いつまでも空を見上げていたい

いつまでも空を見上げていたい

七転び八起き




 七転び八起き




助産師になると決めてから仕事の合間をぬって

通信教育で受験勉強をした

実践現場で学んだことの理論付け

本と照合する作業を丁寧にこなした

疑問が出れば何度も本をめくり

それでも分からないことは周囲の先輩や医師達に確認をした


私は傲慢な人間なのかもしれない


陰ながら応援してくれる仲間や家族が

帰りを待っていてくれているにも関わらず

その年も実家に帰ることはなかった

盆暮れ正月の担当を積極的にかってでた

意地もあったし 寂しさに負けたくはなかった

何よりも泣きべそをかいている姿を見られたくなかった


「夢を手に入れることは自分を変えること」


この年 自分の道を選ぶことと引き換えに

切ないお別れがやってきた

「これ以上 待てない」

人生を選ぶということは

同時に大切なものを失う覚悟が必要だった


その他にも新人時代で学んだ苦い体験

「いじめ」「嫉妬」は大人になってもあるということ

アホみたいに私へ時間を割いてくれていただけに

そんなヘンピな当直メンバーにあたると神経10倍磨り減った

ご飯も食べることなく 倒れ込むように布団に包まれる

その繰り返しのなかで鍛えられた忍耐力

座右の銘は 「七転び八起き」


反面教師という言葉があるように 全ての人が師になりえる

私にはきっと必要な存在だったに違いない

悔しさの数だけ進学への気持ちが強くなり

応援してくれた仲間の写真を並べて頑張った

励ましの手紙を何度も何度も読み返し

長距離電話の声に心底励まされた

涙目のまま5階から見上げる夜空が少しだけ近かった

「上を目指して歩いていこう」

私の心に刻まれたこと


夢は挫けそうな毎日を支えてくれる 

魔法のおまじない




続く


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