この映画をみて,黒澤監督の映画に近いなと思っていたら,脚本の橋本氏は彼とゆかりのある人物だと後で知って納得しました。

中居君の演技力に引き込まれてしまって,単純明快なストーリーなのに深く戦争責任を考えさせられる素晴らしい作品だと思いました。

キャストなど批評はたくさんあるみたいですが,僕も淡紫と同じくいい映画だと評価できました。

(2008.12.30 09:46:08)

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カテゴリ: 映画・日本
「私は貝になりたい」.jpg


本土防衛のために従軍していた 清水豊松(中居正広) は、終戦を迎え家族の元へと帰ってきた。平凡でも幸せな家族との日々を営もうとしていた矢先、B・C級戦犯として逮捕されてしまう。 豊松 の銃剣がアメリカ兵捕虜の腕をかすめたというのだ。それだけのことにもかかわらず、裁判で下されたのは死刑の宣告だった。
(シネマトゥデイより)



フランキー堺 主演のオリジナルドラマのダイジェスト、 所ジョージ 主演のリメイクドラマも観たことがあり、話としては結末もわかっていました。
それに、 中居君 の過剰白塗りメイクのポスターとか、 仲間由紀恵 とではあまりに美男美女過ぎて戦時中の夫婦に見えないんじゃないか、とか不安はあったのですが。


矢野中将(石坂浩二) の、

「ハーグ国際条約に照らすと、連合国の非戦闘地区・無防備都市に対する無差別絨毯爆撃は違法である。連合国側の責任者を司法の場に連れてきて裁きを受けさせるべきである。」 という意味の台詞が、戦犯として死んでいく日本人の口から連合国側に対して面と向かって発せられたということ。

これが聞けただけでも十分です。



タブーなのだろうか?とすら思っていました(前回のドラマ化のときはありましったけ?記憶が定かでないです)。
でも、ものすごく疑問に思っていたし、いつか公に言って欲しいと思っていました。
だって、原爆を開発・投下・撮影したアメリカ人は、広島の被爆者に面と向かっても「謝る気はない。恨むなら自分の国を恨め。リメンバーパールハーバー。」と言ったんですよ。(「ヒロシマ」TBSより)
わたしの父母の町も(即ちわたしの町も)それぞれ空襲を受けてます。よく二人とも生き延びてくれました。どちらかが亡くなってれば今私はいません。


この映画を観て、少なくとも不快な気持ちにはなりませんでした(あの、夏になるとよく作られる戦争ドラマとかドキュメンタリーに感じる不快感とか違和感とかです。そういうものはありませんでした)。


「上官の命令は陛下の命令と同じです」と答える 豊松 を連合国の人間があざ笑う。
「あなたの気持ちは、悪いことだと思っていましたか?」と聞かれても、何を言っているのか理解できない 豊松
今の価値観ではなく、当時の「戦争であること」「戦時中の一般庶民の感じ方」といったところを、高みから見下ろすのではなく、等身大の一人の市井の人間を描いているところがよかったのだと思います。



豊松 とはたった一晩のかかわりしかありませんでしたが「いやな時代に生まれ、いやなことをしてしまったものです。」と、自分の行為を認識しながら静かに判決を受けれ絞首台へと向かう 大西(草なぎ剛)
最期のときを迎える 豊松 の肩をぐっと強く抱きしめる教誨師・ 小宮(上川隆也)
豊松 と仲良くなった看守・ ジェラー (俳優さんの名前がわかりません)が、 豊松

そして、金網越しに妻・ 房江(仲間由紀恵) が愛おしそうに頭を撫でる指、息子・ 健一(加藤翼) 、娘・ 直子 とそっと触れ合う指と指、思わず口付けしてしまう子供たちの指。


なぜ、自分が死ななければならないのか?
納得できるはずもなく、それでも家族の写真を手にしっかり握り絞首台に上がるが、頭から布をかぶせられその写真を最期に観る事も叶わず、愛しそうに撫で、そして握り締め最期の時を迎える 豊松



