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「引っ越しがいつできるかは全く分からない、と業者さんから連絡がきた」「引っ越し先から、今住んでいる人が転出するめどがたたないからいつ入居できるか分からない、と言われた」「勤務先から求められている戸籍謄本を送ってもらおうとしたけど、市役所の機能が復旧していないのでしばらくは送れないと言われた」と娘から度々心細そうな声で電話がかかってきた。
その都度「今は緊急事態だから、あなたと同じような状態の人がたくさんいるはず。なんとかなるから心配しないで」と励ましていた。
幸い住んでいたアパートは次の入居者が決まっていなかったので1ヶ月契約を伸ばしてもらうことができた。勤務先からも18日からの勤務でよいと連絡がきて、引っ越し先、引っ越し業者もようやく都合がつき、晴れて引っ越しができるようになった。
娘に「お母さんって強いよね」と半分褒められ、半分からかわれた。「そうよ。母は強しだから。少し強くなりすぎたとお父さんは思っているみたいだけど」と言って二人で笑った。
でも娘は知らない。私がどんなに頼りない母親だったのかを。
息子(上の子)が生後半年で初めて高熱を出した時、私はただオロオロするばかりだった。不安で心配で、駆け込んだ病院で私自身がぽろぽろと泣いてしまった。「お母さん、しっかりしてください」と小児科の先生に慰めてもらった。
あれから20年以上。泣き虫の私は何かあるとよく泣いていたけれど、泣きながらも強くなったのだと思う。いや、もしかしたら今も本当は強くなんてないのかもしれない。電話口で娘の声を聞いた瞬間、私は気持ちがシャンとした。「私がしっかりしなくては」と。子どもを支えているように見えるけれど、本当は子どもの存在が私の気持ちを支えているのかもしれない。
自分のためには強くなれなくても、誰かのために、守りたいもののためになら強くなれる。人って不思議だなあと思う。