Just the way you are

 Just the way you are

2006.12.10
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マリインスキーバレエ
 「白鳥の湖」 3幕4場

音楽:ピョートル・I・チャイコフスキー
振付:マリウス・プティパ、レフ・イワーノフ
改訂振付:コンスタンチン・セルゲーエフ

東京文化会館  大ホール
開演  12:00

<主要キャスト>
オデット/オディール:ヴィクトリア・テリョーシキナ

王妃(王子の母):エレーナ・バジェーノワ
家庭教師:ピョートル・スタシューナス
道化:アンドレイ・イワーノフ
ロットバルト:マキシム・チャシチェゴーロフ
王子の友人:ダリア・スホルーコワ/オレシア・ノーヴィコワ/マキシム・ジュージン


 今年、テリョーシキナはペルミ国際バレエ・コンクールで金賞、サラファーノフはブノワ・ド・ラ・ダンス賞を授与されるなど、実力的にはお墨付きのダンサーだ。今後、さらに国際的な活躍が期待されることでしょう。
昨年あたりから「若いのに凄い」と噂のテリョーシキナは、先日初見で「確かに」と納得し、サラファーノフも昨年の新国立劇場 「くるみ割り人形」 で、柔軟性に溢れる踊りが印象に残ったので、とても楽しみ!でも、パンフレットのプロフィールによると、2人ともまだプリンシパルではないのね。

 先に結論的な感想を言ってしまいますが、
テリョーシキナ白鳥×サラファーノフ王子には、愛がありました。
王子の立場からいえば、王妃(母)や家臣達に庇護されているがゆえに、精神的に幼く自立できない王子が、生まれてはじめて「自分の命を懸けて守りたい」ものに出会った喜び(…その対象は、人間の娘でなくとも、鳥でも動物でも良いわけです…)に目覚め、愛の力でオデット姫を救う。そんなストーリー。

外見的に可憐とは言いがたいテリョーシキナの”貫禄”と、まだまだお妃選びをする年齢には見えないサラファーノフの”幼さ”(顔、スタイルともに)が、私にそのようなストーリーを連想させたのです。自分の中で「白鳥の湖は、こうあるべき」と、イメージが出来上がっている人には、このキャストは辛かったかもしれません。


簡単なレポを織り交ぜた、場面ごとの感想を。(すみません。長いです)
<第1幕>
第1場
王子の誕生日を鵜祝う宴。舞台上手奥から、弾けるような跳躍で王子登場。爽やかな笑顔が金髪に映えて眩しい。まだ幼い、少年王子。(とても嫁取りする年齢には見えない)
楽しそうに皆と踊る王子。女友だちから、頭に花輪を被せられても嬉しそう。まだまだ、屈託なく遊びたい盛りなんだね。


あっという間に日が暮れて、人々が去ってゆく。急にメランコリックな気分に襲われる王子。クロスボウを持って森へ出かける。宴の場で王妃から結婚話を告げられ、躊躇する場面があると(なかったよね?)、王子の心理描写に深みが出るのにな…と思う。

パ・ド・トロワは見ごたえあり。スホールコワとノーヴィコワの軽やかで優美なこと!
トロワのお手本を見ているようだった。ブラヴォー。
道化のイワーノフは、回転と跳躍で超絶技巧を見せ、会場がおおいに湧く。どちらかと言えば、ムチムチ系の身体なのに、凄い。とても嬉しそうにしていたのが印象的。

第2場
森。
湖面をすべるように白鳥が現れる。(なかなか良く出来た”ハリボテ”です)
ロットバルトの登場。白鳥は、ロットバルトに姿を変えられた娘たち。王子がやってくる気配を感じ、ロットバルトは姿を消す。しばらくして、一羽の白鳥が現れる。よく見ると頭に冠が…。王子は、クロスボウで狙いを定め打とうとするが…「はっ」と驚き、物陰に身をひそめる。白鳥が、人間に姿を変えてゆくではないか…!

オデット登場。
テリョーシキナのオデットは、優雅で大きい動きが鳥っぽい。
白鳥に姿を変えさせられ、一生このまま人間に戻れない我が身の 呪い 哀しみにあふれた表情。
「僕は、夢を見ているのか…?」と、訝しげに白鳥に近づく王子に気づき、驚いて逃げるというよりは、「こんな私を見ないで!」と嫌がっているよう。

夜だけ「人間の姿に戻れる」とはいえ、王子と出会った時、おそらく「半獣(鳥)・半人」に近い姿ではないでしょうか。(人間→鳥人→鳥)そう考えると、無理なくストーリーが理解できます。普通はそんなこと、いちいち考えて観ない人の方が多いと思うけれど。

