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気がつけば2ヶ月ほど放置状態になっておりました、鉄道に関する記事は殆どありませんので、省略しても良かったんですけど、中途半端で終わるのも嫌なので、最後まで一気に書き上げてしまおうと思います。最初に、幹線道路の整備として下記の区間と上げているのですが、これは必ずしも高速道路ではなく、いわゆる高規格道路を想定しているようですが、まともに、宗谷本線や、釧網本線などと絡むわけで、現状であれば確実に線路の方が撤去されてしまいそうです。まぁ、当時は北海道全体が赤字というわけではなく、線区ごとに見た場合、根木線のように大幅な赤字を計上していた路線もある反面、室蘭本線や、函館本線などは石炭輸送で黒字を計上しており、そうした意味では鉄道輸送は貨物中心と考えていたのかもしれません。次に幹線自動車道路でございます。北海道の幹線自動車道路としましてはここに七つ路線が出ておりますが、函館―札幌、札幌―旭川、札幌―釧路、旭川―稚内、旭川―網走、岩見沢―室蘭、滝川―芦別というふうな線が、一応幹線道路として考えられるのであります。さらに、この計画では、公共事業として道路を整備するとともに、道路公団(現在のNEXCO)更に、今回の構想の北海道開発会社の3者で建設すべきだと言うことを発言しています。ここまでくると、ちょっと妄想が過ぎるのではと思ってしまいそうです。そしてその次の二の、「整備の方法」としまして、どういうふうにやっていくかといいますと、これは決してその会社だけで自動車幹線道路をみんなやるという意味でなくて、一番大きいのは、何と申しましても一般の公共事業費によって整備をはからなければならない。また一面、今回成立いたしました日本道路公団の経営によるものも期待されなければならない。そしてこの会社もやる。この三本立で北海道の道路整備をはかっていくのだということであります。さらに、採算については今後考えていきたいということであり、これはちょっと問題ではないかと思ってしまう、大言壮語と言いますか、現実から大きく乖離しているように思えてなりません。目下採算等につきまして検討をいたしております。質問では、自由党川村善八郎が、下記のように質問していますが、北海道開発庁が計画を立てて予算をとって、道庁に補助として流してやった場合に、道庁に預けっぱなしでなく、やはり指導監督を十分にして、北海道開発庁が立案された計画に基いて、いわゆる総合的な開発の一環として道庁にやらせるというお考えなのか、それとも、今度実施官庁にして、すべてのものを取り上げて、全部開発庁でやっていかれるのか、こうしたようなことについて、御意見を承わりたいと存じます。これに対しては、北海道庁に与えてある権限までは引き上げるつもりはないとしていますが、概括してみますと、都合の良い部分だけを継ぎ合わせた、そんな感じを受けてしまいます。ということで、どこまで本気だったのか、実際にそうした組織体が出来なかったことを見れば、余りにも実態とかけ離れた内容であったのではないでしょうか。北海道庁に与えておる権限は、実施機関でありますから、これは取り上げない、それには干渉しません。ただ、こちらの開発庁の権限のところだけであります。いずれにしても、どこまで実現させる気があったのか、いささか疑問に思うものであります。にほんブログ村にほんブログ村******************************************************** 取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽に blackcat.kat@gmail.comにメール またはメッセージ、コメントにて お待ちしております。 国鉄があった時代 JNR-era ******************************************************** **********************以下は、国会審議本文になります。******************次に幹線自動車道路でございます。北海道の幹線自動車道路としましてはここに七つ路線が出ておりますが、函館―札幌、札幌―旭川、札幌―釧路、旭川―稚内、旭川―網走、岩見沢―室蘭、滝川―芦別というふうな線が、一応幹線道路として考えられるのであります。そしてその次の二の、「整備の方法」としまして、どういうふうにやっていくかといいますと、これは決してその会社だけで自動車幹線道路をみんなやるという意味でなくて、一番大きいのは、何と申しましても一般の公共事業費によって整備をはからなければならない。また一面、今回成立いたしました日本道路公団の経営によるものも期待されなければならない。そしてこの会社もやる。この三本立で北海道の道路整備をはかっていくのだということであります。この調査計画がまだ未整備でありますが、さしあたり第一にこの会社が着手をいたそうというのは、札幌―岩見沢でありまして、これは三十キロでございます。現在迂回をいたしまして四十キロのものを、三十キロの直線コースで最良の道路を敷こう。それによって半分以下の時間で行けるようにしたい。自動車の損傷も少くなるし、能率も大いにこれによって向上しよう。なお全道にわたっての構想もあるわけでありますが、将来は、ただいま申したように、公共事業の仕事と、道路公団の仕事と、この会社の仕事とをよく調整をはかりまして、全道の道路を急速に整備して、産業開発の基本に大いに貢献しようという考えでおるのであります。さしあたりの計画だけを一応調査しておりますが、時期的にどうやるかということにつきましては、目下採算等につきまして検討をいたしております。 はなはだ不完全ではありますが、概要を御説明した次第であります。 ○小平(忠)委員 本日は正力長官に、いろいろ北海道開発の基本的構想について承わりたいと思って、御質問申し上げたわけでありますが、大臣から、就任早々、特に熱意を持っておられる北海道交通開発株式会社案につきまして、いろいろ御説明をいただきました。案の内容のよしあしは別といたしまして、大臣の抱いておられる熱意のほどがうかがわれるように思うのです。そこで昨日も委員長から御約束されましたように、この委員会に議題となっておりまする北海道開発庁設置法案につきましては、本日も引き続いて総括質問として、主管大臣のほかに経済企画庁長官、行政管理庁長官のおいでを願うということになっておりますが、もう質疑に入りましてから一時間半以上になりますのに、まだお見えになりません。従いまして、この問題につきましては、やはり基本的な関連のあることでありますから、私は両大臣がお見えになりましてからさらにお伺いいたしたいと思いますので、質問を留保いたしておきたいと思います。 さらにまた、先ほどの大臣の御答弁の中では、この法案は自分としてもきわめて不満足である、注釈としては、実施官庁という見地から、この法案は不満足だという説明もつけ加えられております。また、きわめて重要な発言は、大臣は現在北海道開発庁長官であります。その長官であられる正力さんが、現在の開発庁はきわめてヌエ的なものだ、また開発庁長官というものも何だかこれは変なものだ、これはきわめて聞き捨てならないことでありますから、この問題については、法案あるいは開発庁、あるいは開発庁長官というような問題につきましては、一つ最高責任者である鳩山総理の御出席をここにわずらわしまして、鳩山総理に総理大臣の真意のほども、またあらためて承わりたい、こう考えておるわけであります。従いまして、本日のところ、私はこの程度において質問を保留して、私の質問は終りたいと思います。 ○川村(善)委員 ちょっと質問になりますが、北海道開発庁設置法案提出に対する理由を述べられ、かつ昨日総体的な質問が行われたのでございます。そこで大臣に一点だけお伺いしておきますが、大臣は野党の諸君の質問に対して、法案はりっぱなものであるけれども、内容については私はまだ不満足だ、しかしながら、現在よりは一歩前進をしておるから、私はこれを国会に提出をして御審議を願っておるのだ、それだからぜひともこれを通してくれ、といったような御意見もございました。そこで大臣の発言の中に、重要な問題が二つほど私は考えられるのであります。大臣が不満足だということは、これはどうしても実施官庁にして、いわゆる計画から実施まで、一貫した行政事業をやっていかなければならぬというお考えのようでありますが、私らも、そのお考えには賛成をするものであります。ただ野党の諸君が御質問をしておる中に、それでは、北海道の知事が行政を行なっていかれることを剥奪するようなおそれがないかといったようなことに対しては、いや、そんなことは一向ないのだ、一つも考えていないのだ、ころいう御答弁をされております。そこで、きょうは実施官庁として、計画もさらには実施も一貫していく、また指導監督も十分にしていくという考えだ、こういうような御答弁をされておるのでございますが、そこで今まで北海道の開発につきましては、大臣が言われたように、計画と予算はとっておるけれども、各省にこれが分けられて、各省はめいめいの感覚でやっておられるということも、これははっきりしております。従いまして、道庁もそのようにやっておられるように、私たちははっきり見ております。その場合に、北海道開発庁が計画を立てて予算をとって、道庁に補助として流してやった場合に、道庁に預けっぱなしでなく、やはり指導監督を十分にして、北海道開発庁が立案された計画に基いて、いわゆる総合的な開発の一環として道庁にやらせるというお考えなのか、それとも、今度実施官庁にして、すべてのものを取り上げて、全部開発庁でやっていかれるのか、こうしたようなことについて、御意見を承わりたいと存じます。 ○正力国務大臣 先ほど申し上げましたごとく、北海道開発庁の今日の状態は、私はこれは成績を上げるにはよくない、どうしても実施機関にしたいと思っております。しかし北海道庁に与えておる権限は、実施機関でありますから、これは取り上げない、それには干渉しません。ただ、こちらの開発庁の権限のところだけであります。 ○廣川委員長 小平君の発言もありましたので、きょうは高碕、倉石両君とも、所用のため出席いたしておりません。そこで本日はこの程度で散会いたしまして、明日定刻より質疑を継続いたしたいと思います。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十七分散会
2019.10.12
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本日も正力国務大臣の北海道総合開発計画会社の構想について質問がなされています。最初に質問に立っている、小平忠衆議院議員は、北海道岩見沢市生まれであり、北海道開発会社に関しては非常な関心を持っているように見受けられます。元々北海道の開発は、国が行ってきたものであり、民間が参入するのは如何なものかという点で夏期のような質問をされています。すなわち、北海道の開発は国が行うと保守党がずっと宣伝したところではないのかと質問しています。ちなみに、小平忠は、社会党(右派)その後民社党に移籍した人物で有り、自由党などの保守勢力が民間に任せるという点に対して疑義を持っているようです。運輸交通といいますか、そういう面の思い切った推進をはからなければならない。それには、単に国費だけの支出によっては不十(分)だから、官民合同の株式会社を作ってやりたいという構想でありますが、それも一つの方法でありまししょう。しかし、かつて明治の初年に黒田清隆伯が北海道の重要な開発について、強力に国が責任を持って推進してきたいきさつから見ましても、やはりそういった官民合同の株式会社にしましても、国みずからが責任を持って北海道の開発を推進するということは、先ほど申し上げたように、吉田内閣以来、保守党が相当宣伝されて参っておることです。それを受けての、正力国務大臣の発言は、非常にスケールの大きなものであると改めて考えさせられます。申し訳ないが、未だに消えた年金問題だとか、モリカケだとか言っている野党議員を見ていると正直情けなくなってくるし、現行の安倍政権が全てにおいて羽〇フェ区ととは言わない中で、新自由主義の行きすぎに際してブレーキを掛けるべき立憲民主党でとかが動くべきなのですが、共産党と組んで倒閣運動とか・・・していたら、正直何処までいても政権奪取どころか、支持率も伸びないでしょう。この構想案は、かなり面白いと個人的には面白いです。というか、スケールが大きいなぁと思わせてくれます。その要旨としては、国が2/3、民間が1/3を出資する民間に任せるという昨今の新自由主義的な発想での民営化ではなく、あくまでも官主導で、民間の知恵と行動力を借りると言うべきものです。かつての、満鉄や北支開発のような役割を持たせるが、それ以上の出資を国が行うと言うことで、北海道の開発は国で行うという趣旨にも反しないとしています。大体今われわれが作ろうと思っておるのでは、五百億の会社にしたいのです。そうして最初の年はその四分の一の払い込み、つまり百二十五億、その百二十五億のうち国家が三分の二を負担する。先ほど国家云々と言われておりましたが、やはり国が中心です。こういうものは民間中心にしてはだめです。民間中心にすると、どうしてもそれが一部公共のためになっても、自分が損のいくようなことはやりません。私はやはり多少損をしても、大衆のため、国家のためにやらなければならぬと思う。だからして、その三分の二は国家で持って参りたい、そして三分の一だけを民間にする。かつての満鉄、北支開発のときでも、いずれもみな国家が半分に民間が半分です。それを今度は国家が三分の二というふうに、よけいに持たせたいと考えております。さらに、「、小さい資本家をたくさん集める。それが結局北海道の開発にみんなの関心を持たせる」という発言をしています。この趣旨は、現在流行しているクラウドファンディングにも似たようなことを感じてしまいます。すなわち、少額でも参加することができるようにして、その関心を向けさせるというものであり、スケールの大きな発想に唯々驚くばかりです。私のねらいとしては、大衆に支持させていくという考え方ですから、それにはやはり国家の保証がなければならぬ。それで小さい資本家をたくさん集める。それが結局北海道の開発にみんなの関心を持たせることであるし、またそれが一番人気の立つゆえんだと思っております。そこで最初の百二十五億のうち三分の二を国家で持ちますから、民間はわずかに四十億くらい持てばよいことになると思います。ですから、私は民間において大へんな希望者が続出すると思います。今、北海道でただ資本家だけを集めるのならば、北海道にはたくさん内地の大資本家がおります。彼らに割当してもとれます。しかし、そんなのじゃいけないのです。みんなが喜んで北海道に移住するようにしたいという考えが、この構想のもとでありますので、実は私はこの構想を財界の人にも話してみましたが、私の言うことを、みな意外に喜んで迎えております。にほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era**********************************************************************以下は、第024回国会 国土総合開発特別委員会の議事録になります。***○小平(忠)委員 詳細なお話については、今資料を取り寄せておられるそうでありますから、それまで、その問題に関連いたしますけれども、さらにお伺いをいたしたいのであります。 大臣の構想であります北海道の開発には、どうしても運輸交通といいますか、そういう面の思い切った推進をはからなければならない。それには、単に国費だけの支出によっては不十(分)だから、官民合同の株式会社を作ってやりたいという構想でありますが、それも一つの方法でありまししょう。しかし、かつて明治の初年に黒田清隆伯が北海道の重要な開発について、強力に国が責任を持って推進してきたいきさつから見ましても、やはりそういった官民合同の株式会社にしましても、国みずからが責任を持って北海道の開発を推進するということは、先ほど申し上げたように、吉田内閣以来、保守党が相当宣伝されて参っておることです。そこで第一次五ヵ年計画も本年度で一応終り、明年度からは、第二次計画を立ててその線で進まなければならないという段階にあります。もうそろそろ本国会も終りますし、三十一年度の予算もきまりましたが、しかし国会が終りますれば、そろそろ来年度の予算編成にも着手しなければならぬという段階でありまして、その際やはり主管大臣たるあなたが中心役になって強力に推進しなければ、毎年宣伝だけはよいけれども、国会を通過する予算というものは、計画の何分の一にも満たないという結果に陥るのでありますから、この際国みずからが北海道開発に対する国費について、どのような構想によってやっていくのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。○正力国務大臣 今材料を取り寄せておりますので、それがきた上で申し上げるつもりでありますが、その前に申し上げておきますと、何しろ幾らりっぱな構想でも、やはり空想に終ってはいけない、いたずらに国家に損失をかけてはいかぬということを考えております。それでつまり専門家を頼んでおるわけであります。ただ構想だけなら、りっぱなものができます。しかし、それも結局そろばんがとれないようなものでは、だめですから、その点を考えておるわけです。これは専門家の意見を聞いて、よく計算をしなければわかりませんが、大体今われわれが作ろうと思っておるのでは、五百億の会社にしたいのです。そうして最初の年はその四分の一の払い込み、つまり百二十五億、その百二十五億のうち国家が三分の二を負担する。先ほど国家云々と言われておりましたが、やはり国が中心です。こういうものは民間中心にしてはだめです。民間中心にすると、どうしてもそれが一部公共のためになっても、自分が損のいくようなことはやりません。私はやはり多少損をしても、大衆のため、国家のためにやらなければならぬと思う。だからして、その三分の二は国家で持って参りたい、そして三分の一だけを民間にする。かつての満鉄、北支開発のときでも、いずれもみな国家が半分に民間が半分です。それを今度は国家が三分の二というふうに、よけいに持たせたいと考えております。従って、今までの満鉄とか北支開発のような利益は上げられないかもしれません。何となれば、利益を企図していると、なかなかうまくいかない点がありますから、そこで国家が三分の二とし、民間を三分の一とする。この民間も、普通の単なる営利会社なら資本家は出しますが、そうではなくて、私のねらいとしては、大衆に支持させていくという考え方ですから、それにはやはり国家の保証がなければならぬ。それで小さい資本家をたくさん集める。それが結局北海道の開発にみんなの関心を持たせることであるし、またそれが一番人気の立つゆえんだと思っております。そこで最初の百二十五億のうち三分の二を国家で持ちますから、民間はわずかに四十億くらい持てばよいことになると思います。ですから、私は民間において大へんな希望者が続出すると思います。今、北海道でただ資本家だけを集めるのならば、北海道にはたくさん内地の大資本家がおります。彼らに割当してもとれます。しかし、そんなのじゃいけないのです。みんなが喜んで北海道に移住するようにしたいという考えが、この構想のもとでありますので、実は私はこの構想を財界の人にも話してみましたが、私の言うことを、みな意外に喜んで迎えております。そんならわれわれも協力したいということで――それは、民間の普通の資本家がみんな喜んでおるのですが、これをみんな資本家でやるというのでは、これは単なる営利を目的とするものになってくる。それじゃいけません。そうじゃないのです。そうでないのがこの会社の強みなんだという考えでおりますので――実はそれが昭和二十一年に今の法律が出まして、マッカーサーとしては、民間事業を圧迫するから、利子補給する会社はいかぬ、こういう。ところが、これは民間の圧迫ではないのです。これによって民間は盛んになる。何とならば、公共的性格のものですから。ですから、マッカーサーが法律を出した趣旨とは違ってくるわけです。だから、あの法律をどうしても改正してもらいたい。そうしてこれによって大衆は喜ぶ、そして、それによって一般の事業が起る、こういう考えでありますが、あのマッカーサーの法律が出たために、御承知の通り利子補給――利子補給というのは、資本家の会社の利益保護です。だから、利子補給のときは、みんな余持ちが株主になっておる。その補給をしておるのです。だからそんなものはいかぬのです。大衆はこの株を持っておれば、郵便貯金したよりも幾らか歩合がよくて、そして安心だということが、人気が出ることと思っておるのです。現に皆さん御承知の通り、満鉄を作ったときには、資本家は株をほとんど持たなかった。持ったのは、みんな大衆でした。そうして、あれがみな、一つは愛国の熱に燃え、一つはこれによって郵便貯金をするよりもこれがいいということで、人気をとった。