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カテゴリ: 興味
雇用者側の思惑で、政治家と官僚に圧力がかけられ、安部政権は国民の大多数である被雇用者の反対を尻目に、ホワイトカラーエグゼンプションの導入を進めようとしています。

専門家である労基署の職員の実に60%が反対しているにも関わらず…です。


興味をもって、いろいろ調べていたとき、ある掲示板に寄せられた公務員のつぶやきを見て、深く考えさせられました。

以下、その方のプライバシーに配慮し、文意を変えない範囲で紹介します。





私は某地方自治体で働く40代の公務員です。

もともと、私は薬学部を卒業し、大学で博士号を修得し、上場製薬企業に研究員として勤めていました。

大学時代の論文が評価され、会社では有望な新薬の研究チームに配属されました。

私なりに努力し、先輩らに恵まれ、運良く有意義なデータを出すことができ、我々のチームは新薬の上市に貢献することができました。



父は私が学生の時他界しており、兄弟はおらず、田舎の親戚も遠戚ばかりです。

悩みましたが、妻の勧めとまだ子供がいなかったこともあり、田舎に戻り、母の看病をしながら別の仕事をすることにしました。

その時、私は34歳。

私の田舎の県には製薬企業はなく、また急いで仕事を探す必要もあり、年齢制限ギリギリの公務員の道を選びました。

こうして公務員として働き初めて、私は製薬会社時代には知らなかった医療職公務員の現実を知ることになりました。


公立病院の薬剤師、県立研究所の研究員などについては予備知識もありました。

しかし、ワーカーとして福祉分野。
健康に関連して保健分野。
薬剤師免許が必要な医事・薬事分野、公衆衛生分野。
さまざまな分野で薬剤師は働きます。

調剤だけ、研究員だけの業務をやるのであれば、その道の専門家になればいいのでなんとかなります。



しかし、公務員として、まったく別の分野を2~5年のサイクルで周り、180度違う知識や技能を短期で習得するのは至難の業です。

それでも、住民の方にとって、組織にとって私はプロ、専門家。
遅くとも、半年でなんとか使い物になり、一年で独り立ちできなければなりません。

県庁勤めのときは、行政職兼薬剤師のような立場として、医療、福祉などに関する法律のプロとして働きました。
患者さんや業者さんの相談にのったり、助言をするため、専門分野だけでなく、民法や商法の知識も勉強しました。





最初のころは「薬剤師なのに、なぜこんな異分野の仕事を…」と思っていました。

しかし、最近になって「薬剤師」ではなく「公務員」として働いているのだと、ようやく理解してきたところです。

公務員はいろんな仕事をプロとしてこなすのが本領ですから、そのような考え方は未熟だったのです。



やがて数年後、母が亡くなると、こんどは自分の家庭のことを考えるようになりました。
あと三万円、いや二万円あれば、、と家計について妻と語る日が続きました。

年収は、製薬会社時代の半分近くにまで激減していました。


自分も仕事人である以上、せめて仕事に応じた評価をされたい。

公正・適正な評価であれば、たとえ今が低評価でも努力して評価を上げればいい。


しかし、公務員には民間企業出身の私には、理解しがたい独特の構造がありました。

医療職はどんなに努力しても貢献しても、昇進や給与に反映されないのです。


薬剤師免許を持つ私は医療職に分類されます。

公務員には大きく三つあって、一般行政職(事務職)、現業職、医療職です。

この中で、一般職が最も多く、現業職がそれに続きます。医療職はごくごく少数です。

私の所では一般職:現業職:医療職=7:3:0.1ぐらいの割合です。


よく、官民の給与比較で持ち出されるのは、一般職の給与です。

不景気で給与が、ここ5年ほど、官民均衡のための一般職給与の引き下げが行われました。

では、私たち薬剤師の給与はどうかというと、実にずさんな改訂が行われてきたのです。

一般職の給与は詳細に分析され、民間企業と均衡をはかるため、毎年2%前後引き下げられてきました。

しかし、そもそも5年前の時点で、われわれ薬剤師の給与は、民間薬剤師よりも、初任給で2万円、係長格で4万円も低かったのです。

しかし、給与勧告では、医療職の給与実態は分析すらされず
「一般職との均衡を考慮し引き下げ」
とだけ書かれて続けてきました。

毎年、一般職と同じ2%程度の医療職給引き下げ。
民間薬剤師との格差はますます広がっていきました。

私のところでは薬剤師の初任給は17万円台です。
諸手当を含めてもようやく18万円台でしょう。
一方、総務省の調べでは、民間薬剤師の初任給は21万円弱です。
どの自治体でも似たり寄ったりだと思います。

公僕ですから民間の方より給与が多少安くても仕方がないと思います。
ですが、仕事の内容や、民間との均衡を全く考慮しない給与改定で、生活が圧迫されるのはあまりに不条理。

