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札幌記念が終わりました。
やはり、レースに勝つことはそう簡単ではなく、夢というのはそう思惑通りには実現しないということを、改めて教えてくれた結果。ブエナビスタの関係者の皆さんは、これ以上ないというほど勝負の厳しさを味わったのでしょうし、一方で勝ったヤマニンキングリーの関係者の皆さんは、思い描いていたことを現実のこととして手にする喜びを、感じているのではないでしょうか。
冷静に見れば、オークス馬がその年の夏競馬で古馬との初対戦を迎えた例は過去20年間さかのぼっても例がなく、秋競馬で古馬と初対戦して勝った例ですらたったの3例。それも、「ほぼ2冠」という強さのメジロドーベルが秋初戦として選んだオールカマーを勝ったのと、「あの」カワカミプリンセスが秋華賞のあとのエリザベス女王杯で最先着したもの。もっとも、後者は降着で「勝利」とは言えない結果になっていますが…。もう1頭はダイワエルシエーロですが、それも勝ったのは11月末になって臨んだ京阪杯で、時期的には夏競馬と比べればずいぶんあとのことです。 3冠を取ったスティルインラブですら、古馬初対戦のエリザベス女王杯は2着に敗れてしまいました。
楽天競馬の私個人のコーナーで、英愛オークス2冠のサリスカが先週古馬との初挑戦で2着に敗れたヨークシャーオークスを紹介しました。しかし、そうした海外の例を持ち出すまでもなく、3歳牝馬が早い段階から古馬と戦うのは、非常に難しい挑戦であることがわかります。
ですから、私は敗れたこと自体には全く悲観しませんし、また楽観もしない。もしかしたら、秋華賞に向かえばいとも簡単に3冠を達成してしまうかも知れませんし、もしかしたら次走は全くダメかも知れません。今回の状況で、今回の対戦相手では、今回の結果だったのだなぁと。極めて冷静に捉えております。
皆さんもご存じの通り、ブエナビスタの凱旋門賞への挑戦も、白紙撤回されました。
今回は、その凱旋門賞へ向けての壮行レースという位置づけで、ほぼ全ての競馬ファンや競馬関係者が見ていましたから、この発表には多くの方が驚いたでしょうし、私も驚くとともに、この点に関しては落胆を禁じ得ませんでした。
馬の進路は、馬主の方と厩舎の皆さんが決めること。その判断がどうこうということは、例え競馬を支えるファンであっても、それを評価することは出来ないと私は思っています。ですから、フランスへ行くべきだとも行かないべきだとも言えませんし、今回は行かないという結論になったその判断を素直に尊重して、馬の今後の活躍を見守りたいと思っています。
ただ…ファンとしての正直な気持ちを言えば
「勝たなければ行かないつもりだった」
というのは、レースの前には聞いていなかった。これだけその動向に耳目が集まっているのだから、勝つことをフランス遠征の条件とするなら、直前でもいいからレースの前にそのように言って欲しかった。この気持ちは、どうしても払拭することが出来ません。
今回のレースは、フランスへの壮行レースという位置づけだったからこそこれだけの盛り上がりになったことは間違いないわけですし、実際に決して少なくはない人たちが、この札幌記念がブエナビスタにとってそう容易い戦いにはならないと見ていた人であるほど
「『仮に勝てなくても』、凱旋門賞につながるいい走りをして欲しい」
という前向きな感情を抱きつつ、レースを見ていたはずです。ファンが触れることが出来る情報のうえでは、ハッキリと行くことが前提になっていたはずですから。
レース内容が悪いとか、仕上げの面に不安が見えたとか、もっと言えば陣営内部で意見が分かれたとかでもいい。そういう事情で「行かない」という説明なら、すんなりと納得出来るし、納得するより仕方がない。でも、今回のような話では、レース前にファンの私たちが持っていたあの期待感は、実は全く無意味なものだったのか?ということにもなりかねません。
もっと「大人の見方」をすれば、心の中では「勝たなければ行かない」と思っていたとしても、そこは辻褄を合わせていただければよかったのではないでしょうか。ウソはいけないけれど、全てを語る義務は確かにないわけですから、レースの前にはそこまで詳しく言わないそのかわりに、レースのあとの説明の仕方にもその裏返しとしてファンに対する配慮とか「思いやり」みたいなものを感じさせてくれれば、「周囲に配慮した」という異例なほどの迅速な発表が、より一層説得力を持つことになったのではないでしょうか。
最後に。そもそも、私たち競馬ファンは報道メディアを経由する形でしか、そうした情報に接することが出来ません。ここまでに書いたことも全て、誰もが見聞きすることが出来る報道メディア経由で知ったことをもとにしています。 もしかしたら、その前提すら違っているのかも知れません。つまり、レースの前にはすでに「勝たなければ行かない」という趣旨の話が出ていたのかも知れませんし、レースのあとの話も実は正確ではないのかも知れません。
ただ、ファンの立場としては、競馬のことを知り、競馬を楽しむ方法は、それ以外にはない。馬主やプレイヤーあっての競馬であるのと同じように、ファンあっての競馬であるという側面も、日本の競馬の場合は強いわけですから、伝えられる情報によって、(馬券の予想云々はともかくとして)ファンが競馬や競走馬に対してどのような思いを持つかということには、特段の留意があってしかるべきだと、私は思っています。
私自身、伝えられる側だけではなく、伝える側になることもあるわけで、その意味で今回のことは、伝えられる側の立場で感じたことをもとにして、伝える側としてどういうことを考えるべきなのかということを、深く考えさせられる出来事でもありました。
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