あの情熱を北海道開発に持たしたいというのが私の考えでありまして、現に私の話を聞いて、それは北海道開発ばかりではない、そんな会社はもう少しほかにも作ってもらいたい、内地にも作ってもらいたい、と言うてきた人が、一人や二人ではありません。そういうことでしなければ、ほんとうにいわゆる大衆とともに進まない、こう思っているのが、この構想の根本であります。 それからなお、そういう国出家か保証した大会社、五百億もの会社を作りますと、金を借りるのに非常に楽です。何となれば、国家が保証するから、会社はつぶれることはない、こう思いますから、安心して金を貸してくれる。今、五百億の金では、仕事が何もできません。とにかく隧道をやろうとしたり、あるいは鉄道の免許を受けようとしても、なかなか金が要るのです。それですから、金の程度というものは、私どもよりも、ほんとうにそろばんをとった人にとらしてみたい、こういう考えでおるわけなんです。それで、今御承知の通りに六分ということにしておきますれば、アメリカは金利は非常に安い、四分から五分ですから、そうすればその安い金を借りてきて――これは外人は株主にはしません。株主はどこまでも日本人にする。日本の庶民です。しかし金を借りるのには、外資を借りていきたい。そうして金を五分くらいで借りたい。今日いろいろな公社でやっておる金は、大てい六分から八分の公債です。ああいう高い利子を払っては、会社の経営はなかなかむずかしい。これは金利は安くても、会社はつぶれぬと思うから、安心して貸してくれる、こう思うのです。しかしながら、それも民間に実権を持たすのではない、国家に実権を持たす。三分の二の株主は国家なんです。だから、安心していける。それで私は、北海道の鉄道の委任経営を受け得るという自信があり、またやっていけると思います。というのは、民間会社で今盛んに北海道の鉄道を、ああいう悪いのに、払い下げ運動をしております。これは国家は払い下げません。民間に払い下げると因るのは、得のいくところだけやって、損のいくところはやらなくなってしまうことであります。だから、これはどうしても国家が中心になってやって、損のいくところもやるようにしなければならない。それで今北海道の鉄道はあまり補修はしないように聞いております。そうして今のままでいくと、北海道の鉄道はますます悪くなるおそれがあるのです。鉄道が悪かったら、どんなことをしても、北海道の事業は興りません。ですから、これはなかなか大きな仕事です。大体の構想は私、就任早々考えましたけれども、そろばんをとったデータというものは、専門家によるしかありません。ですから、これは北海道の役人だけではだめです。開発庁の専門家にもとらしておるけれども、なお財界人にもとらせます。道路をやるにしても、北海道の地形をよく見なければなりません。それで、これは有料道路にして、そうしてバス、トラックも経営したいということなんであります。実は鉄道の問題でも、運輸省では、今北海道の鉄道経営には非常に悩んでおるらしい。私が北海道についてこういうことを言うたら、大臣などでも、それは非常にけっこうで、個人の意見としては、結局北海道がうまくいけば、九州も放し、四国も放すということにいかなければならぬと思っておる、というようなことを言うております。そういうふうに、運輸省としても、そうしなければ、内部の解決はできません。だから、その方針はまず北海道に試みたい。事東大であるから、私の思いつきだけではできませんので、そろばんもきっちりととれば、たとい三年、五年はこうでも、十年後にはこうなるんだから、これは国家が幾ら投資をしても大丈夫、保証をしても大丈夫というところまで持ってこなくちゃならぬ、こういうふうに思っておりますので、それで時間がかかるわけであります。構想は前からちっとも変っておりませんけれども、ただ前より一つ構想が変ってきたのは、隧道をやってくれという話がありますから、それが変っておる。青函隧道は全がなくて困っておる。だから、こういう会社にすれば、あるいは借りることもできるのでははいか。これも面かなかむずかしいのです。御承知の通り隧道については、ずっと前から案は作ってしまつている。これは六百億ぐらい要ります。六百億という金はなかなかできません。だから、運輸省と相協力してやったらどうかいというふうに思っております。これがもしもできたら、ほんとうに北海道の生産費は安くなります。今のような制度では、幾ら北海道が人口問題の解決、解決といっても、人口問題の解決になりませんよ。現に移民しておるのも、みんな帰ってきますよ。そういう人口問題の解決という点から考えても、どうしても交通をやらなければいけません。それですから、話があまり大きい話だけれども、これはやってやれないことじゃない。根本は官民合同の会社を作ること、こう思うておるわけであります。
2019.06.29
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今回も、直接国鉄の審議と関係ないかもしれませんが、昭和31年に北海道を総合開発するに際して、新たな北海道開発の株式会社(半官・半民の昔の日本航空のような会社)を設立しています。その概要的な部分は、竹谷委員(竹谷源太郎議員)が、質問事項として下記のように発言していますが。、関連して。今正力国務大臣は、北海道開発庁設置法の審議に当りまして、北海道の開発に関する卓抜な、豊富な計画、また御意見があるようなことですが、ただいまはその一端をちょっと話されただけで、あとは遠慮して、別の機会にというお話ですけれども、実はこの委員会は、北海道開発特別委員会ではなくて、国土総合開発、国全体の問題で、府県の議員も多数いるわけです。われわれはゆっくり正力国務大臣の御意見を聞く機会もなかったわけで、ぜひこの北海道開発庁設置法審議に当りましては、北海道開発に関する豊富な御意見や計画を聞くことが、この審議上非常に重大でございまして、自動車道を作る、鉄道は複線でなければならない、港湾もよくなければならぬ、これは抽象的にわかることでありますがということで、その概要を聞いただけでも、「鉄道は複線化」(少なくとも主要幹線はと言う意味でしょう)他にも、「自動車道を作る」(これも、当時はまだまだ自動車は未発達で有りかなり先を見越した計画とも言えます)さらに、「港湾もよくなければならぬ」(大規模船舶が停泊できれば、鉄道輸送だけではなく海運でもかなり運べることになります)とうことで、これだけを聞いてもかなり大規模な開発であることは容易に理解できます。なお、ここで上記の発言をしている、竹谷源太郎議員について少し調べて見ました。氏は、宮城県出身の元内務官僚で、戦後は退官、地元で地域政党(宮城地方党)を友人と設立して衆議院に出馬し当選したとされています。その後、日本社会党への入党を希望したが、拒絶、片山哲らの紹介で、改めて入党が認められたとなっています。内務官僚ではありますが、貧困問題などに大変な関心を寄せており、北海道庁事務官時代には、タコ部屋労働の廃止に取組み、貧窮者対象の社会事業協会附属病院の設立などに尽力したとされており、そうした背景からも日本社会党への入党を希望したようです。その後、民社党結党の際には参加しており、純粋に今回のこうした発言も、北海道の開発により、貧富の格差解消を願ってからの発言であると言えそうです。にほんブログ村にほんブログ村 ********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era*************************************************************************以下は、国会議事録からの引用*********************○竹谷委員 関連して。今正力国務大臣は、北海道開発庁設置法の審議に当りまして、北海道の開発に関する卓抜な、豊富な計画、また御意見があるようなことですが、ただいまはその一端をちょっと話されただけで、あとは遠慮して、別の機会にというお話ですけれども、実はこの委員会は、北海道開発特別委員会ではなくて、国土総合開発、国全体の問題で、府県の議員も多数いるわけです。われわれはゆっくり正力国務大臣の御意見を聞く機会もなかったわけで、ぜひこの北海道開発庁設置法審議に当りましては、北海道開発に関する豊富な御意見や計画を聞くことが、この審議上非常に重大でございまして、自動車道を作る、鉄道は複線でなければならない、港湾もよくなければならぬ、これは抽象的にわかることでありますが、それに関連して、どのような計画で、また官民合同の開発会社を作ろうとすれば、それはどのようなものであるか、その概要を、少し時間がかかってもちっとも御遠慮はいりませんから、どうか御披露をお願いしたいと思う次第でございます。○小平(忠)委員 私もそれを今申し上げようと思ったのです。たまたま関連して竹谷君から申されたのですけれども、開発審議会では詳しく述べたが、この国土開発委員会で述べられないということもございませんし、先ほど大臣は、どうもこういう席では時間がかかって何だから、別な機会にゆっくり懇談したいとおっしやいますけれども、そんなことをおっしやらないで、非常に大事な委員会でありますので、こういう席上に一つその構想を、せっかく関連質問によって竹谷君からも御指摘されましたから、どうぞその豊富なる構想をぜひお聞かせ願いたい。○正力国務大臣 よくわかりました。しかし、何しろ法案を急いでおるものですから、至急に審議をお願いしたいと思いますが、私どもとして、また適当な機会にお話しいたしたいと思います。――それでは、今資料を取り寄せまして、詳しく御説明いたします。○本名委員 ちょっと大臣にお伺いいたします。今竹谷委員の関連質問で、詳しく御説明なさるということで、実は私も安心したのですが、審議会の権威と委員会の権威をはっきり区別していただいて、どうか一つ委員会を軽視なさらないで、われわれ審議会に関係のない者にも、大臣の広大な構想をよくお聞かせいただきたい。それで、まあそれはよろしいとして、しごく簡単なことをお聞きしますが、さっき大臣の構想について、ただいま専門家をして研究立案させているというお話がありました。その専門家というのは開発庁内の人ですか、それとも役所外の人をさしているのですか、それをちょっとお聞きしたい。○正力国務大臣 役所ではずいぶん研究しておりますが、それだけではいけせまのんで、役所外のほんとうの専門家です。○本名委員 それは大きな事業ですから、もちろん局外の経験者あるいは学者の意見など、いろいろ聞くこと、研究されることはけっこうだと思いますが、その場合に、どうでしょうか。われわれ国土総合開発委員会においても、特に北海道を中心にして今論議しているのですが、こういう北海道に関心を持っておる者の意見を、今の構想の研究中にどういうふうにお取り上げになりますか。先ほど伺っておると、何か小平委員との対談をもって一つの行き方としておられるように聞えたのですが、その辺はどうですか。○正力国務大臣 いや、実はそれは小平委員と対談するという意味ではなしに、私は、社会党の代議士の北海道出身の人とみな御相談したいと思っております。それから、現に国会では北海道に関し決議案も出しております。それでこれは国土開発の問題なんです。ですから、今度の法案改正の問題でも、国土開発委員会が通れば、通ると私は思っております。それほどこの国土開発委員会を重大に考えておるわけで、決して私は軽視しておりません。またここで通らなければ、法案は通りません。ですから、どうぞよろしくお願いいたします。
2019.06.23
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本日も、国土総合開発特別委員会 の議事録からご覧いただこうと思います。北海道開発庁については、昭和25年に北海道開発法に基づき設置された組織で、北海道開発法 法律第百二十六号(昭二五・五・一)に以下のように記されています。(北海道開発庁の設置)第四条 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項の規定に基いて、総理府の外局として、北海道開発庁を設置する。北海道開発法では、その設置の目的を下記のように定めています。(北海道総合開発計画)第二条 国は、国民経済の復興及び人口問題の解決に寄与するため、北海道総合開発計画(以下「開発計画」という。)を樹立し、これに基く事業を昭和二十六年度から当該事業に関する法律(これに基く命令を含む。)の規定に従い、実施するものとする。2 開発計画は、北海道における土地、水面、山林、鉱物、電力その他の資源を総合的に開発するための計画とし、その範囲については、政令で定める。この法律は現在も有効で、現在は北海道開発庁に代えて、国交省の地方支分部局、北海道開発局となっています。以下は、正力松太郎国務大臣の発言になります。正力氏と言えば読売新聞、もしくは,読売巨人軍のオーナーのイメージもありますが、警察官僚であり、その後は読売新聞を買収して、社主になることで、業績を拡大、昭和19年には貴族議員に勅撰され、戦後は公職追放を経て、昭和30年2月、第27回衆議院議員総選挙に富山2区から出馬、当選。同年11月の第三次改造内閣で、北海道開発庁長官に就任しています。概要としては、北海道を開発することに対して、官民合同出資による株式会社を作ることを提示しています。私どもは北海道に道路がないないと思っておりましたが、案外直線道路ができているらしい。それがみなアスフアルトができていない。形はまっすぐだけれども、それが砂利道路になっているから、冬になっていけないということもありますし、なお鉄道との関係もありますから私も現場を一つ見たいと思っております。それから専門家も、資料だけでなしに、現場にやらなくてはいけないと思います。実は今までも、こっちの机上プランだけでなしに、開発庁の地政課長など、数回北海道に行っておるのでありまして、その話を聞きますけれども、何しろ事は非常に重大だし、ましてこれこそ法律の改廃問題、また配当保証といいましたところが、これはマッカーサー占領時代において、ああいう制限をつけられたから、まずこれを撤回しなくてはならぬという考えもありまして、いろいろ関係するところが多いのです。小平委員にもそのうち、こういう席では長くなりますから、いずれよく御懇談をしたいと思っております。何しろほんとうに北海道の開発は、今のような状態ではいかぬ。たとい、どういう困難があっても、どれほど金がかかっても、国家のためにやらなければならぬと思っております。ただ計画がまだ十分立っておりませんから、いずれ一カ月もたったら、相当な案ができるかと思っております。また私は、それだけでなしに、なおでき得べくんば、北海道の青函隧道も運輸省と協力してやって参りたい。これも夢だと思われておるかもしれませんけれども、国家はやはり夢を持たなくてはやり得ないと思うのです。運輸省があんなことをいつまでしていてもいけないから、これも自分としては真剣に考えております。あれは計画ができておるのです。ただ、できぬのは金です。こういうようなことですから、どうしても金の一番できやすい会社を作る。それについては、官民合同の会社で、配当を国家が保証するという会社を作れば、金も借りやすい。そして一般国民も関心を持つ。配当保証をしますれば、今郵便貯金でも三分か四分であるから、中産階級以下の人がみんな安心してその株を持ちます。そうすれば、ほんとうにみんな関心を持つ。そうして初めて、ここで先ほど申し上げた通り、開発ということが目的を達せられる。こう思っておるわけですから、いずれ調査の上、また詳しく申し上げます。当時の見解ですが、運輸省(当時の名称)が計画している青函トンネルも、新しい会社が建設すれば良いと提案されています。さらに、その後発言の中で出てくるのですが、北海道の鉄道についても、前述の開発会社で一括運営していくといった案が出てきます、それに対して国鉄としては、非常に関心(危機感)を持つことになります。当時の国鉄は、室蘭本線など石炭輸送が活発な地域は黒字でした。また、北海道への入り込みは船しか無い時代でしたので、そうした意味でも北海道の鉄道をすっかり民営化されては、国鉄としても困るという意識が有ったと言われています。下記は、昭和39年交通年鑑、主要線区の経営成績をキャプチャーしたものです。出典:交通年鑑 公益財団法人 交通協力会 https://library.transport.or.jp/以下は、弊サイト、国鉄があった時代から引用した部分です。北海道交通開発株式会社法案に関して常務会でも重大な関心 9/6北海道開発審議会において、正力国務大臣から示された、北海道の国鉄を分離経営することを骨子とした、北海道交通開発株式会祉法案の審議は、国鉄にとっても重大な関心事となり、常務会においても、同案を種々検討するとともに運輸省とも検討会を行うこととなった続くにほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era********************************************************以下は 第024回国会 国土総合開発特別委員会 第22号議事録から抜粋出典:国会議事録検索システム 第024回国会 国土総合開発特別委員会 第22号○小平(忠)委員 大臣の北海道開発に対する構想につきましては、就任早々からただいまの御意見はたびたび私伺っておるのでありますが、このことは非常に重要なことでありまして、せっかくの機会でありますから、私はただいまの構想につきまして、もっと掘り下げて具体的に――いろいろ新聞記者の会見なり、あるいはその他直接な個所におきましても、もっと詳しい御意見を述べられておるかのごとく承わるのでありますが、さらにこの機会に、もっと全般的な問題に関しましても、ぜひ考え方をお漏らしいただきたい。といいますのは、やはり北海道の開発法というものを廃止して、新たに開発庁設置法を作るということは、単なる行政機構の一部の改革というふうにおっしやられますけれども、非常にこれは大事なものであります。というのは、今度の開発庁設置法案を見ますると、従来開発庁のいわゆる出先機関といいますか、そういう形においてなかった原局であるところの陸運、海運、通産局というような面も、新たに加わっておるのでありますから、そういう見地において、さらに具体的にお聞かせいただきたいと思うわけでございます。○正力国務大臣 先ほどは大体の構想だけ申し上げましたが、実は私はこれをやるについても、やはり北海道審議会に相談しなければいかぬと思いまして、この前の審議会のときにだいぶんお話ししておきました。そのときに小平委員が、ちょうど国会の大問題のために出席できなかったことは、非常に残念に思います。その席では相当評しく言っております。来月もう一ぺん審議会を開いてもらおうと思います。しかし、この間も申し上げたように、まだ不十分です。第一これについては、私自身北海道へ行って、現地を見てこなければならぬと思っております。何しろ国会中だし、北海道へ行けないのですが、現地を見たいと思っております。それから専門家に計画を立てさせておりますが、何しろ膨大なものですから、専門家もなかなか十日や二十日では、できないそうであります。しかし十分これはやりまして――何しろ北海道の現地を見たいと思います。それは、私どもは北海道に道路がないないと思っておりましたが、案外直線道路ができているらしい。それがみなアスフアルトができていない。形はまっすぐだけれども、それが砂利道路になっているから、冬になっていけないということもありますし、なお鉄道との関係もありますから私も現場を一つ見たいと思っております。それから専門家も、資料だけでなしに、現場にやらなくてはいけないと思います。実は今までも、こっちの机上プランだけでなしに、開発庁の地政課長など、数回北海道に行っておるのでありまして、その話を聞きますけれども、何しろ事は非常に重大だし、ましてこれこそ法律の改廃問題、また配当保証といいましたところが、これはマッカーサー占領時代において、ああいう制限をつけられたから、まずこれを撤回しなくてはならぬという考えもありまして、いろいろ関係するところが多いのです。小平委員にもそのうち、こういう席では長くなりますから、いずれよく御懇談をしたいと思っております。何しろほんとうに北海道の開発は、今のような状態ではいかぬ。たとい、どういう困難があっても、どれほど金がかかっても、国家のためにやらなければならぬと思っております。ただ計画がまだ十分立っておりませんから、いずれ一カ月もたったら、相当な案ができるかと思っております。 また私は、それだけでなしに、なおでき得べくんば、北海道の青函隧道も運輸省と協力してやって参りたい。これも夢だと思われておるかもしれませんけれども、国家はやはり夢を持たなくてはやり得ないと思うのです。運輸省があんなことをいつまでしていてもいけないから、これも自分としては真剣に考えております。あれは計画ができておるのです。ただ、できぬのは金です。こういうようなことですから、どうしても金の一番できやすい会社を作る。それについては、官民合同の会社で、配当を国家が保証するという会社を作れば、金も借りやすい。そして一般国民も関心を持つ。配当保証をしますれば、今郵便貯金でも三分か四分であるから、中産階級以下の人がみんな安心してその株を持ちます。そうすれば、ほんとうにみんな関心を持つ。そうして初めて、ここで先ほど申し上げた通り、開発ということが目的を達せられる。こう思っておるわけですから、いずれ調査の上、また詳しく申し上げます。○小平(忠)委員 大臣は北海道へいつごろおいでになる予定ですか。国会開会中で行かれなかった事情もわかるのですけれども、一ぺん北海道を見ないでは、ほんとうに真剣な話もできない。近く行く行くということは、就任早々から言っておられたのですから、国会ももう会期余すところわずかですがいつごろおいでになる予定ですか。○正力国務大臣 国会が終ったら、七月中に行きたいと思っております。
