いつまでも空を見上げていたい

いつまでも空を見上げていたい

大人の仲間入り



大人の仲間入り 




20歳の誕生日を迎えることがどんなに待ち遠しかっただろうか

小さい頃から母の口癖は


「二十歳になるまでは親の責任」


自分で精一杯の背伸びをしても所詮『未成年』でしかない

10歳の頃から母子家庭で育った私は

この二十歳を迎えることに意味を成した

やっと大人の仲間入りが出来ると思うと

妙に嬉しく東京から実家のある岡山に戻った

そして成人式には七五三以来の着物を着た

「着物きたいけど高いからレンタルにする」

といっていた私に中古ものの着物を用意してくれ

帯は母のお下がりを付けた

「着物を着る機会はこの先ないかもしれないから」

母は強がりを言ってあまり甘えたことのない私を暖かく迎えてくれた

他に足りないものは知人に借り

数年ぶりに旧友と成人の喜びをかみ締めた

そして母やお世話になった人に心から感謝した

「これまで育ててくれて本当にどうもありがとう」




この年私は看護学校を卒業をした

看護師国家試験も受けた

進学のために学校を受験したが縁がなかったようで

このまま関東に残るか岡山に戻るか悩んでいた

その状況下で母はいう

「貴方の好きな道を歩みなさい」
「辛かったらいつでも戻って来なさい」

母は強しなんだな

悩んだ挙句 実家には戻らずしばらく新天地で就職することにした

公務員(病院)試験を受けて就職先が決まった


随分といろんな出来事を経て大人を迎えた

登校拒否をしたのは保育園デビュー

誰も理解してくれる人なんていないと嘆くこと数千回

兄と喧嘩をして病院にいくこと

父との別れ

転校・引越し・寮生活

祖父の死

そして 何度家出をしたかわからない

親や教師に反抗することで気持ちのやり場を見つけ

勉強する意味なんてないと思ったり

人の心を平気で傷つけてきたり・・・



どれも私の通過点でしかないけれど

大切な通過点だったと思う


『もう二十歳になったんだから もっとしっかりしなくちゃ』

そう思える大人の仲間入りができたと思う

自分を支えてくれるものがあるとしたら

それは過去の辛かった日々

でもそれ以上に頑張っている人達に囲まれたこと

それがずっとずっと心の支え


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