・山里亮太『天才はあきらめた』
南海キャンディーズ・山里亮太による自伝的エッセイ。学生時代から芸人としてのキャリア初期、そしてブレイクまでの道のりを、赤裸々かつ自己分析的に綴っている。
・幼少期から抱えてきた劣等感、周囲への嫉妬心、自分の中の「陰」の感情にどう折り合いをつけてきたかが核心となるテーマ。NSC(吉本総合芸能学院)時代、周囲の「天才」たちに圧倒され、自分は努力型の「秀才」でしかないと自覚する。そのうえで、嫉妬と悔しさをエネルギーに変え、ノートに分析を書きつづりながら自分を磨いていく。
・南海キャンディーズとしてブレイクするまでの苦悩、相方・しずちゃんとの関係性の変化、コンビ内の確執と和解も描かれる。テレビに出るようになってからも、内向的な性格と他人へのコンプレックスに悩まされ続けるが、それを隠さず、むしろ笑いに昇華させることで、自分の芸風を確立していく。
・「天才はあきらめた」という言葉には、天賦の才を持たずとも努力で道を切り開くという、山里なりの信念と戦略が込められている。自己嫌悪と向き合いながらも、決して折れない執念と戦略眼が、芸人・山里亮太を形作ってきたということが、静かに、しかし確かに伝わってくる一冊である。
天才はあきらめた (文庫) [ 山里亮太 ]
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