2019.06.18
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現在、北海道のJR存続に関する問題が大きな問題となりつつあります、北海道の外国人による土地か買い占め問題などを含めて、早急に対応すべき事を考えていかないといけないと思いますし、北方領土の問題などを含め地勢的には、ロシアという国と如何に付き合っていくか、国防という視点を含めて考慮する必要があるかと思うのです。今後、JR北海道は再国有化という方向がもっとも好ましいのではないでしょうか。幸い、JR北海道と、JR四国は株式が上場されていませんし、JR貨物も同様に上場されておらず、株式会社という形態を取っていますが、実際にはみなし公務員の国営会社ですので、NTTホールディングスが行っているように、事業会社と営利会社(NTTの分類では、第1分類(規制会社)第2分類(競争会社) のような形でJR自体の再編を考える時期に来ているのではないかと考えてしまいます。さて、その辺は今後の研究課題かと思うのですが、今回資料を探していて、昭和31年頃に。北海道の国鉄を分離して、北海道開発庁に鉄道事業を移管して一体運営を行うことが提案と言う記事が有りました。この、構想に関しては、国鉄部内誌の交通技術1957年1月号に下記のような記事が出ていましたので、一先ずそのまま引用させていただこうと思います。「正力構想」は、北海道の国鉄を分離して、北海道交通開発株式会社に移管すべきであるとの原案で、内閣の北海道開発審議会で審議中である。是は北海道開発に名を借りてし、るが「国有鉄道分割民営論」の一端ではないのかP斯様な実情で将来の社会党内閣は何を根拠にして重要産業国有化の優秀性を宣伝しようとするのか?と書かれています、実際には、この構想が話題になったのは、昭和31年9月であり、弊サイト国鉄があった時代昭和31年後半を参照しますと下記のように書かれています。国鉄があった時代 昭和31年後半 鉄道ニュース北海道交通開発株式会社法案に関して常務会でも重大な関心 9/6 北海道開発審議会において、正力国務大臣から示された、北海道の国鉄を分離経営することを骨子とした、北海道交通開発株式会祉法案の審議は、国鉄にとっても重大な関心事となり、常務会においても、同案を種々検討するとともに運輸省とも検討会を行うこととなったそこで、この時期に該当しそうな国会審議はないかと探してみたのですが、国土総合開発特別委員会は、昭和31(1956)年2月28日から継続的に開催されており、直近で鉄道運営の話が出てきているのが5月23日にそのような類いの話が有ったようなので、今回の議事録に関しては、5月23日に開催された議事録を参照しながら解説を加えさせていただこうと思います。国鉄が一番関心を持った点がこの件かと思われます。○小平(忠)委員 前略・・・正力大臣にお伺いいたしたいのでありますが、北海道開発法を廃止して、新たに北海道開発庁設置法という行政組織法に切りかえられるということであります。これに関しましては、提案理由の説明もなされましたし、それに付随するところの若干の資料は配付されておりますが、今日北海道の開発を強力に推進するということはかつての吉田内閣時代から鳩山内閣に移行されて、かけ声だけは非常に一人前だったと私は思うのであります。そこで、日本の経済自立、日本の人口問題あるいは食糧問題解決のかぎを握っておるといわれる北海道の総合開発を、今後どのような形において進めなければならぬかという基本的な問題について、私はこの際、正力大臣の構想をまず承わりたいと思うのであります。○正力国務大臣 まず北海道の三十一年度計画もありますし、また五年計画もありますが、それはお手元にすでに書類を配付してありますから、御承知のことと思いますけれども、しかし私はあれには満足しないで、なお一歩前進したいと思っております。というのは、今まで総合開発、総合開発と言っておるけれども、根本の交通運輸の点についてはどうも欠けておると思いますので、これをこの際、どうしてももう少し強くやらなくちやならぬという考えを持っております。ということで、今回は触りだけですが、引き続き議事録を参照しながら内容に解説を加えさせていただこうともいますので、よろしくお願いいたします。にほんブログ村にほんブログ村******************************************************** 取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽に blackcat.kat@gmail.comにメール またはメッセージ、コメントにて お待ちしております。 国鉄があった時代 JNR-era ******************************************************** **************以下は、国会審議議事録*********************第024回国会 国土総合開発特別委員会 第22号昭和三十一年五月二十三日(水曜日) 午後三時四分開議 出席委員 委員長 廣川 弘禪君 理事 川村善八郎君 理事 薄田 美朝君 理事 竹谷源太郎君 理事 渡辺 惣蔵君 伊藤 郷一君 植木庚子郎君 本名 武君 北山 愛郎君 小平 忠君 永井勝次郎君 三宅 正一君 森 三樹二君 出席国務大臣 国 務 大 臣 正力松太郎君 出席政府委員 北海道開発庁次 長 田上 辰雄君 総理府事務官 (北海道開発庁 企画室主幹) 柏原益太郎君 ―――――――――――――五月二十三日 委員芳賀貢君辞任につき、その補欠として三宅 正一君が議長の指名で委員に選任された。 ―――――――――――――本日の会議に付した案件 北海道開発庁設置法案(内閣提出第一六八号) 北海道開発庁設置法施行法案(内閣提出第一七 二号) ―――――――――――――○廣川委員長 これより会議を開きます。 北海道開発庁設置法案及び北海道開発庁設置法施行法案の両案を一括議題とし、質疑を継続いたします。小平君。○小平(忠)委員 本日の委員会は、昨日のお約束通り、北海道開発庁設置法の問題につきまして、主管大臣たる正力長官初め、経済企画庁長官並びに行政管理庁長官にもおいで願いまして、きわめて重要な問題でありますから、総括的な質問を継続することになっておりますが、ただいま主管大臣の正力長官しかお見えになっておりません。しかし、せっかく委員長からも開会をして、審議を進められようという御意思もありますので、私はただいまから正力長官に対して質問をいたしたいと思います。 最初に正力大臣にお伺いいたしたいのでありますが、北海道開発法を廃止して、新たに北海道開発庁設置法という行政組織法に切りかえられるということであります。これに関しましては、提案理由の説明もなされましたし、それに付随するところの若干の資料は配付されておりますが、今日北海道の開発を強力に推進するということはかつての吉田内閣時代から鳩山内閣に移行されて、かけ声だけは非常に一人前だったと私は思うのであります。そこで、日本の経済自立、日本の人口問題あるいは食糧問題解決のかぎを握っておるといわれる北海道の総合開発を、今後どのような形において進めなければならぬかという基本的な問題について、私はこの際、正力大臣の構想をまず承わりたいと思うのであります。○正力国務大臣 まず北海道の三十一年度計画もありますし、また五年計画もありますが、それはお手元にすでに書類を配付してありますから、御承知のことと思いますけれども、しかし私はあれには満足しないで、なお一歩前進したいと思っております。というのは、今まで総合開発、総合開発と言っておるけれども、根本の交通運輸の点についてはどうも欠けておると思いますので、これをこの際、どうしてももう少し強くやらなくちやならぬという考えを持っております。それをやるについては、交通運輸を大きく根本的にやると、非常に費用のかかることですので、とうていこれは国庫の金だけではいかない、もう少し民間からも集めなければならぬ。場合によっては、どうしても外資を誘導しなければならぬ。そういう考えをもって、ここに官民合同の大会社を作りたい。そういうことにして、さらにその会社については、国家に配当の保証をしてもらいたいということにすれば、金も集まる、また仕事も思い切ってやれる。これは何も私の独創ではありません。すでに満洲開発のときにそういう例があります。北支開発のときにもその例があります。そういう根本的なことをやらなければならぬ。北海道では今生活費がかかる、生産費がかかるということは、根本は、交通運輸の便がよくなっていないということにあるのであります。 しからば、その交通をどのようにするかというと、第一に、今日の北海道の鉄道がいけない。あの単線で、あのがたがた鉄道ではいけないということを考えています。それから道路も、今日ああいうふうにせっかく作られた道路が、直線道路には作ってあるが、アスフアルトにもしてない。従って、冬になれば自動車が三分の一も動けないということであるから、これも直さなければならぬという考えを持っております。それで、私が今言った官民合同の大会社を作るということについて、私の最もねらいとするところは、一般大衆にこれが関係することです。普通大てい会社を作ると、資本家、つまり相当の資力ある者だけが株主になっておりますが、私は、北海道の開発は、北海道人が、もっと大きく言うならば、日本国民のみなが、協力するものでなければならぬと思います。それについては、やはり国家が配当を保証しなければならない。もしここに官民合同の大会社ができ、国家が保証するとなれば、全国民は期せずして北海道に目を注ぎます。ここで北海道の人気はぐっと上ります。そうして、何人も北海道開発に向って参ります。それで初めて、北海道の開発はできるのだと思っておるのでありまして、今のような小さい資本、国家だけの資本では、思い切った開発はできません。これでは、いつまでたっても、私に言わせれば、画竜点睛を欠くうらみがある、こう考えておるわけであります。
2019.06.14
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こちらの記述では、基本的には、所信表明等が書かれているだけで、その後散会となっておりますので、特段解説を加えるべき内容はございませんが、当時の国鉄を取り巻く環境というのが判るかと思うのですが、仁杉総裁自身が、国鉄だけで再建は不可能な状態にあると、言わば白旗を揚げている状況で有ることが窺えますが。実際に、こうした状態に追い込んだのは、組合側だけの問題ではなく、それを容認してきた、もしくは我田引水ならぬ我田引鉄を引き起こした政治家などにも問題はあるかと思うわけです。この後、整備新幹線は国鉄改革法案が通るまでは、凍結されますが、法案が通るとすぐに整備新幹線問題は解禁され、整備新幹線は国鉄の手を離れて、財源の確保も見つからないまま一人歩きすることになりました。後に、JRによる新幹線買い取り問題の時に発生した、1兆円の上積問題がありました。(東海・東日本・西日本で分担)と言うように、国鉄そして、JRは振り回される結果となりました。にほんブログ村にほんブログ村********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era***************************************************************************************以下、blog本文***********************○細田国務大臣 それでは次に、運輸行政の基本方針について申し上げます。 第百一回国会に臨み、当面の運輸行政の諸問題に関し、所信の一端を申し述べ、各位の御理解を賜りたいと存じます。 運輸を取り巻く諸情勢を見渡してみますと、内外経済は、ようやく景気が底離れをしつつありまして、輸送需要も回復する兆しが見えますが、我が国の経済構造がソフト化し、輸送サービスの質的向上への要請が強まるとともに、輸送量が経済の伸びほど伸びなくなっております。また、我が国経済社会の国際化の進展等も著しく、運輸を取り巻く環境は大きく変化してきておりますので、これらの変化に的確に対応していくことが、今後の運輸行政の展開に当たり、極めて重要な課題となっております。 もとより運輸行政の要請は安全の確保であり、また、国民の求める良質な輸送サービスを将来にわたって安定的に確保することが基本的課題であると考えております。私はかねてより直接、間接に運輸行政に携わってきた経験から、その重要性を十分認識しているものであり、以上のような考え方のもとに、全力を挙げて運輸行政に取り組んでまいりますが、当面する諸問題につきましては、次のとおり所要の施策を積極的に推進してまいる所存であります。 まず第一に、国鉄事業の再建の問題であります。 申すまでもなく、国鉄事業の再建は、国政上最重要課題の一つであり、政府といたしましては、総力を結集してこれに取り組んでいるところであります。 現在、日本国有鉄道再建監理委員会において、経営形態問題、長期債務問題等を含めた国鉄再建の全体的方策について鋭意検討が進められているところでありますが、運輸省といたしましても、同委員会に積極的に協力するとともに、職場規律の確立、新規採用の原則停止、設備投資の抑制、地方交通線の整理の促進等の緊急対策の推進に努めているところであります。五十九年度の国鉄の予算案においては、大幅な要員縮減や工事規模の圧縮による経費節減等に一層努力するとともに、運賃改定等により収入の確保に努めることといたしております。運輸省としては、国鉄事業の再建に全力を傾注し、今後とも国家の基幹的交通機関としての使命を全うできるよう、取り組んでまいる所存であります。 第二に、運輸関係社会資本の整備であります。 まず、港湾につきましては、海上輸送需要への対応、エネルギーの安定供給の確保、地域振興、海岸保全等の観点から、流通拠点港湾、エネルギー港湾、地方、離島の港湾等の整備を促進するとともに、海岸事業の推進に努めてまいります。 次に、空港につきましては、将来の航空輸送需要に適切に対応し、均衡のとれた航空輸送網を整備していく必要があります。このため、我が国の国際的立場からも緊急の課題となっている関西国際空港の建設について、事業主体として特殊法人たる株式会社を設立するほか、東京国際空港の沖合展開、新東京国際空港の整備を進めるとともに、地方空港についてもジェット化等の整備を進めてまいります。 整備新幹線は今後の進め方につきまして、従前からの方針に沿い、関係機関等と協議をいたしてまいりますが、当面、所要の準備作業や調査を推進してまいります。 運輸関係社会資本の整備は、産業活動や国民生活の基盤を築くものであり、今後とも計画的かつ着実にその整備を図る所在であります。 第三に、国際関係への対応であります。 我が国の経済社会の国際化の進展、国際的な相互依存関係の深化等の国際環境の中で、運輸行政の分野におきましても、国際関係への配慮が強く求められております。 このような認識から、第二パナマ運河建設構想への協力を初め、開発途上国の経済社会開発に欠くことのできない鉄道、港湾、空港、船舶等の整備に関する経済技術協力につきまして、積極的にこれを推進するとともに、国際協調の前提である相互理解を深めるため、国際観光を振興し、人的交流の促進に努めてまいります。 外航海運につきましては、我が国の総合安全保障の見地からも重要な課題である海上輸送力を確保するため、日本船を中核とした我が国商船隊の整備を図っておりますが、日本船の国際競争力の低下、国際海運秩序の変化等の問題に直面しておりますので、中長期的な視点に立った今後の外航海運政策のあり方について、検討を行っているところであります。 なお、定期船同盟の行動規範に関する条約につきましては、加入のための準備を行っております。 次に、国際航空につきましては、昨年十二月に日米航空協議を再開したところであり、今後、両国航空関係の不均衡の一層の是正を図ることとしております。その他の国との航空関係につきましても、我が国をめぐる国際航空網の充実に努め、国際航空の公正かつ秩序ある発展を図るべく努力してまいります。 第四に、地域交通政策の推進であります。 地域交通は、新しい地域社会づくりの基盤となるべきものであり、地域ごとの交通計画の策定、推進等を通じて、今後とも地方公共団体との連携を深めながら、効率的で質の高い地域交通体糸を形成してまいります。 都市交通の分野におきましては、都市高速鉄道、都市バス等の整備改善を進め、公共交通機関を中心とする交通体系の確立を図ってまいります。また、地方交通の分野におきましては、地方バス、中小民鉄、離島航路に対する助成等を行い、地域住民の生活基盤として不可欠な公共輸送の維持を図るなど、日常生活に必要な輸送サービスの確保に努めてまいる所存であります。 第五に、貨物流通政策の充実であります。 産業構造の変化と利用者ニーズの高度化、多様化に対応して、効率的な輸送サービスを提供することが必要であります。このため、陸海空にわたる効率的な貨物流通体系の形成、消費者物流の健全な発達の促進、荷役の合理化や輸送効率の改善等による物流効率化施策の推進、情報システム化や、内航船舶の近代化等による物流産業の合理化施策の推進を図ってまいる所存であります。そのほか、運送に関する秩序の確立に努めるとともに、港湾運送事業については、近年の荷役革新に対応した事業規制に改めてまいる所存であります。 第六に、造船不況対策と船員対策の充実であります。 造船業は依然として市況の低迷を続けており、当面の対策として操業調整勧告を行ったところでありますが、さらに財政資金の確保等により、経営の安定化に努めるとともに、技術革新を積極的に推進し、造船業の近代化を図ってまいります。 船員対策につきましては、新しい船員制度の円滑な実施を図るとともに、船員の教育訓練体制の整備に努めてまいります。また、依然として厳しい船員の雇用情勢にかんがみ、船員雇用対策を今後とも積極的に推進してまいる所存であります。 第七に、運輸に係る安全、防災対策及び環境対策の推進であります。 先ほども述べましたように、安全の確保は、運輸行政の要請であります。このため、輸送機器の安全性の確保、交通安全施設の整備、輸送従事者の健康管理体制の充実等により、事故防止に万全を期するとともに、交通事故被害者の救済対策の充実にも努力してまいります。また、宿泊施設の安全性の確保、海上における広域哨戒体制の計画的な整備等による海上保安体制の強化を図ってまいります。 昨年は、日本海中部地震、中国地方を中心とする七月の豪雨、台風、三宅島噴火等多大な災害に見舞われました。防災対策につきましては、異常な自然現象の早期、的確な把握と、その予警報が重要であり、静止気象衛星を初めとして気象業務体制の一層の充実強化を図ることといたしております。また、大規模地震対策、海上防災体制の充実につきましても、遺漏なきを期してまいります。 交通公害の防止対策として、発生源対策や周辺対策等所要の施策を推進するとともに、海洋汚染の防止につきましても、監視・取り締まり体制の強化、環境整備事業の推進等の施策を講ずる所存であります。 第八に、新海洋秩序への対応及び海洋の開発利用の推進であります。 海洋問題につきましては、国連において海洋法条約が採択され、船舶の航行、深海底資源の利用、海洋環境の保護等に関する新海洋秩序についての世界的な合意が形成されつつあり、我が国も、昨年、これに署名をいたしましたが、運輸省としても、同条約の批准に備え、所要の準備を積極的に進めてまいります。また、資源と国土空間とに恵まれない我が国にとって、海洋の開発利用は重要な課題であり、このための海洋の調査、技術開発等にも、積極的に取り組んでまいります。 このほか、運輸部門における利用者保護対策、エネルギー対策、身障者対策等の推進を図るとともに、運輸関係技術の開発の推進、観光レクリエーション施設の整備等に努めてまいりたいと考えております。 最後に、運輸省の機構改革について申し述べます。 運輸省の現組織は、昭和二十四年に確立されて以来、今日まで三十数年を経過いたしましたが、運輸を取り巻く経済社会環境は大きく変化してきております。これに伴い運輸省に課せられている多くの重要な行政課題に適切に対処し、総合的かつ効率的な運輸政策の推進体制の強化を図るため、昭和五十九年度において、中央地方を通じた大幅な機構改革を実施したいと考えております。 