未完成交響曲 ~日刊エッセィ~

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グンさんからのお手紙 2




ケンさん、こんばんは。グンです。

私は38歳の男性です。ケンさんが CODOX-M/IVAC を受けられると聞いて、安心しました。
やはりその方が、バーキットまたはバーキット様リンパ腫、ないしはリンパ性白血病に関する(これらの境界線は非常に曖昧です)スタンダードな治療だと思うからです。

私の場合、気づくのが遅れたのに加え、最初の病院でははっきり手に負えないと分かってから転院し、また一から病理検査をしたりしましたので、治療を始める頃にはすでにステージ4となって、全身に強い疼痛を感じていました。骨髄にも脊髄にも転移していたようです。

ケンさんの場合、先にchop療法を始められているので、ある程度進行が止まっていたのでは、と思いますが、そうした全身の強い疼痛(骨が痛む感じ)はありますでしょうか?多分それが進行の度合いの一つの目安になると思います。

いずれにしても、25歳だから特別に早く、私が発病した35歳なら遅い、ということではなく、軒並み早い進行を示すと思いますが、それだけ細胞分裂も早く、従って抗ガン剤もとても良く効くので、手遅れという点については、特に心配されることはないと思います。


CODOX-M/IVACは非常に強力な治療法で、私が受けた病院でも始めての治療でしたが、通常のchop療法などに比べると一桁ないし二桁違う量を投与するので、看護婦さんもびっくりして何度も量を確かめていました。身体に生じるダメージも個人差はありますが、かなり強いと思います。

私の場合、一番深刻だったのは肝機能と腎機能の障害で、どちらもほとんどストップするまで低下しました。このため、私は実は治療の最初の1クールが終わった時点で、これ以上は無理、ということで治療をうち切っています。これは個人差もかなり影響すると思います。


しかし幸いなことにこの最初の1クールで完全寛解に至り、再発も恐れられていたのですが、それもありませんでした。そういった状態でしたので、移植などはできる筈もなく、それっきりで抗ガン剤治療は終わりました。つまり、ガン細胞に関して言えば、治療は非常に良く効いたのです。全身の疼痛も劇的に改善され、治療をはじめてすぐに消滅しました。

副作用で他に苦しんだのは、消化器官の粘膜の全面的な崩壊です。口の中一面が口内炎になり、強い吐き気で水も飲むことができず、一方で下血も頻繁にあり、ほぼ1ヶ月寝たきり
になりました。しかし何とかもちこたえました。他に強い副作用が出たのは骨髄抑制と言って、抗ガン剤で破壊された骨髄が再び赤血球や白血球を作り出すまで、およそ4ヶ月近くもかかりました。
これは身体との相性の問題や、個人的な身体の具合も関係するので、一律に同じ副作用が出るとは限りませんが、これらの点には十分注意する必要があります。

私はこうした副作用が強かったために、治療終了後も2ヶ月以上入院していました。
非常に心細かったですが、次第に何とかなってきました。もっとも退院後も骨髄抑制は尾を引き、結局退院後も4ヶ月にわたり自宅療養を続けました。

ケンさんの場合、腫瘍がどこにあるのかとか、そういった事が分かりませんが、個別の腫瘍よりも、むしろ全身に散っていて、骨髄まで浸透しているガン細胞をいかに叩くか、が肝心だと思います。放射線に関しては、私は最初に摘出して検査した脇の下の腫瘍の他には、特に目立ったものがなかったので、おこなっていません。

とりあえずお返事になっていますでしょうか?楽な治療ではないと思いますが、治療の効果は迅速で劇的なものになると思いますので、安心して副作用に耐えていれば大丈夫です。

何かございましたら、いつでもメールください。私の話で、ケンさんの気持ちが楽になるのであれば、出来る限りの事はします。それでは。


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