2004年07月28日
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新婚の頃、おっちゃんは足を骨折して入院した。


本当に素直で明るい子だった。

おっちゃんを兄のように慕ってくる少年。
うれしそうに、本当の弟のように少年をかわいがるおっちゃん。


しばらくして、少年は片足を切断手術した。


病名は骨肉腫。


隣のベッドで少年は、切断した傷口が痛むのを我慢して、夜中に布団の中で声を押し殺して泣いていたらしい。


「足がないのに、指が痒いんです。」






通院できるまで回復し、先に退院したおっちゃん。
リハビリが始まって、外出許可が下りるようになった少年を我が家へ招待したいと言った。
母のいないその少年を手料理でもてなしたいとずっと思ってたらしい。


ささやかな夕餉だが、少年と、同じく入院中にお世話になり、仲良くなったナースをご招待した。

とても楽しく賑やかに過ごした数時間。

帰り際、おっちゃんは入院中から少年がとっても気に入って欲しいと言っていた、お気に入りのスタジアムジャンパーを彼にあげた。

思わぬプレゼントに満面笑みの少年。



それが最後になるなんて、その時には思ってなかった。



翌年、少年が亡くなったとの知らせが…。

お通夜の席で少年の父親が、ジャンパーを最後まで気に入っていたと話してくれた。

悲しくて切なくてやり場のない怒りがこみ上げてきた。





その日から、20年。

「大人になったアイツに会いたかったな・・・。」

もし元気でいたなら、いい青年になっていただろうな・・・。





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最終更新日  2004年07月28日 00時03分29秒
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