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2008.01.20
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カテゴリ: カテゴリ未分類
519

 何とはるばるとしたことでありましたでしょう、ふと一息ついて見た新聞に「枕屏風」という言葉を見つけました。それは新井白石の随筆「白石紳書」にあることで、加賀藩前田家に仕えていた青地四郎左衛門の夢の話にかかわります。四郎左衛門はあまりにも山や海の姿が鮮明な夢を見ましたので、その風景を絵にして枕屏風に貼り付けておいたといいます。それから10年あまりの後、秀吉の朝鮮出兵がはじまり、前田藩から四郎左衛門も出陣、朝鮮はめったに行けない所だから、ひょっとしたら、そこに夢に見た景色があるかもと、用意にために枕屏風からその絵を剥がして持って行ったところ、果たして、夢と同じ景色があったという話です。この道を行けば山がある、この道を行けば川があると全く夢のとおりでありましたとか。
 その話はとにかく、わたしにとりましては、見ていた新聞に「枕屏風」という字を、言葉をみつけたことが一大事、その文字の懐かしさに、一瞬を囚われてしまったのでありました。枕屏風とは、枕元を囲っておく背の低い二つ折れの屏風です。一人っ子でありましたわたしは、とにかく過保護にされて育ちました。それが枕屏風にも現れております。わたしの枕元には、美しい日本画、牡丹の花に蝶が舞う絵の屏風を毎夜、立てまわしてもらって眠りました。肩に風があたると、風邪をひくからといわれていましたが、それだけでなく、そこには、また自分だけの夢を守って眠るというロマンをいつの間にか育んでいたものでした。
一日一首「遠き夜の夢に聞きしか螺旋階段地下までくだるひとの靴音」

  今日の一首
  「昏れぐれの障子を開けてただひとり何事もなき庭眺めをり」
                    若山喜志子(「霜枯」抄・昭和十年)





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Last updated  2008.01.20 23:12:44
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