飛鳥京香「日本人の時代ージャップスデイズ」
1
ジャップス=デイズ日本人の日々■第8回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/第8回■2024年 三月 地球某所「花田さん、君がそこにいるのはわかっている。我々と話をしても損にはならんと思うが」 情報ラインに割り込んできた金髪の男は言う。ここは日本人テロ組織『狼』の本部だった。 「君は何者だ」 「私は情報ネットワーク=サービスのブキャナンだ」 「情報ネットワークだと。情報マフィアだな」 「そういう輩もいるがね」 「そのマフィアが花田さんに何の用があるというんだ」 「君、いいから、花田さんを出したまえ、君たち、日本人にとって悪くはない話だよ」 しばらく、モニタールームは、どう処置するかでもめていたが、花田があらわれた。 「私が花田だ。ブキャナン君。が情報ネットワークサービスはラドクリフ=グループと協力して働いているのではないかね」 「花田さん、あなたの考えはウェットすぎる。我々、情報マフィアはそんなウェ。卜な民族意識など持ちあわせてはいない。あるのはただ、ビジネスのみだ。つまり我々のサービスに対して、どう評価し、クライアントがどれだけペイしてくれるかどうかだ。だから我々はクライアントのニーズでどうにでも動く」「つまり、我々日本人が今度はクライアントのわけだな」「そういうことだ」「しかし、ブキャナン君、御存じの通り、我々には払うべき金はない」「金がない。それはわかっている。しかし、君たちの国には二千年にわたる文化があるだろう」 花田は少し顔色を変えた。 「君達は、つまり、国宝をわたせというわけか」 「国宝というのは国家が存在して始めて存在する言葉だ。現在の君らには国と呼べる代物はないだろう」「そう、確かに、我々、日本人には、国土と呼べる場所はなくなってしまった」「が、君たち、莫大な国宝重要文化財というものを隠したはずだ。それを渡してもらおう」「その代償に、我々に何を与えてくれるというのかね」「JVOの動向だよ。君らに有利になる情報だ」■2024二年 三月 ドイツ ラインバッハ 男は数時間も前からその研究所を観察している。今日で一週間目だった。 研究所から最後の研究員が出ていった後、男は、静かに研究所の中へはいる。警告ベルもカットされている。研究所にはもうヒルケナー博士しか残っていない。 ドアを開け、君は…というヒルケナー博士の言葉が発せられるや否や、男は衝撃銃を射つ。外傷はまったく残らない。男はヒルケナーの様子を調べた後、研究施設の各所に小型の爆弾をしかける。すべての機器に仕掛け終ったあと、男は自分以外の人間がいる事に気づく。 爆発がおこり、研究所は猛火に包まれる。 「き、君達は、天使かね」 ヒルケナーの前に柄の悪そうな天使が2人立っていた。しかしながらその天使は白い衣装を着ているわけではなく、普通のスーツを着ている。頭には金色のワ。カが浮んでいる。 「天使だって、ヒルケナー博士、確かにあなたにとっちゃ俺達は天使かもしれんな」 太った方の天使ファットが言った。 「どういうわけかね。私は気を失しなっていたらしいのだが」 ヒルケナー博士はユダヤ人独特の鼻に、フレームめがねを持ち上げながら言った。 「お前さんのお抱え主、ラインハルトのためにあんたは本当に天国へ行くところだったんだ。まわりを見てみろよ」 サングラスをかけたもうT人の男スレンダーが言った。スレンダーの言う通り、ヒルケナー博士の研究所は燃えあがっている。近くにある丘にヒルケナーは横だわっていた。「ラインハルトが信じられん」「信じられんも何も、実際、あんたも殺されるところだったんだぜ」 ファットが炎に包まれている研究所を指で示して言う。「あの中に、『クーラー』の奴が一人ころがっているさ」「クーラー、何だ、それは」「ラドクリフグループに直属する処理グループさ」「処理?「つまりダーティ=ワーク、殺し、暗殺、爆破、その他諸々さ」「しかし、ラインハルトは、私のプランHイエローを認めてくれた」「そいつが今は重荷になっているわけだ」 ヒルケナーはじっくりと二人の顔を見ている。「一体、君達は何者なんだ」「我々かい」二人の天使はにやりと笑う。「俺達はヘブンズだ」二人の声はハモっている。「ヘブンズだと、すると、情報ネットワークサービスの人間か」「そういう事だ。さあ、博士、我々と一緒に来てもらおう」「どこへだね」 消防車や、警察の車がやってきて、人々が叫んでいる。「我々の天国へね」ファ。トが言った。 二人のヘブンズは近くに止めてあったワゴンにヒルケナー博士を乗せて、いずことなく走り去った。
2007年08月08日
閲覧総数 2