October 25, 2008
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カテゴリ: Life*Live*Love




あなたが帰った、あと。

真夜中にね、電話がなった。




ディスプレイには、こう表示されてた。


『三並 航』




『……もしもし?』



『うん。』



静かな、雨の夜。

大切なものを終わらせた、せつない私に、幼さを残した声が染み渡る。



ひととおり、話をした。

すると……キミが、ふと、こう言ったんだ。




『俺も、えげつないよ』

『どうして…?』

『言いたくない』

『言えばいいじゃん………』

『言ったら、きっと嫌う…』



『言えばいいよ。



 意外と強いよ、私。 だから、…言いなよ』




小さな沈黙が、駆け抜けた。








『俺、つきあってる人がいます』








ただ、笑うしかなかった。

笑うというより、嘲笑に似た、ため息をついた。









カミサマ、さすがにこれちょっときつい。

ちょっとだけね、死にたくなった。ごめん、嘘。



まいったなぁ…………。

いや、平気だけどさ。





『……で?』

『で、って……』





ここで、私が大人にならなかったら、ちょっと情けないよね。

私は、冷静を装って、とにかく、お姉さん的位置づけで、話した。




本当はね、気づいてたよ。

キミみたいな子に、彼女がいないはずがないもの。




逆に不思議だったよ。




北海道営業所に、眞木真里(マキマリ)っていう、

冗談みたいな名前の女の子がいる。

数ヶ月だけ、こっちへ来てる女の子。

データセンターの立ち上げの手伝いをするから、長期出張で、こっちへ来てる。



たぶん、その子な気がした。



『マキさんでしょ?』

『…………』



ミナミくんは、答えなかった。





きっつー。

最後の試練は、果てしなくきつい。



まぁ、でも、これで当分、ひとりで生きる覚悟が出来るわ。



あっちがだめだから、こっち、なんて、そんなことしたくない。



逆によかったんだよね、これ。



まぁ、甘えんなってこった。





『だめでしょう。

 彼女いるのに、他の女に好きだなんて言っちゃ、だめでしょう?』

『違う!!』

『…何が違うんだか…』



ふうっと、ため息。


まったく。


男ってやつぁ。

私みたいな女に、甘え過ぎだぁ。




まぁいっか?




『なんで、判ったの………』


『あなたの行動が、好きな人と似てるから。

 他に彼女や、奥さんがいる人の行動と、似てたから。


 私とふたりでおつかい行くとき、いつもなんか、

 ふたりでいるの、見られたくなさそうにしてた。』



『………………』



『いたいけな少年の嘘なんて、おねーさんは見抜いちゃうんだよー、っと』



『だんだん…重くなってきたんです。

 それに、俺、こっち来たばっかりで、不安で、

 そんな、彼女ばっかにかまってられない。』

『うん…』

『それなのに、彼女は、

 “私がこっち来てる時間は短いんだから、会ってよ!!

  もうすぐ会えなくなるんだよ!? 離れ離れなんだよ!?”

 そう言って、責めるんだ。』




………めんどくせぇ~………



なぁんで女の人って、めんどくさい生き物なんだろ?

あぁ~ぁ、でも、めんどくさい方が、

彼女や奥さんにしてもらえるものかしら?



なんだか、私、バカみたい。アホみたい。



『つきあって、どれくらい?』

『半年、くらい』



ちょっとだけ、私と、好きな人との時間のが、長い。

そう思った。









どうか、そっと見守ってください…。↓
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最終更新日  October 25, 2008 10:38:24 PM
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