幕張本郷の小さなフレンチレストラン   サンク・オ・ピエのオーナーシェフ、中村雅信の日記ページ

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Feb 3, 2023
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カテゴリ: シェフの雑記帳



  ウサギのモモ肉は腰のところから骨ごと肉用のノコギリで切り離したものをそれぞれ左右の足にまたノコギリで骨ごと切ってあるので、骨盤の一部とか尾骨などもついてます。焼く前に骨盤や尾骨は切り離して、大腿骨とスネの骨だけが入った状態にしてから焼きます。ちょっと多めのバターで、いろいろと向きを変えながら、バターがほんのり焦げるくらいの火加減ですから、弱めの中火くらいかと、、。外した骨も鍋に入れて一緒に焼きます。側面を焼くときとか肉の座りが悪いときのつっかえ棒的にも使えるので、外した骨盤は必ず鍋に入れるんです。
  それで、内部の骨のあたりまで熱が伝わったら、肉を出して温かいところで休ませます。余熱でじっくり火を入れていくんですね。鍋から出してすぐに切ったら、まだレアすぎて食えません。ウサギは白身肉だから、鶏の胸とかささ身に近い感じなので、レアはダメね。
 肉を取り出したら、鍋のバターを捨てて、鍋にこびりついている香ばしい肉汁を水で溶かします。デグラッセって言います。ちょっと多めに水を入れて骨盤の骨を一緒に煮込んで少しでも旨味の足しにします。これだけでも結構美味しい肉汁なんですが、そこに仔牛の骨と鶏ガラで取った出汁も入れて煮詰めて、最後バターを少し入れて仕上げたソースです。盛り付けるときに、すね肉は骨ごと切り離してお皿の左に立てて、太もものところは開いて大腿骨を外してから元の形の戻してカットして盛り付けます。外した骨がほんのりピンク色位が理想的焼き上がりですね。 
 脱兎のごとくとか言いますが、ウサギは小動物ながら、たぶんウサイン・ボルトより速く走りますからね。その足の筋肉ですから、焼きすぎるとガチガチでしかも脂がないから、ボソボソになりますよ。ほぼ完ぺきに焼き上げた時だけ美味しく食えます。
 とてもコラーゲンが多い肉なので、ウサギを白ワインでくたくたに煮込んで、肉をほぐして煮汁ごと煮凝りに固める料理のウサギの白ワインゼリー寄せは、フランスではよく出される前菜です。

 ウサギ年なんで、断続的にやっていく予定です。

 日本では、ウサギの料理は珍しいはずなのに、けっこうよく出ていますよ。うちのマダムも「ウサギ出るね~~」といって驚いてます。食べた方はもれなく美味しいと言ってますけどね。





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Last updated  Feb 3, 2023 01:47:29 PM


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madame-H@ キッシュに入れてます。 相かわらず、手間のかかるスープを楽しん…
ゆり777 @ こんにちは。 美味しそうですね~。 チキンがジュージ…
おかめ@ Re:食べる姿(10/31) なるほど!私も無粋な行為をしていた一人…
mermerada @ はじめまして! エスカルゴは好きで、メニューに有ると頼…
福島@ ソーモン う、うまそうですねーーー! 思わず涎が…

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