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本日の偉大な先輩は・・・知られざる料理界の二大鉄人。プロジェクトXのテーマをBGMにお読み下さい。大阪に通い詰めて十数年になる贔屓のお店が二軒ある。初見で心を捕まれてしまった。毎度の放蕩三昧、五月雨そぼ降る御堂筋。今日も頭と尻の軽いネーちゃんを連れて同伴前の腹ごしらえに我が庭のようなミナミの街へ・・・にわか雨を避けて路地裏へ雨宿り。軒下に駆け込むと扉が開いた。「いらっしゃい」の声に振り向くと若山富三郎ばりのオヤジが悪鬼の笑いで迎えてくれた。ステーキハウスだった。「わ・た・し・お鮨がいいな~!」という馬鹿女を無視してカウンターへ独り座ると「お肉で我慢するわ」と馬鹿女も必死の愛想で追従。捕まえたカモは痩せ細るまで放して貰えないらしい。何とも言えぬノスタルジックな店構えだった。原爆で止まったような柱時計にオヤジの分身のような般若の面。俺は野菜が大の苦手だ。オヤジは野菜を食わないと肉は出さないと言う。「そんな店が何処にあるんだよ~!おっ!」若山オヤジ「ココにある!」と譲らない。霜降り神戸牛の柔肌に負けて渋々と青虫の餌を口に入れると「それでいい」とまた悪鬼の笑いで肉を焼いてくれた。美味いなんてもんじゃない!肉がこんなに美味かったか!?初めて女を抱いた少年のように感激した。聞けば40年ステーキ一筋だと言う。また来るよと店を出るとまだ雨はしつこかったが傘が嫌いな俺は路地を駆けた。表通りで振り返ると口の悪さとは裏腹に膝まで頭を下げた老夫婦が雨の中見送ってくれていた。馬鹿女は買ったばかりだろうD&Gのコートを位牌のように大事そうに抱いてもたついていた。それから毎日、晩飯はココになった。それ以来、脂肪肝と糖尿気味だ。ミナミでも有名な遊び人だったと人は言う。遊び人どうし俺とは気があった。色と欲の話を飽きもせず毎晩交わした。いつも女将は呆れ顔でくすりと笑っていた。俺を家族のように何時でも迎えてくれた。居心地のいい店だった。客を連れて行くからと電話を入れると、時折、今日は来るなと言う。お客に出せるような肉が入らなかったら店は休むのが信条らしい。そんな店が今時何処にあるんだよー!「ココにある!」とまた言った。それでもいいと無理を通して開けさせた。俺にはいつもの肉と何ら変わりは無かったがオヤジは奥歯の虫歯に蟹の爪が刺さったような顔をして「味音痴のおまえさんにゃ解らんわ!」と渋々鉄板に向かっていた。問題が起こった。牛海綿状脳症(BSE)だ。客足は遠のいた。閑古鳥が鳴いた。何の因果か俺はその頃、丸紅から肉骨粉の処理を受けて奔走していた。何時にもましてこの頃は肉を食った!知らない奴まで動員して店に通った。食肉業者も無理矢理動員した。一日三度食っても良かった。鬼は煙いと目を擦っていた。糖尿で断酒していた遊び人の大先輩が銀座遊びを始めた。この不景気の最中、楽ではないだろう。薄くなった髪と財布。「この街には散々世話になった。今が恩返しや、可愛がってあげにゃ、着いてこい!」「はい、お供します。」と今日もいそいそ出かけて行く。我々遊び人の流儀はこれでいいのだ。鬼が焼くミナミにあるステーキハウスの名は「ひとくち」皆さん、大阪にお立ち寄りの際は是非、覗いてやって下さい。今は土産にやったガンダムで熱帯魚と戦っていたはな垂れ小僧の二代目がお出迎えします。鬼は奥魔殿で蹲っていますがビールでもいかがの一言で姿を現します。若山富三郎に似てますねと言うと20パーセント増量請け合います。あら、こんな時間になりました。もうひとりの鉄人紹介は次回に。
2004年03月01日
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