タ行(高野和明 他)


高沢 皓司

『宿命』-「よど号」亡命者たちの秘密工作 

【内容】
1970年3月末、赤軍派メンバー9人が日航機をハイジャックし、
北朝鮮へ亡命した「よど号」事件。謎に包まれた犯人たちの
その後の人生とは。犯行の計画、北朝鮮の思想教育、日本人拉致
の実態、そして日本潜入工作-。恐るべき国際謀略の尖兵と化し、
世界を舞台に暗躍した彼らの秘密工作の全貌を丹念な取材で初めて
明らかにした衝撃のルポルタージュ。
講談社ノンフィクション賞受賞。 (「BOOK」データベースより)


「よど号事件」と言っても、お若い方はご存知ないかも?
1970年3月、赤軍派メンバー9人が日航機をハイジャックし、
北朝鮮へ亡命した事件です。
彼らが、いかにして洗脳され、拉致事件にかかわっていったか
・・・文庫なのに非常な厚さですが、とても読みやすいので、
スラスラと読めます。

拉致問題の裏側、そこに繋がる歴史などなど、少々、感情的な
部分も見え隠れしますが、かなり良心的なバランス感覚のある
ルポルタージュだと思います。
もちろん、かの国の闇の部分は、こんな程度では治まらず、
もっともっと奥深いのでしょうが・・・

「知らない」で済ませることは簡単かもしれません。
でも、たまには「知る」という怖さを味わってみることも
必要かも?

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高野和明

『13階段』

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犯行時刻の記憶を失った死刑囚。その冤罪を晴らすべく、
刑務官・南郷は、前科を背負った青年・三上と共に調査を始める。
だが手掛かりは、死刑囚の脳裏に甦った「階段」の記憶のみ。
処刑までに残された時間はわずかしかない。二人は、無実の男の
命を救うことができるのか。江戸川乱歩賞史上に燦然と輝く傑作長編。
(裏表紙より)
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南郷と三上、それぞれの苦悩を絡めながら、新事実へと迫って
いく展開は、とても巧みで、一気に読んでしまいました。

「死刑台の階段の数」が13階段、ということは皆さんご存知
ですよね?
でも「死刑が執行されるためには13段階の手続きを踏まねば
ならない」、この点はご存知でした?
私は全く知りませんでした。

そのほか、死刑制度やその法律の仕組み、刑務官の仕事内容など
など、死刑に関する様々な仕組みに関しても、これまで知らなか
っただけに、とても興味深く読めました。

絡んだ糸を暴くスピード感ある展開も素晴らしく魅力的!
そして、それ以上に、犯罪を犯した者、犯罪を裁く者、両者の
苦悩の深さが胸に迫ってきます。

久々に「いい作家を見~つけた☆ 」と思えた本でした。
01年に本書で江戸川乱歩賞を受賞ということだから、まだまだ
これからの作家さんかな?
今後に期待です♪

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『グレイヴディッガー』

【内容】
中世の魔女裁判期に登場した殺人鬼「グレイヴディッガー(=墓堀人)」
をまねた大量殺人事件が発生した。煮えたぎった浴槽に浮かぶ変死体。
偶然にもそれを発見してしまった主人公・八神は、謎の集団に追われる
ことになる。今までの悪行をかえりみて挑もうとしている、人生初の人助け
「骨髄提供」を全うするため、八神は逃げる。カルト集団や公安警察の手
をかいくぐっての逃亡劇。はたして無事病院にたどり着けるのか…。(amazonレビューより)



「13階段」が予想以上の面白さだったので、今作も・・・
と期待したんですが、その期待を裏切らない面白さ!!
抜群のスピード感でページを繰る手が止まらず、最後の最後まで
のめりこんで読んでしまいました。
まさしくノンストップノベル☆彡

『13階段』も面白かったですが、これも素晴らしい出来映えです。
「魔女狩り」をモチーフとして目をつけるなんて、斬新だし、
骨髄移植のドナー問題をからませたり、と目新しさも盛りだくさん!
主人公の逃走劇は、まるで映画を観てるような鮮やかな展開で、
わくわくしてしまいました。

途中、「公安」や政治家の扱いかたなどが少々類型的という点が
目に付きましたがも、そんな瑣末なことは気にせず、とにかく
一気に読むべし~♪(^^)/

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出久根達郎

『本を旅する』 

【内容】
与謝野晶子と誤植、川上眉山と樋口一葉とその妹、有島武郎と親友足助素一
、ボースと中村屋相馬夫妻…。『中日新聞』『東京新聞』連載エッセイ
「書物浪漫」を一冊に。本の世界をどこまでも遡る234篇の旅。
(「MARC」データベースより)


本を旅する、というタイトルどおり、つぎつぎに繰り広げられる文学者の
エピソードが圧巻~☆
まさしく「うんちく」の山!!
これを全部、暗記できれば、「あ、そうそう、樋口一葉と半井桃水の2人がね
・・・・云々」と会話のはしばしにサラリと薀蓄を散りばめたり出来るのにな~(笑)
悲しいかな、読むはしから忘れていく私には、そんな芸当は出来ないけど、
興味深いエピソードに沢山出会えて楽しい一冊でした♪

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天童荒太

『家族狩り』


「幻世の祈り」「遭難者の夢」「贈られた手」「巡礼者たち」
「まだ遠い光」の五部作ですが、本棚には1,2,3部しか並んで
なかったので、とりあえず3冊だけしか読んでません^^;

「幼児虐待」や「不登校」「ひきこもり」「家庭内暴力」などなど、
現在社会に多発する問題が次々と浮き彫りにされ、そこで
描かれる家族崩壊や心の歪みに触れるたびに、心が
キシキシと音をたてて痛みます(x_x)

天童荒太氏の「永遠の仔」を読んだ後も、しばらくの間、
灰色に染まった自分の心をもてあまし、心沈んだのを
覚えています。

4,5部と続いて、一体どんな結末になるのやら?

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