すなわち、本省においては運輸行政の総合的運営の確保を図り、国際運輸、地域交通、貨物流通等の各分野ごとに政策を総合的かつ効率的に推進し得るよう、従来の縦割りの組織体制を抜本的に再編するとともに、地方においても、海運局と陸運局とを統合した地方運輸局の設置を図ることにより、地域の特性に適合した運輸行政の一層の推進を図る所存であります。 以上、運輸行政の当面する諸問題につき申し述べましたが、これらは申すまでもなく、委員各村の深い御理解を必要とする問題ばかりでございます。終わりに当たりまして、重ねて皆様の御支援をお願い申し上げる次第でございます。 ○福家委員長 委員諸君に申し上げます。 さきの議事進行は、委員長の間違いではなく、有能過ぎる運輸大臣が、いささか初舞台の関係上上がられたのか、ごあいさつで続いて所信表明を続けるべきところを、途中で打ち切られました。委員長も初めてでございますので、いささかチョンボをいたしました。今後、運輸大臣十分御注意を願います。 次に、昭和五十九年度運輸省及び日本国有鉄道の予算について、運輸政務次官から説明を聴取いたします。津島運輸政務次官。 ○津島政府委員 昨年の十二月二十八日に運輸政務次官を拝命いたしました津島雄二でございます。 ただいま運輸大臣からお話がございましたように、現下の運輸行政は緊急に解決を要する多くの問題を抱えております。その職責の重大さを痛感しております。 私は、前々国会以来運輸委員会におきまして委員各位の御指導を賜ってまいりましたが、これから一層勉強いたしまして御期待にこたえたいと思います。皆様、委員各位の一層の御指導、御鞭撻をお願い申し上げる次第でございます。(拍手) それでは、委員長の御指名に応じまして、昭和五十九年度の運輸省関係の予算について御説明を申し上げます。 まず一般会計について申し上げますと、歳入予算総額は二十七億二百七十万九千円であり、歳出予算総額は、他省所管計上分一千百八十九億七千二百十四万六千円を含め一兆四千六百七十七億七千二百十四万五千円でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、比率で三・四パーセントの減少になっております。 次に、特別会計について申し上げます。 自動車損害賠償責任再保険特別会計につきましては、歳入歳出予算額一兆五千七百十四億八千五百万円余、港湾整備特別会計につきましては、歳入歳出予算額三千四百七十四億八千三百万円余、自動車検査登録特別会計につきましては、歳入歳出予算額四百六億九千七百万円余、空港整備特別会計につきましては、歳入歳出予算額二千五百七十七億八千百万円余をそれぞれ計上いたしております。 また、昭和五十九年度財政投融資計画中には、当省関係の公社公団等分として一兆七千六百四十三億円が予定されております。 運輸省といたしましては、以上の予算によりましてまず第一に、日本国有鉄道の事業の再建を推進することといたしております。 国鉄の事業の再建につきましては、五十七年九月の閣議決定及び昨年八月の日本国有鉄道再建監理委員会の緊急提言の趣旨を踏まえ、引き続き、職場規律の確立、新規採用の原則停止、設備投資の抑制、貨物営業の合理化、地方交通線の整理促進等の緊急対策の推進に努めているところであります。 五十九年度におきましては、予算人員二万八千九百人の縮減を初め、工事規模の大幅な圧縮等経費の節減に一層の努力を傾注するとともに、所要の運賃等の改定による増収額一千八百億円を見込み、あわせて総額六千四百八十八億円の助成を行うことといたしております。 第二に、交通基盤施設等の整備を促進し、国民生活の安定、向上を図るため、港湾、海岸及び空港の各部門について、五カ年計画に基づいて、それぞれの事業の計画的かつ着実な推進を図ることといたしております。 また、鉄道につきましては、東北新幹線の都心乗り入れ工事、都市高速鉄道の整備等を推進することとし、整備新幹線の今後の進め方につきましては、従前からの方針に沿い、関係機関等と協議をしていくことといたしております。 第三に、外航海運対策といたしまして、貿易物資の安定輸送を確保するため、財政資金により外航船舶の整備を促進することといたしております。 また、観光対策といたしまして、海外観光宣伝事業等を推進するとともに、国民の観光レクリエーション活動のための施設を整備していくことといたしております。 第四に、経営改善に努力している地方バス、中小民鉄、離島航路等に対し、地方公共団体と協力して助成を行い、国民の日常生活に不可欠な公共交通サービスの維持、確保に努めてまいります。 第五に、造船対策といたしまして、造船業の経営安定化のため、船舶輸出の確保を図るほか、過剰施設の処理に関する助成を行うことといたしております。 また、船員対策といたしまして、船員雇用対策及び船員教育体制等の整備を積極的に推進することといたしております。 第六に、北西太平洋海域等における船舶の航行安全体制を確立するとともに、広大な海域における我が国の権益を確保する等のため、巡視船艇及び航空機の整備を推進するとともに、海洋情報システムの整備を進めるほか、海洋調査の充実強化を図ることといたしております。 第七に、安全防災及び環境保全対策といたしましては、広域的な気象観測に重要な役割を果たす静止気象衛星二号の打ち上げ計画を引き続き推進するとともに、地震、火山対策、交通安全対策、交通被害者救済対策、空港周辺対策等の充実強化を図ることといたしております。 なお、運輸行政に課せられている多くの課題に適切に対処し、総合的かつ効率的な運輸政策の推進体制の強化を図るため、中央地方を通じた大幅な機構改革を実施することとし、本省においては、運輸行政の総合的運営の確保を図り、国際運輸、地域交通、貨物流通等の各分野ごとに政策を総合的かつ効率的に推進し得るよう、従来の縦割りの組織体制を抜本的に再編するとともに、地方においては、海運局と陸運局との統合により地方運輸局を設置し、地域の特性に適合した運輸行政の展開を図ることといたしております。 なお、運輸省関係予算の部門別の重点施策の概要につきましては、お手元に配付してあります昭和五十九年度運輸省予算の説明及び昭和五十九年度日本国有鉄道予算の説明によりまして御承知願いたいと存じます。 以上をもちまして、昭和五十九年度の運輸省関係の予算についての説明を終わります。 ○福家委員長 この際、日本国有鉄道総裁から発言を求められておりますので、これを許します。仁杉日本国有鉄道総裁。 ○仁杉説明員 私、昨年の十二月二日付をもって日本国有鉄道総裁を命ぜられました仁杉でございます。 私は、国鉄を離れましてからもう十五年余になりますので、目下、各部局から説明を聞きますとともに、現場を視察する等、いろいろ国鉄の実情の把握に努力をいたしております。その結果、改めて、国鉄の再建にはたくさんの難問を抱え、前途容易でないということを深刻に感じております。 今や国鉄は、国会の先生方また政府の皆様方からの御支援なくして、みずからの力だけでは再建できない状況にあるというふうに認識をいたしておりますが、私はその前提といたしまして、国鉄がみずから正すべきものは正し、国民の目の前に、国鉄が役職員一同一生懸命努力しているという姿を出さなければならないと考えておりまして、今その点につきまして、役職員一同と懸命に頑張ろうというつもりで業務を進めておるわけでございます。 今後いろいろな問題が起こると思いますが、これらにつきましても、この委員会の先生方の御支援なくして解決できないと考えております。どうぞ今後ともよろしく御支援、御鞭撻をお願いする次第でございます。 私どもも一生懸命努力いたします。どうぞよろしく御指導をお願いいたしまして、簡単でございますが、ごあいさつとする次第でございます。 ○福家委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時三十八分散会
2018.12.26
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長らく、更新が出来ていませんでしたが、gooblogで中途半端に停止していた記事をこちらできちんと最後まで書かせていただこうと思います。どうかよろしくお願いいたします。今回は、昭和59年2月の衆議院運輸委員会の国会審議議事録からの引用です、運輸委員会及び大原社会問題研究所の資料、及び運輸白書などをおりまぜながら、国鉄時代について検証を加えていこうと思います。 長文になるかもしれませんが、よろしくお願いします。 今回は、さわり部分ですので内容的に重要な部分は少ないのですが、 >国鉄事業の再建は、国政上最重要課題の一つであり、政府といたしましては、総力を結集してこれに取り組んでいるところであります。 現在、日本国有鉄道再建監理委員会において、経営形態問題、長期債務問題等を含めた国鉄再建の全体的方策について鋭意検討が進められているところでありますが、運輸省といたしましても、同委員会に積極的に協力するとともに、職場規律の確立、新規採用の原則停止、設備投資の抑制、地方交通線の整理の促進等の緊急対策の推進に努めているところであります。五十九年度の国鉄の予算案においては、大幅な要員縮減や工事規模の圧縮による経費節減等に一層努力するとともに、運賃改定等により収入の確保に努めることといたしております。運輸省としては、国鉄事業の再建に全力を傾注し、今後とも国家の基幹的交通機関としての使命を全うできるよう、取り組んでまいる所存であります。 と書かれていますように、国鉄の予算はますます圧縮され、コピー用紙の裏紙使用は当たり前であり、室内灯の消灯、整備費の軽減及び検査周期の延伸などによる経費の圧縮、細かいところでは、この頃は積極的にイベントとして機関区などの公開を行っていましたが、パンフレット等は全て手書き、それも記録用紙の裏側に印刷するなど。。。。それは徹底していました。 また、この頃は新製車両の予算が大幅に削られていたため、余剰車両の改造が大流行で、583系改造の419系や715系が誕生したのもこの時期でした。 それでは、しばらく続くこのシリーズどうぞご覧くださいませ。 581系寝台電車をを改造した、419系電車などは、国鉄改革の落とし子と言われました。********************************************************取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era********************************************************にほんブログ村にほんブログ村 101-衆-運輸委員会-1号 昭和59年02月23日 本委員は昭和五十八年十二月二十八日(水曜日) 議長の指名で、次のとおり選任された。 江藤 隆美君 加藤 六月君 鹿野 道彦君 金丸 信君 久間 章生君 熊谷 弘君 小山 長規君 佐藤 文生君 近岡理一郎君 浜野 剛君 林 大幹君 福家 俊一君 増岡 博之君 三塚 博君 箕輪 登君 若林 正俊君 小林 恒人君 兒玉 末男君 左近 正男君 関山 信之君 田並 胤明君 富塚 三夫君 吉原 米治君 近江巳記夫君 西中 清君 森田 景一君 河村 勝君 中村 正雄君 梅田 勝君 辻 第一君 十二月二十八日 福家俊一君が議院において、委員長に選任され た。 ――――――――――――――――――――― 昭和五十九年二月二十三日(木曜日) 午後零時七分開議 出席委員 委員長 福家 俊一君 理事 鹿野 道彦君 理事 久間 章生君 理事 浜野 剛君 理事 小林 恒人君 理事 吉原 米治君 理事 近江巳記夫君 理事 中村 正雄君 加藤 六月君 小山 長規君 佐藤 文生君 近岡理一郎君 中馬 弘毅君 中山 正暉君 林 大幹君 増岡 博之君 若林 正俊君 兒玉 末男君 左近 正男君 関山 信之君 田並 胤明君 西中 清君 森田 景一君 河村 勝君 梅田 勝君 辻 第一君 出席国務大臣 運 輸 大 臣 細田 吉藏君 出席政府委員 運輸政務次官 津島 雄二君 運輸大臣官房長 松井 和治君 運輸大臣官房総 務審議官 西村 康雄君 運輸大臣官房会 計課長 宮本 春樹君 運輸省鉄道監督 局長 永光 洋一君 委員外の出席者 日本国有鉄道総 裁 仁杉 巖君 日本国有鉄道常 務理事 縄田 國武君 運輸委員会調査 室長 荻生 敬一君 ――――――――――――― 委員の異動 一月十八日 辞任 補欠選任 江藤 隆美君 中馬 弘毅君 金丸 信君 中山 正暉君 熊谷 弘君 田中 直紀君 二月十日 辞任 補欠選任 中馬 弘毅君 山口 敏夫君 同月二十三日 辞任 補欠選任 山口 敏夫君 中馬 弘毅君 ――――――――――――― 二月二十三日 鹿野 道彦君 久間 章生君 浜野 剛君 三塚 博君 小林 恒人君 吉原 米治君 近江巳記夫君 中村 正雄君 が理事に当選した。 ――――――――――――― 二月二十二日 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づ き、地方運輸局及び海運監理部の設置に関し承 認を求めるの件(内閣提出、承認第二号) 同月十五日 国鉄松前線存続に関する請願(佐藤孝行君紹介 )(第四五号) 国鉄松前線の存続に関する請願(奥野一雄君紹 介)(第一五三号) は本委員会に付託された。 ――――――――――――― 本日の会議に付した案件 理事の互選 国政調査承認要求に関する件 陸運、海運、航空及び日本国有鉄道の経営に関 する件等(運輸行政の基本施策) ――――◇――――― 略 ○福家委員長 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。 運輸行政の実情を調査し、その合理化及び振興に関する対策を樹立するため 陸運に関する事項 海運に関する事項 航空に関する事項 日本国有鉄道の経営に関する事項 港湾に関する事項 海上保安に関する事項 観光に関する事項 気象に関する事項 について、本会期中調査をいたしたいと存じます。 つきましては、衆議院規則第九十四条により、 議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○福家委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ――――◇――――― ○福家委員長 陸運、海運、航空及び日本国有鉄道の経営に関する件等について調査を進めます。 この際、運輸大臣から運輸行政の基本施策について発言を求められておりますので、これを許します。運輸大臣細田吉蔵君。 ○細田国務大臣 私は、昨年十二月二十七日、新内閣の発足に際して運輸大臣を拝命いたしました細田吉藏でございます。 今国会におきまして運輸委員会の開かれるこの機会に、一言就任のごあいさつを申し上げたいと存じます。 御承知のとおり、現在運輸行政には一刻の猶予も許されない国鉄の再建問題や関西国際空港の建設など、数々の緊急に解決すべき重要な課題が山積しておりますので、その職責の重大さを痛感している次第であります。 今般、運輸行政をおあずかりすることとなったのを機会に、私としては、交通機関の安全確保を基本としつつ、所管の行政に積極的に取り組み、懸案となっています諸問題の解決に最大限の努力をいたす所存であります。 どうか本委員会の委員各位の絶大なる御支援と御指導を賜りまするよう重ねてお願い申し上げまして、運輸大臣就任のごあいさつにいたす次第でございます。(拍手) ○福家委員長 次に、昭和五十九年度運輸省及び日本国有鉄道の予算について、運輸政務次官から――大臣の発言を続けてください。 ○細田国務大臣 それでは次に、運輸行政の基本方針について申し上げます。 第百一回国会に臨み、当面の運輸行政の諸問題に関し、所信の一端を申し述べ、各位の御理解を賜りたいと存じます。 運輸を取り巻く諸情勢を見渡してみますと、内外経済は、ようやく景気が底離れをしつつありまして、輸送需要も回復する兆しが見えますが、我が国の経済構造がソフト化し、輸送サービスの質的向上への要請が強まるとともに、輸送量が経済の伸びほど伸びなくなっております。また、我が国経済社会の国際化の進展等も著しく、運輸を取り巻く環境は大きく変化してきておりますので、これらの変化に的確に対応していくことが、今後の運輸行政の展開に当たり、極めて重要な課題となっております。 もとより運輸行政の要請は安全の確保であり、また、国民の求める良質な輸送サービスを将来にわたって安定的に確保することが基本的課題であると考えております。私はかねてより直接、間接に運輸行政に携わってきた経験から、その重要性を十分認識しているものであり、以上のような考え方のもとに、全力を挙げて運輸行政に取り組んでまいりますが、当面する諸問題につきましては、次のとおり所要の施策を積極的に推進してまいる所存であります。 まず第一に、国鉄事業の再建の問題であります。 申すまでもなく、国鉄事業の再建は、国政上最重要課題の一つであり、政府といたしましては、総力を結集してこれに取り組んでいるところであります。 現在、日本国有鉄道再建監理委員会において、経営形態問題、長期債務問題等を含めた国鉄再建の全体的方策について鋭意検討が進められているところでありますが、運輸省といたしましても、同委員会に積極的に協力するとともに、職場規律の確立、新規採用の原則停止、設備投資の抑制、地方交通線の整理の促進等の緊急対策の推進に努めているところであります。五十九年度の国鉄の予算案においては、大幅な要員縮減や工事規模の圧縮による経費節減等に一層努力するとともに、運賃改定等により収入の確保に努めることといたしております。運輸省としては、国鉄事業の再建に全力を傾注し、今後とも国家の基幹的交通機関としての使命を全うできるよう、取り組んでまいる所存であります。 第二に、運輸関係社会資本の整備であります。 まず、港湾につきましては、海上輸送需要への対応、エネルギーの安定供給の確保、地域振興、海岸保全等の観点から、流通拠点港湾、エネルギー港湾、地方、離島の港湾等の整備を促進するとともに、海岸事業の推進に努めてまいります。 次に、空港につきましては、将来の航空輸送需要に適切に対応し、均衡のとれた航空輸送網を整備していく必要があります。このため、我が国の国際的立場からも緊急の課題となっている関西国際空港の建設について、事業主体として特殊法人たる株式会社を設立するほか、東京国際空港の沖合展開、新東京国際空港の整備を進めるとともに、地方空港についてもジェット化等の整備を進めてまいります。 整備新幹線は今後の進め方につきまして、従前からの方針に沿い、関係機関等と協議をいたしてまいりますが、当面、所要の準備作業や調査を推進してまいります。 運輸関係社会資本の整備は、産業活動や国民生活の基盤を築くものであり、今後とも計画的かつ着実にその整備を図る所在であります。 第三に、国際関係への対応であります。 我が国の経済社会の国際化の進展、国際的な相互依存関係の深化等の国際環境の中で、運輸行政の分野におきましても、国際関係への配慮が強く求められております。 このような認識から、第二パナマ運河建設構想への協力を初め、開発途上国の経済社会開発に欠くことのできない鉄道、港湾、空港、船舶等の整備に関する経済技術協力につきまして、積極的にこれを推進するとともに、国際協調の前提である相互理解を深めるため、国際観光を振興し、人的交流の促進に努めてまいります。 外航海運につきましては、我が国の総合安全保障の見地からも重要な課題である海上輸送力を確保するため、日本船を中核とした我が国商船隊の整備を図っておりますが、日本船の国際競争力の低下、国際海運秩序の変化等の問題に直面しておりますので、中長期的な視点に立った今後の外航海運政策のあり方について、検討を行っているところであります。 なお、定期船同盟の行動規範に関する条約につきましては、加入のための準備を行っております。 次に、国際航空につきましては、昨年十二月に日米航空協議を再開したところであり、今後、両国航空関係の不均衡の一層の是正を図ることとしております。その他の国との航空関係につきましても、我が国をめぐる国際航空網の充実に努め、国際航空の公正かつ秩序ある発展を図るべく努力してまいります。 第四に、地域交通政策の推進であります。 地域交通は、新しい地域社会づくりの基盤となるべきものであり、地域ごとの交通計画の策定、推進等を通じて、今後とも地方公共団体との連携を深めながら、効率的で質の高い地域交通体糸を形成してまいります。 都市交通の分野におきましては、都市高速鉄道、都市バス等の整備改善を進め、公共交通機関を中心とする交通体系の確立を図ってまいります。また、地方交通の分野におきましては、地方バス、中小民鉄、離島航路に対する助成等を行い、地域住民の生活基盤として不可欠な公共輸送の維持を図るなど、日常生活に必要な輸送サービスの確保に努めてまいる所存であります。 第五に、貨物流通政策の充実であります。 産業構造の変化と利用者ニーズの高度化、多様化に対応して、効率的な輸送サービスを提供することが必要であります。