群舞。
美しいダンサーの優美な群舞を堪能しました。メソッドと容姿がこれだけ揃うと、さすがですね。小さな白鳥、大きな白鳥には、実力のあるダンサーがキャスティングされており、見ごたえ充分。そんな中でも、やはりイリーナ・ゴールプ(小)やアリーナ・ソーモワ(大)、エカテリーナ・オスモールキナ(大)に目が行きました。日本のバレエ団なら充分に主役で客演ができますよね。

主役の2人は、グラン・アダージョからコーダに至るまでの間、オデット×王子の「愛」の世界を創り上げていた(と思う)。悲しみにくれるオデットが、王子の情熱に打たれ「あなたの愛を信じます」と、心を開くさまが手に取るように伝わってきた。

<第2幕>

宮廷。王子の妃選びの宴。
花嫁候補たちが登場るするが、全く興味を示さない王子。見かねた王妃に、「ほら、何をしているの。踊りなさい」と、すすめられ、仕方なく踊るが、オデット姫との愛を誓った王子は、終始浮かない表情。
王妃に、「どの姫をお気に召して?」と聞かれ、「誰とも結婚しません」と拒否。

ファンファーレが鳴り、ロットバルト伯爵と娘のオディールが登場。
オディールを一目見た王子は、驚きと喜びの表情に。王子に挑発的に微笑むオディール。
テリョーシキナのオディールは、もっとワルで毒っぽいかと想像していたけれど、それほどでもなく、気品があった。(衣裳は地味目?ほぼ”真っ黒”な印象で…カラスぽい?)

キャラクターダンスの時間。スペイン、ナポリ、ハンガリー、マズルカ。
スペインの女性ダンサーが、最後キメポーズを含め何度も驚異の”のけぞり”を見せた。背筋力が強そう。
6人いた花嫁候補が、キャラクターダンスの前に1人退場して5人になっていた。キャラダンに出てる…としたら、ローテーションが大変ね。

さて、本日の最大の見せ場。オディールと王子のパ・ド・ドゥ。
白鳥の時は、丁寧に~優雅に~踊っている印象だったテリョーシキナ。黒鳥では、華麗に超絶技巧を披露。
手足が長いので、それだけで迫力がある。サポート付きピルエットの回転速度の速いこと!
しかも技の最中も真顔にならず、不敵な笑みで王子を挑発する余裕。素晴らしい。

窓の外に、宴の様子を見に来たオデットが現れるが、ロットバルトの魔法にかき消される。

王子のソロは、 「この子ったら、可愛い顔して凄いじゃないの!」 と、おばさん心丸出し(爆)で楽しんでしまったわ。高く、柔らかい跳躍にうっとりさせてもらったと思えば、驚異のトゥール・ザンレール連続。
ザンレール×2の組み合わせを4回連続でやったのだ。計8回。(普通は4回なので、倍!)
ザンレールの着地後、半呼吸も置かずにもう1回…だけでも凄いのに。ここまでやる人を初めて見た。
ブラヴォー。

オディールのソロ。手足が長いので、見栄えがする。

コーダ。サラファーノフは、笑顔で軽やか~にマネージュ。よく回り、よく跳び。
オディールのグラン・フェッテ(黒鳥の32回転)が、また凄くて。ほぼ、ダブル、シングル×2、腕をアン・オーに上げてアラスゴンドでゆったり1回転という、変則コンビネーションで、回りきった。これも初めて見た。
ブラヴォー。

すっかり騙されて「愛する姫にまた逢えた!」と喜ぶ王子は、花束をオディールに捧げる。ロットバルトは2人を引き離し、「結婚を誓え」と迫る。誓う王子…次の瞬間、オデットの幻影が現れ、騙されたことを悟る王子。
花束を投げつけ、走り去るロットバルトとオディール。追う王子。ショックで気を失う王妃。

<第3幕>
湖の畔で、オデットの帰りを待つ白鳥たち。叙情的でゆったりした曲。
王子の裏切りを知り、悲しみにくれるオデットが帰ってくる。ロットバルトが登場。雷鳴。「もはやお前達は人間には戻れないのだ!」と、白鳥たちを威圧する。弱ったオデットを振り回す。

王子がやって来る。愛するオデットをやっと探し出すが、自分の裏切りに憔悴し弱っている。オデットをやさしく抱き起こす王子。
再びロットバルトが、オデットから王子を引き離そうとするが、オデットが「王子様には触れさせません」と守る。(毅然としたオデット姫が素敵だわ~)愛の力に、ロットバルトの力が弱まってゆく。
王子とロットバルトの闘い。
王子は、ロットバルトの羽根をもぎ取り、ロットバルトは死ぬ。愛の勝利。
夜明けの湖畔で、手を取りあい寄り添う2人。






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Last updated  2006.12.15 15:24:58
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