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2022年06月30日
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カテゴリ: 横川典視
木曜担当のよこてんです。

 ※6月30日分を7月7日になって書いております。​ 後編もあわせてお読みください。

 岩手競馬のパドックを見ていて“最近外国人の厩務員さんが増えてきた”と感じているファンの皆さんは少なくないのではないでしょうか。今だとウズベキスタン、インド。少し前まではベトナム人の厩務員さんもおりました。今回はその中でウズベキスタンの厩務員さんのお話を採り上げたいと思います。

 この稿を書いている時点で岩手競馬で働いているウズベキスタン人の厩務員さんは16人。先月かな、新しくやってきたグループ6名が各厩舎に入って現在の数になりました。
 一番初期に来たグループは3年目になります。この間、世界的な新型コロナウイルス拡大の影響で日本内外との移動の制限が厳しくなったために来日の予定であったり帰国であったりの予定が大きく狂ってしまったりもしたそうで、日本に来たまま一時帰国ができず家族にも何年も会えず・・・という方もいるのですが、そんな状況下でもウズベキスタンから来た厩務員さん達は岩手競馬の中で働き続けています。


★ファズリディン厩務員(佐藤浩一厩舎)。愛称ファジー



★イザトペック厩務員(瀬戸幸一厩舎)ハナノミチ等を担当



★オタベック厩務員(千葉博次厩舎)イザトペック厩務員と兄弟?



★口取りに収まるグロム厩務員(右・伊藤和忍厩舎)


★木村暁騎手と勝利の握手をするシロジディン厩務員(現 伊藤和厩舎。撮影時は新田守厩舎)


★フサン厩務員(酒井仁厩舎)




★飯田弘道厩舎のイスロイル厩務員、アミル厩務員

(※今年来た厩務員さんはまだ写真が揃ってない。申し訳ない)


 ここでウズベキスタンという国について簡単にご説明しておきましょう。

 ウズベキスタンは正式には『ウズベキスタン共和国』といい、中央アジアにあります。中国やロシア、イランなどとは直接国境を接していないもののそれぞれの中間点といえる位置にあることで想像できるようにかつてはシルクロードの交易路が通っており、首都タシュケントはその重要な中継地として古くから栄えた都市です。

 面積は日本の約1.2倍。しかし人口は約3400万人ほど。雨は少なく、夏の気温は高いですが冬はそれほど寒くはならず、ウズベキスタンから来た厩務員さん達は「日本の方が寒い」とぼやくことしきり。
 海に接しておらず、海につながる大河も無い・・・という非常に特徴的な地勢の国で、そのためか国土の8割が砂漠となっています。かつては西部のアラル海が世界第4位の湖として有名で、自分が高校の頃なんかだと「アラル海=綿花」と覚えたものですが、長年の水資源の乱用によってアラル海の水量が大幅に減少してしまっているのが問題にもなっています。


 晴山厚司厩舎で働いているガイライト厩務員は最初にやってきたグループの一人で来日からもうすぐ3年になります。ウズベキスタンの南東部にあるシュルチという街から来ました。
 シュルチは、先に述べたように乾燥したウズベキスタン国土の中でも数少ない河川に接した地域にあって、GoogleMAPでみても砂漠のような丘陵に囲まれた中に農地が拡がっているのが分かります。


★ガイライト厩務員(晴山厚司厩舎)昨年7月のジュライカップを担当馬が制した際の口取り

 ガイライト厩務員は地元に厩舎と自分の馬を持っていて、ウズベキスタンの競馬にも出ていたそうです。ウズベキスタンで“競馬”というと日本のようなそれではなくてモンゴルの“ナーダム”を想像していただいた方が近いようです。あるいは相馬野馬追の神旗争奪戦のようなものか。「他の馬とぶつかり合いながらで、怪我をすることもある」と言っていたので後者が近いのかな。
 なので、馬には慣れていたとはいえウズベキスタンとは全く違う日本の競馬には「慣れて覚えるのに2ヶ月かかりました」とガイライト厩務員。

 彼の目標は馬の仕事を覚えて帰ること。現地に持っていた厩舎や馬は日本に来る時に手放したのだそうで、日本で馬について・競馬について覚えて、ウズベキスタンに戻った時には向こうで再度馬の仕事をしたいのだそうです。「3年経つとちょっと寂しいから、コロナが落ち着いて行き来できるようになったら一度帰りたいですね」とも。


 伊藤和忍厩舎で働いているキリチ厩務員も最初にやってきたグループの一員。実家はガイライト厩務員のシュルチに近いそうです。キリチ厩務員も現地で馬を持っていて、10歳の頃から馬に乗っていたのだそうです。キリチ厩務員にいただいた現地写真を見る感じ、広々とした高原に馬が点々といて、なんというか凄くエキゾチック。


★キリチ厩務員(伊藤和忍厩舎)

 岩手で働いているウズベキスタン人厩務員さんはこのように現地でも馬を飼っていて、お祭り競馬に参加していて・・・と、小さい頃から馬に慣れ親しんでいた方が少なくないようです。




★ウズベキスタンの馬とか(キリチ厩務員提供)

 キリチ厩務員も地元に家族を残した“単身赴任”。やはりなかなか会えないままの3年目が近づいています。メッセージアプリなどでは頻繁にやりとりはしているそうですが。
 とはいえ「日本であと何年か働いて、そうしたら帰って向こうで牧場を開きたい。馬じゃなくて羊とか牛のね。だから自分の給料はほとんど送っています。自分は節約生活ね(笑)」。そういう大きな目標のためには・・・なのでしょう。



 とはいえ会話となると片言の人もまだまだ多くて、難しい部分は翻訳アプリを使ったり、例えばメッセンジャーアプリで向こうはウズベク語、こちらは日本語で、文章を翻訳しながらやりとりしたりという“会話”になることもしばしば。

 便利っちゃ便利な時代になったわけですけども、翻訳アプリは細かい意味が違ったりするし、そもそも日本語って翻訳アプリにとってけっこう“難しい”言語で、英語にするのも意外に気を遣いますし。

 なので、日本語で冗談も言えるくらいのガイライト厩務員とかキリチ厩務員は自分としても細かいことを聞きやすいので・・・というのがお二人を選んだ理由。全員それぞれお話を聞きたかったのはやまやまでしたが。なので他のウズベキスタンの厩務員さん、悪く思わないでくださいね・・・。


 さて、ウズベキスタンは平均年収が日本円にして20~30万円くらいだとされる国です。年収ですよ。月収ではありません。
 なので、岩手競馬の厩務員として2ヶ月ほども働けば年収ほどのお金が手元に残るわけで、ウズベキスタンの厩務員さん達にとってお金、収入という部分が大きなモチベーションになっているのはその通り。出稼ぎであるのもその通り。でもそれは重要です。夢とか理想とかで生きていけるわけではないですからね。


 ウズベキスタンから来た厩務員さん達の評価は概ね好評です。もちろん課題もあるのですけれど、真面目に働いてくれると見ている関係者は多いです。次回は後編として、厩舎サイドから見たウズベキスタン厩務員さんたちの評価や課題をお伝えしてみたいと思います。





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最終更新日  2022年07月08日 19時45分32秒


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