このため、陸海空にわたる効率的な貨物流通体系の形成、消費者物流の健全な発達の促進、荷役の合理化や輸送効率の改善等による物流効率化施策の推進、情報システム化や、内航船舶の近代化等による物流産業の合理化 施策の推進を図ってまいる所存であります。そのほか、運送に関する秩序の確立に努めるとともに、港湾運送事業については、近年の荷役革新に対応した事業規制に改めてまいる所存であります。 第六に、造船不況対策と船員対策の充実であります。 造船業は依然として市況の低迷を続けており、当面の対策として操業調整勧告を行ったところでありますが、さらに財政資金の確保等により、経営の安定化に努めるとともに、技術革新を積極的に推進し、造船業の近代化を図ってまいります。 船員対策につきましては、新しい船員制度の円滑な実施を図るとともに、船員の教育訓練体制の整備に努めてまいります。また、依然として厳しい船員の雇用情勢にかんがみ、船員雇用対策を今後とも積極的に推進してまいる所存であります。 第七に、運輸に係る安全、防災対策及び環境対策の推進であります。 先ほども述べましたように、安全の確保は、運輸行政の要請であります。このため、輸送機器の安全性の確保、交通安全施設の整備、輸送従事者の健康管理体制の充実等により、事故防止に万全を期するとともに、交通事故被害者の救済対策の充実にも努力してまいります。また、宿泊施設の安全性の確保、海上における広域哨戒体制の計画的な整備等による海上保安体制の強化を図ってまいります。 昨年は、日本海中部地震、中国地方を中心とする七月の豪雨、台風、三宅島噴火等多大な災害に見舞われました。防災対策につきましては、異常な自然現象の早期、的確な把握と、その予警報が重要であり、静止気象衛星を初めとして気象業務体制の一層の充実強化を図ることといたしております。また、大規模地震対策、海上防災体制の充実につきましても、遺漏なきを期してまいります。 交通公害の防止対策として、発生源対策や周辺対策等所要の施策を推進するとともに、海洋汚染の防止につきましても、監視・取り締まり体制の強化、環境整備事業の推進等の施策を講ずる所存であります。 第八に、新海洋秩序への対応及び海洋の開発利用の推進であります。 海洋問題につきましては、国連において海洋法条約が採択され、船舶の航行、深海底資源の利用、海洋環境の保護等に関する新海洋秩序についての世界的な合意が形成されつつあり、我が国も、昨年、これに署名をいたしましたが、運輸省としても、同条約の批准に備え、所要の準備を積極的に進めてまいります。また、資源と国土空間とに恵まれない我が国にとって、海洋の開発利用は重要な課題であり、このための海洋の調査、技術開発等にも、積極的に取り組んでまいります。 このほか、運輸部門における利用者保護対策、エネルギー対策、身障者対策等の推進を図るとともに、運輸関係技術の開発の推進、観光レクリエーション施設の整備等に努めてまいりたいと考えております。 最後に、運輸省の機構改革について申し述べます。 運輸省の現組織は、昭和二十四年に確立されて以来、今日まで三十数年を経過いたしましたが、運輸を取り巻く経済社会環境は大きく変化してきております。これに伴い運輸省に課せられている多くの重要な行政課題に適切に対処し、総合的かつ効率的な運輸政策の推進体制の強化を図るため、昭和五十九年度において、中央地方を通じた大幅な機構改革を実施したいと考えております。 すなわち、本省においては運輸行政の総合的運営の確保を図り、国際運輸、地域交通、貨物流通等の各分野ごとに政策を総合的かつ効率的に推進し得るよう、従来の縦割りの組織体制を抜本的に再編するとともに、地方においても、海運局と陸運局とを統合した地方運輸局の設置を図ることにより、地域の特性に適合した運輸行政の一層の推進を図る所存であります。 以上、運輸行政の当面する諸問題につき申し述べましたが、これらは申すまでもなく、委員各村の深い御理解を必要とする問題ばかりでございます。終わりに当たりまして、重ねて皆様の御支援をお願い申し上げる次第でございます。 ○福家委員長 委員諸君に申し上げます。 さきの議事進行は、委員長の間違いではなく、有能過ぎる運輸大臣が、いささか初舞台の関係上上がられたのか、ごあいさつで続いて所信表明を続けるべきところを、途中で打ち切られました。委員長も初めてでございますので、いささかチョンボをいたしました。今後、運輸大臣十分御注意を願います。 次に、昭和五十九年度運輸省及び日本国有鉄道の予算について、運輸政務次官から説明を聴取いたします。津島運輸政務次官。
2018.12.23
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長らく更新が滞っていましたが、久々に更新させていただきます。第068回国会 運輸委員会 第16号の議事録が続きます、本日も金丸徳重衆議院議員の質問になります。金丸議員の主張は一貫しており、国鉄というインフラに対して積極的に政府が補助金なりを投入すべき時期に来ていると主張しています。それは、下記のように、「その輸送改善をするためには金がかかる、金がかかるとまた料金を上げなければならないという悪循環をもたらしまして、なかなか国鉄財政の健全化、黒字というまでには容易ならぬ困難が伴うと思います。***中略***。それからして経費の減を願って、閑散線の撤廃ということも困難性がある、こう私は思うものですから、残った問題としては財政の方面からの投入をそれこそことばだけではなくて、実際として思い切ってやらなければならないのではないか。そしてそれについては、過去の実績を考えればやはりやるべきいまの段階になっておるんだ、こう思います。」ということで、ローカル線を廃止(赤字83線のことであり、結局田中内閣の出現で、廃止自体が有耶無耶となってしまうことになる、)するのも困難であるし、設備投資することで値上げせざるを得ない、そうなると利用者が減ってさらに財政が改善しないのではないかということを懸念しています。それとは、別に、要因規模の縮減について質問していますが。> 私はただ一、二の点についてお伺いをいたしておきたいと思うのでありますが、この「運賃改訂申請理由」の中に、「要因規模の縮減」と伴いまして「管理機構の簡素化」ということをうたっておられます。私はたいへんこれあるかなという感を持ったのでありますが、具体的にはどういうふうにそれをお進めになっておるのでありましょうか、いままでの大きな問題と並んでこの点が入ってきたもんですから、具体的なお考えをこの際お示しおきを願いたいのであります。これにつましては、答え易かったと言うこともあるのかもしれませんが、支社制度を廃止して産要員を減らしたし、今後も本社を中心に管理部門を合理化して要員削減をすると語っていますが、これ以外にも電気機関車・デイーゼル機関車の一人乗務化の推進などで8000人ほど要員の合理化が進んでいるのですが、その辺は特に明言していないようです。> 磯崎説明員 すなわちいままでは本社、支社、管理局、現場という四段階になっておりましたけれども、そのうちの支社を廃止いたしまして、これは一昨年の八月でございますが、まず管理機構を縮小しようということで支社を廃止いたしました。> 管理部門の削減は、五十三年度までに現在約二万八千人おります管理部門の職員を一万五千人にしたい。すなわち、第一次の財政再建計画発足のときの人数が三万五百人おりましたので、それを五十三年度までに一万五千人に五〇%減らすという実に思い切った計画を立ててみたわけでございます。なお、ここで書かれている支社制度というのは、それまでの総支配人制度を改定したもので、十河総裁時代の昭和32年1月16日に支社への大幅な権限委譲を目的として実施しされたもので、当初は「北海道・東北・関東・中部・関西・西部」の6支社でスタート、その後昭和34年に、広島・四国・新潟支社が分離して9支社体制となりました。wikipediaを参照しますと、9支社時代の割り振りが見えます。国鉄民営化の際も支社制度を復活して、一括民営化の上支社単位での経営管理を国鉄としては模索していたようですが、当時の自民党は「分割ありき」でしたので、その辺は正直惜しまれます。歴史にIFはありませんが、仮に分割されずに支社制度として残されていたら多少の弊害はあったかもしれませんが長距離列車の収益配分による問題など起こらず、例えばカートレインのように育て方では大きく成長した可能性のある分野まで摘み取ってしまったのは残念と言えば残念ですね。にほんブログ村にほんブログ村***********以下は、国会審議の本文になります***************○金丸(徳)委員 その輸送改善をするためには金がかかる、金がかかるとまた料金を上げなければならないという悪循環をもたらしまして、なかなか国鉄財政の健全化、黒字というまでには容易ならぬ困難が伴うと思います。そうして、その困難の中にあるいは五千キロと計算されるところの閑散線の撤廃、これはもう一番大きな困難性をもたらすものだろうと思います。料金値上げについても心配がある。それからして経費の減を願って、閑散線の撤廃ということも困難性がある、こう私は思うものですから、残った問題としては財政の方面からの投入をそれこそことばだけではなくて、実際として思い切ってやらなければならないのではないか。そしてそれについては、過去の実績を考えればやはりやるべきいまの段階になっておるんだ、こう思います。 いままでお尋ねをいたしてまいったのでありますが、大臣は御決意を披瀝しながら、いまのことでやむを得ないというお考えのようであります。ただしかし、私はこれについては不満であります。なおもう少し私もさらに勉強をしてまいりまして、残る時間をもう少し大臣の考えを直してもらうために、ということは財政をもっと思い切って投入するための努力をしてもらうことのために論戦をしてみたいと思います。 そこで、時間がなくなりました。あと残りの問題は国鉄管理者及び職員の努力ということが残っておるのであります。これにつきましては、いろいろな角度からいままでも論議されておりました。私はただ一、二の点についてお伺いをいたしておきたいと思うのでありますが、この「運賃改訂申請理由」の中に、「要因規模の縮減」と伴いまして「管理機構の簡素化」ということをうたっておられます。私はたいへんこれあるかなという感を持ったのでありますが、具体的にはどういうふうにそれをお進めになっておるのでありましょうか、いままでの大きな問題と並んでこの点が入ってきたもんですから、具体的なお考えをこの際お示しおきを願いたいのであります。○磯崎説明員 国鉄の部内の管理機構は戦後非常に変わってまいりまして、ことに進駐軍がおりましたときはアメリカ式の機構に変えたりいろいろございましたけれども、現在は一応本社と管理局と現場という三段階に非常に簡素化いたしまして、すでにいま先生がお読みくださったことは、実は一昨年の八月に全国にございました支社を全廃いたしまして、これで約六百人ほどの人を浮かしたわけでございます。すなわちいままでは本社、支社、管理局、現場という四段階になっておりましたけれども、そのうちの支社を廃止いたしまして、これは一昨年の八月でございますが、まず管理機構を縮小しようということで支社を廃止いたしました。 その後、これから考えております管理部門の削減は、五十三年度までに現在約二万八千人おります管理部門の職員を一万五千人にしたい。すなわち、第一次の財政再建計画発足のときの人数が三万五百人おりましたので、それを五十三年度までに一万五千人に五〇%減らすという実に思い切った計画を立ててみたわけでございます。これは十年間に五〇%でありますので、大体年間七%ないし八%ずつ減らしていくという計画で、現在すでに四十六年度末で二万六千くらいに、四十三年度に比較いたしまして約四千名すでに人を減らしました。またその典型でございます本社――丸の内にございます本社でございますが、本社の職員も四十三年度二千五百名でありましたものを現在二千二百人に三百人ほど減らしました。すなわち一割以上すでに減らしているということで、やはり管理部門はついついふえる傾向がございますので、ときどき思い切って減らすという方法をとってまいると同時に、逐年減耗を補充しないということを原則としてやってまいって、現実に幸いにして大体予定どおり管理部門の人は減っておるわけでございますが、今後とも五十三年度五〇%に減らすということを目標に進んでまいりたいというふうに思っております。○金丸(徳)委員 本会議の時間が迫っておりまして、私はこの問題につきましてはあと十分か二十分ばかりほしいのでありますが、やっておりますというと本会議の時間に間に合いかねます。話が中途になってもまずいもんですから、ここで一応休憩後再開のときにやらせてもらうことといたしてよろしゅうございますか。○小峯委員長 本会議終了後に再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後零時五十分休憩 ――――◇―――――
2017.11.19
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本日も昭和49年3月の、衆議院運輸委員会からの内容をアップしたいと思います。国鉄の昭和39年から続く赤字はその4年後には累積の黒字を食い潰し、赤字は膨れるばかりでした。労使関係は悪化の一途をたどりますが、組合は合理化は認めるが要員は減らしてはいけないと言う何とも不可解な理由を交渉事項として持ってきたため、電化しても機関士と機関助士が乗務するといった不合理が続きました。昭和42年春頃から始まったEL・DL一人乗務化交渉は、組合の反対も強かったが、2人乗務が必ずしも安全に寄与していない結果となっていると言う事実を当局がしめしたこともありましたが、中々決着は着かず、昭和43年に、外部の学識経験者に調査を依頼することで、国労・動労・当局が合意、専門家による調査を経て昭和44年4月には、総合的に判断して、国鉄の基本方針を二人乗務から一人乗務に切換えるべき時期に来ているとされたのでした。これにより、電気機関車等の一人乗務に備えてEB装置の設置等が行われたと言われています。ただ、こうした合理化のための努力は続けられましたが、収入源である国鉄運賃に関しては、「国民の生活に密着している:ということで、その改訂は国会審議に委ねられており、タイムリーな値上げ等が出来ないと言う問題を抱えていました。実際に、国鉄の赤字は膨大で30年経た今になってやっと目処が立ったと言われていますが、国鉄の赤字問題は、国鉄自身に帰する部分も多々あったとしても、こうした政府の都合で翻弄されたところもあったと言えます。上記のような、反合理化運動等による合理化してもさほど費用が減少しないと言う矛盾を抱えながら赤字は累積し、最終的に国鉄は、政府・運輸省(当時)に頼らざるを得なくなる悪循環に陥ることになったことも事実でしょう。今回の国会審議で注目すべきは、「国鉄再建」と「物価安定」のいずれに主眼を置くのかと言う点を強く指摘しているのですが、政府としては再建は後回しで物価の安定をメインにしたかったようです。*****以下、国会審議議事録から抜粋してみます。****加藤六月委員 国鉄の財政再建という点からも、私たちはこの問題につきましてきわめて真剣に検討を重ねたわけでございます。運賃改定の実施が半年延びることによりまして、大体九百七十六億の収入見込み減となるわけでございますが、この点につきましては、いろいろとお骨折りをいただきまして、昨年の改正におきまして三月三十一日となりましたときに、特別利子補給金という制度を国といたしましてもつくったわけでございますが、今回の九百七十六億の収入減に対しましては、全額これを財政融資で補てんする、そういたしまして、その利子は新しく負担となるわけでございますが、これにつきましては、再建期間中その利子分を国におきまして特別利子補給金という制度で補てんしていくという制度をとったわけでございます。****中略国鉄運賃が物価に及ぼす影響というもの等も議論にはなったわけでございますが、要は、国民の足として、げたではない、くつではない、ほんとうの足だ、この足を国民のために国鉄の重要なる使命を認識して、再建しなくてはならないという立場が骨子であったと思うわけですが、今回運賃改定を延ばす理由は、物価対策だということになるとしますと、再建というものはどうなるのかということについて、そういう点等も政府は考慮して、この十月一日案というのを出したのか。もう再建問題はたな上げして、物価だけを押えなくちゃならないという立場でやったのか。そこら辺の気持ちをまず承っておきたい、こう思います。 ここで出てくる「特別利子補給金」と言うのは、今回の措置で不足する九百七十六億を借りるにあたリ発生する利子を一時的に貸与しようというもので、助成金とは性格が異なります。本来は、国鉄の設備投資は、国なりによる直接投資(国からの委託事業)等にすべきであったと思うのですが、当時はあくまでも国鉄の責任で行う形となっており、積極的に国が補助を行うようになるのは昭和五〇年以降でした。取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-eraにほんブログ村にほんブログ村**************************以下国会審議録*************************** ――――◇――――― 午後二時二分開議○三池委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。 質疑の通告がありますので、これを許します。加藤六月君。○加藤(六)委員 先ほど運輸大臣が提案理由の説明の中に、昭和四十九年十月一日に延期するこの法案の趣旨として、「物価対策の一環として、国鉄の運賃改定の実施期日を昭和四十九年十月一日に延期することをその内容とするものであります。」こういうことでございます。私たちは、物価対策の問題ももちろん重視し、この運輸大臣の提案理由の説明の前のほうに、「政府といたしましては、物価の安定を最優先の課題とし、総需要の抑制をはかる等総力をあげて物価対策に取り組んでいるところであります。」そこで、物価対策の一環として、国鉄の運賃改定の実施期日を、三月三十一日であったものを、十月一日に延期したい、こう提案理由の説明で言われておるわけであります。 昨年の特別国会におきまして、われわれ当運輸委員会は、あらゆる方面から、あらゆる角度で百数十時間の審議を、国鉄再建法並びに運賃改定についてやったわけであります。その中の各委員、いろいろな質問の内容等あったと思いますが、はたしてこの案で国鉄が再建できるかできないかという問題も、非常に重要なる骨子として、大部分の時間はこの問題に注がれたわけであります。 もちろん、国鉄運賃が物価に及ぼす影響というもの等も議論にはなったわけでございますが、要は、国民の足として、げたではない、くつではない、ほんとうの足だ、この足を国民のために国鉄の重要なる使命を認識して、再建しなくてはならないという立場が骨子であったと思うわけですが、今回運賃改定を延ばす理由は、物価対策だということになるとしますと、再建というものはどうなるのかということについて、そういう点等も政府は考慮して、この十月一日案というのを出したのか。もう再建問題はたな上げして、物価だけを押えなくちゃならないという立場でやったのか。そこら辺の気持ちをまず承っておきたい、こう思います。 ○秋富政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、昨年の国会におきまして、きわめて異例な長時間の御審議をいただいたわけでございます。その一番ポイントは、御指摘のように、国民の足でございます、国民の経済社会生活にきわめて緊要な国鉄の財政を再建するということが究極の目的でございました。今回これをさらに半年延ばすということは、国鉄の財政再建という点からも、私たちはこの問題につきましてきわめて真剣に検討を重ねたわけでございます。運賃改定の実施が半年延びることによりまして、大体九百七十六億の収入見込み減となるわけでございますが、この点につきましては、いろいろとお骨折りをいただきまして、昨年の改正におきまして三月三十一日となりましたときに、特別利子補給金という制度を国といたしましてもつくったわけでございますが、今回の九百七十六億の収入減に対しましては、全額これを財政融資で補てんする、そういたしまして、その利子は新しく負担となるわけでございますが、これにつきましては、再建期間中その利子分を国におきまして特別利子補給金という制度で補てんしていくという制度をとったわけでございます。しかし、これだけの借り入れ金がふえるということはこれは事実でございます。この点につきましては、今後さらに運輸省といたしましても、国鉄といたしましても、万般の措置をとるとともに、企業努力によりましてこれに対処いたしたい、かように考えております。