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Jan 29, 2007
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カテゴリ: カテゴリ未分類
ここ数日、悪性リンパ腫のターミナル患者の 不穏状態 に悩まされている…

患者は朦朧としているため目が覚めると家族を探して起き上がり、
体力的に長く座っていることができず、そのまま バタン と倒れてしまうのだ。
そこがベッドの上ならばいいが、壁だったり、ベッド柵だったりすると
血小板が減少している患者のことだから、頭でも打とうものならば脳挫傷の危険もある。

少し前はまだ立ち上がったりしていたため、いつのまにか点滴台もなぎ倒して

そこで、 ここ一番 で利用する 徘徊患者のためのマット を足元に敷いた。
これはベッドから降りようとして床に足を置いたときにセンサーが作動する仕組みになっており、ナースコールと直結している。
徘徊センサーが作動するとナースコールが鳴るのだ

しかし、症状が進むと今度は立ち上がらなくてもベッド上で無造作に倒れるだけで非常に危険である。
このためにわたしたちはタイマーを首から下げて10分おきに患者を見に行かなければならなかった。
これでは他の仕事が全く進まず、他の患者の部屋にいてもタイマーに追い回されることになってしまった

そこで購入したのが おきたくん
ここにリンクした商品は『みまもりくん』という徘徊センサーだが、似たような商品で『おきたくん』がある。

患者の寝ている背中の部分に横に敷いて、 患者が起き上がるとセンサーが作動 する仕組みである。

ところが、感度が良すぎるのか寝返りをするだけでセンサーが鳴り、慌てて部屋に行くとグッスリ寝ている…という状況である。
しかし、10分おきのタイマーでせっかく盛り上がったほかの患者との話を断ち切られることはない。


常に誰かが側にいてくれないとダメな患者である。
こんなふうに病状が悪化する前も 常に妻が側にいて見守っていたのだ。
最近はこの患者の娘がお産のために帰省しており、心配した妻が娘に付き添っているため
病院には短時間しかいられなくなってしまった。
起き上がり妻を呼びながらまた倒れる…。
彼はそれを繰り返しながら徐々に呼吸状態も悪化してきている。

妻は彼に付き添うべきか、娘に付き添うべきか悩みながら病院と自宅を往復しているのだ。
『おきたくん』が設置されてからは 壁で頭を打ったりベッド柵で顔を打ったりという事故は防止できるようになったが、そのぶんわたしたちが訪室する機会が減ってしまった。

時々、そ~っと部屋を覗くと『 おかあさんなの と まともに開かない目をこちらに向けながら起き上がろうとする。
おそらく彼には自分の娘がお産で帰ってきていることすら理解できていないだろう。
彼がこの状態になってから3週間、娘のお産の予定日が過ぎてまもなく2週間になる。
彼の妻は  『お父さんと入れ替わりになっちゃうのかな…』 とわたしたちに話したりもする。

この彼については以前も『 天国から追い返された男 』で話題に出したことがあった。そう、天国でみのもんたに出会った彼である。
現在はそんな話もできず、空中を掴むような仕草をしたり、うわごとのように妻を呼ぶだけになってしまった。

本当は 『おきたくん』 など使わずに側にいてあげられたらBESTなのだろう。
わたしたちにはそんな不穏な姿しか見せない彼だが、数時間だけ病院にやってくる妻には独り言のようにつぶやいたという。
『俺、逝く日 決めたから』
妻が『何?どこへ?』と聞き返すと安心したように眠ったとのことだった。

『そう言うのよ。驚いちゃった』と笑顔で言う妻は
わたしたちよりも冷静に逝く命と生まれ来る命を見つめているような気がする。






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最終更新日  Jan 29, 2007 02:50:45 PM コメント(4) | コメントを書く


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