Moyashi
2026
2025
2024
2023
2022
2021
2020
2019
2018
2017
2016
2015
2014
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
全1件 (1件中 1-1件目)
1
今夜も眠れないこめかみがわずかに痛む目を閉じる すると圧倒的な無力感に襲われる目の前に広がる広大な自我宇宙が姿を現すとたんに悲しみが僕を捕らえる耐え切れなくなり泣き出そうとするでも泣けない自分がいることに気づかされる感情のダムを必死に抑えている自分がいることに気づかされるなにをそんなに頑張っているのかなぜそんなに純粋なのかすべてがわからなくなってくる目を開けると教育テレビで宇宙に漂う無数の銀河について説明している無機質なその声は宇宙には何千億個もの銀河系が存在していると主張する「宇宙は膨張している」その声はそう教えてくれる何千万光年先の恒星に想いを馳せてみるその天体はなにも語ることもせずその内存する機能を核融合に生かし淡々と光を発し続ける発せられた光線は万物の理論に則り定速を守りながら僕へと降り注ぐ僕は今も存在しているのかもわからない天体に想いを馳せているのかもしれないと思いある感覚が僕を捕らえ始めたビッグバンが起こり宇宙が膨張し広がり続けるじゃあビッグバン以前は何だったのか過去なのか 未来なのか それとも現在なのか時間のベクトルが永遠に同じ方向を向くのならそれは過去膨張を表す未来へのベクトルが反対を向くのならそれは未来ベクトルなんて存在しないのならそれは現在結局自分は何もわからないと感じる無数に広がる宇宙の塵なんだと感じる拡散しすぎた感覚を拾い集めるため ふたたび目を閉じるそこにも宇宙が広がっている小さな宇宙だ しかし無限だ果てしない闇に漂っている自分に気づくいつしか自分がその宇宙そのものだと気づくその宇宙には大きな親指だけが存在している大きな親指だ大きな親指はあまりに大きすぎる時とともに肥大化してゆく大きな親指はやがて巨大な親指となってそれ自体の縁さえわからなくなる巨大な親指は質量の法則に則りそれ自体が大きくなるにつれて質量も重くなってゆく莫大な重力は空間を歪ませる歪んだ縁から宇宙が吸い込まれるのがわかる質量のバランスが音をたてずに(なにせ宇宙なのだから)崩れていくのがわかる目の前がぐるんと一回転する三半規管が混乱する嘔吐感が襲ってくる気づいたら淡い水色に染まりつつある空が僕を優しく包み込むどうやら今夜も眠れなかったようだ
2005.09.30
コメント(2)