思ったよりずっといい映画でした。
脚本の 橋本忍氏 によると、オリジンナル版を、 黒澤明監督 は「何か足りない」、ライター仲間の 菊島隆三氏 は「Cクラスの出来」とおっしゃったそうです。「50年かかって、やっと世評と実態との乖離を埋める、改定決定稿」ができたと職人・ 橋本忍 は納得したようです。
その作品を素直に観られたことはわたしにとっても喜ばしいことでした。




「私は貝になりたい」公式サイト





『私は貝になりたい』2008年(日本)
監督:福澤克雄
遺書・原作・題名:加藤哲太郎「狂える戦犯死刑囚」
脚本:橋本忍
出演:中居正広、仲間由紀恵、柴本幸、西村雅彦、平田満、マギー、加藤翼、武田鉄矢、伊武雅刀、名高達男、武野功雄、六平直政、荒川良々、草なぎ剛、笑福亭鶴瓶、上川隆也、石坂浩二、他





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Last updated  2008.12.19 21:37:33
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こんばんは  
RAKUとび さん
私はこの映画についてはタイトルくらいしか知りませんでした。
敢えて知ろうとしてこなかった、という方が正しいかもしれませんが。
こういう歴史の傷跡の話を見聞きするにつけ、今の時代の幸せを感じますが、昨今のあまりに「何でもアリ」の「何にも我慢しません」という価値観を開き直ったかのように平然と言い放つ人間だらけの世の中は、もう一度「あの頃」に戻った方がいいのではという気になりますね。
私は戻りたくないですが^^; (2008.12.19 23:05:07)

RAKUとびさん  
淡紫  さん
こんばんは。

>「何でもアリ」の「何にも我慢しません」という価値観

そうですね。
もひとつおまけに「悪い結果は自分以外の誰かのせい」。

この映画がすんなり胸に入ってきたのは、お決まりの「すべて国が悪い」「国家の犠牲になった」に帰着させるのではなく、一人の夫・父としての苦しみ、悲しみ、絶望、愛をまっすぐ描いていたからのように感じました。

わたしも「あの頃」に戻りたいとは思いませんが、「あの頃」に、なにかを見出せるのではないかとは思いました。

コメントどうもありがとうございました。
(2008.12.20 19:14:35)

見ました  
むむむぽん  さん

むむむぽんさん  
淡紫  さん
おはようございます。

この映画、ご覧になったのですね^^
わたしは美しい日本の四季・風景の描き方が、橋本忍氏が製作・脚本でかかわった「砂の器」にちょっと似てるな~と思いました。

かつて黒澤監督に「わたしは貝になりたい」の脚本を見せた時に
「橋本。これじゃ『貝』になれないんじゃないか。」といわれ、50年の歳月を経て脚本を練りなおし自ら改訂、新たに書き加えられたのが今までは描き切れなかった「夫婦の愛の物語」。
「絆」を深めることで、「ようやく完全版になった」と橋本氏はおっしゃったそうです。

もし、黒澤監督に今観てもらうことができたとしたら『「橋本くん、これでいいよ」と今回は言ってくれると思う』とインタビューに答えて橋本氏はおっしゃってました。

中居君が、ひたすら自分の仕事を一所懸命して家族を守ってきたかつての日本にはどこにでもいた普通の人間を丁寧に演じたことによって、終盤の鬼気迫る表情がより際立ち、残酷さ・苦しさ・哀しさ・家族を残して逝く辛さをよく表していたと思います。

戦後の軍事裁判は連合国の基準で、連合国の都合で、後だしじゃんけんで作った法律に基づいて行われた、報復色の強い公平とは言えないものを含んでいたと(この物語自体はフィクションですが)、この豊松の物語は語っているのではないでしょうか(言わずもがなのことを言ってしまいました…)?

失礼をしてしまいましたのに再度のご訪問&コメントありがとうございました<(_ _)>
(2008.12.31 06:11:51)

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