努力しない無職の相場生活
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『バフェット解剖 世界一の投資家は長期投資ではなかった』前田昌孝(宝島社新書)株やっててバフェットを知らない人はまずいないと思うが、彼の投資は巷間持たれているイメージとは大違いですよということを解説している。長期投資というのは結果的にそうなったもの。多くは1年以内に売却。分散投資といっても資産配分は適当で、アップル社に集中投資したのが功を奏した。パフォーマンスもS&P500をアンダーパフォームしている時が多いなどなど。バフェットでも効率的市場仮説には逆らえなかったとは。著者の偉いところはきちんと自分で検証したこと。きっと著者みたいな人は大儲けできるんでしょうね。私は怠け者なので無理だが。『ドキュメント異次元緩和 10年間の全記録』西野智彦(岩波新書)株やってて異次元緩和を知らない人はまずいないと思うが、黒田氏が植田氏にバトンタッチするまでの経緯を追っている。親黒田のリフレ派と反黒田の財務省の暗闘劇の内幕が丁寧に描かれていて面白い。黒田氏も財務相の人間だったので限界は多少あったが、株やってる者としてはありがたい存在だった。著者は記者からTBSの監査役になった人で、本書は岩波新書、ということで異次元緩和には批判的。左翼には分かるまい。『消費社会を問いなおす』貞包英之(ちくま新書)今風の消費行動を社会学者の観点から説明。リベラルっぽい話が続くが、格差を乗り越えるためのベーシックインカムに言及しているところが好感が持てる。斎藤幸平氏よりはるかにマシ。『回転寿司からサカナが消える日』小平桃郎(扶桑社新書)著者は水産貿易商社を経営。日本の漁業に警鐘を鳴らす。ニュースでよく聞く買い負けの話。日本は魚が大きくなる前に獲りすぎてしまうなど。マグロのトロは中国で、日本には赤身しか回ってこないという惨めさ。政治家もモリカケ桜とか政治資金とか馬鹿みたいな話より国民の衣食住に気を遣ってほしい。『社会主義前夜 サン₌シモン、オーウェン、フーリエ』中嶋洋平(ちくま新書)マルクスとエンゲルスが「空想的社会主義者」のレッテルを張った人たちの思想を説明している。著者の目の付け所がいいと思う。ここで取り上げられた3人は少なくともマルクスよりは性格が良さそうだ。以上。
2024.03.31
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