○加藤(六)委員 そこで私は、昨年、特別国会において、政府側が十カ年の長期計画を委員会にお示しになり、そしてまた、それぞれその十カ年計画の収支試算の大前提として、まず再建期間、その次に輸送量としての旅客と貨物、それから運賃改定、工事費、工事費補助金、政府出資、過去債務対策、公団借料、要員数、こういったものを十カ年の再建計画を立てる場合の長期収支の大きな基礎として、十カ年間の計画を委員会にお出しになった。また、昨年二月二日の閣議了承の内容も当委員会にお出しになったわけであります。あれらはすべて昭和四十八年四月一日から運賃改定が行なわれるという前提で、いろいろのものがあったわけであります。 それが具体的には一年半変わってきまして、四十九年十月一日ということになりますと、一年半の食い違いが出てくるわけです。これは運輸収入の面において大きく食い違いが出てくるわけですが、こういった問題等に関連しまして、あの法律の中に、政府は基本方針をきめる、国鉄は政府の基本方針に従って基本計画を策定して、先ほどの使命である国鉄再建というものを果たさなくてはならぬということになるわけであります。そこで私は、これに関連する問題を中心に、与えられた時間内ちょっと御質問いたしたい、こう思うわけであります。 まず、政府は基本方針、国鉄当局は基本計画というものを昭和四十八年の閣議了承並びに国会へお出しになった長期収支というものを基礎にして、運賃改定に一年半という大幅な狂いがあるわけですが、それをどういうようにこなして基本方針並びに再建計画をお立てになるような気持ちがあるんだろうかどうだろうかということを、運輸省並びに国鉄のほうに承りたい、こう思う次第です。○秋富政府委員 まことに深刻な問題でございますが、まず私たちといたしましては、昨年の二月二日に閣議了解をいたしました線、並びにこの国会におきまして、国鉄が試算いたしました長期試算というものを中心といたしまして、長時間御審議いただいた次第でございまして、私たちの基本的姿勢といたしましては、あくまでもこれをもととして再建の基本方針並びに国鉄の再建計画というものを策定いたしたいと思いまして、現在鋭意検討中でございます。 ただ、御指摘の一つの問題は、運賃改定が一年半延びたという問題でございますが、これにつきましては、昨年の補正予算におきまして、四十八年度分につきましては手当てをいたしましたし、また今回御提案いたしております半年延ばすことにつきましても、ただいま国会において御審議いただいております四十九年度予算におきまして手当てをいたしておりますので、この限りにおきましては、四十八年度並びに四十九年度の収支ということにつきましては手当てをしたわけでございまして、再建計画の最終目標でございます五十七年度の損益には関係ないわけでございます。 ただ、先ほど申し上げましたように、長期借り入れ金がふえるということは事実でございます。これに対しましては、一方におきまして、長期計画におきましては一兆五千億の政府出資をするという予定でございましたものを、四十八年度並びに四十九年度におきまして約八百八十億というものをさらに上積みいたしまして政府出資をしたわけでございまして、この利子効果といいますものはやはり再建計画にプラスに響くものでございます。こういったことにつきましては、それぞれ措置をとった次第でございます。 いま一つ出てまいりましたのは、昨年の後半以来、石油問題を契機といたしまして出てまいりましたいわゆる異常なる物価騰貴の問題、これがどういうふうに影響してくるか、あるいは省エネルギー対策という面からまいりまして、産業、経済、社会の見通しというものはどうなってくるか、こういう点につきましては、私たちも深刻に受けとめておる次第でございます。これと昨年の国会において御審議をいただきました長期計画とのからみ合わせの問題、あるいはすべての数字的な問題もあるわけでございますが、現在、長期計画につきましては、新しい見通しというものは、政府におきましてもまだいろいろ模索中でございまして、そういったときに国鉄の長期収支計画を出すということのその辺の関連性の問題につきまして、私たちといたしましてもいろいろと苦慮しているということが率直なる立場でございます。○井上説明員 この問題につきましては、ただいま鉄監局長から御説明申し上げたとおりでございますが、国鉄といたしましても、従来もそうでありますけれども、今後につきましても緊密な連絡をとりながら、運輸省の御方針に従いつつこの問題を処理してまいりたい、かように考えております。 それで、申し上げることはいま鉄監局長が申し上げましたことと重複いたしますのではしょりますけれども、考え方といたしまして、長期収支計画というものは一応はやはり計画的な数字でございまして、現実の数字と必ずしもそれがぴたりぴたり、びた一文狂うことなく合っていくということはあり得ないと思うのでございます。現実に四十八年度、四十九年度すでに数字が変わっておるということは事実でございますが、そうかといいまして、すでに二年変わっておるからというので、先般お示しいたしました、また御説明申し上げました長期収支計画を根底から変えるということは、まだその変えるほどの材料もない。たとえて申し上げますれば、あの計画の基礎になりました経済社会基本計画にいたしましても、まだあれは変わってはおりませんし、やはり現時点におきましては、先般お示ししました長期収支計画を骨子といたしまして、ただ四十八年度、四十九年度に受けました収支上の悪影響、これが五十年度以降に残らないように、累積的にそれが増加していかないように、そういう措置をおとりいただくということが私どもの念願であり希望でございましたが、その点は関係御当局の御努力によって達成されております。確かに四十八年度、四十九年度の数字は変わっておりますけれども、五十年度以降については、それが累積的な悪影響を及ぼさないという措置をとっていただいておりますので、現時点におきましては、長期収支計画を根底から変えるという段階ではない、かように考えておるところでございます。○加藤(六)委員 鉄監局長がちょっと触れられ、また副総裁も少し触れられたわけですが、私はこれから個別に少し突っ込んでお聞きしてみたいとも思っておったんですが、基本計画――もちろん副総裁がお触れになりました経済社会基本計画の見直しがまだ行なわれてないわけだから、長期収支の問題についての抜本的に手を加える要因にはならない、こうおっしゃったんですけれども、昭和四十八年の、去年のあの時点における問題と、すでに今日いろいろな問題で再建計画に疑問が投げつけられております。先ほど鉄監局長がお触れになりましたけれども、たとえば人件費のアップ、われわれはあの計画の五十一年までは一二・三%という読みをしておりました。四十八年度自体においても、すでにそれに対する狂いは相当出て、たしか五百八十何億というものに対する特別な処置をせざるを得なくなった。したがって、あの長期収支計画における人件費の増という問題はどうなるかわからない、あるいは物件費の伸び率あるいは物価のアップ率というものも相当考慮はいたしておりましたが、卸売り物価が安定しておる時点における長期収支の計画を入れておったわけであります。あの時点からことしのきょうの時点に至るまでの物価の狂乱というものは非常に激しいものであります。そうすると、そういう問題が収支計画にどういう影響を及ぼすか、あるいはまた、工事費において十兆五千億という内容を相当厳重に、きびしく当委員会において――当委員会ですよ、当委員会において追及し、それが十兆五千億という金額は適当であるかどうか、またその投資金額がはたして国鉄再建のためにどうなるのかという問題等も議論いたしました。ところが、昭和四十九年度の予算における工事量の押えという問題が現実には起こってまいりました。この問題が再建計画にどういう影響を及ぼすんだ、その他一つずつ先ほどの「長期収支試算前提」というものから見ていっても、その間の狂いというものは何やかんやで私があげるだけでも十三項目ぐらいあると思うわけであります。その内容をとにかくいま言ってもどうかと思うわけでございますが、けさの新聞にたとえば「新幹線公害国鉄が具体策」「買い取り・防音推進」ということでいろいろ出ておりますね。あの十兆五千億の工事費の中に騒音対策というのは、局長、たしか八百億ぐらい入れてあったと思うのですが、あれは十カ年間で八百億であったのですか。それとも三年間、あれは五十一年、五十二年ごろまでに八百億は使うというつもりで十兆五千億の中に入れてあったのですか。どういう御判断ですか。
2017.04.29
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皆様こんにちは、久々に更新させていただきます、「経営の三要素」といえば、「ヒト、モノ、カネ」と言われるように、従業員が居なければ会社は成り立たず、生産のための道具が無ければこれまた経営は立ちいきません、更に当然のことながら適切な収益が無いと継続的に会社を維持していくことはできなくなります。しかし、残念ながら国鉄と言う組織は公社と言う非常に曖昧な位置づけの組織であったことから下記のような問題点がありました。資金調達は基本的に国鉄自身が行う運賃値上げは国会の承認が必要公務員に準じる組織のためスト権は認められていなかった(実際に行われたのは違法スト)賃金な値上げなどは多くが仲裁裁定に回される場合が多く、それでも完全実施にならない場合もありました。地方納付金など、固定資産税に相当する金額を地方自治体に納付していた(国鉄にしてみれば線路にも課税されるため、ローカル線などでは収益があがらないのに税金だけ支払うと言う矛盾がしょうじていました。地方自治体にしてみれば線路があるだけで毎年決まった額が入ってくるのでいわゆる打ち出の小づちのようなもの。)そうした前段を知っていただいた上でのお話になるのですが、今回は「運賃改正」に関してのお話になります。昭和49年当時の国鉄運賃は、認可制を取っており、国会の審議を経なければ運賃を自由に改定することも出来ませんでした。 公社というのは、本来の位置づけでは自由に行動する企業性と公共の福祉という観点から示される部分を融合させて然るべき内容なのですが、実際には公共性だけが独り歩きしており、、昔の国鉄時代(鉄道省時代)と同様でした。 昭和48年には累積赤字が1兆円を超してその後は、財政が急速に悪化して、国鉄の収支はもはや修復出来ないほどの赤字続きで、政府に依存する部分も増えてきました。その結果、更に国鉄は自主性を失う結果となるのですが、その点は別の機会にお話ができると思います。 さて、本日はさわり部分のみとさせていただきます。今回の質問では、物価の高騰を抑えるために「昭和四十九年三月三十一日」から予定の値上げを、「昭和四十九年十月一日」に延期するということで、約半年国鉄財政再建対策の一環として国鉄の運賃改定が昭和四十九年三月三十一日から実施されることとなっていることは御承知のとおりであります。 しかしながら、現下の物価情勢にはきわめてきびしいものがあり、このため、政府といたしましては、物価の安定を最優先の課題とし、総需要の抑制をはかる等総力をあげて物価対策に取り組んでいるところであります。 御提案申し上げております法律案は、このような物価対策の一環として、国鉄の運賃改定の実施期日を昭和四十九年十月一日に延期することをその内容とするものであります。 以上が、この法律案を提案する理由であります。このように、当時は国鉄が適切な時期に運賃値上げをしたいと言うと物価の安定のために値上げの時期をずらす、または改定率を低く抑えるなどの措置が取られる場合が多く、こうしたことにより生じるキャッシュの不足は大蔵省資金運用部からの借り入れや、市中銀行からの借り入れなどで賄われることとなり、結果的に自転車操業を強いらせる結果となりました。取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にblackcat.kat@gmail.comにメールまたはメッセージ、コメントにてお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-eraにほんブログ村にほんブログ村*********以下は、衆議院 運輸委員会17号 昭和四十九年三月二十日*********昭和四十九年三月二十日(水曜日) 午前十時三十三分開議 出席委員 委員長 三池 信君 理事 工藤 隆美君 理事 加藤 六月君 理事 佐藤 孝行君 理事 佐藤 文生君 理事 佐藤 守良君 理事 兒玉 末男君 理事 三浦 久君 阿部 喜元君 井原 岸高君 國場 幸昌君 關谷 勝利君 細田 吉藏君 宮崎 茂一君 綿貫 民輔君 金瀬 俊雄君 久保 三郎君 神門至馬夫君 斉藤 正男君 坂本 恭一君 梅田 勝君 石田幸四郎君 河村 勝君 出席国務大臣 運 輸 大 臣 徳永 正利君 出席政府委員 防衛庁参事官 長坂 強君 科学技術庁原子 力局次長 伊原 義徳君 文部省大学学術 局長 木田 宏君 運輸政務次官 増岡 博之君 運輸省海運局長 薗村 泰彦君 運輸省船舶局長 内田 守君 運輸省船員局長 住田 俊一君 運輸省港湾局長 竹内 良夫君 運輸省鉄道監督 局長 秋富 公正君 海上保安庁長官 佐原 亨君 高等海難審判庁 長官 愛澤 新五君 気象庁長官 高橋浩一郎君 気象庁次長 石原 明君 委員外の出席者 首都圏整備委員 会計画第一部長 山東 良文君 経済企画庁総合 計画局計画官 小池 力君 運輸省船舶局造 船課長 神津 信男君 運輸省鉄道監督 局民営鉄道部長 中村 四郎君 気象庁総務部航 空気象管理課長 安斎 政雄君 日本団有鉄道総 裁 藤井松太郎君 日本国有鉄道副 総裁 井上 邦之君 日本国有鉄道常 務理事 伊江 朝雄君 運輸委員会調査 室長 鎌瀬 正己君 ―――――――――――――三月十九日 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進 特別措置法の一部を改正する法律の一部を改正 する法律案(内閣提出第五九号)は本委員会に付託された。 ―――――――――――――本日の会議に付した案件 臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案( 内閣提出第六六号) 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進 特別措置法の一部を改正する法律の一部を改正 する法律案(内閣提出第五九号) 陸運に関する件(民営鉄道の経営に関する問 題) 港湾に関する件(流通港湾の整備に関する問 題) 気象に関する件(航空及び海洋の気象業務に関 する問題) 日本国有鉄道の経営に関する件(新幹線の騒音 対策に関する問題等) ――――◇―――――一部省略○佐藤(守)委員長代理 この際、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。徳永軍輸大臣。 ―――――――――――――○徳永国務大臣 ただいま議題となりました国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。 第七十一回国会において成立した国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律により、国鉄財政再建対策の一環として国鉄の運賃改定が昭和四十九年三月三十一日から実施されることとなっていることは御承知のとおりであります。 しかしながら、現下の物価情勢にはきわめてきびしいものがあり、このため、政府といたしましては、物価の安定を最優先の課題とし、総需要の抑制をはかる等総力をあげて物価対策に取り組んでいるところであります。 御提案申し上げております法律案は、このような物価対策の一環として、国鉄の運賃改定の実施期日を昭和四十九年十月一日に延期することをその内容とするものであります。 以上が、この法律案を提案する理由であります。 何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。○佐藤(守)委員長代理 以上で提案理由の説明は終わりました。 この際、午後二時から再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時三十九分休憩 ――――◇―――――
2017.04.13
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みなさま、こんにちは。本日も国鉄があった時代、昭和49年衆議院運輸委員会の国会審議をアップさせていただきます。こうして見ると、国会議員の質問が結構意地悪なんですよね。どうでもいいことというか、重箱の隅を突くような質問が多い、そんな気がします。今回も、新幹線における騒音振動対策費について質問しています。国鉄における新幹線騒音問題は、その後計画されていた新幹線による夜行新幹線を潰す結果となりました。実際の計画では深夜帯にかかることは殆ど無く、名古屋付近は大幅なダイヤ乱れが起こらない限り深夜帯に新幹線が走ることは想定されていなかった。それは別の話題なのですが、結構新幹線騒音問題の話題を細かく質問しています。> 加藤(六)委員 「新幹線公害国鉄が具体策」「買い取り・防音推進」ということでいろいろ出ておりますね。あの十兆五千億の工事費の中に騒音対策というのは、局長、たしか八百億ぐらい入れてあったと思うのですが、あれは十カ年間で八百億であったのですか。それとも三年間、あれは五十一年、五十二年ごろまでに八百億は使うというつもりで十兆五千億の中に入れてあったのですか。どういう御判断ですか。正直、800億の予算をどう使うのかと言う質問で、これに対しては下記のとおり鉄道監督局長は回答しており既存新幹線の改修費であることを認めています。その費用は2年で800億と言う巨額でした。>秋富鉄監局長 再建期間中におきます工事規模と申しますものは大体十兆五千億を考えておるわけでございますが、この中で現在すでに営業いたしております新幹線、すなわち東京-岡山間の公害対策といたしまして八百億を計上しておった次第でございます。これにつきましては四十七年の十二月に環境庁長官からの勧告もございまして、その対策といたしましてはおおむね五十年ないし五十一年にこれを達成するという考えでございまして、八百億と申しますものはこの間にそれを工事費に充てるという考えでございます。並びに新しくつくる新幹線につきましては、大体その五%を公害対策ということに考えておる次第でございます。元々の質問の主旨では、政府が国鉄の運賃値上げを半年ずらせるための法案審議に対して本当にそれが良いのか?と言うところにあったと思うのですが、そうした意味では今後も政府にふりまわされるようなことが有ればこうした計画も色々な問題を起こすのではないかと言う趣旨の質問をされているのでしょうが、あまりにも重箱の隅をつついているような気もします。にほんブログ村にほんブログ村*************************以下、国会審議録になります。*****************○加藤(六)委員 鉄監局長がちょっと触れられ、また副総裁も少し触れられたわけですが、私はこれから個別に少し突っ込んでお聞きしてみたいとも思っておったんですが、基本計画――もちろん副総裁がお触れになりました経済社会基本計画の見直しがまだ行なわれてないわけだから、長期収支の問題についての抜本的に手を加える要因にはならない、こうおっしゃったんですけれども、昭和四十八年の、去年のあの時点における問題と、すでに今日いろいろな問題で再建計画に疑問が投げつけられております。先ほど鉄監局長がお触れになりましたけれども、たとえば人件費のアップ、われわれはあの計画の五十一年までは一二・三%という読みをしておりました。四十八年度自体においても、すでにそれに対する狂いは相当出て、たしか五百八十何億というものに対する特別な処置をせざるを得なくなった。したがって、あの長期収支計画における人件費の増という問題はどうなるかわからない、あるいは物件費の伸び率あるいは物価のアップ率というものも相当考慮はいたしておりましたが、卸売り物価が安定しておる時点における長期収支の計画を入れておったわけであります。あの時点からことしのきょうの時点に至るまでの物価の狂乱というものは非常に激しいものであります。そうすると、そういう問題が収支計画にどういう影響を及ぼすか、あるいはまた、工事費において十兆五千億という内容を相当厳重に、きびしく当委員会において――当委員会ですよ、当委員会において追及し、それが十兆五千億という金額は適当であるかどうか、またその投資金額がはたして国鉄再建のためにどうなるのかという問題等も議論いたしました。ところが、昭和四十九年度の予算における工事量の押えという問題が現実には起こってまいりました。この問題が再建計画にどういう影響を及ぼすんだ、その他一つずつ先ほどの「長期収支試算前提」というものから見ていっても、その間の狂いというものは何やかんやで私があげるだけでも十三項目ぐらいあると思うわけであります。その内容をとにかくいま言ってもどうかと思うわけでございますが、けさの新聞にたとえば「新幹線公害国鉄が具体策」「買い取り・防音推進」ということでいろいろ出ておりますね。あの十兆五千億の工事費の中に騒音対策というのは、局長、たしか八百億ぐらい入れてあったと思うのですが、あれは十カ年間で八百億であったのですか。それとも三年間、あれは五十一年、五十二年ごろまでに八百億は使うというつもりで十兆五千億の中に入れてあったのですか。どういう御判断ですか。○三池委員長 ちょっと御注意申し上げますけれども、机の前にあるマイクは、これは拡声用じゃなくて記録用ですから、どうも速記もしにくいし聞き取りにくいようだから、御答弁は少し大きな声でお願いします。 秋富鉄監局長。○秋富政府委員 再建期間中におきます工事規模と申しますものは大体十兆五千億を考えておるわけでございますが、この中で現在すでに営業いたしております新幹線、すなわち東京-岡山間の公害対策といたしまして八百億を計上しておった次第でございます。これにつきましては四十七年の十二月に環境庁長官からの勧告もございまして、その対策といたしましてはおおむね五十年ないし五十一年にこれを達成するという考えでございまして、八百億と申しますものはこの間にそれを工事費に充てるという考えでございます。並びに新しくつくる新幹線につきましては、大体その五%を公害対策ということに考えておる次第でございます。
