・「東京ステーションホテル」 は、ノンフィクション作家の 上阪徹が、東京駅の中に佇む歴史的ホテル 東京ステーションホテル の再生と、その舞台裏にある人々の仕事を描いたノンフィクションである。単なるホテル紹介ではなく、一つの場所に宿る歴史、誇り、そして働く人間の矜持を静かに浮かび上がらせる物語になっている。
・1915年、東京駅の中に誕生した東京ステーションホテルは、日本の近代史とともに歩んできた。政財界の要人、文化人、旅人たちを迎え入れながら、長い年月の中で多くの物語を積み重ねてきた場所だ。しかし時代の流れとともに建物は老朽化し、ホテルは大規模な保存・復原工事に入ることになる。単なる改装ではない。歴史を守りながら、現代のホテルとして再生させるという極めて難しいプロジェクトだった。
・本書は、その再生の過程に関わった人々の仕事を追う。建築家、ホテルマン、サービススタッフ、経営者。彼らはそれぞれの立場から「このホテルをどう残すのか」という問いに向き合う。過去を守ることと、未来に向けて進むこと。その二つの間で揺れながら、ホテルは少しずつ新しい姿を取り戻していく。
・この作品の中心にあるのは、 場所には記憶が宿る という考え方だ。ホテルは単なる宿泊施設ではない。そこには、訪れた人々の時間、街の歴史、働く人々の誇りが積み重なっていく。東京ステーションホテルの再生は、建物の修復だけではない。そこに流れてきた時間を未来へ受け渡す作業でもある。そのために必要だったのは、効率や合理性だけではない。歴史への敬意、場所への愛着、そして仕事に対する矜持だった。
・『東京ステーションホテル』は、一つのホテルをめぐるノンフィクションでありながら、仕事の意味そのものを問いかける作品である。場所には時間が宿り、仕事には物語が残る。その物語を未来へ引き継ぐことこそが、プロフェッショナルの役割なのかもしれない。東京駅の赤レンガの建物の中で続いてきた百年の時間は、今日もまた静かに更新されている。
東京ステーションホテル 100年先のおもてなしへ [ 上阪 徹 ]
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