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2008/04/20
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カテゴリ: カウンタートーク


マドリッド→トレド→コルドバ→グラナダ→コスタ・デル・ソル→セビリヤ→バルセロナ。
そう、ようするに、スペイン周遊観光旅行である。

マドリッドのプラド美術館では、もちろん、ベラスケスの「ラス・メニーナス」を見た。
中央にある大きな楕円形の展示室の、その中央にどーんとあって、この美術館の文字通り、至高のポジションを占めている。冥土への土産として、この絵は見ておいてよかった、と思った。

ミシェル・フーコーが、『言葉と物』で、古典主義時代のエピステーメーを見事に表象した絵画として、この「ラス・メニーナス」を論じている。
中央にフェリペ4世の娘、マルガリータ姫とそれを取り巻く侍女たちを描き、後方の鏡には“そこにいるはずの”国王夫妻を「写像」として描いている。
フーコーによれば、「ラス・メニーナス」は、宮廷の一室を、一見、王=超越者によって支えられた空間のように見せながら、その王が不在(鏡像に過ぎない王)であっても自律しうる表象空間として描き出している。
16世紀、ルネサンスの時代には、言葉(観念)は必ず物に付着するものであった。古典主義時代にそれが変容して、言葉(あるいは絵画的表現)は物と離れ、表象として自律するようになった。フーコーは、セルバンテスの『ドン・キホーテ』とともに、「ラス・メニーナス」をヨーロッパ精神史を画す大きな作品として採り上げたのでありました…


あ、そうそう、プラドには、スペインの生んだ超甘美派ムリーリョの、「無原罪の御宿り」がある。観光ツアーの悲しさで、30分しかないフリータイムでは、とろけるようなマリア様たちの前にひざまずく時間もなかったが。

さて、スペインにはもうひとつ、「ラス・メニーナス」があった。
バルセロナのピカソ美術館に、である。
パブロ・ピカソは、1957年に、ベラスケスの作品をそのままの構図で、(もちろん彼独自の画風で)リメイクしている。多くの連作があるようで、その一部が展示されているが、最大のものはモノトーンで描かれている(上の画像)。かなり大きな作品である。キュービズム空間の中で、マルガリータも侍女も小人もベラスケスも国王夫妻も戸口の訪問者もすべてが歪んで、ずれて、マンガのようで、しかし、その空間は美的緊張感に満ちている。

僕はピカソに詳しくないし、あまり好きな画家ではなかったのだが、「ラス・メニーナス」により、この不遜な態度を変更することにした。
数えてみれば、ベラスケスは1656年、ピカソはその300年後に、「不在の王」を描いたことになる。これも、冥土への土産になった。
ミュージアムショップで、小さな、ピカソの「ラス・メニーナス」を買った。





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Last updated  2008/04/20 12:02:51 PM コメント(2) | コメントを書く


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