元普通のサラリーマン11年。青年起業家の挑戦と心がけ

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2003.08.20
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今日は、少し趣向を変えて、古典文学の名文をここにメモしてみたいと思います。
私は、かなり古典は好きでした。特にこの方丈記冒頭は音として印象深かったんですが、意味も深いですねえ。。。

[原文]

ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。
よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。
世の中にある人と栖と、またかくのごとし。
たましきの都のうちに、棟を並ベ、甍を争ヘる、高き卑しき人のすまひは、
世々を経て尽きせぬものなれど、これをまことかと尋ぬれば、昔ありし家はまれなり。
あるいは去年焼けて今年作れり。

住む人もこれに同じ。
所もかはらず、人も多かれど、いにしへ見し人は二三十人が中に、わづかに一人二人なり。
朝に死に、夕に生るるならひ、ただ水の泡にぞ似たりける。
知らず、生れ死ぬる人、いづかたより来りて、いづかたヘか去る。
またしらず、仮の宿り、誰が為にか心を悩まし、何によりてか目を喜ばしむる。
その主とすみかと、無常を争ふさま、いはば朝顔の露に異ならず。
あるいは露落ちて花残れり。
残るといヘども、朝日に枯れぬ。
あるいは花しぼみて露なほ消えず。
消えずといヘども、夕を待つ事なし。 

[現在文]


淀みに浮かぶ水泡は、消えたり新たに出来たり、一つの泡が長く留まるという例はない。
世の中に住む人と、その住処とは、流れや泡と同じである。
美しい都の中で、屋根を並べ、瓦の美を競っている、身分高い人の住居も身分低い人の住居も、
いつの時代にも尽きることのないが、それは真かと思い調べると、昔もそこにあった家は希である。
或家は去年火災に遭い今年新築された。

都に住む人も住居の場合と同じだ。
場所も変わらず。人も多いけれども、昔会った人は二、三十人の中に、僅かに一人二人である。
朝、誰かが死に、夕べに誰かが生まれるという習わしは、ちょうど水の泡にも似ていることだ。
私にはわからない、生まれる人や死ぬ人が、どこから来て、どこへ去って行くのかが。
また私にはわからない。仮の世の仮の宿りを、誰のために心を悩まし、何の理由で目を楽しませようというのか。
その主(人)とすみか(住居)とが、滅びるのを争うようすは、例えて言えば朝顔の露と同じだ。
ある時は露が落ちても花が残っている。
残っていると言っても、やがて朝日に枯れてしまう。
ある時は花が凋んで露がなお残る。
消えず残るといっても、夕べまで残ることはない。

[解説]

1212年(建暦2)の3月30日、日野山の草庵で隠遁生活を送る鴨長明が「方丈記」を完成させた。
「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」という、無常観を吐露した冒頭で知られる、
流麗な和漢混淆文で書かれており「枕草子」「徒然草」と並んで、日本三大随筆と呼ばれることがある。

 400字詰めの原稿用紙に換算すると、20枚程度の短編だそうだが「枕草子」や「徒然草」とは異なり、
整然とした構成を持つことでも知られている。
まず、長明が体験した5つの災厄が語られる。安元3年(1177)の大火、治承4年(1180)の竜巻、同じく治承4年に
平清盛が行った福原遷都、養和年間(1181~82)の大飢饉、元暦2年(1185)の大地震である。

 こうした記述により、この世の無常、そして社会の混乱の影響から自由ではない、人の命のはかなさを語った後、
長明は自分自身の零落の人生を回顧していく。そして、隠遁生活を送るようになった日野山の庵で、かえって世俗
の煩わしさから逃れ、自由な気持ちで暮らせることが賞賛される。

 ここで終われば、よくある展開なのだろうが、長明はそんな自分自身をも突き放す。安息の地である草庵に執着
すること自体が、仏教的な往生への妨げとなっているのではないか、と自分自身のありかたを否定し、最後は自らの
問いに答えることなく「不請(ふしょう)の阿弥陀仏」と唱えて終わる。

 鴨長明は1155年(久寿2)頃、京都下鴨神社の禰宜だった長継の息子として生まれた。父親は下鴨神社の最高の神官
を務めた人だったが、長明が10代の終わりを迎えるころに、35歳ほどの若さで亡くなってしまった。
幼い頃は恵まれた境遇にあった長明だが、それ以後、紆余曲折の多い人生を歩むことになる。

 やがてその芸術的才能で頭角を現し、歌人として活躍を始めた。1201年(建仁1)には、後鳥羽院が新古今集の編纂
のために再興した、和歌所の寄人(よりうど)に任命された。長明の熱心な仕事ぶりに好感を抱いた後鳥羽院は、彼の
父長継がかつて務めた、下鴨神社河合社の神官に任じようとした。

 ところが、同族の鴨祐兼の反対にあって、父と同じ禰宜となる、という長明の夢は破られてしまう。彼が出家して世
を捨てたのはその直後、1204年(元久1)ごろのことだという。







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Last updated  2005.07.25 23:05:07
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