2017.03.24
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本日も引き続き、昭和49年3月の衆議院 運輸委員会からの内容をアップしたいと思います。国鉄の昭和39年から続く赤字はその4年後には累積の黒字を食い潰し、赤字は膨れるばかりでした。労使関係は悪化の一途をたどり、合理化したくても合理化のための人員を削減できないといった矛盾点の他、国鉄運賃は国民の生活に密着しているのでその運賃も国会で審議すべきであるとされた時代でした。 また、度重なる赤字により、国鉄はその自主性を失いつつあるようにも見受けることができます。 考えてみれば、収入を得るための運賃さえも国会に握られ、多くの事業計画にも国会の承認がいるという状況では十分な活躍はできないと考えたほうが自然かもしれません。結果的に、法案を通してもらうために運輸省なり、政治家にすり寄るしかないという悪循環を国鉄は続けることとなり、国鉄はその企業性を失っていくことになります。ということで、本日も私なりに感じたことを補足しながら国会審議についてアップさせていただこうと思います。この件に関して、自民党「加藤六月」議員が質問しており、政府として運賃値上げの認可を半年延長する旨法案として挙がっているが、国鉄の財政再建問題は棚上げして物価対策という視点で運賃値上げを抑制するのか?という非常に単純かつ明快なそれでいて本質を突いた質問をされています。> 国鉄運賃が物価に及ぼす影響というもの等も議論にはなったわけでございますが、要は、国民の足として、げたではない、くつではない、ほんとうの足だ、この足を国民のために国鉄の重要なる使命を認識して、再建しなくてはならないという立場が骨子であったと思うわけですが、今回運賃改定を延ばす理由は、物価対策だということになるとしますと、再建というものはどうなるのかということについて、そういう点等も政府は考慮して、この十月一日案というのを出したのか。もう再建問題はたな上げして、物価だけを押えなくちゃならないという立場でやったのか。そこら辺の気持ちをまず承っておきたい、こう思います。それに対し、運輸省鉄道監督局長、秋富公正氏は下記のように回答しています。すなわち、減収分は運輸省が補填すると・・・ただし、あくまで融資という形であり、利子については補填するよという・・・なんとも遠回しなことをしているように思われます。結果的に財政再建と言いながら国鉄の借金をみすみす増やすことをさせているわけで、何とも非効率な話だと思いますし、ここに国鉄の意思が入ってくる余地がないのも困ったものだと思います。> 運賃改定の実施が半年延びることによりまして、大体九百七十六億の収入見込み減となるわけでございますが、この点につきましては、いろいろとお骨折りをいただきまして、昨年の改正におきまして三月三十一日となりましたときに、特別利子補給金という制度を国といたしましてもつくったわけでございますが、今回の九百七十六億の収入減に対しましては、全額これを財政融資で補てんする、そういたしまして、その利子は新しく負担となるわけでございますが、これにつきましては、再建期間中その利子分を国におきまして特別利子補給金という制度で補てんしていくという制度をとったわけでございます。更に加藤睦月氏の質問は続きますが、国鉄としては当初は昭和48年に運賃値上げを考えていた…その上で再建計画も考えていた。実際には昭和49年10月まで運賃改定が延期されそうとなって来たときに、政府として国鉄を再建させる気が本当にあるのか否か・・・これまた極めて正論な質問がなされています。それに対して運輸省は、当初予定たいして不足するであろう分は補正予算で手当てしたといっています。>運輸省鉄道監督局長、秋富公正氏 御指摘の一つの問題は、運賃改定が一年半延びたという問題でございますが、これにつきましては、昨年の補正予算におきまして、四十八年度分につきましては手当てをいたしましたし、また今回御提案いたしております半年延ばすことにつきましても、ただいま国会において御審議いただいております四十九年度予算におきまして手当てをいたしておりますので、この限りにおきましては、四十八年度並びに四十九年度の収支ということにつきましては手当てをしたわけでございまして、再建計画の最終目標でございます五十七年度の損益には関係ないわけでございます。ただ、鉄道監督局長としても、財政的助成ではなく貸し付けをしたわけですから長期債務が国鉄に増えるということは認めています。さらに、井上副総裁は、運輸省の指示のもと動きますよと一先ずは運輸省を立てながら、下記のように回答しており、言わば政府なり運輸省さんに手伝ってもらって辻褄だけは合うようにしてもらっているので長期収支計画を根底から変える必要はないと言い切っています。> 経済社会基本計画にいたしましても、まだあれは変わってはおりませんし、やはり現時点におきましては、先般お示ししました長期収支計画を骨子といたしまして、ただ四十八年度、四十九年度に受けました収支上の悪影響、これが五十年度以降に残らないように、累積的にそれが増加していかないように、そういう措置をおとりいただくということが私どもの念願であり希望でございましたが、その点は関係御当局の御努力によって達成されております。確かに四十八年度、四十九年度の数字は変わっておりますけれども、五十年度以降については、それが累積的な悪影響を及ぼさないという措置をとっていただいておりますので、現時点におきましては、長期収支計画を根底から変えるという段階ではない、かように考えておるところでございます。。ということで、当事者である国鉄としては、財政再建を言われるけれどそのための運賃値上げもままならないので、計画に関しては辻褄が有っていれば計画を大きく変更したりしませんと言っているように思えます。 取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽に こちらからメール またはメッセージ、コメントにて お待ちしております。国鉄があった時代 JNR-eraにほんブログ村にほんブログ村以下は、国会審議の議事録になります。 ――――――――――――――――――◇――――――――――――――――― 午後二時二分開議○三池委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。 質疑の通告がありますので、これを許します。加藤六月君。○加藤(六)委員 先ほど運輸大臣が提案理由の説明の中に、昭和四十九年十月一日に延期するこの法案の趣旨として、「物価対策の一環として、国鉄の運賃改定の実施期日を昭和四十九年十月一日に延期することをその内容とするものであります。」こういうことでございます。私たちは、物価対策の問題ももちろん重視し、この運輸大臣の提案理由の説明の前のほうに、「政府といたしましては、物価の安定を最優先の課題とし、総需要の抑制をはかる等総力をあげて物価対策に取り組んでいるところであります。」そこで、物価対策の一環として、国鉄の運賃改定の実施期日を、三月三十一日であったものを、十月一日に延期したい、こう提案理由の説明で言われておるわけであります。 昨年の特別国会におきまして、われわれ当運輸委員会は、あらゆる方面から、あらゆる角度で百数十時間の審議を、国鉄再建法並びに運賃改定についてやったわけであります。その中の各委員、いろいろな質問の内容等あったと思いますが、はたしてこの案で国鉄が再建できるかできないかという問題も、非常に重要なる骨子として、大部分の時間はこの問題に注がれたわけであります。 もちろん、国鉄運賃が物価に及ぼす影響というもの等も議論にはなったわけでございますが、要は、国民の足として、げたではない、くつではない、ほんとうの足だ、この足を国民のために国鉄の重要なる使命を認識して、再建しなくてはならないという立場が骨子であったと思うわけですが、今回運賃改定を延ばす理由は、物価対策だということになるとしますと、再建というものはどうなるのかということについて、そういう点等も政府は考慮して、この十月一日案というのを出したのか。もう再建問題はたな上げして、物価だけを押えなくちゃならないという立場でやったのか。そこら辺の気持ちをまず承っておきたい、こう思います。 ○秋富政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、昨年の国会におきまして、きわめて異例な長時間の御審議をいただいたわけでございます。その一番ポイントは、御指摘のように、国民の足でございます、国民の経済社会生活にきわめて緊要な国鉄の財政を再建するということが究極の目的でございました。今回これをさらに半年延ばすということは、国鉄の財政再建という点からも、私たちはこの問題につきましてきわめて真剣に検討を重ねたわけでございます。運賃改定の実施が半年延びることによりまして、大体九百七十六億の収入見込み減となるわけでございますが、この点につきましては、いろいろとお骨折りをいただきまして、昨年の改正におきまして三月三十一日となりましたときに、特別利子補給金という制度を国といたしましてもつくったわけでございますが、今回の九百七十六億の収入減に対しましては、全額これを財政融資で補てんする、そういたしまして、その利子は新しく負担となるわけでございますが、これにつきましては、再建期間中その利子分を国におきまして特別利子補給金という制度で補てんしていくという制度をとったわけでございます。しかし、これだけの借り入れ金がふえるということはこれは事実でございます。この点につきましては、今後さらに運輸省といたしましても、国鉄といたしましても、万般の措置をとるとともに、企業努力によりましてこれに対処いたしたい、かように考えております。○加藤(六)委員 そこで私は、昨年、特別国会において、政府側が十カ年の長期計画を委員会にお示しになり、そしてまた、それぞれその十カ年計画の収支試算の大前提として、まず再建期間、その次に輸送量としての旅客と貨物、それから運賃改定、工事費、工事費補助金、政府出資、過去債務対策、公団借料、要員数、こういったものを十カ年の再建計画を立てる場合の長期収支の大きな基礎として、十カ年間の計画を委員会にお出しになった。また、昨年二月二日の閣議了承の内容も当委員会にお出しになったわけであります。あれらはすべて昭和四十八年四月一日から運賃改定が行なわれるという前提で、いろいろのものがあったわけであります。 それが具体的には一年半変わってきまして、四十九年十月一日ということになりますと、一年半の食い違いが出てくるわけです。これは運輸収入の面において大きく食い違いが出てくるわけですが、こういった問題等に関連しまして、あの法律の中に、政府は基本方針をきめる、国鉄は政府の基本方針に従って基本計画を策定して、先ほどの使命である国鉄再建というものを果たさなくてはならぬということになるわけであります。そこで私は、これに関連する問題を中心に、与えられた時間内ちょっと御質問いたしたい、こう思うわけであります。 まず、政府は基本方針、国鉄当局は基本計画というものを昭和四十八年の閣議了承並びに国会へお出しになった長期収支というものを基礎にして、運賃改定に一年半という大幅な狂いがあるわけですが、それをどういうようにこなして基本方針並びに再建計画をお立てになるような気持ちがあるんだろうかどうだろうかということを、運輸省並びに国鉄のほうに承りたい、こう思う次第です。○秋富政府委員 まことに深刻な問題でございますが、まず私たちといたしましては、昨年の二月二日に閣議了解をいたしました線、並びにこの国会におきまして、国鉄が試算いたしました長期試算というものを中心といたしまして、長時間御審議いただいた次第でございまして、私たちの基本的姿勢といたしましては、あくまでもこれをもととして再建の基本方針並びに国鉄の再建計画というものを策定いたしたいと思いまして、現在鋭意検討中でございます。 ただ、御指摘の一つの問題は、運賃改定が一年半延びたという問題でございますが、これにつきましては、昨年の補正予算におきまして、四十八年度分につきましては手当てをいたしましたし、また今回御提案いたしております半年延ばすことにつきましても、ただいま国会において御審議いただいております四十九年度予算におきまして手当てをいたしておりますので、この限りにおきましては、四十八年度並びに四十九年度の収支ということにつきましては手当てをしたわけでございまして、再建計画の最終目標でございます五十七年度の損益には関係ないわけでございます。 ただ、先ほど申し上げましたように、長期借り入れ金がふえるということは事実でございます。これに対しましては、一方におきまして、長期計画におきましては一兆五千億の政府出資をするという予定でございましたものを、四十八年度並びに四十九年度におきまして約八百八十億というものをさらに上積みいたしまして政府出資をしたわけでございまして、この利子効果といいますものはやはり再建計画にプラスに響くものでございます。こういったことにつきましては、それぞれ措置をとった次第でございます。 いま一つ出てまいりましたのは、昨年の後半以来、石油問題を契機といたしまして出てまいりましたいわゆる異常なる物価騰貴の問題、これがどういうふうに影響してくるか、あるいは省エネルギー対策という面からまいりまして、産業、経済、社会の見通しというものはどうなってくるか、こういう点につきましては、私たちも深刻に受けとめておる次第でございます。これと昨年の国会において御審議をいただきました長期計画とのからみ合わせの問題、あるいはすべての数字的な問題もあるわけでございますが、現在、長期計画につきましては、新しい見通しというものは、政府におきましてもまだいろいろ模索中でございまして、そういったときに国鉄の長期収支計画を出すということのその辺の関連性の問題につきまして、私たちといたしましてもいろいろと苦慮しているということが率直なる立場でございます。○井上説明員 この問題につきましては、ただいま鉄監局長から御説明申し上げたとおりでございますが、国鉄といたしましても、従来もそうでありますけれども、今後につきましても緊密な連絡をとりながら、運輸省の御方針に従いつつこの問題を処理してまいりたい、かように考えております。 それで、申し上げることはいま鉄監局長が申し上げましたことと重複いたしますのではしょりますけれども、考え方といたしまして、長期収支計画というものは一応はやはり計画的な数字でございまして、現実の数字と必ずしもそれがぴたりぴたり、びた一文狂うことなく合っていくということはあり得ないと思うのでございます。現実に四十八年度、四十九年度すでに数字が変わっておるということは事実でございますが、そうかといいまして、すでに二年変わっておるからというので、先般お示しいたしました、また御説明申し上げました長期収支計画を根底から変えるということは、まだその変えるほどの材料もない。たとえて申し上げますれば、あの計画の基礎になりました経済社会基本計画にいたしましても、まだあれは変わってはおりませんし、やはり現時点におきましては、先般お示ししました長期収支計画を骨子といたしまして、ただ四十八年度、四十九年度に受けました収支上の悪影響、これが五十年度以降に残らないように、累積的にそれが増加していかないように、そういう措置をおとりいただくということが私どもの念願であり希望でございましたが、その点は関係御当局の御努力によって達成されております。確かに四十八年度、四十九年度の数字は変わっておりますけれども、五十年度以降については、それが累積的な悪影響を及ぼさないという措置をとっていただいておりますので、現時点におきましては、長期収支計画を根底から変えるという段階ではない、かように考えておるところでございます。
2017.03.03
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2週間ほど更新できずにすみませんでした、本日は昭和49年3月に開催された、国鉄運賃改正のお話です。国鉄と言う組織は公共企業体と言う名の、いわゆる会社なのですが、何故か鉄道省の現業機関と言う意識が運輸省にも国鉄本体にもあったのかしれませんが、こうした経営の根幹にかかるであろう運賃の値上げに関する権限なども政府にしっかり握られていました。結果的に値上げすべき時期に値上げできずに、その足りない分を借金してしまうという悪循環に陥るわけで、国鉄の赤字を単純に放漫経営であったとか、組合が悪かったと言う部分だけに持っていくとこは非常に無理があると言えます。今回も、3月に開催された運賃改定の法案に対して> て国鉄の運賃改定が昭和四十九年三月三十一日から実施されることとなっていることは御承知のとおりであります。> しかしながら、現下の物価情勢にはきわめてきびしいものがあり、このため、政府といたしましては、物価の安定を最優先の課題とし、総需要の抑制をはかる等総力をあげて物価対策に取り組んでいるところであります。> 御提案申し上げております法律案は、このような物価対策の一環として、国鉄の運賃改定の実施期日を昭和四十九年十月一日に延期することをその内容とと言うように、値上げしたいと国鉄は言っているけれど、それを10月まで約半年延期する審議をしたいという・・・当時はこのようなことが多々あり、結果的に本来であれば必要でなかった債務も膨らむ原因を作ったと思われます。国鉄末期に、緩和されますがこの頃は認可制を取っており、国会の審議を経なければ運賃を自由に改定することも出来ないという縛りがありました。 名目上は公社というのは、本来の位置づけでは自由に行動する企業性と公共の福祉という観点から示される部分を融合させて然るべき内容なのですが、実際には公共性だけが独り歩きしてしまうというか、過剰に公共性だけが強調されることとなりました。 その後の赤字続きで、政府に依存する部分が増えてきたことで更に国鉄は自主性を失う結果となるのですがそれは後ほど、別の機会にお話ができると思います。 ということで、本日は、さわり部分のみとさせていただきます。取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽にこちらからメールでお願いします。コメントもお待ちしております。国鉄があった時代 JNR-era********************以下は本文になります。**************************昭和四十九年三月二十日(水曜日) 午前十時三十三分開議 出席委員 委員長 三池 信君 理事 工藤 隆美君 理事 加藤 六月君 理事 佐藤 孝行君 理事 佐藤 文生君 理事 佐藤 守良君 理事 兒玉 末男君 理事 三浦 久君 阿部 喜元君 井原 岸高君 國場 幸昌君 關谷 勝利君 細田 吉藏君 宮崎 茂一君 綿貫 民輔君 金瀬 俊雄君 久保 三郎君 神門至馬夫君 斉藤 正男君 坂本 恭一君 梅田 勝君 石田幸四郎君 河村 勝君 出席国務大臣 運 輸 大 臣 徳永 正利君 出席政府委員 防衛庁参事官 長坂 強君 科学技術庁原子 力局次長 伊原 義徳君 文部省大学学術 局長 木田 宏君 運輸政務次官 増岡 博之君 運輸省海運局長 薗村 泰彦君 運輸省船舶局長 内田 守君 運輸省船員局長 住田 俊一君 運輸省港湾局長 竹内 良夫君 運輸省鉄道監督 局長 秋富 公正君 海上保安庁長官 佐原 亨君 高等海難審判庁 長官 愛澤 新五君 気象庁長官 高橋浩一郎君 気象庁次長 石原 明君 委員外の出席者 首都圏整備委員 会計画第一部長 山東 良文君 経済企画庁総合 計画局計画官 小池 力君 運輸省船舶局造 船課長 神津 信男君 運輸省鉄道監督 局民営鉄道部長 中村 四郎君 気象庁総務部航 空気象管理課長 安斎 政雄君 日本団有鉄道総 裁 藤井松太郎君 日本国有鉄道副 総裁 井上 邦之君 日本国有鉄道常 務理事 伊江 朝雄君 運輸委員会調査 室長 鎌瀬 正己君 ―――――――――――――三月十九日 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五九号)は本委員会に付託された。 ―――――――――――――本日の会議に付した案件 臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案(内閣提出第六六号) 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五九号) 陸運に関する件(民営鉄道の経営に関する問題) 港湾に関する件(流通港湾の整備に関する問題) 気象に関する件(航空及び海洋の気象業務に関する問題) 日本国有鉄道の経営に関する件(新幹線の騒音対策に関する問題等) ――――◇―――――一部省略○佐藤(守)委員長代理 この際、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。徳永軍輸大臣。 ―――――――――――――○徳永国務大臣 ただいま議題となりました国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。 第七十一回国会において成立した国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律により、国鉄財政再建対策の一環として国鉄の運賃改定が昭和四十九年三月三十一日から実施されることとなっていることは御承知のとおりであります。 しかしながら、現下の物価情勢にはきわめてきびしいものがあり、このため、政府といたしましては、物価の安定を最優先の課題とし、総需要の抑制をはかる等総力をあげて物価対策に取り組んでいるところであります。 御提案申し上げております法律案は、このような物価対策の一環として、国鉄の運賃改定の実施期日を昭和四十九年十月一日に延期することをその内容とするものであります。 以上が、この法律案を提案する理由であります。 何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。○佐藤(守)委員長代理 以上で提案理由の説明は終わりました。 この際、午後二時から再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時三十九分休憩 ――――◇―――――
