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2007.09.21
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カテゴリ: そのまんま系


中国地方、とある駅で下車すると目の前はもう海である。この日は蒸し暑く、もやりと潮の香りが漂っている。駅前広場を抜けるとすぐに古びた商店街につながる。路地を入ればすぐに海岸である。海岸には漁船と、自動車数台を積載できる渡し船が何艘か停泊している。すでに夕方、海岸には女子高生数人が座って喋っていたり、老人が海を眺めていたり、子どもが貝殻を並べていたり、これまた高校生のカップルが抱き合ったりしているのである。
できすぎな風景だが、つまり映画を撮るなら、ここに女子高生をおいて、向こうに老人がいて、みたいに、まるで作り込んだような風景なのだが、本当のことなのである。

話はずれてしまったけれど、その古びたアーケードをもつ商店街の一角にその店はあった。
ウバ車である。だが、店内はほとんど老人が主に使用する手押し車が並べられている。あの、疲れたときには座ることもできるし、座席の部分には荷物をいれることのできるものである。
思いを馳せてみる。なんといってもウバ車店なのだ。例えば昭和30年代、子どもたちは街にあふれ、なによりこの商店街は堂々たるメインストリートだったのだろう。
子どもが生まれたと言えば、両親やあるいは祖父母が、この店にやってきたのである。幼い子どもを抱いた夫婦が、店先にならんだ乳母車に、そっと子どもを置いてみてその感触を確かめたりする。財布をはたいて買った真新しい乳母車に、帰りは子どもをのせて帰ろう。海辺に続く道を通って、少し寄り道するのもいい。

かくして時は流れる。子どもたちにも、店主にも、そして商店街にも。
アーケードを走り抜けていく子どももほとんどいない。


けれどどうして「ウバ車」、カタカナなのだろう。ウバ、乳母、姥…

フェリー、渡し船が、チャイムを鳴らし到着を告げる。接岸したかと思うと、あっという間に車が降りてきて、すれ違うようにして乗船する車が続く。そんな日常的であろう光景も、私には新鮮な驚きだ。

波がコンクリートの岸壁を静かに洗い、水道対岸の工場のモーター音が微かに聞こえてくる。








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Last updated  2007.09.23 01:11:09 コメント(3) | コメントを書く
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★みゆきち★@ 性感エステってもったいないよね ムラムラってきたら性感エステに通ってた…
ウラガエル @ お久しぶりです。 suiさん どうされているのでしょう。 …
紫陽花ロック @ 鎧駅は 海に向かって断崖絶壁に駅のホームがあり…
ウラガエル @ そーですか? 育児・子育て きらりさん 「そーです…

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