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2015年01月12日
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カテゴリ: 大川 充夫
ミツオーです。今年もよろしくお願いいたします。

さて、森泰斗騎手が、昨年の南関東4場総合リーディングジョッキーに輝きました。

森騎手は、1998年に足利競馬場所属でデビューして、昨年が17年目。うつのみや競馬廃止後に船橋へ移籍、ちょうど10年目にして到達した栄光の座でした。

再三書いてきたとおり、わたくしも北関東でこの仕事を始め、2005年3月のうつのみや競馬廃止を見届けたひとりです。北関東に縁のある人や馬を応援せずにはおられません。今回、森騎手が南関東の総合リーディングに輝いたことは、わたしにとっても本当にうれしく、元気をもらえる出来事でした。


というわけで、森泰斗騎手に、昨年の南関東総合リーディングについて話を聞きました。


「昨年は大変でした。ホントに疲れたなっていうのが素直な感想です」

という森騎手。

  • 森泰斗20150109.jpg




  • 昨年についても、

    「忙しくて疲れたのももちろんですが、精神的に。別に気にしなきゃいいんでしょうけど、やっぱり気にするじゃないですか。下との差がいくつとか。追ってるほうがラクですね。トップにたったのは…正確には覚えてないですけど、ボクが気づいたのは夏です」

    と言いますが、わたくしが個人的に作成している手元の資料(信頼度:低・汗)によりますと、3月26日に、それまでトップだった吉原寛人騎手を抜いて首位に立ち、その後、一度も首位を明け渡さずに大晦日を迎えています。
    ご存知のとおり、南関東での吉原騎手は、2ヶ月ほどの期間限定騎乗騎手ですから、実質、森騎手は年の初めからリーディングを独走したと言えます。

    「追われるのは、タイヘンでしたね。一時は差が一気に詰まってきたりしたんで、『ああ、こりゃダメだな』って思ったこともいっぱいありました。
    あせりもやっぱりあるから、競馬にいって『勝たなきゃ、勝たなきゃ』って思って乗ってると、勝てないしね、不思議と。
    でも、獲るとしたら今年しかない、っていう思いは強かったですから。今年獲れなかったら、もうずっと獲れないなっていう感じ。チャンスも、そういっぱいあるわけじゃないでしょうし」


  • 騎手会ブース20141004.jpg


  • 北関東から移籍して、ちょうど10年目の栄冠。

    「考えられないですよね。ボクが来たときの状況からしたら。何でなれたんですかね(笑)」

    しかし、数年前から上位に定着して、トップも狙えると思っていたのでは?

    「全くないですね。3位とかにいても、1位は絶対とれないと思ってました。
    その時その時で、死にものぐるいにやってきたし、それでそのポジションにいるのは、たぶんもう必死にやってそこまでなんだって思ってました、そのときは」

    昨年、リーディングをモノにできたことの大きな要因としては、

    「ケガをしても、長く休まなかった。2週間は休んでないですね。最長でも1週間くらいかな。鎖骨は折りましたし、足のツメをはがしました。アレは痛かったな。生爪はがれるってやつですからね、骨折より痛かった。でも、一昨年やった肩甲骨が割れるみたいな、長期離脱がなかった。
    あとは、去年に関しては、小久保(智)調教師が、『今年はリーディング、お前に獲らせるから』って言ってくれて、たくさんサポートしてくれたんです。それは力になったと思います。もちろん、小久保先生だけじゃないですけどね。応援してくれるひとは、いっぱいいます」

    リーディングを獲ったことについての、自分なりの評価をたずねると、

    「自分自身は、そんなに乗れてたなっていう実感はあんまりないですね。やった、とは思うけど、『ああ、なんかやっと逃げ切った』っていうホッとした感じが大きいです。『成し遂げました!!』みたいな感覚は全くないですね。
    だいたい、それで今年になればすぐ切り替わって、またゼロからじゃないですか。今となっては過去の栄光ですね。もうどうでもいいって感じ。もちろんうれしいですけどね、1回でも獲れたっていうのは」

    と言いつつ、いろいろ話を聞いていると、こんな話もしてくれました。

    北関東最終年度となった2004年。春先に、リーディングトップに立った森騎手は、その日の専門紙を記念に保存していたのだそうです。
    当時の栃木といえば、鈴木正・早川順一・平澤則雄・山口竜一、そして内田利雄という、2000勝ジョッキー5名が上位を固めていたところ。シーズン序盤とはいえ、彼らを抜いてトップに立ったことを、森騎手自身、偉業と感じ、記念にとっておいた専門紙。これを、

    「ほんの1ヶ月くらい前に、捨てました」

    えええ!?10年とっておいたモノを、捨てちゃったの?

    「懐かしいな~って見てたんですけど、コレをとっておいたらダメなような気がするって。これを見て満足してたらいけないと思って、捨てました」

    ふうむ。
    リーディング獲得の大きな要因は、その気持ちの変化・強さなんじゃないのかな。

  • 森泰斗130810_222304.jpg


「でもね、いまだに、一気に干されて仕事がなくなる、乗る馬がいなくなるんじゃないかとか、そういう恐怖心はメチャメチャありますよ。だから、ホントは、ときどきちょっとの間休んだりするのがいいと思うんですけど、できないんです。夏休みとかとるひといますけど、ボクは性格的にできないんです。
たまにね、そうして休んだほうが、競馬にいっていい効果があると思うんですけど…そんなことしたら、たぶんボクは今のポジションにいないと思うし、仕事がなくなるかもしれないじゃないですか」





正直、わたしのような立場の人間が、「とくにこのひと(たち)を応援しています!」と大っぴらに標榜するのはイカンことだと思うのです。実況するにあたって、誰かをひいきにするなんてのは、絶対にあってはならないことです(『ひいき』と『思い入れ』ってのはまた別だと思っておりますけども)。

もちろん、ひとつひとつのレースを実況するにおいて、そういう思いを抱きながらということは、ありません。第一、そんなことを思ってやれるような仕事じゃないのです、実況は…と思います。

ですが、それぞれの大きなシーンにおいて、また、継続した長い時間の中で、森泰斗騎手やその他の北関東ゆかりの方々を応援し続けていることは、まぎれもない事実で、だからこそ、今回の森騎手のリーディング獲得に、わたしは心底喜びました。本当によかった。うれしい。

と同時に、どうも、わたし自身の中で、何かが変わったような気もしています。…もう、北関東ひいきばっかしでもないな、と。
北関東から競馬がなくなって、ちょうど10年ということもありますし、森騎手が南関東のトップに君臨したことは、わたしにとって、非常に大きな区切りの出来事であったのだと思います。

その区切りを、自分自身の中でより明確なものにしたいとは思っているのですが…。それはまた、いずれ。





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最終更新日  2015年01月12日 20時45分11秒
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