Drop in Bar Bucchi1969

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2008/05/10
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カテゴリ: カウンタートーク
金曜日のラジオ収録のゲストは、雑誌「SWITH」を世に送り出した新井敏記さんと、名著『香港 旅の雑学ノート』を書いた山口文憲さんだった。
お二人とも(例によって)20数年来の再会である(山口さんとは立ち話がその間に二回ある)。

新井さんと出会ったのは、サム・シェパードのご縁である。
ヴィム・ヴェンダースの「パリ、テキサス」の試写会でもらった広報資料に、この映画の原作はサム・シェパードの『』モーテルクロニクルズ』であると書いてあるのを見て、確かその日のうちに版権エージェントのタトル・モリに電話を入れた。
運よく、まだ、権利が空いていた(牧歌的な時代だったんだね)。

翻訳は新進の畑中佳樹君に頼んで、装丁は老練な菊地信義さんにお願いした。
僕のつくった単行本の中でも、もっとも美しい本の一冊である。

翻訳にかかった頃だったろうか。
誰かに教えてもらったのかもしれないが、本屋で「SWITH」を見つけた。


編集長の新井さんに電話をかけて会いにいった。
青山通り沿いの編集室はかなり古ぼけた、しかし、妙に味のあるビルの中だった(まだあるよ、この「外延ビル」)。
新井さんのやろうとしていたことと僕の興味はかなり近かったので、ごく自然に友好関係を結ぶことになった。
『ジャングル・クルーズにうってつけの日』の原稿を書いていた生井英考さんも、なぜかこの編集室に居座っていたから、南青山にはちょくちょく出かけていった。

その後の「SWITH」は僕が説明するまでもない。
日本のカルチャーマガジンの一翼はこの雑誌がまちがいなく担ってきた。
ひとりの人物に焦点を当てて、その人物のいる場所の空気を蘇らせる。
そのような手法で、へヴィカルチャーの主人公たちを続々と採り上げた。
トム・ウルフ、ビート・ハミル、トム・ウェイツ、ジョン・ベルーシ、ウディ・アレン、ジョージ・ブリンプトン、トルーマン・カポーティ、ライ・クーダー、ジム・ジャームッシュ、クリント・イーストウッド、ダイアン・キートン、ジャック・ニコルソン、ブルース・スプリングスティーン…
80年代の「SWITH」のバックナンバーは壮観だ。

今回の番組の中で、新井さんが、雑誌とカルチャーヒーローが取り結ぶ関係について、ジョン・レノンと「ローリングストーン」を例に引いて興味深い話をしてくれている。


サム・シェパードには、この後、別の縁も頂戴した。
「ファーノース」という映画である。
それが出版の世界を飛び出す機縁となった。
幸いだったのかどうかは(まだ)分からない。
でも、住みなれた町は遠くから美しく見えるから、悔いはないね。





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Last updated  2008/05/11 02:00:07 AM
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