2017.02.25
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今回は、昭和42年6月の参議院 第55回運輸委員会方お伝えしたいと思います。 議題は、昭和42年6月18日山陽電鉄塩屋駅構内で発生した、爆発事故【この事故で乗客2名が死亡、17名が負傷】の件が議題に上がり議論されています。この事件が起こる前の1月にも大丸神戸店で爆発事故が発生しており手口から同一犯とみられましたが、結局犯人は検挙されず時効を迎えました。また、爆破には至りませんでしたが、新幹線爆破未遂事件もありました。昭和42年4月15日に発生した事件で、幣サイト「国鉄があった時代」を参照しますと下記のように書かれています。新幹線爆破未遂事件 4/15 下り新幹線「ひかり21号」が小田原付近を走行中に午後1次頃、7号車の空席で、時限装置付の爆弾を車掌が発見、源氏物語の本の中に仕込まれており、ページをくりぬきダイナマイト3本が入れられていた。 本をケースから引き出すと爆発する仕掛けになっていた。また、山陽電鉄の事故に関しては下記のように書かれています。山陽電鉄で時限爆弾爆発 6/18山陽電鉄の下り姫路行き普通電車が神戸市垂水区の塩屋駅に停車した直後、2両目の網棚に仕掛けてあった時限式爆破装置が爆発、乗客2名が死亡、29人が重軽傷(重軽傷17名の記事もあり)1名は22歳の女性で即死、もう1名は病院搬入後死亡したとのことで犯人は判らずでした画像は直接事故を起こした電車と関係ありません。 当時は学生紛争が多発し、暴力革命をめざす過激派による爆弾事件が多発していた時期でもありました。その辺も影響しているかと思われます。にほんブログ村にほんブログ村***********以下は、当時の国会審議の内容になります。********************第055回国会 運輸委員会 第12号昭和四十二年六月二十日(火曜日) 午後一時十八分開会 ――――――――――――― 出席者は左のとおり。 委員長 天坊 裕彦君 理 事 岡本 悟君 谷口 慶吉君 岡 三郎君 小酒井義男君 委 員 江藤 智君 金丸 冨夫君 木村 睦男君 平島 敏夫君 前田佳都男君 森田 タマ君 大倉 精一君 木村美智男君 吉田忠三郎君 岩間 正男君 国務大臣 運 輸 大 臣 大橋 武夫君 政府委員 警察庁刑事局長 内海 倫君 運輸政務次官 金丸 信君 運輸省海運局長 堀 武夫君 運輸省船員局長 河毛 一郎君 運輸省鉄道監督 局長 増川 遼三君 事務局側 常任委員会専門 員 吉田善次郎君 説明員 日本国有鉄道副 総裁 磯崎 叡君 日本国有鉄道常 務理事 井上 邦之君 ――――――――――――― 本日の会議に付した案件○船員災害防止協会等に関する法律案(内閣提 出、衆議院送付)○運輸事情等に関する調査 (山陽電鉄の電車内における爆発事件に関する 件) (日本国有鉄道の運営に関する件) ―――――――――――――○委員長(天坊裕彦君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。 船員災害防止協会等に関する法律案を議題といたします。 まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。金丸運輸政務次官。省略○委員長(天坊裕彦君) 本案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。 ―――――――――――――○委員長(天坊裕彦君) 運輸事情等に関する調査を議題といたします。 去る十八日の山陽電鉄電車内における爆発事件について、運輸省当局から発言を求められておりますので、これを許します。増川鉄道監督局長。○政府委員(増川遼三君) お手元にお配りいたしました資料によって御説明を申し上げます。 六月の十八日十四時五分に、山陽電鉄の塩屋駅構内におきまして下り普通列車の中におきまして爆発物によります事故が起こったわけでございます。 この状況を申し上げますと、本列車には乗客が約百名乗っておったのでございますが、塩屋駅に入駅いたしましてホームに停車する寸前におきまして、後部車両の第三とびら付近で突然大音響が起こりまして白煙が生じたわけでございます。車掌が直ちに開扉いたしまして第二とびら付近にかけつけましたところ、その床上に婦人が二名倒れておられたわけでございます。かけつけました運転士と駅務掛及び乗客が協力いたしまして負傷者を救助した次第でございます。 この原因といたしましては、現在警察当局に詳細をお願いいたしておるわけでございますが、旅客の持ち込みによります時限爆発物の爆発であろうというふうに推定をされております。 関係者といたしましては、運転士は経験七・四年でございまして三十五歳でございます。車掌は三十四歳、経験年数六・一一年でございます。 その他、爆発物につきましては、鉄製円筒――十センチに二十センチという円筒の中に塩素酸カリ、黄燐、工業用雷管、目ざまし時計、電池を組み込んだもののようでございまして、網だなの上に置かれていたと推定されるのでございます。 この事故によります本線支障時間は十七分でございます。 かようなことが、過去にも類似のものがございまして、またつい最近におきましては、新幹線のひかり号の中に爆発物が置かれておったということもございますし、また東京駅の八重洲口で爆発物が爆発したというようなこともございまして、自来、運輸当局並びに鉄道事業者といたしましては、非常にこの点に留意いたしまして監視の目を張り、あるいは警乗を強化してきたところでございますが、今回またしてもこういうような事件が山陽電鉄におきまして起こったということはまことに遺憾に存ずる次第でございます。要は、このような類似の事件が発生しませんように警察、検察当局の御努力をお願いしたい気持ちで一ぱいでございますが、なお今後ともわれわれもできる限りの手を尽くしまして列車とか、あるいは駅等におけるこの種の事件というものが発生いたしませんように努力をいたしたいと考えておる次第でございます。 以上、簡単でございますが、山陽電鉄における列車爆発事故に関する御報告を終わります。○委員長(天坊裕彦君) ただいまの報告に対して質疑のおありの方は、順次御発言願います。○吉田忠三郎君 ただいま事故の報告がございましたが、事故があるたびに、まことに遺憾に存じます、どこかの歌の文句にあったような答弁ばかり、報告しているのですが、問題は、東京駅にああいう問題が起きて、さらに国際的にもたいへん注目されているこの新幹線ひかり号においてもそういう事件がございましたね。いままた三たび目の事件でございますけれども、一体これに対して運輸省として防備の体制を、対策をどうこれはとられておるかということがやはり国民の側から見れば非常に心配をせざるを得ない点がある。同時に、警察は一体こうした問題に対する――警察の方はおそらく来ていると思いますが、対策をどう考えているかということですが、ただ単なる駅の構内における爆発事件だけで私は見るべきものじゃないのじゃないかと思うのですよ。たいへんこれは国民の側から見ますと心配の多い事件ですから、この関係の対策を一体どう――前回にすでに二件も事件があるわけですから、同じような事件がございますから具体的にどういう対策をとったか報告をしなければ、ただ単に、まことに遺憾に存じますと言っても、これは国民がなかなか納得しないのじゃないか、こう思うのです。○委員長(天坊裕彦君) きょう警察の人は来ておりませんが。……○吉田忠三郎君 大体こういう大事件が起きて、警察がこういうところに来ないというのは大体おかしい。○岩間正男君 運輸大臣来ないですか。これはもう少し政治的に究明しないと、ただ政務次官、だけではしようがないな。運輸大臣をちょっと呼んでもらって、閣議なんかで問題にするのかしないのか、この前のはどうなっているのか、経過も聞いてみないと、そんなに長くなくていい。いまから緊急に運輸大臣呼んでもらったらどうですか。○委員長(天坊裕彦君) 速記やめて。 〔速記中止〕
2017.01.05
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さて、本日も前回に引き続いて昭和42年6月の国会審議からアップさせていただきます。昭和30年代の高度経済成長により、国民所得は向上していきましたが、経済成長優先で公害問題などは置き去りにされている状況でした。本件に関しては、国鉄は関係ありませんが、国鉄では昭和35年、全国で4万2千件の踏切がありました.年々踏切の統廃合や立体交差化を進めるなどにより踏切事故は減少していきましたが、踏切の直前横断などの無謀運転は後を絶たなかったそうです。現在も同じですが、踏切は大きく分けて4種類あり、昭和40年代は交通量が多い区間でも、第2種踏切や第3種踏切が多く、こうした区間での踏切一時不停止等による事故が後を絶ちませんでした。現在は、第2種はすべてなくなりましたが、第4種踏切なども一部残っています。こうした話を事前の予備知識として知っていただいた上でお読みいただければ幸いです。にほんブログ村にほんブログ村○後藤委員 この踏切につきましては、いまお話がございましたように去年も事故を起こしておる、先月も事故が続いておる、さらに今度の事故だということで、同じようなケースで、事故の自動車は全部川の中に飛び込んでおる。この事故の起こる直前の、いわゆる先月ですが、トラックが同じようなケースで同じように犬上川に飛び込んでおる。こういう事故の連続でございます。 建設関係の方もおいでになるのでお尋ねしたいと思うわけですが、交通安全対策特別委員会におきまして、全国の踏切道を点検するということが決定されておると思います。これは五月中に全部完了するのだ。六月になった場合には、点検した結果、あぶないところ、さらに心配なところについては即決で何らかの方法を考える。さらに恒久的な施策についても早急にやるのだ。これは五月二十五日の交通安全対策特別委員会で決定いたしております。ここに速記録も持ってきております。そうなってまいりますと、いま申し上げましたように、南海電車の二の舞いといわれるような事故を起こしておる。その踏切は先月も事故を起こし、さらに昨年も事故を起こしておる。この滋賀県の犬上川の踏切につきましては、おそらく五月中に点検がされておると私は思いますが、その点検の結果はいかようになっておるのかお尋ねをいたしたいと思います。○豊田説明員 お答えいたします。 私どものほうは、ただいま先生御指摘の点、特に四月の六日の交通対策本部決定事項、それから同七日付の交通関係閣僚協議会の了解に基づきます踏切事故の防止の強化策、それに基づきまして現在総点検を各出先のほうへお願いいたしまして、そういうものを現在集計をやっておるところがございます。もちろんその精神は、ただいま運輸省のほうから御説明がありましたように構造改良の問題、保安設備の整備の問題あるいは交通規制の問題、これは各県いろいろでございますが、私どもはこの構造改良の関係といたしまして、現在データをいろいろ分析中でございます。その中で、特に本年度の予算で執行できるものは逐次執行に移すような段階でもって、現在準備中でございます。○後藤委員 そこでもう一歩突っ込んだお話でお尋ねをしたいと思うのですが、いま説明されたのは、大体点検をして資料を集めて予算ができたら面すのだ、一口に言ってそういうことだと思います。ところが事故というのは毎日毎日起こっております。しかも現在、政府なりその他努力はいたしておりますけれども、事故に対する対策というのは後手後手へ回っておる。事故があって初めて騒ぐ。こういうようなケースが非常に多いように思います。この踏切は現在開通しておりますが、これに対する扱いは一体どうなっておるかというと、やはりいままでどおりの状態です。注意を促すような立て札すら一本も立っておりません。去年も事故を起こし、先月も事故を起こし、今日も事故を起している。そして近江鉄道は開通したけれども、まだそのままでございます。これはいつ何どき事故が起こるかわかりません。この踏切はダンプカーが一日に大体七十回往復するわけなんです。しかも見通しといたしましても、先ほどいいようなことを言われましたけれども、あまりいい踏切ではございません。だから事故が起こっておるのだと私は思います。現在においても、開通はしたけれども、そのまま放置されておる。これはいつ何どきまた同じような事故が起こるかもわからない、そういう条件が整っておる踏切だと私は思います。これをこのままにしておいていいものかどうか。あなたが言われるように、全国のやつを集約して予算ができるまで待ってと、そうやっておりますと、おそらく来年にまたがってしまうと思います。この前の交通安全対策特別委員会におきましても、各省が、県知事等が中心になって少なくとも五月一ぱいに点検をやれ、そして早いところ事故を防ごうじゃないか、これが真剣なる論議であったと私は考えております。そういうところに事故の盲点があるのではないかと私は思います。 そこで私は運輸大臣にもお尋ねしたいと思いますが、いま申し上げましたように、四月一日にありました南海電車と同じようなケースの事故だが、始発電車であったから被害は少なかった。しかも、トラックであったから先月の事故は被害が少なかった。こういうことを次から次へと同じ場所で繰り返して、開通はしたけれども、同じ条件でその踏切が放置されておる。こういうことで一体いいものかどうか。この点運輸大臣として全国的な事故撲滅のためにどういうふうな考え方を持っておられるか、お伺いしたいと思います。○大橋国務大臣 この春起こりました南海電車の踏切事故はまことにひどいものでございまして、私も翌朝さっそく現場へ見舞いに参りまして、実にその惨状に驚いた次第でございます。きょう朝新聞を見ますと、あの当時の状況と同じような写真が載っております。これはまたひどい事故が起こったとびっくりしたのでございますが、この問題に関連して踏切対策がどうなっておるかということでございます。総点検にあたりましては、特に危険な踏切と認められるものは、集計を待たずして直ちに改良の方針を個々に決定しておるというような状況でございます。したがいまして、本踏切につきましても、先ほど鉄監局長より申し上げましたごとく、これはすでに踏切の格上げを決定しておるのでございます。四十二年度、すなわち本年度に実施の予定になっております。ただ事故が起こってから何カ月か放置されて、その間に今度のような事故が起こるということは、まことに申しわけないことでございます。私ども、格上げが決定いたしております個々の踏切につきまして、さらにこの機会に、これを契機としてもう一度当たりまして、急速を要するものから当初の予定にかかわらず促進するようにいたしたいと存じます。○後藤委員 そうしますと、全国的な踏切事故に対する防止の考え方については、運輸大臣が言われましたことはわかるわけでございますけれども、ただ私の言わんとするのは、こういうふうにたび重なる踏切を一体いつまでそのまま放置しておくのか。格上げして、それが完成するまで現在のままで置いておくのかどうか、それでいいのかどうか、それで事故が未然に防げるのかどうか、このことを運輸大臣としてどういうようにお考えなのかという点を私はお聞きしたいわけなんです。あなたのおっしゃるように、点検した結果を見て、二極を一極にする、あるいは三種を二種にする、こういうふうな気持ちというのはよくわかるわけなんです。これは長い間叫び続けてきた問題でございますけれども、やはり同じような種類の事故が重なって起こるということは、私はどこかに盲点があると思います。その盲点というのは、先ほど申し上げましたように、去年もやっておる、先月もやっておる、今回もやった。いま開通しておりますけれども、踏切は前と同じことで放置されて、みんながやはり通っておるわけなんです。それでいいのかどうか。だから私もきょうは県警の交通課のほうに聞いてみますと、以前のとおりそのままでございます。こういうふうなことも確認をいたしたわけでございます。そのことについて一体運輸大臣としては――これは滋賀県だけの問題ではなしに、全国にそういうケースがたくさんあるじゃないか。やかましく言われておるから、即決として一体この危険な踏切をどうする、こういう事故の起こりそうなところは一体どうする、そこへ神経をきめこまやかに使っていくところに、事故を防止する大切な点があるんじゃないか、私はその点をお聞きしておるわけです。○大橋国務大臣 御質問の御趣旨はよく了承したつもりでございます。そこで、どうするかという問題でございまするが、現実に工事を完了するにはやはりそれまである程度の期間があることはやむを得ないと思いますが、その間においても、いやしくも危険を避けるために必要と認められる措置をとることが重大な点じゃないか、こう思うのでございまして、たとえば踏切の明確な表示を行なうとか、あるいは注意書きをつけるとか、そういう方法で幾らかでも事故の発生を防止するようにいたすことが一つの方法じゃないかと思いますので、この点至急省において研究いたしまして、それがいいとなったら直ちにやりたいと思う次第でございます。○後藤委員 それで、いま私が質問いたしましたのもその点でございますけれども、やはり全国的にもこういう盲点と申しますか、こういう点がたくさんあろうと思いますし、さらに、今回の犬上川の事故につきましては、滋賀県の問題でもございます。ただ私は滋賀県だけのことを言っているわけではございませんけれども、ぜひひとつ、総点検ということもきまっております。点検したけれども、その結果放置されておったのでは点検したかいもないと思いますし、予算がくるまでそのままだというようなことでは一年、二年先になってしまうと思います。特にこの事故を起こしましたところの滋賀県、この事故につきましても非常に危険な踏切であるということは、もう実績がものをいっておりますので、ぜひひとつ、この踏切に対しましても、再びこういうような不幸な事故が起きないように、責任を持って対策を講じていただきますようにお願いをいたしたいと思います。 さらに滋賀県は御承知のように、名神国道から国道が非常にたくさん通っておる県でもございますので、さらに私鉄あるいは国鉄と、交通につきましては非常に複雑な県でもございますから、この踏切点検等の問題も実施されておらなければ、早急に実施をしていただいて、早くいま大臣が言われたような手を打って、人命に殺傷を与えるような事故防止のために全力を尽くしていただきますようにお願いをいたしたいと思います。この事故につきましても、具体的対策を早急に立てていただきますようにお願いをいたしたいと思います。終わります。
2017.01.03
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