
クロも、カブキもモンチッチも当然各々好きな場所で寝ているのだろう。
すずは、ひとり私の帰りを待っていた。
「お帰りなさい、太郎さん(偽名)」彼女は私を名前で呼ぶ。決しておとったんとか、おやっさんとは呼ばない。
「なんだ、起きていたのか?」彼女は当然といった顔をしてゆっくりとほほえむ(様に見える)
「そろそろ帰ってくると思って待ってたの、ビールおいしそうね私も付き合うわ」そう言うと彼女はおもむろにわたしの横に座り私の晩酌のアテの、私の大好きなマカロニサラダを舐め出す。そう、彼女はマヨラーだった。
「そんな事をしなくても、君の好きなキューピーマヨネーズを出してあげるのに」
「ご馳走様、太郎さん私の事は心配しないで、それより花子さん(家人の事あくまでも偽名)、疲れてる観たいよ」
家人も仕事を持っている。最近忙しいので我々夫婦はすれ違いが多い。すずはそんな事を心配する猫で有った。
彼女はテレビの上で背筋を伸ばすとその美しい横顔を窓の外に向ける。その姿は凛としてまるで一輪挿しのゆりの様で有る。
「有り難う、すず。お前達に気を使わして悪いおとなだね」
「人も、猫もそれぞれよ」
すずはそう言うと器用に前足をたたみ眠りにつこうとする。
「おやすみね、すずテレビからおちるなよ」私の問いに彼女は横顔で笑い
「猫も学習するのよ」そう言うと彼女は瞼を閉じた。私は仕事で興奮した身体を冷ますためビールから、バーボンに飲み換えようするとき
「ドサツ!!」テレビからすずが落ちた。
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