なんだが 稀にこんな事が起きる。『人生の書』が2つに分かれてしまう。さて どうする?」店主は本をトントンと指で叩きながらフッと顔を上げ私に尋ねた。私は反射的に視線をそらしうつむいたまま首を傾げた。「私の仕事は この2つに分かれた『人生の書』を1つに戻す事。それにはどうしても君の承諾が必要なんでね…こうして来てもらったわけだ」店内は いつの間にか甘い香りが充満し 薄い紫色の煙が漂っていた。「さて そろそろ始めよう」店主はそう言うと 2冊の本の上 丁度真ん中辺りに手をかざした。「待って下さい。私 あなたの言っている事分かりません」私は店主の動きを遮るように 少し強い口調でそう主張した。店主は一瞬チラリとこちらに目をやると「君の思うようにすれば良いんだ。さぁ行って来なさい」そう言ってニッコリと笑った。 第4話へ つづく『未恋堂』第5話へ
2006年11月24日
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最初から読みたい時は『未恋堂』第1話へ「新しい方だよ」店主はそう言うと半ば強引にその本を私に押し付けた。私の手に無理矢理押し込まれたそれは くすんだ赤の分厚い まるで何かの文学作品の初版本を思わせる様な重みのある本だった。新しい方?私にはただの古い本にしか見えないけど…。「いいから 最後のページを開いてごらん」私は言われるがままに本の背表紙をめくった。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29年目11月20日 6時30分起床。最後の出勤 気が重い。 出掛けに母からの電話。心配してくれるのはありがたいけど 朝は忙しいって。 ・ ・ ・ ・ ・ 会う人会う人みんなが「おめでとう」と言う。ちょっと面倒臭い。 17時12分同僚達から花束を贈られ退社。タクシーに乗る・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「何これ…」私は呆然とした。「これ…今日」そこに記されていたのは 私の今日の行動の一部始終だった。その前のページも その前の前のページも ずっと前のページも そこにあるのは全て私の生活の記録だった。「な~に不思議な事じゃないさ 人は皆こうやって人生を綴っているんだよ」店主はそう言いながら店の中の本達を見渡した。「どうゆう事ですか?」私の口から出た言葉は 意外にも冷静だった。どう考えたってこんな気持ちの悪い事受け入れられないはずなのに 私はとても素直な気持ちでコレについて聞きたいと思っていた。 第4話へ つづく『未恋堂』第4話へ
2006年11月21日
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最初から読みたい時は『未恋堂』第1話へ私が運ばれた先は 大きなお屋敷の建ち並ぶ閑静な住宅街だった。振り返るともうそこにはタクシーはなく 代わりに1件の寂れた建物が目に入った。それは到底この場所には似つかわしくない・・・そう 一昔前の古本屋のような間口の狭い薄汚れた感じの小さなお店だった。私は吸い込まれるようにお店の方へと近づいて行った。店の名は『未恋堂』(みれんどう) 何の店なのか想像もつかない。普通に考えたら絶対に入らないだろう・・・と思いながら私は もう既に店の戸に手を掛けていた。ガラガラと安っぽい音を立て開いた店の中は 想像通りのホコリっぽい空間に薄暗い電球で照らされたたくさんの本が並んでいた。「やっぱり古本屋なんだ・・・」私は店の中を見回した。と その時「直しに来たのかい?」とゆう声が奥の方から聞こえてきた。「え?・・・いえ 私は」「そうか え~と君は確か」そう言いながら 店の店主が姿を現した。店主は古本屋のおやじにありがちな 地味で人の良さそうなおじいさん。 思い出したかのように店の本に当たりを付け 何冊か出してはしまい出してはしまいしている。「あの 私お客じゃ」言いかけた時 「あったあった 随分とかかったね~」と言いながら1冊の本を片手にこちらに近付いて来た。 第3話へ つづく『未恋堂』第3話へ
2006年11月19日
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あなたは今 自分の人生に満足していますか?私は今日 7年勤めた会社を退職した。29歳・・・三十路目前で決まったこの結婚は 普通を絵に書いたような私にとっては上出来の結果だった。相手は某製薬会社の御曹司。そう 玉の輿以外の何者でもなく 何を間違ったのか向こうのご両親にもいたく気に入られている。新居には超高級マンションの一室が用意され 何一つ文句の付けようがないこの状況になぜか乗り切れないのは きっとマリッジブルーなんだと思っていた。「おめでとう」祝福の拍手の中で大きな花束をいくつも受け取った私は 滅多に使わないタクシーで会社を後にした。7年間の通勤で初めてで最後のタクシー。「ありがとう」の笑顔の作り過ぎで 私は後部座席で花に埋もれて力尽きた。あれ・・・行き先言ったっけ???・・・まぁいいか。と 頭はかろうじて働いているものの言葉にはならず 気が付くとタクシーは私の知らない風景の中を走っていた。「あの・・・」私がようやく言いかけた時 車は静かに停車して扉を開いた。「あの・・・」不思議な感覚だった。降りなければいけないと感じた。ここがどこなのかとか 今が何時なのかとか そうゆう事はどうでもよくて ただここで降りなければいけない・・・それだけを強く感じた。 第2話へ つづく『未恋堂』第2話へ
2006年11月18日
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