私の沼

私の沼

たぬき










         楽しいはずの
         デートの帰り

         彼が
         たぬきを轢く

         たぬきはこげ茶と黒が入り混じった体毛で
         牙はするどく体長70センチくらい

         道路の真ん中で横たわるたぬき

         たぬきは息をしていないので
         ちゃんと死んでいるらしい

         たぬきが可哀相だと
         わたしが泣くと

         彼は無言で
         たぬきを車に乗せた

         トランクだけど

         山の中で
         わたしたちが何をしていたのか
         それは
         ひみつだ

         たぬきはあのあと
         立派な剥製になって
         おじいちゃんのうちに置いてある

         彼とはずっと前に
         別れてしまったけれど
         たぬきはまだまだ
         現役だ





















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