そこで、労働組合に訴えましたが「医療職は人が少ない。組合費の割合も少ない」と跳ね返されました。

公務員の労働組合は、現業職が中心です。現業職はほぼ100%組合員です。

現業職は、ゴミ収集、給食など、民間委託を比較的しやすい業務を行う仕事です。

なので、組合活動を通じて、業務を民間委託しないよう公である必要性をアピールしたり、給与が引き下げられないよう団結したりします。

彼らも生活者であるし、今の生活を守りたいのは理解できます。

ですが、同じ組合員なのに、少数派は無視して、現業職と一般職の待遇ばかり議論することは納得できません。



さらに、医療職は医師を除いて、昇進が明らかに一般職より不利でした。

一般職が30歳で主任、45歳で係長格になるとすれば、医療職は35歳で主任、50代でやっと係長格です。

医療職は、役職と同時に、一般職との給与格差も広がるばかりです。

さらに医療職はポストも限られています。

驚かれるかもしれませんが、今の「薬務課長」は文系大学卒の一般職です。

彼は薬のことも、医学のことも、医薬業界のことも全く知りません。
そればかりか、語学系学科出身なので、法律にも強くありません。

そして我々を残して定時きっかりに帰ります。

この素人同然の課長をフォローするため、係長格の私やヒラの薬剤師達がどれだけ苦労したことか…。
薬学や法律の専門家が上司だったら、と何度思ったことでしょう。


このような奇妙な人事の背景として、限られた人件費を、一般職に優遇したいという、自らも一般職の人事課の思惑があります。

一方、現業職は労働組合で数にものをいわせて、固く給与を維持しています。
なので、こちらはなかなかメスを入れられません。
実際、現業職だけ給与引き下げが行われなかったという年もありました。

こうして、給与の適正化という議論を全く抜きにした「駆け引き」「取引」で一部の専門職の待遇が悪化するばかりです。


その結果、新卒の若い薬剤師は2,3年でこの構造とあまりの多忙に嫌気がさし、多くが民間の薬局や病院、企業に再就職していきます。

特に女性薬剤師は、結婚や出産を機にかなりの数が辞め、薬局などに転職していきます。

残った者は、人員不足で毎日残業をして、かろうじて業務をまわしつつ、新しい職員を育てますが、やっと育ったと思ったら辞められてしまう、という悪循環が続いています。


私は少子高齢化を非常に憂慮しており、フェミニズムではなく、日本の国力低下を防ぐために、働く女性が安心でき、たくさんの子供がすくすくと育つ社会制度を望んでいます。

そのため、出産を待つ女性職員には出産・育児休暇をしっかり取ってほしいのですが(もちろん男性職員にも)、職場の苦しい台所事情を知っている彼女たちは、臨月ギリギリまで働き、育児休暇もろくに取らず、過酷な職場にもどってきてしまいます。

一般職では代わりがきかない仕事をするため、専門職の確保が難しく、人員補充もままなりません。

これでは、子供のためにも、自治体のためにもなりません。


一般職、現業職の方も楽な方ばかりではなく、もちろん大変なお仕事をされている部署もあるのですが、全体的に見ると、このようなケースが日常化しているとまで酷くはないようです。


一部マスコミの偏った報道により、多くの方々が、公務員は楽で高給与と思われていることと思います。

しかし、医療職については、そのようなことはないと、感情を逆撫ですることを承知で発言したいと思います。

私は貧しい家庭に生まれ、父を早くに無くしましたので、大学も浪人してまで国公立に行き、奨学金をもらいながら沢山のバイトをかけもちしてきました。
スーパーのレジ、工事現場、居酒屋、パン工場、家庭教師、そして高校生の時から7年間続けた新聞配達・・・どれもとても良い経験でした。

社会人になってからは、「民間企業」のサラリーマンをやりました。

それらの経験をふまえても、今の仕事は決して楽でも、好待遇でもありません。

愚痴になってしまいますが、年齢のことがなければ、生活費のためにもっとまともな一般企業に勤められたらと、ふと思うこともあります。



ですが、意外に思われるかもしれませんが、私はこの仕事が好きです。

というより、やり甲斐をもっています。


薬事分野を担当していたとき、ある業者さんにかなり厳しい指導をしなければならないことがありました。

その業者さんは、悪意があってそうしていたわけではなく、ただ、ちょっと法に疎かったため、間違いを犯してしまっていた、ある種気の毒な業者さんでした。

しかし、放置しておけば、地域の健康を守るという私たちの本分が果たせません。

私はかなり厳しい指導結果を通知ました。

指導が終わり、緊迫した空気の中、改善のための相談を行っているとき、それまでほとんど口を開かなかった社長さんがおっしゃいました。

「俺はお役人が大嫌いだ。 だが、あんたは信用しよう。」

不覚にも目頭が熱くなり、ぽろぽろと涙が出てきました。

ずっとこの言葉を待っていた。

この言葉を聞きたくて、今までのこと・・・公務員というだけで罵られたり、無理難題を押しつけられたり、不平等な待遇にも我慢してきたのだと思いました。



今、ちょっと体を壊して先月入院してしまいました。
ストレス性と診断され、精神の薬を飲んでいます。

ですが、家族と頼もしい部下に支えられて、想像以上に早く職場復帰することができました。
ちょっと痩せましたが、職場ではいままで通りに働いていると自分では勝手に思っています。



長文になり、飽き飽きされたことでしょう。


でも、私たちも組織の陰湿な不条理の中にあり、待遇の不満や健康の不安、生活苦を抱えながら、働いているのだということを知って欲しいのです。

私だって、このお役目を与えられたからには、いろんな意味でお役に立ちたい。

地域の方から信用されたい。

職場で頼られたい。


そして、そんな私たち医療職のことをちょっとだけ、知っていて欲しいのです。

「おたくさんも楽じゃないんだねぇ」

そんな何気ない一言で、私はまた頑張れるのですから。







以上、抜粋でした。

みなさんはいかが思われたでしょうか?

私はあえてコメントを控えます。。





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最終更新日  2007/01/20 12:49:55 AM
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